この秋から冬にかけて、ゲーム業界はまことに賑やかというか情報ラッシュというかニュースの洪水というかなんというか……とにかく近年稀に見るお祭り騒ぎで、コロナ禍にあっても気を吐いている数少ない業界になっているようだ。

 この状況に拍車をかけているのが、相次いで発売された新ハード、Xbox Series X/Sでありプレイステーション5であり……なんだけど、じつはゲーム機としてこなれてきたプレイステーション4やNintendo Switch向けに、良作・佳作・傑作のたぐいのゲームが「これでもか!!」と矢継ぎ早にリリースされていることも見逃してはならない。こういったタイトルが安定してユーザーを呼び込む起爆剤になって、過去最高とも言われるゲーム市場を形成しているのであるよ。

 ……と、なんだかしかつめらしいニュース記事の冒頭のようになってしまったが、何も小難しい話を書きたいわけではないのだ(書けないしな)。

 じつは本日からしばらくのあいだ“短期集中連載”としてプレイ日記を書かせていただくこのタイトルも、実りの秋に産み落とされた“超良作”のうちのひとつだ。……いま書いた「実りの秋に産み落とされた」という表現はまさにこのゲームのためにあるようなもので、書いた俺自身もビックリしている。あー驚いた。

 今回、俺が古巣のファミ通.comで何回かに分けてプレイ日記を書かせていただくタイトルは……懸命なゲームファン諸君なら、もうピンときているだろう。

 そのゲームは、11月12日にマーベラスより発売されたNintendo Switch、プレイステーション4、Steam用ソフト『天穂のサクナヒメ』に他ならないのであります!!!

大塚角満の『天穂のサクナヒメ』プレイ日記/第1回 稲作デビューした秋

 じつは夏ごろから、いろいろなところで書き散らしているゲームコラムで、

 「2020年の秋から冬にかけては良作が大豊作である! その中心となるのは、『原神』、『天穂のサクナヒメ』、『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』、『ダービースタリオン』、『デジボク地球防衛軍』である!」

 と断言してきた手前、

 (『原神』は見事に大ヒットしたのでよかったけど……完全新作の『天穂のサクナヒメ』、話題にならなかったらどうしよう……)

 そんな余計なことを考えて震えていたんだけど……予想通り、いやそれ以上に話題沸騰になってくれて、ホッと胸を撫でおろしている次第であるw

 そう、『天穂のサクナヒメ』、めちゃくちゃ評判がいい。

大塚角満の『天穂のサクナヒメ』プレイ日記/第1回 稲作デビューした秋

 それも、アクションゲームとして非常に丁寧に作られている……という点ももちろん大きいんだけど、それ以上に、

 「これほどガチで稲作できるタイトルに初めて出会ったw」

 とか、

 「どんな攻略サイトよりも、農林水産省のお米作りのページがいちばん役に立つwww」

 なんて、おそらくゲーム史上初と思われる省庁を巻き込んでの(?)話題作りに成功しているのである。

 『天穂のサクナヒメ』はその通り、日本神話の豊穣の神・サクナヒメを主人公に、軽快至極なコンボアクションと、

大塚角満の『天穂のサクナヒメ』プレイ日記/第1回 稲作デビューした秋
大塚角満の『天穂のサクナヒメ』プレイ日記/第1回 稲作デビューした秋

 日本古来の米作りシミュレーション(!)を融合させた、かつてなかったユニークなアクションRPGとなっている。

大塚角満の『天穂のサクナヒメ』プレイ日記/第1回 稲作デビューした秋
大塚角満の『天穂のサクナヒメ』プレイ日記/第1回 稲作デビューした秋

 「なんでお米を育てるのか?」

 と問われれば、

 「お米は、力の源じゃからのう」

 と、日本昔話の正しい農家のおじいさんの如く、素直に答えるしかない。そして実際、立派なお米を育てることで、サクナヒメはどんどん強くなっていくという。

大塚角満の『天穂のサクナヒメ』プレイ日記/第1回 稲作デビューした秋

 自然に寄り添い、動植物からありがたい実りをいただき、サクナヒメ自身も、装備も、農具も強くしていくこの展開……。その美しいグラフィックとあいまって、本当に日本昔話の世界に入り込んで冒険しているかのような錯覚すら覚えさせてくれる。

大塚角満の『天穂のサクナヒメ』プレイ日記/第1回 稲作デビューした秋

 そんな『天穂のサクナヒメ』の序盤について、ぼちぼちと書いていくことになりました。どうやら相当なやり込みゲーらしいのでどこまで言及できるかわからないけど、との特殊すぎる楽しさの一端でもお知らせできればと思っているので、肩の力を抜いて読んでみてくださいな!

 続く!

前回(第2回)の日記はこちら

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大塚角満(おおつか かどまん)

元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。2017年に独立。編集部時代から現在に至るまでゲームエッセイを精力的に執筆し、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』、『折れてたまるか!』など、多数の著作がある。