2021年1月21日より、iOS、Androidにて配信が開始された、『アイドルマスター』(『以下、『アイマス』)シリーズ5ブランドのアイドルたちが登場するスマートフォン用アプリ『アイドルマスター ポップリンクス』(以下、『ポプマス』)。

 本作の配信を記念して、『アイマス』シリーズ総合プロデューサーの坂上陽三氏と、『ポプマス』プロデューサーの北島奈緒氏にインタビューを実施。『ポプマス』の開発秘話や今後の展開などについて話を伺った。

※本インタビューは『ポプマス』のサービス開始前に実施しました。

坂上陽三氏(さかがみようぞう)

『アイドルマスター』総合プロデューサー(文中は坂上)

北島奈緒氏(きたじまなお)

『アイドルマスター ポップリンクス』プロデューサー(文中は北島)

『アイマス』5ブランドのアイドルたちをより多くのプロデューサーに知ってもらう

――これまでの『ポプマス』公式生配信などで何度かお話されていることとは思いますが、改めて本作の開発の経緯を教えてください。

坂上『アイドルマスター』15年の歴史の中で、僕たちは『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』や『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』など、さまざまなアプリゲームをリリースしてきました。ソーシャルゲームからアプリゲームへと進化していく中で、当初は通勤や通学のすきま時間を利用して楽しむ遊びかたから、しっかり時間をとって自宅でじっくり遊ぶという、どちらかといえば家庭用ゲームの遊びかたに近いプレイ動向となっていました。

 そうしたときに、改めて『アイマス』のアプリコンテンツとして、通勤、通学や、ちょっとした空いた時間に気軽に遊べるものができないか、ということを考えていました。そして、『アイマス』が15周年を迎えるにあたって、5ブランドを集結させるものができないかとも思っていまして。このふたつの理由から、今回のような5ブランド合同かつ、カジュアルに楽しめるアプリの企画を立ち上げました。

――シリーズ初の5ブランド合同作品ということで、特別な想いなどはありますか?

坂上そうですね。『アイマス』というコンテンツを15年続けていると、やはり、個々のコンテンツで育ってきた方々が多くなってきていると感じています。

 たとえば『アイドルマスター シンデレラガールズ』からプレイした人、『アイドルマスター ミリオンライブ!』からプレイした人、『アイドルマスター SideM』、『アイドルマスター シャイニーカラーズ』からプレイした人というように、最初にプレイしたブランドやタイミングは人によってそれぞれ違いますよね。そこからほかのブランドを始める方もいらっしゃいますが、ほかのブランドにも興味はあるけれど、ガッツリ遊ぶほどの余裕がなく、まだ手を出せていない方も多いと思います。

 そうしたときに、もう少し気軽にほかのブランドのアイドルとも触れ合うことのできるようなコンテンツをリリースして、ブランドどうしの橋渡しのようなことができるといいなという想いがありました。

『ポプマス』配信記念! 坂上陽三氏&北島奈緒氏インタビュー。『アイマス』シリーズ初となる5ブランド合同作品にかける想いとは

パズルゲームで、アイドルたちのライブを違和感なく表現するために

――手軽に楽しめる作品にしたいということでしたが、それを実現するにあたって、開発で苦労された点などはありますか?

坂上今回の開発会社さんは、本作のようなカジュアルに楽しめるゲームを得意とする会社さんですし、『アイマス』のこともよく理解してくださっていたので、制作上でのコミュニケーションは非常に円滑に行うことができました。

 また、『ポプマス』はシリーズとして初挑戦となるパズルゲームになっていますが、アイドルたちがユニットを組んでライブをするという、『アイマス』らしさをパズルゲームの中でどう表現するのかはとても重要でした。ただ、この点に関しても、開発会社さんが熱心に取り組んでくださったので、開発は順調に進んだと聞いていますが、実際はどうでしたか?

北島やはり、これまで『アイマス』のアプリゲームとしてリリースしてきたものは、リズムゲームが主流だった中で、新しくパズルゲームというジャンルの作品を作ることは苦労しました。

 『アイマス』にとって、音楽はとても重要ですし、プロデューサーの皆様からも愛されている要素でもあると思います。その『アイマス』らしさを活かしつつ、約1分で楽しめるお手軽のパズルゲームを実現するのは、かなりたいへんでしたし、悩みました。最終的には、パズル中に流れる音楽は、サビだけをループさせて、楽曲のいちばん魅力的な部分をテンポよく楽しんでもらうことになり、いい形に落ち着いたかなと思います。

――カジュアルなゲームを作ろう、というところから企画がスタートしたとのことでしたが、パズルゲームというジャンルは、早くから決まっていたのでしょうか?

北島いえ、かなり議論を重ねました。開発初期には位置情報ゲームやリズムゲーム要素を絡めたパズルというアイデアも出ていましたね。

坂上とはいえ、基本的に気軽に楽しめるものというのは、ある程度ジャンルが絞られるので、パズルゲームという案が出てからは、わりと早く決まりました。それよりも、最近のアプリゲームは、お手軽というより、骨太なものが多い傾向になっているので、カジュアルなゲームに舵を切ることに対して、「本当にそれが正しいのか?」という議論をしたことのほうが記憶に残っています。

――そうだったのですね。『ポプマス』の特徴として、これまでの作品とはイラストのテイストが異なりますが、このようにした理由を教えていただけますか?

北島これまでの『アイマス』のイラストは、ブランドごとにテイストが異なっていましたが、今回は5ブランドが一同に介する作品ということで、絵柄を統一させようと考えました。統一するときに意識したのは、どれかのブランドの絵柄に寄ってしまい過ぎないことと、新たな魅力として、いままでにないようなテイストにすることです。

 さらに、そこから『ポップリンクス』というタイトルをもとに“ポップさ”や“カラフルさ”を重視することに決めました。アイスクリームや、海外のカラフルなお菓子のようなイメージの、弾けるシュワシュワ感や華やかな色使いで、アイドルたちの個性豊かさを表現しているので、注目していただけるとうれしいです。

――わかりました。本作のテーマ曲『POPLINKS TUNE!!!!!』に込めた思いも聞かせてください。

北島『POPLINKS TUNE!!!!!』は、生配信でもお話させていただきましたが、まずはポップということで、楽しく明るく、自然と体が動きだすような曲にしたいと思っていました。その中で、アイドルたちの個性豊かな魅力が合わさって、化学反応を起こすような、「はじける輝き」というところを表現しています。

――ちなみに、本作はさまざまなユニットを組めることが魅力だと思いますが、おふたりが初期登場アイドルでユニットを組むなら、どのような編成されますか?

坂上僕は、ユニットを組むとしたら完全に好みのアイドルで編成すると思いますので、そこまでおもしろい組み合わせにはならなさそうです。とりあえず、男の子はひとり入れたいので、お気に入りのアイドルの伊集院北斗は入れたいですね

北島私も完全に好みになりますが、ダンスが得意な菊地真くんと兜大吾くんを中心にダンスユニットを組みたいですね。『ポプマス』では本当にいろいろな組み合わせができますし、ユニットも複数結成できるので、妄想が広がりますね。

――コンセプトを決めて複数ユニットを作っていくのも楽しそうですね。

坂上そうですね。『ポプマス』では、アイドルたちを自分好みに育てていけますので、ゲーム性を気にせず、好みや共通点を持つアイドルたちで、自由にユニットを組めるところも魅力的だなと感じています。

『ポプマス』配信記念! 坂上陽三氏&北島奈緒氏インタビュー。『アイマス』シリーズ初となる5ブランド合同作品にかける想いとは
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アイドルたちを随時追加しつつユーザーに寄り添ったアップデートを

――インタビューの実施日が正式サービス開始前ということで、12月に行われたオープンβテストの反響を教えてください。

北島今回のオープンβテストは、Androidのみでの実施となりましたが、ありがたいことに、期間中のアンケートやTwitterなどで、たくさんのご意見やご感想などいただくことができました。

 とくに印象的だったのが、プロデューサーの皆様が、作成したジャケットを自発的にシェアしてくださっていたり、「スコアで〇〇点を取ったよ」とか、「どうやったらそんな点数が取れるの?」というようなやり取りをしていただいたことです。ぜひ、今後もそういったやり取りを活発に行っていただきたいなと思います。

――正式サービスを開始するにあたって、βテスト版から変更した部分はありますか?

北島全体的な画面遷移であったり、UIまわりを改修しました。とくに楽曲やスキルは気分によって付け替えしやすくするために、ライブの準備画面から直接編集できるように変更しています。

――今後の展開についても伺えればと思います。機能面で大きなアップデートなどで予定されていることはありますか?

北島大きなアップデートについては、これから企画を進めていくところですが、皆様のご意見も伺いつつ、使いにくい点の改善などを行っていきたいと考えております。

坂上アイドルの追加については、共通点のあるアイドルたちをピックアップして、毎月追加していく予定です。

――ゲーム内のイベントも実施されると思いますが、こちらはどのような形になるのでしょう?

北島イベントに関しては、本作はスキマ時間にカジュアルに遊んでほしい、という思いがありますので、そこまで重くなりすぎないような、軽めのイベントの開催を予定しております。たとえば、パズルゲームを遊びながらビンゴを埋めていく、というようなミッション形式のイベントを考えています。

 イベント以外にもゲーム内にはランキング機能もありますが、何万人と競い合うというものではなく、毎週開催の、20人前後のグループにわかれて行うものを予定していますので、「自分でもトップに立てるかも」というような、気軽に楽しんでいただけるものになっております。

――わかりました。では、最後に、プロデューサーの皆さんにメッセージをお願いします。

北島『ポップリンクス』の“リンクス”には“つなぐ”という意味のほかに、“絆”という意味もありまして。本作では、アイドルたちの絆をどんどんプロデューサーさんの手で深めていただこうというコンセプトになっています。

 パズルゲームと、アイドルたちの交流の両方を楽しんでいただきつつ、『ポプマス』では自分だけのオリジナルユニットを結成したり、ジャケットを作成したり、さまざまな遊びを用意しているので、ぜひ自分だけの楽しみかたを見つけていただければと思います。

坂上プロデューサーの皆様のおかげで、この度『アイマス』は15周年を迎えることができました。そんな中、『ポプマス』という、5ブランドが集結する作品をご提供できることをうれしく思っています。本作を通じて、これまであまり触れてこなかったブランドやアイドルたちに興味を持っていただき、『アイマス』のブランドどうしをつなぐ役割を果たせればと思います。

 『アイマス』シリーズ全体としては、これから先も5年、10年と続けていく想いをもってプロデューサーの皆さんとともに、1年1年、しっかり積み重ねながら進んで行きたいと思っていますので、これからも応援をよろしくお願いします。

『ポプマス』配信記念! 坂上陽三氏&北島奈緒氏インタビュー。『アイマス』シリーズ初となる5ブランド合同作品にかける想いとは