Arkane Studiosのキーパーソンに国内独占インタビュー

 ベセスダ・ソフトワークスより2021年9月14日発売予定のPlayStation 5/PC向けタイトル、『DEATHLOOP』。

『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉

 開発を手掛けるのは、超常能力とステルス(暗殺)プレイを組み合わせた斬新なアクションで数々の賞を獲得した『Dishonored』シリーズや、宇宙ステーションを舞台にしたホラー色の強いFPS『Prey』を生み出したArkane Studiosだ。両作に共通するのは、時代を超越した意匠に溢れる独特のアート、プレイヤーの選択とアイデアによって攻略法が幾重にも派生する戦闘。そして、没入感を高めるための細やかなゲームデザインといったポイントが挙げられる。

 そんなArkane Studiosの完全新作であり、無限に続く時間のループに終止符を打とうとする者と、無限のループを続けようとする者が対戦するという新感覚のアクションが展開するのが、『DEATHLOOP』だ。

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 2021年5月、全世界のメディア向けに開発者みずからが本作を紹介する、オンラインのバーチャルプレビューイベントが開催。Arkane Studiosで本作のGame Directorを務めるDinga Bakaba氏と、数々の作品で独特の作風を持つアートを手掛けてきたArt DirectorのSebastien Mitton氏が登場し、世界観とゲームシステムを解説してくれた。

 そこで判明したゲームの詳細は、以下の記事で確認してほしい。

 ここからは、プレビュー後に実施されたDinga Bakaba氏とSebastien Mitton氏へのショートインタビューをお届けする。10分ほどの時間で通訳を介しての取材だったので、ボリュームは少ないことはご了承を。

――Arkane Studiosといえば、『Dishonored』や『Prey』のような古き良きモチーフと未来的なモチーフを融合させたアートが特徴ですが、『DEATHLOOP』ではどのようなアートデザインを目指しましたか?

Mitton正直、簡単に説明できませんね。過去の作品に関しても、じつは「こういったデザインを目指そう」と決めて作ったわけではありません。『Dishonored』ではファンの方が“ディーゼル・パンク”と名付けてくれましたが、『DEATHLOOP』のデザインをこのように一言で表すのであれば……60年代をベースに未来的なモチーフを施しているという意味では“レトロ・フューチャー”でしょうか。とはいえ、60年代そのものを単純に取り入れているわけではないので、簡単には説明できない、ということです。“ディーゼル・パンク”のように、ファンの方が名付けてくれたらうれしいですね。

『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉
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『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉

――プレビュー内では、映画『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(原題『POINT BLANK』/1967年公開)がイメージの源泉のひとつになったとおっしゃっていましたね。本作のゲームデザインで、プレイヤーにとくに注目してほしい部分はありますか?

Bakabaふたつあります。ひとつは、パズルを組み立てるように楽しんでほしいということです。8人のヴィジョナリーを暗殺することがプレイヤーの目的となるのですが、プレイヤーはヴィジョナリーの家に入って家探しをすることで、生活スタイルや行動様式からキャラクターを把握して情報を得ることもできます。本作の建造物は単なる背景ではなく、ブラックリーフという島が持つ個性を知るための手掛かりともなります。ヴィジョナリー以外の住人たちも多彩なパーソナリティを持っていて、これらもパズルのピースとなるのです。そして、そうなるようにゲームをデザインしています。

『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉

 もうひとつですが、私たちの過去作を遊んでくれたファンの方々から、「ゲームクリアーまで急かされるので、世界をゆっくり楽しむ余裕がない」という意見をいただいたことがありました。今回はそんなことのないよう、美しい背景や世界をじっくりと楽しめるようにしています。ループしてくり返し訪れることになるので、何度歩いても新しい発見があるように、かなり細かい部分まで作り込んでいます

『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉

Mittonその点は、アートをディレクションする立場としてもやりがいがあって、達成感もありました。一人称視点のシューティングアクションではあるのですが、ゲームが進んでレジドゥムを使えるようになると、さらに選択肢が増えてパズル的な要素がより強くなりますし、後半に進むに連れてRPGとしての要素も色濃くなります。いろいろな要素が詰まっているので、プレイヤーの皆さんがどのように本作を遊んでくれるのか、すごく楽しみです

『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉

――『DEATHLOOP』に期待を寄せる日本のファンにメッセージを。

Bakaba本作では、どのタイトルとも違う体験ができるゲームを目指しています。日本のゲームファンには「海外のゲームだから難しいんでしょう?」と敬遠される方もいらっしゃると思うのですが、『DEATHLOOP』は海外のゲームをやり込んでいる方でも「このゲームは何だ?」と思われるような、クレイジーなゲームになっています(笑)。まったく新しいジャンルなので、あまり構えることなく、フラットに楽しんでほしいですね。『Dishonored』や『Prey』を楽しんでいただいたファンも「これは新しい!」とびっくりされると思います。

 また、海外のゲームと言えば北米をイメージされる方も多いでしょうが、本作はヨーロピアンなテイストが強くなっています。そうなるように意識もしているので、期待してください。2019年に『DEATHLOOP』を発表したとき、日本のファンからたくさん「期待しています」というメッセージをいただきました。そんな方々も驚くようなゲームにしたいと思います。

『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉

 インタビューでも触れているが、筆者が個人的に気に入っているのは、『Dishonored』や『Prey』とは異なるポップさをフィールドのグラフィックから感じたこと。Mitton氏が得意とする未来と過去のモチーフを融合させた独特の意匠は、ゲームの序盤から本領を発揮している。直線と曲線の配分、カラフルだけどうるさくない配色、塵ひとつ落ちていないような空間と空気まで汚れているような猥雑な空間が同居する“ありそうでない”アートデザインが、絶妙なリアリティーを生み出しているのだ。  

『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉
『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉
『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉

 とかくスピーディーに展開が変わるゲーム性だが、ブラックリーフの各所(壁に飾られた絵や家具も含めて)だけでなく、武器を始めとするガジェットに至るまで、こだわりのディテールに溢れているので、実際にゲームをプレイできるようになったらじっくりとチェックしたい。

『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉
『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉
武器のディテールに関しても、このコンセプトアートを見ればわかる通り。Arkane Studiosならではのこだわりが詰まっている。

 また、インタビューでBakaba氏が述べた“パズル”のピースとなる要素はさまざま。プレビューで披露されたヴィジョナリーのアレクシスを暗殺するミッションでは、「アレクシスの所在は判明したが覆面パーティーにいるので、誰がアレクシスなのかわからない」→「メモや出席者の会話をチェックして、アレクシスの特徴や行動の情報を集める」→「アレクシスはある特定の行動を取ることを知る」→「その行動に合わせてアレクシスを暗殺する」……という流れを見せてもらった。

 ループする時間の中で情報(ピース)を集めて徐々に組み立てていき、最終的には“アレクシス暗殺”という一枚のパズルを完成させる。暗殺遂行までにはいくつものハードルが用意されているが、覆面パーティーに到達した時点で出席者全員をアレクシスもろとも、まとめて倒してしまってもいい(「相当難しい」そうだが)。「こんなパズルなんかやってられない!」と、細かいピースを無視していきなり絵を完成することも許されるのが、本作のゲームシステム。この間口の広さこそ、『DEATHLOOP』の醍醐味と言っていいだろう。

『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉

 『DEATHLOOP』には、Arkane Studiosが言う「フレッシュで誰も体験したことのないゲーム」を実現するためのアイデアとパワーがふんだんに持ち込まれている。発売までには時間があるが、気になる点はたくさん残されている。まだまだファンを驚かせる情報が控えているに違いないので、アンテナをはって続報を待つことにしたい。

『DEATHLOOP』国内独占インタビュー。“パズルを組み立てる”ように楽しめる暗殺シューティングアクションとは⁉
クセがありまくる登場人物たちが織り成す物語にも期待!