ドイツを中心に活動するテクノアーティストのRemuteが、自作ゲームボーイカートリッジによる新アルバム『Living Electronics』を発表。音楽販売サイトのBandcampで予約がスタートしており、全15曲のうち3曲を試聴可能。価格は29.99ユーロで、2021年9月17日の発売を予定している。

 本誌でも何度か紹介してきたが、Remuteはジャーマンテクノの名門TresorやTrapezからのリリース経験もあるテクノ系音楽アーティスト。しかし、ある時はニュースからサンプリングした時事ネタの曲を毎週のようにリリースしたかと思えば、ある時はフロッピーディスクでの販売を試みるなど、発表形態が少し変わっているのが特徴だ。

 そんな彼の中でここ数年盛り上がっているのが、レトロゲーム機を再生機として使う、自作ゲームカートリッジによる音楽アルバム。レトロゲーム機の音源チップへの音楽的興味と音源を販売する媒体や方法の模索から、独自にチップチューン的な領域にたどり着いているのだ。

 過去にはスーパーファミコンおよびSNES向けの『The Cult of Remute』、メガドライブおよびGenesis向けの『Technoptimistic』、PCエンジンおよびTURBOGRAFX-16向けの『Electronic Lifestyle』をリリースしており、今回はゲームボーイがテーマとなったというワケ。

 アルバムの制作にあたっては、海外の自作ゲームシーンやデモシーン(プログラムにより映像や音楽を表現する技術を競う文化)の面々の協力を得つつ、再生プログラムのコアにはゲームボーイ向け音楽プログラムとして定評のあるLSDJ(Little Sound Dj)のカスタマイズ版を採用しているという。

 なおカートリッジは正規の生産ルートを通っているわけではなく、完全に非公式に自作されたものであり、使用は自己責任となるのであしからず。また海外メーカーなどから出ているサードパーティー製互換機等での動作はRemute側でも保証できないとのこと。