ファミ通グループの編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、対戦型デジタルカードゲーム『ドラゴンクエストライバルズ エース』です。

【こういう人におすすめ】

  • ドラゴンクエスト』シリーズが好き
  • 対戦型カードゲームに興味はあるがいままで触れたことがない
  • アプリゲームに多少は課金をしてもいいと考えている

※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整し、加筆修正したものです。

のらいーぬ村上のおすすめゲーム

『ドラゴンクエストライバルズ エース』

プラットフォーム:Switch、Android、iOS、PC
配信日:2017年11月2日
配信元:スクウェア・エニックス
価格:基本プレイ無料(アイテム課金制)
パッケージ版:なし
ダウンロード版:あり
『ドラゴンクエストライバルズ エース』公式サイト

『ドラゴンクエストライバルズ エース』プロモーション映像

 対戦型デジタルカードゲームに興味はあるけれど、難しそうに感じて尻込みしてしまい、まだ手をつけたことはない……という人はどれくらいいるんだろうか。奥深い駆け引きが楽しめそうなのは門外漢にもわかるから、その世界になじめたらきっと楽しいんだろうなと思う一方で、自分には敷居が高いように思えて躊躇しているといった感じの人、けっこういるんじゃないだろうか。少し前までの僕はそうだった。

 そんな僕が2年前に『ドラゴンクエストライバルズ(以下、『DQライバルズ』)』で対戦型カードゲームの世界に足を踏み入れ、そこになじむことができたのは、本作が初心者にとって非常にとっつきやすい作品だったからだ。以下で、そう思う理由を説明していこう。

 まずは当たり前の話から。対戦型カードゲームの初心者にとっての大きなハードルは、たくさんのカードの効果や能力をカードの絵柄とセットで覚えることだと思う。ゲーム内に登場するカードの能力や効果のバリエーションは、おそらくどの作品もある程度は共通しているだろうから、いずれかの作品でこのジャンルになじんでしまえば「このカードは前に遊んだあの作品のアレみたいなものだな」という感じで覚えるのにとくに苦労しないのだろうが、初心者にとってはそうはいかない。“絵柄といくつかの数値と説明文”のセットで、いちからカードの特徴を覚えていく必要がある。これはかなりたいへんだ。

 僕の場合、過去に挑戦した同ジャンルの作品を途中で投げ出したのも、この問題につまずいたから。ただ、『DQライバルズ』にはそういった問題は存在しなかったのだ。

対戦型デジタルカードゲームの入門作品として『ドラゴンクエストライバルズ エース』が最適な理由【推しゲーレビュー】_01

 『DQライバルズ』は当然ながら『ドラゴンクエスト』シリーズの世界をベースにした作品だから、登場するカードは『ドラゴンクエスト』シリーズの登場人物やモンスター、呪文や武器・道具を題材にしたものとなっている。いずれも見知ったものばかりだから、カードの特徴を覚えるのが楽だった……というか、実際には覚えるまでもない感じだ。感覚的には“思い出す”が近い。「何を当たり前の話を」と思われるかもしれないが、これが本当にゲームになじんでいく際に助けになった。

 スライムといえばあのスライムだし、ホイミを使うとHPを少し回復できて、“はがねのつるぎ”はそこそこ強い武器、メラゾーマは超強力な攻撃の“じゅもん”という具合に、カードを見ると自然と記憶が掘り起こされる。いちから覚える必要がない。カードイラストが原作の雰囲気をしっかり再現した絵柄になっているのも記憶を呼び覚ますのにひと役買っていて、たとえばそれほど印象に残っていないモンスターでも、「ブラウニー……ああ、つうこんのいちげき!」という感じで、苦もなく記憶が掘り起こされる。同時にカードの特徴もなんとなく覚えてしまう。『ドラゴンクエスト』シリーズをプレイしたことのある人なら、という条件つきだけど、たくさんのカードの特徴を覚えるという最初のハードルを難なく乗り越えて、すぐつぎのステップに進めるのは初心者にとって大きいと思う。

 さて、初心者にとってのもうひとつの難問は、デッキを作ることだけど、ここは正直に言って、本作においてもハードルの高い部分になっている。いまではこのデッキ作りに対戦型カードゲームの醍醐味が詰まっているということがわかるんだけど、最初のころは選択肢が多すぎて、何をどうすればよいかがわからなかった。オススメデッキみたいなものが何タイプか用意されていたと思うけれど、それをそのまま使うのもなんかイヤで、負け続けの日々を過ごしていた。

 そんなときに助けられたのが、ある日ゲーム内に導入された“バトルチャンネル”という要素だ。これは、ランダムに選出されたほかのプレイヤーどうしの試合のリプレイを観戦できるというもので、各プレイヤーが使用しているデッキも確認できる(コピーもできる!)スグレもの。このバトルチャンネルでほかのプレイヤーの試合とデッキを見るのはとても参考になったし、カードの効果を覚えるのにも役立った。じっくり試合を見ていると、あるプレイヤーがある場面でなぜその選択をしたのかがわかってくるし、あるカードがどういう意図でデッキに組み込まれているのかも理解できるようになると思う。

 サービス開始から2年以上経って、いまではゲーム内容も最初のころより複雑になってきているけれど、バトルチャンネルを参考にプレイを学んでいけば、いまからゲームを始めても僕のように途方に暮れるということはないと思う。

対戦型デジタルカードゲームの入門作品として『ドラゴンクエストライバルズ エース』が最適な理由【推しゲーレビュー】_02
お馴染みのモンスターがときにかっこよく、ときにかわいらしくカード化されている。設定されている能力も、もとのモンスターにちなんだ内容になっているから覚えやすい。

 試合展開がわかりやすいというのも、『DQライバルズ』の魅力だ。『DQライバルズ』を始める前にいくつか同ジャンルの作品の試合動画を観たことがあるけれど、本作ほど試合の流れがわかりやすい作品はなかったと思う。盤面上のモンスターに攻撃を指示すると3Dモデル化されたモンスターが個性的なアクションを見せるし、リーダーが特技を使うときもそれに応じた表現が見られる。

 単純に見ていて楽しいのもあるが、いま盤面で何が起こっているのかが視覚的にわかりやすい形で表現されるから、初心者でも状況を把握しやすく、試合展開を追いやすい。イベントなどで上位プレイヤーの試合に会場が盛り上がるのも、もっともだと思う。

対戦型デジタルカードゲームの入門作品として『ドラゴンクエストライバルズ エース』が最適な理由【推しゲーレビュー】_03
バトルチャンネルは他のプレイヤーの対戦を観戦できる機能。それぞれが使用しているデッキも確認できるし、コピーして自分で使ってみることもできる。

 さて『DQライバルズ』以外の対戦型カードゲームを深くプレイしたことがないので、 勘違いがあるかもしれないけれど、 僕が本作を対戦型カードゲーム初心者にオススメしたい理由はこんなところだ。

 なお、2020年8月に本作は『ドラゴンクエストライバルズ エース』としてリニューアルされた。このリニューアルに合わせて、ひとりで遊べるコンテンツが追加されるなど、本作はさらに幅広い遊びが可能な奥の深い作品になる、と思う。引き続きカードパックの無償配布など新規プレイヤーへの配慮も手厚くなっているから、対戦型デジタルカードゲームに興味はあるけどまだ始めていない人、これから『DQライバルズ エース』を始めてみない?

対戦型デジタルカードゲームの入門作品として『ドラゴンクエストライバルズ エース』が最適な理由【推しゲーレビュー】_04
いろいろな特徴を持つカードの中から30枚使ってデッキを作る。ここが難しいところであり、楽しいところでもある。まったくの初心者の場合は、バトルチャンネルを利用してほかのプレイヤーのデッキを使って遊んでみるのがいいと思う。