『Flowery』(原題『Flower』)や『風ノ旅ビト』などでおなじみのゲームスタジオthatgamecompanyが手掛ける『Sky 星を紡ぐ子どもたち』(『Sky』)。本作は、堕ちた星々を救って再び星座の元に届ける存在である“星の子ども”となり、7つの地方が広がる美しい世界を冒険しながら、そこで出会ったプレイヤーたちとの交流が楽しめるソーシャルアドベンチャーだ。

 2019年に配信開始されてから、これまではスマートフォンでのみ展開されていた同作だが、2021年6月30日にNintendo Switch版がついにリリース。Switch版はスマホ版とのクロスプレイも実現しており、これにより、プラットフォームの垣根を越えてプレイヤーどうしのさらなる繋がりが生まれた。

 ここでは、クリエイティブディレクターのジェノヴァ・チェン氏と、日本人クリエイターの水谷立氏、吉野令佳氏の3人に、本作の開発経緯やゲームへのこだわり、今後の展開などを伺った。

 なお、本作の特徴やゲームシステムなどは以下の記事をチェックしてほしい。

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』開発者インタビュー。世界中のプレイヤーが繋がっていく感動体験はどのようにして生まれたのか……

Jenova Chen氏(ジェノヴァ・チェン)

thatgamecompany
設立者、クリエイティブディレクター
(写真左)

水谷 立氏(みずたにりつ)

thatgamecompany
リードオーディオデザイナー、日本担当エヴァンジェリスト
(写真中央)

吉野 令佳氏(よしのれいか)

thatgamecompany
3Dアーティスト、アートマネージャー
(写真右)

“感情体験の共有“をテーマに、ゲームプレイヤーたちの思いから『Sky』が生まれた

――ソーシャルアドベンチャーと題した『Sky』は、どのような発想から生まれたのでしょうか?

ジェノヴァthatgamecompanyでは、これまでにさまざまなタイトルを手掛けてきましたが、プレイヤーさんから温かいご意見をいただくことが多く、皆さんとのつながりを強く感じてきました。とくに、『風ノ旅ビト』を遊んでくれたプレイヤーさんからは「妻がゲームをプレイして、エンディングで泣いていた」、「娘と遊んで、いっしょにゲームの話ができた」といった声をお聞きすると同時に、「つぎは妻や娘たちといっしょに遊べるタイトルを作ってほしい」というご要望もいただきました。

 とはいえ、テレビを複数台並べていっしょに遊ぶというゲームスタイルだと敷居が高い。それで、つぎにゲームを作るときは家族みんなが持っているデバイス向けにしようと考えていました。そのうえで、テーマを“感情体験の共有“にしました。“家族といっしょにゲーム体験を通じて、その感情を共有する”ことですね。つまり、プレイヤーさんの声があったからこそ、『Sky』が生まれたのです。

――家族でいっしょにプレイできるというところから、いまのゲーム性へと発展したんですね。

ジェノヴァ『Sky』のゲームプレイの要素を決める際に、必ず問いかけていることがありました。それは、“家族で遊べるものであるか”ということです。これは“親子でいっしょにゲームを遊べるのか”、“お父さん、お母さんが、自分の子どもたちがゲームを遊んでいることに対して嫌な思いをしないか”といったことで、ゲームの要素を決断するうえでの大きな判断基準になっています。

――そのテーマ性をゲームに落とし込むにあたって、試行錯誤はあったのですか?

ジェノヴァ開発には7年かけていますが、始めの2年間は“一本道のストーリー体験型”として開発していましたが、その後、“コミュニケーションを核とした型”へとゲームデザインも大きく変わっていきました。

――かなり大きな変更ですね。なぜ、そのような決断に至ったのですか?

ジェノヴァ“一本道のストーリー体験型”として開発していた2年のあいだに、モバイルゲーム市場のトレンドが大きく変わってしまい、買い切りゲームに対する需要が減っているという実感がありました。買い切りゲームのまま開発を進めても、費用やコストは到底回収できないだろうと思いましたし、より多くの人に遊んでもらいたいとの判断から、本作を基本プレイ無料で提供することにしたのです。それにともないゲーム性を変更することにしました。

 とはいえ、課金運営型のゲームに変えるにあたって、スタジオ内でも大きな議論がありました。当時は大きなふたつのアイデアがあり、eスポーツやバトルロワイアルのゲームのように、技術の習得にたくさんの練習を必要とするようにしてプレイヤーさんに長く遊んでもらうようなゲームタイプにするのか、もしくは、ソーシャルスペースの中で感情を揺さぶることによって、人々がそのスペースに集まってくるタイプのゲームにするのかで、一年半以上にも渡って議論を重ねました。最終的には、感情体験を共有できるソーシャルスペースを作るということに決定したわけですが、当時はそのモデルで成功したゲームはほとんどなかったので、私たちにとっては大きなチャレンジでした。だからこそ、『Sky』がユニークなゲームになり得たのかなという気がします。

――モバイルゲーム市場の変化が決め手となり、長期間の議論の末、いまの『Sky』の核となる部分が形作られていったのですね。実際にゲームデザインの変更が決まったとき、現場はどのような反応だったのですか?

吉野私は“コミュニケーションを核とした型“に決まってからスタジオに入ったので、じつはそのことをあまりよく知らないんです。ですが、大学生のころに遊んだ『風ノ旅ビト』に感動し、thatgamecompanyの“人と人の繋がり”を大事にしているところに惹かれてスタジオに入ったので、『Sky』もそれを大事にしているゲームであったことは、当時すごく嬉しかったです。

水谷自分が入社した時点ではすでに、どういったゲーム作りをしていくかを模索している時期だったので、変更が決まったときの状況は詳しく分かりませんが、スタッフの中でも混乱があったのは事実です。自分も『風ノ旅ビト』や『Flowery』に影響を受けてスタジオに飛び込み、いまではいい体験ができたと思っていますが、当時はナラティブな体験を制作していくものだと思っていたら、SNSのようなものを作ろうとしているらしいという噂が流れたりと、完成系が見えないことへの不安は、僕の中にもありました。

プレイヤーたちが繋がりたくなるゲームデザインへのこだわりとは

――本作のキモとなるコミュニケーションの手段で、注力したポイントを教えてください。

ジェノヴァ本作のコミュニケーション方法を確立するためには、まずは“常識を否定すること”が必要でした。ソーシャル要素があるゲームやSNSを見ても、チャットは誰もがいつでも使える要素として実装されていますが、『Sky』では、その方法は取りたくなかったのです。“当たり前に囚われない”アイデアを考えていくことは、すごく難しいことでした。とてもラッキーだったのは、『風ノ旅ビト』のゲームデザインを通じて、プレイヤーが世界に対して小さい存在で非力な状況にいると、自発的にコミュニケーションを取るようになるということを学べたことです。チャットに頼らなくても、状況をデザインしてプレイヤーさんを誘導することによって、人々が繋がりたくなるような方法を、『Sky』では取り入れています。

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』開発者インタビュー。世界中のプレイヤーが繋がっていく感動体験はどのようにして生まれたのか……
本作は、感情表現などのジェスチャーを主体に、ほかのプレイヤーとのコミュニケーションを図っていくのが特徴。

――言葉を使わないコミュニケーションをメインにしつつも、フレンドや仲よくなったプレイヤーとチャットができる機能も用意していますね。これはどういった経緯で実装されたのですか?

ジェノヴァもともとは“感情表現”のジェスチャーでコミュニケーションを取り合うゲームデザインで進めていましたが、開発終盤にテストプレイを実施したときに、「仲よくなったプレイヤーのことをもっと知りたいから、チャットを実装してほしい」という意見を多数いただきました。それで、ゲームの方向性や価値を崩さずにチャットを導入する方法を何度も話し合い、トライ&エラーを行いながら実装することになったのです。

――『Sky』の方向性を保ちながらチャット機能を導入するために、どのようなことを気にかけていますか?

ジェノヴァ公共のスペースで、誰にでもチャットが届いてしまう状況だけは避けたいと思っていました。また、現実世界でのコミュニケーションはどのように起こり、そしてどのように仲が深まっていくかを分析して、それをゲームの中で生かしたいとも考えていました。親交の深まっていく過程には段階があるように、『Sky』でも徐々に機能が解放されていくことで、お互いのことを伝える手段が増えるという方法で、現実世界のコミュニケーションに近づけています。

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』開発者インタビュー。世界中のプレイヤーが繋がっていく感動体験はどのようにして生まれたのか……

――本作は、言葉を極力廃したゲームデザインで、ストーリーも映像と音楽で表現されていますが、こだわったポイントは?

ジェノヴァこれは自分の過去の話が関係しています。私は中国からアメリカに移住して、映画の学校に通って脚本の勉強をしていました。当たり前のことではありますが、アメリカの映画の学校なので、アメリカ人の登場人物どうしの会話を想像して脚本を書かなければならず、これがすごく大変で、落第しないようについていくので精一杯でした。そんなある日、先生から「英語で脚本を書くのを諦めて、中国語で脚本を書いたらどうだ?」と言われたんです。しかし、私は中国人のためだけの映画を作りたかったわけではないですし、アメリカ人のためだけの映画を作りたかったわけでもありませんでした。

 そういった体験はゲーム作りにすごく反映されていて、特定の言語の人だけにしか伝わらないゲームを作りたくはないという思いが、テキストを極力排除したデザインになっているのだと思います。

水谷サウンド担当としては、言語を極力なくしたゲームデザインに対してやりがいを感じるのですが、同じくらいにプレッシャーも大きかったです。ゲームサウンドは大きくわけると音楽、効果音、セリフの3つの要素があって、それぞれ役割があります。音楽は感情を伝えるもの、セリフはストーリーを伝えるもの、効果音は情報を伝えるだと一般的に言われています。『Sky』では、情報だけではなくて感情や気持ちも効果音で伝えてほしいという要望があり、それに応えるのがプレッシャーでもあり、やりがいでもありました。

――あまり前例のない取り組みだったということですね。

水谷さらに、コミュニケーションを主体とした体験が『Sky』の大きな軸となっているので、プレイヤーどうしが音を鳴らしたことによる効果にも気を使いました。ゲームの中では感情表現や楽器、鳴き声といった音に付随する行動が無数にあり、同じ音でも、プレイヤーさんによって、受け取る感情に違いが生じますから。

 『Sky』のメインテーマは人間どうしの交流ですが、自分が好きなだけ音を鳴らすという行為が、別の人にとっては迷惑になるかもしれないということはすごく考えました。たとえば、感情表現をほかのプレイヤーの近くで連続して使うと、だんだん音が小さくなって聞こえにくくなるといったことを取り入れています。

――ひとつひとつの足音からもこだわりを感じました。効果音はいくつかサンプルを録音してから決められるのですか?

水谷そうですね。キャラクターの足音も、ゲーム画面を見ながら、実際に自分がマイクの前で演技をしたものをいくつか録音して決めていった音になっています。

――なるほど……。本作にはさまざまな衣装が用意されており、自由に着せ替えできますが、こだわった点を教えてください。

吉野キャラクターの衣装や髪形などを作るときには、まずはプレイヤーがアバターを通して自分を表現できるようなデザインにしようというところから始めています。最近ではイベントの特別衣装なども登場して、衣装数も増えてきました。ですので、衣装が増えれば増えるほど難しくはなりますが、どんな衣装にもマッチするデザインの新衣装を作ろうと努力しています。個人的には、初めて会う人や通りすがりの人といった、これまで認識がない人にも、「わたしは女性です」、「ぼくは男性です」といったことがわかってしまわないような、性別に囚われないデザインの衣装が好きです。

ジェノヴァ家族向けのゲームとなっているので、色気が出てしまう衣装は作らないようにしています。アバターが子どもっぽいのも、その裏にはちゃんとした理由がありまして、初めて会った人に社会的な属性や文化、人種差別などを考えずにみんなで楽しめるような衣装を心がけて作ってます。私としては『ICO』や『人喰いの大鷲トリコ』に出てくる子どもたちのキャラクターがすごく魅力的で、性別や人種、生まれに関するバックグラウンドが分からなくても、どの国の人から見ても自分の文化と共通性のある子どもだと見えるところはすごくいいデザインだと思います。これから新しい衣装をデザインしていくうえでも大事にしたい部分です。

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』開発者インタビュー。世界中のプレイヤーが繋がっていく感動体験はどのようにして生まれたのか……

――雲の動き、草木の揺れ、日の虹彩など細部の表現を鮮明に作りこんでいますが、どういったこだわりが詰め込まれていますか?

吉野細かい部分のエンジニアリングにはけっこうな労力を費やしています。『Sky』には3人の環境・背景アーティストがいて、それぞれスタイルが違うのですが、私の場合は、スケールの大きな世界でも、“草木の揺れなどの細かいところにも魔法を入れこんでいく”といったことにこだわっています。じっくり見ていただくと、それぞれのアーティストのこだわりやスタイルの違いも見えてくるはずです。

ジェノヴァflOw』ではエフェクトに注力し、『Flowery』の場合は風が吹いたときの草木の動きや、水面が揺れるといったディテールへの気遣い、『風ノ旅ビト』の場合は、プレイヤーが動くたびにどうやって砂が動くかといったことを積み重ねていって『Sky』ができあがっています。このように、基本的には過去のゲームで培ってきた技術の積み重ねではありますが、プレイヤーがゲーム内で起こしたアクションに対してのフィードバックや反応は大事にしています。プレイヤーがアクションを起こして、ゲーム内で何か反応があると、自分がゲーム内に存在していることを実感できたり、キャラクターとの感情共有を強めるのに役立つと考えているからです。

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』開発者インタビュー。世界中のプレイヤーが繋がっていく感動体験はどのようにして生まれたのか……

――本作では、感情表現や衣装を集めたり、より高く飛ぶためにケープを強化したりと、さまざまなやりこみ要素がありますね。開発段階では案として挙がっていたものの、実装されなかった要素はありましたか?

ジェノヴァ開発期間が7年もあったので、採用されなかったアイデアはたくさんあります。中には時間的な制約から完成度を高められずに採用されなかったアイデアもあって、今後、磨き上げられた形で復活するアイデアがあるかもしれないです。

 採用されなかった案としては、鬼ごっこのように、追いかける側と追いかけられる側で競いあうゲーム、『Among Us』のような人狼タイプのゲーム、『IdentityV 第五人格』のような非対称の対戦型ゲームなどがありました。そのほかにも、プレイヤーが精霊に変身し、精霊と星の子どもが協力してパズルを解きながら交流できる仕組みもテストをしましたが、いずれもゲームでの実装には至りませんでした。

――季節のイベントでは普段とはすこし違った遊び方が用意されてますね。これは『Sky』をリリースしてから思い浮かんだアイデアなのでしょうか?

ジェノヴァこれまでに開催した季節のイベントの半数近くは、リリースしてから考え出したアイデアを形にしたものです。一方で、アップデートプランとして実装が間に合わなかったり、『Sky』をリリースしてから追加しよう温めてきたアイデアもあります。

 ゲームをリリースしてからもコンテンツを拡張していくことは、自分にとっては新しい体験だったのですごく新鮮でしたし、これまでのゲーム開発とは違ったおもしろさがありますね。

ふと思い出して訪れたくなったときに、ずっとそこにあり続けるタイトルを目指して!

――2019年にスマートフォン向けにサービスを開始されて、さまざまなイベントなどが行われていますが、ユーザーさんからの反応で印象的だったものは?

ジェノヴァ『Sky』をリリースしてから、新型コロナウイルス感染症の拡大によって世界的に大変な時期を迎えることになってしまいました。しかし、そのときに学校に通えなくなってしまった学生さんや、現実世界で友だちや恋人と会えなくなってしまった人たちから、「『Sky』を通じてほかのプレイヤーと交流することで、この状況を乗り越えることができた」、「『Sky』のおかげで孤独を感じずに済んだ」という声をたくさんいただき、大きな励みになりました。とくに日本のプレイヤーのコミュニティはすごく活発で、毎日のように激励や感想をチームに届けてくれます。それがチームにとっても、新しいシーズンやアップデートを開発し続けるうえで大きなモチベーションになりましたし、日本人のプレイヤーに対して感謝しています。

 つい先日、『Sky』のプレイヤーどうしだった日本人カップルが結婚したというニュースが、SNSを通じて私のもとに届けられました。それを知ったときは、嬉しい気持ちでいっぱいでしたね。

――素敵なお話ですね! サービス開始から約2年が経ち、ついにNintendo Switch版を配信されましたが、いつごろからコンシューマーでのリリースを意識されましたか?

ジェノヴァ最初にiOS版をリリースしたときに、「コントローラーで遊びたい」、「綺麗なグラフィックなのに、大画面で遊べないのはもったいない」といった要望をいただきました。一方で、「コントローラーじゃないとうまく操作できないので、ゲームをやめてしまった」という声もいただいて、すごくもったいないと感じていたんです。もっと多くの人に遊んでもらうには、どのプラットフォームでリリースしたらいいかを考えたときに、コントローラーによる操作と、チャットやメッセージなどを素早く打ち込めるタッチスクリーンを使い分けるNintendo Switchの操作体系が『Sky』にぴったりだと思えたので、リリースを決断しました。

――Nintendo Switch 版の開発にあたって、苦労した点を教えてください。

ジェノヴァすごく苦労したことのひとつはUI(ユーザーインターフェース)です。もともとモバイル端末向けにデザインした『Sky』は、タッチスクリーンを前提に設計されています。それをボタンとスティックを使った操作に対応させるには、メニューのシステムをほぼイチから作り直す必要がありました。本作では、メニューの数も膨大なので、それはすごく大変な作業でしたね。正直なところ、完全に理想としている品質にはまだ達しておらず、改善の余地があると思っています。より快適にプレイできるように、継続して改善に努めてまいりますので、期待していてください。

――ちなみに、他機種版でのリリースの予定はありますか?

ジェノヴァ具体的にお話できることはありませんが、当社のゲームをひとりでも多くの人にプレイしてほしいと思っていますので、検討はしています。

――水谷さんと吉野さんに伺います。『Sky』の開発に参加してみての気付きや得たことなどをお教えください。

吉野個人的にゲーム業界での経験は浅いほうだと思っているのですが、こんなにも早く素晴らしいプロジェクトに参加できたことには、いまでも驚いています。『Sky』のような、人と人のコミュニケーションを軸としたゲームはあまり成功例がなく、大きなチャレンジだったので、いいゲームを作りたいという信念と、このゲームに人生を費やしたいという思いで取り組んでいました。実際に成功して嬉しかったですし、もし失敗しても、ほかにはないゲームを作るという意味ではいい経験になったはずです。これからも、人生に意味を持たせてくれるようなゲームを作っていきたいです。

水谷このプロジェクトを通じて ゲーム全体の品質に対して責任を持つことの大切さを学べたのが、自分にとってすごく大きかったです。thatgamecompanyはチームメイトの意見に対して、すごくオープンな人が集まっており、自分が担当していないことや、専門ではないことでも、「こうしたほうがいい」という意見があれば、それがゲームをよくするという考えに基づいていれば、受け入れられるんです。自分はサウンド専門ですが、専門ではないアーティストからサウンドの意見が来ることもあって、そのおかげで、それまであまり意識していなかったことに気づかされたり、意見をもらうことによってゲームの音がよくなっていくという体験が何度もありました。それはゲーム開発という仕事をするうえで大きな経験になったと思っています。

――チャレンジングなゲームだったからこそ学べたことが大きかったのですね。では、『Sky』の今後の取り組みや展開について、どのようなことを考えていますか?

ジェノヴァ『Sky』をリリースから2年近く経ちますが、つねに新しいチャレンジをしていくゲームであり続けたいと思ってます。これからも続いていくであろう大規模アップデートや新しいイベントでは、いつも遊んでくださっているプレイヤーのみなさんがワクワクしたり、新しい発見があるものにしていきたいです。そして、ふと思い出して訪れたくなったときに、ずっとそこにあり続ける、テーマパークや公園のようなタイトルになってほしいと願っています。

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』開発者インタビュー。世界中のプレイヤーが繋がっていく感動体験はどのようにして生まれたのか……

――最後に『Sky』を楽しもうと思っているプレイヤーにメッセージをお願いします。

水谷家庭用ゲーム機には、プレイヤーさんが期待する品質の水準があると感じていまして、じつはNintendo Switch向けに全部の音をいちからチェックし直して、より高解像度のサウンドにしています。ですので、ゲーム機を持ち寄って友だちと遊ぶのもいいですが、たまにはいいヘッドフォンやスピーカーに繋いで遊んでくれたら、サウンドデザイナーとしては冥利に尽きます。Nintedo Switchでデビューする『Sky』をぜひ皆さんで楽しんでください。

吉野自分がゲームに心を動かされたように、みなさんの心を揺さぶる作品を作りたいとの思いでゲーム開発に取り組んでいるのですが、プレイヤーの皆さんが「楽しかった」とSNSで発信してくださっているのをよく見かけて、感謝の気持ちでいっぱいです。私ひとりにできることは少ないかもしれませんが、皆さんの人生にプラスになれたのがすごく嬉しいです。ゲーム作りはすごく大変なのですが、プレイヤーさんたちがいるお陰で楽しいです!

ジェノヴァ『Sky』をこれから遊ばれる方は、ゲームを持ち寄って友だちと遊んでみたり、家族といっしょにゲームについて話しあったりと、ほかの人といっしょにプレイをしてみてください。そして、thatgamecompanyのタイトルをこれまで遊んでくれた皆さんも、ぜひ一度『Sky』に触れて、ゲームの中でフレンドを作ってみてください。これまでのゲームとは一味違ったゲーム体験や驚きを感じていただけるはずです!

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』開発者インタビュー。世界中のプレイヤーが繋がっていく感動体験はどのようにして生まれたのか……

 2021年6月30日よりNintendo Switch版が配信中の『Sky 星を紡ぐ子どもたち』。スマートフォン版のデータを引き継いで、感動的な物語や美しい世界観をテレビの大画面で楽しめるだけでなく、クロスプレイにも対応。ハードの垣根を超えて、より多くの人と繋がることができるようになった。

 また、Nintendo Switchでの配信を記念して、ケープ2種、オカリナ、ヘアスタイル、キャンドル75本のセットになった限定スターターパックも発売されている。スタッフが過去にプレイしたクラシックゲームに影響を受けてデザインしたというこだわりの衣装や髪形に注目だ。

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』開発者インタビュー。世界中のプレイヤーが繋がっていく感動体験はどのようにして生まれたのか……

 さらに、2021年7月6日から約11週間にかけて新イベント“星の王子さまの季節”が開催されている。サン=テグジュペリの小説『星の王子さま』とのコラボイベントで、プレイヤーは王子さまといっしょに旅をしながら、『Sky』の世界で表現される『星の王子さま』の物語を楽しむことができる。ジェノヴァ氏も『星の王子さま』に対する思い入れは深いようで、「もしかしたら本作を通じて初めて『星の王子さま』に触れることになる方も多いかもしれないので、この名作の本質やメッセージをしっかり理解して届けるように全力を費やしました」とのことだ。そんな“星の王子さまの季節”を、この機会にプレイしてみてはいかがだろうか。

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