『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)の高難易度レイドにスポットを当てたインタビュー企画の第2弾! 今回は、希望の園エデン:共鳴編の開発者インタビューをお届けしよう。
<前回の記事>
本インタビュー企画の主旨説明は前回の記事に譲るとして、今回のテーマとなるのは第3弾拡張パッケージ『漆黒のヴィランズ』の高難易度レイドシリーズ “希望の園エデン”の第2シーズンにあたる“共鳴編”。前回と同様、開発を手掛けた5名にインタビューを敢行し、それぞれのコンテンツ作りへのこだわり、各層の深掘りなど、プレイヤーなら気になる話題を、2回に分けてお届けしていく。ちなみに、本記事は共鳴編のネタバレを多く含む内容となっているので、コンプリートがまだの人は注意してほしい。
また、インタビューに参加していただいた5名の開発者が担当したコンテンツ一覧も前回と同様に掲載している。ヒカセン(光の戦士。『FFXIV』プレイヤーの通称)であれば、このリストもひとつのコンテンツとして楽しめるだろう。
中川誠貴氏(なかがわまさき)
リードバトルコンテンツデザイナー。希望の園エデン:共鳴編では1層の企画を担当。文中は中川。
高橋万里氏(たかはしばんり)
バトルコンテンツデザイナー。希望の園エデン:共鳴編では1層の実装-調整を担当。文中は高橋。
石川仁寿氏(いしかわまさとし)
バトルコンテンツデザイナー。希望の園エデン:共鳴編では2層を担当。文中は石川。
吉橋和登氏(よしはしかずと)
バトルコンテンツデザイナー。希望の園エデン:共鳴編では3層を担当。文中は吉橋。
玉置 輝氏(たまきひかる)
バトルシステムデザイナー。希望の園エデン:共鳴編では4層を担当。文中は玉置。
覚醒編からガラリと人選を変更! 若手とベテランの混成チーム
──中川さんはバトルコンテンツデザインのリードとして前回に続いてのご登場ですね。中川さんのご来歴やコンテンツ作りに対するポリシーは前回お聞きしましたので、この記事からご覧になった方にはそちらを見ていただくということで……。そういえば前回、コンテンツ作りのポリシーについて話すなら2時間くらいかかるとおっしゃっていましたが、まだ語り足りませんか?(笑)
中川いえ、大丈夫です(笑)。
──承知しました(笑)。では、さっそく共鳴編1を担当された高橋さんからご来歴をうかがいます。
高橋私は2018年10月ごろ、『FFXIV』の時期で言えば、第2弾拡張パッケージ『紅蓮のリベレーター』のパッチ4.4が公開されてしばらく経ったあたりの入社になります。入社前からずっと『FFXIV』のレイドバトルがすごく好きだったこともあり、モンスター班に配属されることになりました。パッチ4.5の“禁断の地 エウレカ”ヒュダトス編のノートリアスモンスターの企画作りなどからスタートして、直近のコンテンツでは“YoRHa: Dark Apocalypse”(『ニーア』シリーズとのクロスオーバーとなる24人向けのアライアンスレイドコンテンツ)の第1弾となる“複製サレタ工場廃墟”の1ボス“多関節型:司令機”や、第2弾の“人形タチノ軍事基地”のラスボス“融合シタ人形タチ”などを担当しています。
──『FFXIV』のレイドバトルが好きとのことですが、いつごろからプレイを始めたのでしょうか?
高橋『新生エオルゼア』がリリースされてからちょっと経ったあたりですね。きっかけは、前職の会社の先輩からの誘いだったんですけど、あまりにも『FFXIV』がおもしろくて、仕事そっちのけでプレイしていました(笑)。開発の一員となったいまでも『FFXIV』が好きすぎて、仕事でも『FFXIV』、帰宅後もずっと『FFXIV』で遊んでいるみたいな生活になっています。
──高橋さんはいわゆるガチのレイド勢でしょうから、入社前は「自分が調整すればもっとおもしろくできるのになあ」みたいな気持ちがあったのでは?
高橋そうですね。そういう意気込みで入社しましたが、すぐに打ち砕かれました(苦笑)。
──『FFXIV』の開発者界隈でよく聞く話です(笑)。
中川彼は熱意がすごくて、何でも一生懸命に取り組むタイプなので、自分はすごく注目しています。
──『FFXIV』への愛に溢れる高橋さんが、コンテンツを作るうえでいちばん大事にしていることは何でしょう?
高橋もともとは、“コンテンツはギミックありき”と考えていて、ギミック主体の企画作りをしていたんです。ですが、それは企画作りとしてはあまりいいやりかたではなく、中川やもうひとりの中川(中川大輔氏。希望の園エデン:覚醒編4や、絶アレキサンダー討滅戦を担当したバトルコンテンツデザイナー)にいろいろなアドバイスをしていただきました。その中でもよく言われていたのが、“ボスの世界設定にしっかりとマッチした企画作り”です。ボスのデザインや、ストーリー上の背景に合っていない技やギミックを実装してしまうと、プレイヤーがバトルをしているときの没入感が削がれてしまいますし、魅力的なボスキャラクターを作ることはできません。そうした点はかなり意識するようになりました。
──ゲーマー的な発想から開発者の視点へ転換していったわけですね。続いては、共鳴編2を担当された石川さん、自己紹介をお願いします。
石川自分は2004年1月に入社して、最初は『FFXI』の開発チームにいました。『FFXIV』の開発チームは『FFXI』チームから来た人も多くて、その流れで2009年4月ごろ、旧『FFXIV』が発売される前に開発チームに加わりました。そこから旧『FFXIV』のローンチ、体制変更で吉田(吉田直樹氏)がプロデューサー兼ディレクターに就任、『新生エオルゼア』の並行開発と、いろいろなことを経験してきました。
──“時代の終焉”の真っ只中にいたわけですね……。
石川『FFXIV』の開発チームに加わってからはさまざまな班を転々としていて、本格的にボスなどを作るようになったのが2016年5月ごろです。確か『蒼天のイシュガルド』の終盤でした。『紅蓮のリベレーター』に向けての増員という形で参加して、『紅蓮のリベレーター』では“スサノオ討滅戦”や、“次元の狭間オメガ”の魔列車やミドガルズオルムを担当しました。それ以降は、ずっとモンスター班にいます。
──石川さんは2004年入社ということで、この中でもいちばん古株ですか?
石川そうなりますね。じつは中川よりも古いんです。
──これまでに手掛けてこられたコンテンツを見ると、印象的なボスばかりですね。その中には、最近、手が加えられた“コインカウンター”も!
石川あれは自分が旧『FFXIV』のときに企画したモンスターなんですが、最近の調整に関してはノータッチなんです。でも、いまだに“100トンズ・スイング”を使われているのを見ると感慨深いですね(笑)。
──もう10年近く前の企画になるんですね……。石川さんがコンテンツを作るうえで大事にしていることを教えてください。
石川自分は“おもてなしの心”みたいなものを重視しています。自分も『FFXIV』のプレイヤーのひとりで、ほかのプレイヤーの皆さんも“仲間”という感覚があるんです。だからこそ、これをプレイしたときにこう感じてほしいな、このギミックを解いたときによろこんでほしいな、という考えかたでコンテンツを作っています。
──では続いて、共鳴編3を担当された吉橋さん、お願いします。
吉橋2018年12月入社で、この中でいちばん若手になります。『紅蓮のリベレーター』のパッチ4.5の調整中にチームに加入して、まわりのメンバーが最終調整に向けての追い込みをかけているところで、まわりのピリッとした雰囲気を肌で感じていたのを覚えています。そのころは、『漆黒のヴィランズ』の開発に向けての追い込みも始まっていたので、まだ世に出ていない情報やシナリオのプロットを読み漁りながら、自分が携わっていくゲームが将来的にはこうなっていくんだというのを学習、吸収している時期が最初の1ヵ月でした。
──吉橋さんは中途採用で入社されたのですか?
吉橋はい。前職もゲーム開発に携わっていて、スマートフォン向けのMMORPGの開発をしていました。そのころから、いつかはコンシューマやPC向けのMMORPG開発をやりたいなと思っていたんです。そうした中で、そろそろ年齢的にもステージを上げよう、転職のチャンスはそう何度もないと思い、一か八かで『FFXIV』の開発チームに応募してみたら、受かってしまった感じです。
──「受かってしまった」というフレーズは、覚醒編のインタビューのときにもよく耳にしました(笑)。『FFXIV』の開発チームに応募したのは、もともとプレイヤーとして『FFXIV』を遊んでいたからですか?
吉橋そうですね。旧『FFXIV』のころからずっとプレイをしていたというのもありますし、幼いころから遊んできた『FF』シリーズのナンバリングタイトルなので、ゲームクリエイターとして、一度は夢見るというか……。実際のところ、自分の経歴的には経験値が不足しているかもしれないなと思いながらも、応募だけはしてみるか……という感じだったんですけど(笑)。
──応募の時点でバトルコンテンツ担当を志望されていたのですか?
吉橋前職でMMORPGを開発していたときも、ボス戦や高難易度のレイドの制作に携わっていたんです。MMORPGにはいろいろな遊びがあると思いますが、バトルコンテンツはその中でもいちばん自信がある部分だったので、いちばん勝負できそうなところで応募してみたという感じです。
──受かってしまったというより、入るべくして入った気もしますが(笑)。吉橋さんがコンテンツを作るうえで大事にしていることは何でしょう?
吉橋自分も石川と同じで、プレイヤーの皆さんに楽しんでいただくというおもてなしの心をすごく大事にしています。たとえば、パーティが全滅してしまった場合でも、「あれはこういうことなのかも」という気づきがあって、それをつぎに活かせたり、過去に踏破したコンテンツの記憶を思い出して、「これはこういうことだろう」と予想がつくようなギミックにしたりして、うまく解けたときにすごく気持ちよくなってもらうということを重視しているつもりです。
── “おもてなし” ですか……。およそ零式には似つかわしくないキーワードな気もしますが(笑)、確かに難しさの中にも“わかりやすさ”みたいなものは感じることがありますね。では、共鳴編4を担当された玉置さん、自己紹介をお願いします。
玉置入社したのは2013年9月で、『新生エオルゼア』の正式サービスが始まって4日後です。その前からプレイヤーとして旧『FFXIV』から遊んでいて、『新生エオルゼア』は大迷宮バハムート:邂逅編1まではクリアーしていました。入社した直後にバトルシステム班に配属されて、そこでチームの顔合わせ会があったんですが、「実際にプレイしてみてどう?」と聞かれて、「戦士、弱くないですか?」という話をしたのが始まりです。「じゃあ、どうすれば戦士が強くなるかを考えて」というのが初めての仕事でした。
中川懐かしいですね……。
玉置それからは、バトルシステム班としてジョブやPvP、その他もろもろの細かい部分のシステム回りを作ったりしながら、たまに助っ人としてバトルコンテンツ側のお手伝いをさせていただいています。コンテンツのバランス調整に関しては、バトルシステム班とモンスター班のスタッフを集めてテストプレイをしながら調整を行うのですが、『新生エオルゼア』のパッチ2.1からずっと調整チームに参加し続けていて、ダンジョン、討伐・討滅戦や、レイド、絶シリーズなどのバトルコンテンツ全般の調整、テストプレイに携わっています。
──これまで表立って名前は出てこなかったものの、パッチ2.1のころからバトルコンテンツの調整などを担当されているんですね。では、コンテンツを作るうえで大事にしていることを教えてください。
玉置自分で作ったコンテンツとほかの人が作ったコンテンツだと見えかたが違っていて、ほかの人が作ったものであれば“修正したほうがいい”と気付ける要素も、自分で作った場合だと“成り立っているからいい”という発想になって、見過ごしてしまうことが多々あるんです。そうならないように、なるべく“第三者視点やプレイヤー視点だとどう感じるか”を意識しながら作るようにしています。それでも見落としてしまうことがあって、公開された後に自分でプレイしてみたり、プレイヤーの方の反応を見て「ここはこうしたほうがよかったな」ということもありますが、きちんと反省して、つぎに活かせるように意識しています。
──開発の方が公開ワールドでプライベートでも遊んでいるというのは、本当にいいことだと思います。さて、これで各層のご担当の方に自己紹介いただいたわけですが、覚醒編から大きく人選を変えてきましたね。これはどういった経緯があったのでしょうか?
中川まず、高橋と吉橋のふたりは、かなり前の段階から共鳴編のどこかの層を担当してもらおうと決めていました。その理由は、『漆黒のヴィランズ』のパッチ5.0、5.1ですごく大きな貢献をしてくれたというのが大きいです。とくに、複製サレタ工場廃墟では高橋が1体目のボス、吉橋が2体目のボスを担当していて、開発段階からかなり手応えがあったのです。いままでの『FFXIV』にはなかった雰囲気、バトル、メカニクスがありましたし、すごくおもしろかった。彼らは実力、才能ともにあるなと感じていたので、アライアンスレイドだけでなく、高難易度レイドも担当してもらおうと考えました。コンテンツ制作には、作る人によってクセのようなものが出てくるのですが、彼らのような熱意も才能もある若い人たちに任せ、ベテランがそれを徹底的にサポートする体制を取ることで、これまでのレイドとガラッと印象を変えたいという思いもありました。その時点ではどの層を担当してもらうかは決めていなかったのですが、そういった経緯があります。
──前回のインタビューで名前こそ出ませんでしたけど、アライアンスレイドは新しいスタッフが作ったとおっしゃっていましたよね。それがおふたりだったと。
中川実際、複製サレタ工場廃墟は、公開後にすごくいいフィードバックをいただきました。「過去最高の24人レイド」という声もかなり多く聞かれたので、彼らの貢献はとても大きかったと思います。
──共鳴編の1層と3層では、新しい戦力として高橋さんと吉橋さんを抜擢したわけですが、2層はベテランの石川さんが担当されています。その理由はなんでしょう?
中川2層の担当を決めた理由はすごくシンプルで、イフリートとガルーダという2体のボスを同時に扱う層だったからです。こういう2体のボスと戦う企画は、皆さんが想像される以上に難しいのです。ですので、ベテランに担当してもらおうということで、石川に決めました。
──ここは手練れが必要だったと。そして、4層はバトルシステム班の玉置さんが担当されています。これはどういった経緯があったのでしょうか?
中川じつは、もともと共鳴編の4層は中川大輔が担当する予定でした。しかし、パッチ5.1の絶アレキサンダー討滅戦の開発、バランス調整と、パッチ5.2の共鳴編の4層を並行して制作する時期があったんです。“絶”シリーズのコンテンツの開発はものすごく負荷が高い仕事ですし、もちろん4層も複雑なバトルを作らなくてはいけない。そのため、中川大輔には絶アレキサンダーの作業に集中してもらって、共鳴編4層についてはバトルシステム班にヘルプを依頼したという形です。
──これまでの吉田さんや中川さんのお話を思い起こせば、高難易度レイド作りは相応のセンスが要求され、なかでも4層はエースが担当するというイメージですが、玉置さんは高難易度レイドの制作実績はひとつだけですよね。このあたりの人選についてもお聞かせください。
中川バトルコンテンツのバランス調整は、まずはモンスター班がバトルコンテンツを実装し、そこである程度調整して、最終的にはバトルシステム班といっしょにテストプレイをしながら調整していくという形を取っています。玉置は、昔からいろいろなコンテンツを調整してきたので、制作コンテンツの数こそ少ないですけど、さまざまなコンテンツの調整経緯を見てきたベテランなのです。それに加えて、“次元の狭間オメガ:アルファ編1”のカオスを玉置に担当してもらったときに、先ほど述べたような流れでコンテンツを調整していくわけですが、1層のカオスに関しては、テストプレイと調整の回数がものすごく少なく済んだんです。要するに、調整する前からかなり完成形に近かったと。そのようなこともあって、玉置はすごく実力があるとわかっていたので、今回の4層を担当してもらいました。
合体しまくりの疑似蛮神たち。しかし、発想はべつのところから
──共鳴編のボスキャラクターは、ふたつの要素が融合しているものが多いという印象がありました。これらはどういう経緯で決まっていったのでしょうか?
中川とくに合体や融合を意識したわけではないのです。まず、共鳴編のボスキャラクターを決めるときに、シナリオの流れで必須の要素として、雷、火、風、氷の疑似蛮神を出すということが確定していました。その4体となると、ラムウ、イフリート、ガルーダ、シヴァを各層に1体ずつ割り振ればいいというのがストレートな考えかたですが、それでは予想通りの展開で、驚きも何もありません。ですので、そこからどのような驚きを作るかというアイデアを出していったという感じです。
──1層のラムウとイクシオンの合体はなかなかインパクトがありましたね(笑)。
中川1層の雷の疑似蛮神に関しては、かなり早い段階で決めました。世界設定の織田(織田万里氏。世界設定/メインシナリオライター)から、ラムウとイクシオンを混ぜてみたらおもしろいんじゃない? というアイデアをもらったのです。それを聞いたときに、おもしろいものが作れそうだし、原初世界のラムウとも差別化できそうだなと思ったので、すぐにそのアイデアを採用し、アートの発注書を書きました。
──2層では2体の疑似蛮神とのバトルになります。ここで2属性出してしまうという!
中川2層の火と風に関しても、わりとすんなり決まりました。先ほども言ったように、イフリートとガルーダを単体で扱うと、驚きのない展開になってしまう可能性がありました。ですので、イフリートとガルーダは同時に戦う展開にしようと。
──残る属性は氷ですが、それは4層のシヴァになったと。
中川氷を4層にするということは、最初から決めていました。ただ、4層で単純にシヴァと戦うだけでは引きも弱い。何か強烈なインパクトになるものが必要だと考えアイデアを出しながら、世界設定を漁っていたら、原初世界のシヴァが自分自身に神降ろしをするという要素があったので、第一世界でもそれを踏襲しようと。では誰が神を降ろすんだという話になり、リーンにすれば意外性があっていいんじゃないかというアイデアが出て、リーンが神降ろしをするという流れが決まりました。
──シヴァに関しては、戦闘の途中で姿を変えるのも印象的でした。
中川絵的に楽しめるものにしたいという思いがあったためです。原初世界のシヴァは、戦闘中に剣と杖、弓というように、武器をチェンジしますよね。それを発想の種として、中川大輔といっしょにいろいろなアイデアを出し、今回のシヴァは防具をチェンジするという考えにまとまりました。そこからいろいろと肉付けしていった結果、“ドレスチェンジ”というテーマに行きついて、今回の“氷”、“光”、“竜”のドレスのシヴァを作ったという感じです。じつは、このドレスチェンジというテーマは『FFX-2』からヒントを得たもので、アーティストたちにやりたいことを伝えるため、プレゼンするときは『FFX-2』のオープニングでユウナが歌いながらドレスチェンジするシーンの動画を使いました。
──残るは3層のダークアイドルですが、このボスはどのようにして作られたのでしょうか?
中川3層のダークアイドルに関しては、設定的な面とシナリオ的な面があって、いまは詳しくは話せないのです……(苦笑)。希望の園エデン:再生編を最後までプレイしてから、ダークアイドルがいったい何だったのか考えてみてほしいです。ちなみに、3層のダークアイドルも、ほかの層と同様に、合体を意識したわけではありません。
──4層に関しては、ストーリーとバトルが絡み合っていて、どちらが先に決まったんだろうなという印象だったのですが、そのあたりはいかがでしょう?
中川キャラクターアートを発注する段階で、シナリオ担当と織田、中川大輔、自分の4人で何度もすり合わせをしていました。リーンが神降ろしをするというアイデアも、その4人でのブレストの際に出てきたアイデアになります。
──ノーマル難易度のラストシーンでガイアが助けに来るというのも、そこで決まったのですか?
中川シナリオプロットができ上がった後、まずは中川大輔と自分でシナリオプロットを読み込んで、シナリオ側が何をやりたいのかを理解しようとしました。シナリオプロットではリーンとガイア、光の巫女と闇の巫女、というふたりのキャラクターにフォーカスしたような内容になっていました。そこで自分たちは、4層バトルの締めに、このふたりのキャラクターにフォーカスした演出を入れて、よりシナリオを盛り上げようと考えたのです。ガイアの特徴であるディレイスペルと、いつか使いたいと思っていた野村哲也さんのアートにあったハンマーを使った演出にしたいと考え、中川大輔にバトル演出の概要資料を作成してもらい、シナリオ側にプレゼンをしたという流れだったと思います。
──共鳴編は希望の園エデンの第2シーズンにあたるわけですが、難易度的には覚醒編よりも難しくしたのでしょうか?
中川覚醒編のように、拡張パッケージ発売直後に実装されるレイドは、意識して難易度を抑えてあります。大方針としては、機工城アレキサンダー零式:天動編と同じくらいの難易度にするというのは、前回のインタビューでもお答えした通りです。それと、レイドシリーズは第3弾まで続くので、ちょっとずつ難易度を上げていくという方針もあるのですが、覚醒編のフィードバックで「もっと歯応えが欲しい」、「簡単だった」という意見を多くいただいたので、それに応える形で、共鳴編はわりと攻めた難易度にしてあります。とくに4層に関しては、難しめに調整しました。
──ちなみに前回のインタビューでは、ノーマル難易度と零式のふたつの難易度のうち、ノーマル難易度から作られる方が多かったのですが、皆さんはどちらから作られたのでしょう?
中川1層はスケジュールリスクがあったので、自分が企画書を書いて、その後に高橋に引き継いで実装を担当してもらうという流れで制作しました。こういったケースは1パッチに1コンテンツくらいはあって、制作日数に余裕がないときや、スタッフ全員の手が空いていないときなどは、リーダーが企画を作って、実装や調整をほかのスタッフに担当してもらいます。
──となると、1層の企画自体は中川さんが作られたんですね。やはり覚醒編のときと同様に、ノーマル難易度から作っておもしろさを担保するという感じだったのでしょうか?
中川そうですね。1層の企画はノーマル難易度から作りました。
──2層はいかがでしょう?
石川実装はノーマル難易度からですが、企画はほぼほぼ零式まで含めて考えてからでした。
──同時並行という感じですか?
石川そうですね。今回は、零式からギミックを簡単にしていくというような企画の作りかたをしました。自分はあんまりそこにこだわりはなくて、あるときはノーマル難易度から、あるときは零式からと、その時々で考えやすい順番で作っています。
──3層はいかがでしたか?
吉橋自分はノーマル難易度から企画をしました。そもそもレイドボスが初挑戦で、ノーマル難易度は零式と比較すると遊んでいただくプレイヤーの数も多いので、広範囲にみんなが楽しく遊べるもの、驚いていただけるものというところに注力して、ノーマル難易度から制作しました。その後に、零式向けにギミックを難しくしたものを考えていくというやりかたにしましたね。
──4層はいかがでしょう?
玉置自分は零式から考えました。とくに今回は、担当を引き継いでから企画を考える時間が2週間くらいしかなくて……。零式はほぼすべての要素が入っているもので、そこからノーマル難易度用に削るみたいな考えかたのほうが自分は作りやすいなと思っています。
──4層に関しては、ノーマル難易度と零式で戦う敵自体も微妙に違いますもんね。
玉置シヴァは3つのスタンスを切り換えながら戦うボスで、スタンス間のバランスを考慮する必要があったため、まずは3つのスタンスが勢揃いする零式を基準に考えました。
前編はここまで。後編では、共鳴編の全層を深掘りしていくので、お楽しみに!
担当コンテンツ一覧(抜粋)
今回、インタビューに参加していただいた5名の担当コンテンツ一覧(抜粋)を公開。ギミックの好みやタイムラインの構成など、それぞれのクセが見えてくるかも?
中川誠貴氏(リードバトルコンテンツデザイナー)
ダンジョン
- 怪鳥巨塔 シリウス大灯台
- 財宝伝説 ハルブレーカー-アイル
- 遺跡救援 カルン埋没寺院 (Hard)
- 神聖遺跡 古アムダプール市街 (Hard)
- 天竜宮殿 ソール-カイ
- 永久焦土 ザ-バーン(ミストドラゴン)
- 漆黒決戦 ノルヴラント(幻光のバーサーカー)
討伐-討滅戦
- ドルムキマイラ討伐戦
- ハイドラ討伐戦
- イフリート討滅戦
- ガルーダ討滅戦
- リヴァイアサン討滅戦
- シヴァ討滅戦
- アシエン-ナプリアレス討伐戦
- ラーヴァナ討滅戦
- 女神ソフィア討滅戦
- 神龍討滅戦
高難易度レイド
<機工城アレキサンダー>
- 律動編1:奇才のラットフィンクス
- 律動編3:万能のクイックシンクス
- 天動編3:クルーズチェイサー
<次元の狭間オメガ>
- シグマ編3:ガーディアン
<希望の園エデン>
- 覚醒編2:ヴォイドウォーカー
- 共鳴編1:ラムウ(企画のみ)
アライアンスレイド
<クリスタルタワー:シルクスの塔>
- 妖艶のスキュラ
- 不壊のガーディアン
- 異才のアモン
- 始皇帝ザンデ
<クリスタルタワー:闇の世界>
- アンラ-マンユ
- ファイブヘッド-ドラゴン
- ケルベロス
- 暗闇の雲
<魔航船ヴォイドアーク>
- ソウトゥース&イルミンスール
- エキドナ
<禁忌都市マハ>
- オズマ
<影の国ダン-スカー>
- スカアハ
- ディアボロス
- ディアボロス-ホロー
クエストバトル
- 2.0〜4.0までのクエストバトル
※100個以上あるのでタイトルは割愛
その他
- 禁断の地 エウレカシリーズ
- フェイスシステムベースAI
- 南方ボズヤ戦線
高橋万里氏(バトルコンテンツデザイナー)
高難易度レイド
<希望の園エデン>
- 共鳴編1:ラムウ(実装-調整担当)
アライアンスレイド
<YoRHa: Dark Apocalypse 複製サレタ工場廃墟>
- 多関節型:司令機
<YoRHa: Dark Apocalypse 人形タチノ軍事基地>
- 融合シタ人形タチ
クエストバトル
■メインクエストバトル
<5.0>
- 激動のレイクランド
<5.3>
- 色あせた記憶
■蛮族クエストバトル
<ピクシー族>
- この心が望むがままに
■ガンブレイカージョブクエストバトル(漆黒のヴィランズ)
- 殺害予告? 人気演奏家を護れ!(Lv60)
- 真のガンブレイカー(Lv70)
その他
■禁断の地 エウレカ:ヒュダトス編
<NM>
- ステゴドン
- モレク
- ピアサ
- フロストメーン
- レウケー
- ケートー
石川仁寿氏(バトルコンテンツデザイナー)
ダンジョン
- 伝統試練 バルダム覇道
- 巨砲要塞 カストルム-アバニア
討伐-討滅戦
- スサノオ討滅戦
- イノセンス討滅戦
高難易度レイド
<次元の狭間オメガ>
- シグマ編1:魔列車
- アルファ編2:ミドガルズオルム
<希望の園エデン>
- 共鳴編2:ガルーダ&イフリート(ラクタパクシャ)
アライアンスレイド
<影の国ダン-スカー>
- プロトアルテマ
<リターン-トゥ-イヴァリース:失われた都 ラバナスタ>
- 人馬王ロフォカレ
<リターン-トゥ-イヴァリース:封じられた聖塔 リドルアナ>
- 鬼龍ヤズマット
<リターン-トゥ-イヴァリース:楽欲の僧院 オーボンヌ>
- 聖天使アルテマ
<人形タチノ軍事基地>
- 813P:拠点防御ユニット装備(企画のみ)
クエストバトル
■竜騎士ジョブクエストバトル(紅蓮のリベレーター)
- 漆黒の巨竜 (Lv68)
■HEALERロールクエストバトル(漆黒のヴィランズ)
- 古の大再生魔法 (Lv76)
■クロニクルクエストバトル(紅蓮のリベレーター)
<四聖獣奇譚>
- 時をかける亀
<オメガ>
- 再び次元の狭間へ
■蛮族クエストバトル(紅蓮のリベレーター)
<アナンタ族>
- カリヤナの敵対者
■メインクエストバトル
<4.3>
- 「暁」の少年(アルフィノなりきり)
<4.4>
- 楔石の虚(ヤ-シュトラなりきり)
<5.1>
- 白き誓約、黒き密約(エスティニアンなりきり)
その他
■F.A.T.E.
- 2.0〜4.0まで全般(本人談:クリスタルタワーF.A.T.E.の担当ではありません)
■南方ボズヤ戦線
- スカーミッシュ
■旧『FFXIV』
- コインカウンター(オーラムヴェイル霧中行軍)
- キマイラ(カッターズクライ流砂迷宮)
- ネール-ヴァン-ダーナス誅殺戦(月下/紅月下の戦い)
吉橋和登氏(バトルコンテンツデザイナー)
高難易度レイド
<希望の園エデン>
- 共鳴編3:ダークアイドル
アライアンスレイド
<YoRHa: Dark Apocalypse 複製サレタ工場廃墟>
- ホッブス
クエストバトル
■メインクエストバトル
<5.0>
- ミンフィリア救出作戦
- 廃都ナバスアレン(サンクレッドなりきり)
その他
■南方ボズヤ戦線
<クリティカルエンゲージメント>
- 百獣使い「獣王ライアン」
- 獣王ライアン&ドゥン
玉置 輝氏(バトルシステムデザイナー)
ダンジョン
- 妖異屋敷 ハウケタ御用邸 (Hard) (実装-調整担当)
- 惨劇霊殿 タムタラの墓所 (Hard) (実装-調整担当)
- 霊峰踏破 ソーム-アル(実装-調整担当)
- 蒼天聖戦 魔科学研究所(実装-調整担当)
高難易度レイド
<次元の狭間オメガ>
- アルファ編1:カオス
<希望の園エデン>
- 共鳴編4:シヴァ
アライアンスレイド
<リターン-トゥ-イヴァリース:封じられた聖塔 リドルアナ>
- 労働七号(実装-調整担当)