2005年7月26日にアーケードゲームとしてスタートした『アイドルマスター』(以下、『アイマス』)シリーズが今年15周年を迎えた。それを記念して実施した、如月千早役 今井麻美さんのインタビューをお届け。15年間ともに歩んできた如月千早の印象や思い出などを伺った。

※本インタビューは、新型コロナウイルス感染拡大予防の対策を十分に行ったうえで実施しています。

今井 麻美(いまい あさみ)

5月16日生まれ。山口県出身。声優としてだけではなく、歌手としても活躍。代表作は、『シュタインズ・ゲート』(牧瀬紅莉栖役)、『グランブルーファンタジー』(ヴィーラ・リーリエ役)など。(文中は今井)

『アイドルマスター』15周年記念インタビュー今井麻美さん(如月千早役)。「『アイドルマスター』は“やっぱりアイドルっていいよね”と思わせてくれる作品です」_01
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15年間ともに歩んだ千早の印象の変化とは

――15周年を迎えた率直な感想を聞かせてください。

今井やはり5の倍数の周年をすごく大事に思う傾向は私だけではなく、多くの人にあると思います。『アイマス』の5周年と10周年は大きな節目だったなといまさらながら振り返ることもあるのですが、15周年というのは正直あまり実感がなくて。「なんでなんだろう?」と考えてみたのですが、こういったご時世の中で、みんなとお祝いしたかったときにいろいろなことができなくなってしまって、どこかで肩透かしを感じて、まだ雲をつかむような気持ちでいる気がしています。そういう意味では、みんなで集まって、お客さんと何かをいっしょにできて、初めて15周年を迎えたことを感じられるんだろうなと。

――いつかまた集まれるといいですよね。せっかくの機会ですので、千早との出会いなどについて伺えればと思いますが、オーディションのときのことは覚えていますか?

今井めちゃくちゃ鮮明に覚えています。事務所で「どの子を受けたいですか?」と資料を見せてもらったのですが、当時は事務所とデータをFAXでやり取りしていたので、絵が潰れてしまっていたんです。その潰れた絵のやよいを見たときに大人っぽい女の子に見えたので、「この子を受けたいです」と言ったら、マネージャーさんに「今井さんにその子は合いません。今井さんは千早を受けるんです」と言われて。しかも、グラマラスに見えた部分は髪の毛だったという(笑)。オーディションでは、自分で考えて持っていったセリフを読んで、好きな曲を歌った後、おしゃべりをしました。そして、終わって「受かるといいな」とか考えながら10分ほど歩いたときに、マフラーをスタジオの椅子の下に忘れたことに気付いたんです。

――緊張されていたのですか?

今井後々緊張するようになるんですけど、当時はあまりそういうことを感じないタイプだったので、マフラーを取りに行くときのほうが緊張しました。無礼だなとか、ドジだなとか、変にアピールしていると勘違いされたらどうしようと思ったりして、スタジオに戻ってからも扉の前でしばらく考えていました。でも、お気に入りのマフラーだったので意を決して取りに行ったら、つぎの方がちょうど歌を歌っていたので、目配せをしながら何も言わずに帰ってきました(笑)。

――先ほどオーディションには自分でセリフを考えて臨まれたということでしたが、千早の第一印象はいかがでしたか?

今井先ほどお話した潰れたイラストを見たときは、プロフィールやバックボーンがまだなかったので、髪型がロングストレートの女の子なんだなという印象しかありませんでした。ただ、その後、べつのイラストを見せていただいたときにもう少しオシャレにも気を遣ってほしいなと思っちゃいました(笑)。というのも、履いていたスリッパがかなり古風で、お外にあるトイレに行くときに履くようなデザインだったんです。そのときには、すでに見た目にこだわらない性格ということも決まっていたとは思うのですが、「アイドルなので、もうちょっとなんとかしてあげることはできないでしょうか?」と言った記憶があります。

――その後、約15年間千早を演じられてきましたが、印象などに変化はありましたか?

今井すごくありました。最初の収録がものすごい文章量で、私はそれまでそんなにもたくさんの量を録るお仕事をしたことがなかったので、本当に体当たりで演じていました。そのときのディレクションがほかの作品に比べて、かなり細かかったことが印象に残っています。「こんな細かいところまで指定があるんだ」と感じるくらい、すごく丁寧に録ってくださっていたので、当時は食らいつくのに必死でした。でも、ときが経つにつれて「千早はこういう子なんだ」ということがどんどんブラッシュアップされていったという印象です。私の場合は、とくにライブをするたびに千早を演じやすくなるような感覚がありました。初期のころのライブはおまけというわけではないですが、CDの販促イベントのような、ライブだったとしてもそこまで大きな会場ではなくアットホームな印象がありました。それがどんどん規模が大きくなるにつれて、千早をステージでどう表現して感じてもらえるのかということを、より練って考えるようになったんです。

――15年間ですごい規模になりましたよね。

今井そして、2011年にはテレビアニメの放送が開始されました。それまでは、プロデューサーとの関りはたくさん描かれていましたが、そのプロデューサーがいろいろな方の顔があるというか、人によって捉えかたが違っていたので、絶対にこうだという確固たるものが『アイマス』には少ないなと私は思っていたんです。でも、テレビアニメが放送されたことでブレない芯みたいなものを作ることができたんです。それはほかのアイドルやそれ以外の人とのコミュニケーションだったり、スタッフさんに対する対応だったり。そういうものがテレビアニメではしっかり描かれていたことによって、いままではバラバラだったみんなが思う千早像のようなものが、少しずつ集約化されたような感じがありました。

――確かにテレビアニメの影響は大きかったと思います。

今井でも、そのころから私の中で千早が暴れるようにもなってきて。この言葉が合っているのかわかりませんが、理解が進めば進むほど、彼女が私の中でワガママになっていくんですよね。「私はもっとこうしたい。あなたならできるでしょ?」というような感じでしょうか。最初のうちは私のほうを見てくれていたけれど、ステージに立ったときに、もう私のことを見てくれないような感覚がありました。彼女がひとりでどんどん先に進んでいってしまったり、それに私が追い付いたり、追い越した感覚があったと思ったら、またぜんぜん違う方向に進み始めて行くというような。いまでは、演技をするときとステージをするときはだいぶ一致してきましたが、いちばん暴れていた時期は彼女を制御するのがたいへんでしたね。私よりも先に千早が「こうあるべき」とすごく強く言ってくるような感覚があって、それに対してどう解釈すればいいのか、いまのようにストレートにできない時期は葛藤がありました。でも、そうやっていっしょに成長してこられたのかなという印象がすごく強くあります。

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――15周年のタイミングで坂上さんにもインタビューをさせていただいたのですが、坂上さんがアニメはオフィシャルとして「『アイドルマスター』の世界はこういうものです」と示したかったと話されていました。今井さんにとってもそういう存在になったのですね。

今井間違いなくそうだと思います。初期のころにずっと悩んでいたのが、私がこうだと思った千早像で演じたり歌ったりしたとしても、それを受取るプロデューサーさんによって、反応がぜんぜん違ったんです。「ピッタリだね」と言ってくれたり、「これは千早じゃない」と言われたりして。「違う」と言われたときにどうしたらいいのだろうとすごく悩んだ時期もありました。私がある程度、自分の中で指針を決めて、それをスタッフさんといっしょに作り上げて、初めて作品は出来上がるもののはずなのに、それを「違う」と言われることは、ふつうの作品だとあまりないことだと思うんですよね。だからこそ、初めのうちは「どうしてそんな風に言われるのだろう?」とわからなくて、落ち込んだり、苦しんだりしていたのですが、アニメのときに「みんなの共通項がなかったんだ!?」と気が付きました。そこに気付いてからは、演じるのがすごく楽しかったですし、没頭できた感覚がありました。

――では、アニメが放送されて以降、千早を演じるときにとくに意識するようになったことはありますか?

今井やっぱりいちばんは距離感です。千早は意外とプロデューサーにけっこう武骨な態度を取ったりするんですよね。とくに一対一で心を開けば開くほど、ズバッと物事を言ったりすることが多くて。だけど、それが「春香だったらどうなんだろう?」というように、アイドルたちどうしが絡むシーンというのは『アイドルマスター ディアリースターズ』(以下、『ディアリースターズ』)で少しあったくらいで、ゲームの中ではほとんど語られていなかったので、距離感をもっと明確にしたいという想いを強く持つようになりました。だから、甘える人と距離感がしっかりある人とでは、会話するときに声色を変えたり、言葉の掛けかたをすごく意識するようになりました。

――そうして、15年間ともに歩んできた千早は今井さんにとってどのような存在でしょうか?

今井数年前までは千早が私を助けてくれたとずっと思っていたんです。初期のころは、『アイマス』以外のお仕事をたくさんやっていたわけではなかったですし、こういう大きなプロジェクトに関わらせていただける機会が少なかったので。私の人生を大きく変えてくれた存在でもありましたし、私が何かを表現するにあたって、向かい合って考えることができる相手でもあり、私を助けてくれたとずっと思っていたのですが、数年前くらいから、ふとした瞬間に千早も私に「ありがとう」と言ってくれているような感覚がありました。それまで卑下していたわけではないですが、千早がいてくれたおかげで私が存在しているとしか思ってなかったものが、私の存在によって千早もこの世界にいることができたのかなと思ったら、少しうれしい気持ちになりました。

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――ここからは『アイマス』の全体についてお話を伺えればと。プロデューサーとしても有名な今井さんから見て『アイマス』の魅力はどこだと思いますか?

今井最初はアーケード版を見たときにすごくビックリしました。私はゲームが好きだけれどもあまり上手ではないので、ゲームセンターでバリバリ遊ぶようなタイプではなかったのですが、「こんなゲームがあったらいいな」というものを超えた存在のように感じたんです。アーケード版のサービスが開始される少し前に流行っていた、いわゆる恋愛シミュレーションの延長線上のようなものかと思っていたら、とにかくスポ魂で。しかも、わりとプレイヤーへの要求が高いことが青天霹靂でした。アイドル業界はシビアな世界だということを全面に打ち出して、ゲームシステムもかわいい女の子と仲よくなるだけのゲームではないというのがすごく衝撃だったんです。そこから伝わってくる本気度もすごくて。当時の最先端技術を駆使したアイドルたちの動きや、オーディションを勝ち抜いて、負けてしまったときには容赦なくプロデュースを終了させられるところなど。リアルではないけれども、リアルを感じられるというか、ただ幸せだけを与えてくれるものではないところにすごく魅力を感じました。

――確かにアーケード版はかなりシビアなゲーム性でしたね。

今井やっぱり、アイドルというコンテンツが不朽のもので、みんながどのタイミングで興味を持ってくれるかだけの話だったと思います。そんな状況の中で『アイマス』は「やっぱりアイドルっていいよね」と思わせてくれた作品でもありますし、その後のアニメやゲーム業界のアイドルブームの火付け役にもなったのかなと感じています。『アイマス』にも『ディアリースターズ』、『アイドルマスター シンデレラガールズ』(以下、『シンデレラガールズ』)、『アイドルマスター ミリオンライブ!』(以下、『ミリオンライブ!』、『アイドルマスター SideM』、『アイドルマスター シャイニカラーズ』という、さまざまなグループが生まれたり、ほかのアイドル作品がたくさん登場したりしていますが、このブームが廃れずに長く続いているのは、やっぱりみんなアイドルが好きなんだと思うんです。

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いまだからこそ明かされる数々の秘話

――『アイマス』シリーズの特徴としてイベントが多いことが挙げられますが、とくに印象に残っているイベントはありますか?

今井本当は全部をリスト化して並べたら「これ!」というものがあると思うので、いちばんとは言いませんが、1stライブ以前のライブはとくに印象に残っていますね。当時は本当に右も左もわからなかったので、ただただ歌を覚えて、ダンスを考えてやるしかないような状況でした。しかも、技術もなかったですし。だからこそ、あのときがむしゃらにやったことはすごく印象的です。しかも、5周年まではいつも、今回が最後だと思ってライブに臨んでいました。「今回で最後だからみんなでがんばろう!」と始まって、ライブが終わった後、みんなで楽屋で大泣きしたのに、しばらくしたら「来年もやります」と毎回報告されるみたいな(笑)。

――では、10周年以降ではいかがですか?

今井10周年以降は毎年やっていたライブがお休みになっていたので、久しぶりにアイドルを演じているメンバーが全員集合したプロデューサーミーティングはすごく楽しくて、印象深かったです。私の中では10周年までは責任を持ってがんばろうとずっと心に決めていた影響もあったと思います。確か4周年くらいのときにスタッフさんから個別で「10周年まではがんばってほしいけど、どうかな?」と相談されたことがあったんです。そのときの私たちは知らなかったのですが、いま考えると、その時期というのはテレビアニメ化の企画が動き出したタイミングだったのではないかなと。もし、テレビアニメの企画が動き出していたとしても、実際に放送されるのは少し先の話ですから。それで当時の私は毎回楽しくやらせていただいていたのですが、やはり慣れないステージとほかの仕事を両立させるのはたいへんなことで。それこそ当時その方から口癖にように「中村さんと今井さんは『アイマス』以外の仕事をとにかくがんばってほしい」と言われていたんです。「そうすることでひいては『アイマス』のためにもなるし、君たちのためにもなると思うから、『アイマス』だけに執着していてはいけないよ」と。

 いまになったらすごくよくわかるやさしいお言葉だなと思います。ただ、そのときにテレビアニメの企画が動いていたとしたら、数年間は活動を続ける必要があるので、その意識確認だったのかなと。10周年まではもっと死ぬ気でがんばらないといけないし、いまの私の歌では千早に申し訳が立たないと思ったんですよね。自分の中でがんばってはいたけれども、そんなにうまくはなかったですし、千早からは「もっとがんばれますよね?」というような声も聞こえていて。「いまのままではダメだ。もっと技術を磨かないと」とも思いましたし、もっと彼女を理解してステージ上でどう表現するのかということを真剣に考えるようなキッカケになりました。だから、10周年までは休むということをまったく考えず、とにかく走り続けていました。

――そんな出来事があったのですね。

今井そうしているうちに『シンデレラガールズ』と『ミリオンライブ!』が生まれたのですが、出演している子たちの葛藤もすごく伝わってきて。いまはもう胸を張って『アイドルマスター』と言ってくれますが、当時はどこかみんなからの引け目を私も感じていて。「私たちは『アイドルマスター』という名前がついているけれど、違うグループ(ブランド)です」という遠慮がすごく見え隠れして、それがすごく悔しかったんです。初期のころにスタッフさんが「僕らがいなくなって変化していって、なんなら新しいアイドルやキャラクターがどんどん生まれていっても、『アイドルマスター』という言葉が10年、20年、30年と残っていったら、それってすごく幸せなことじゃない?」と言っていたのですが、それがいまになってすごく心に響いてきました。

 当時はとにかく一生懸命に『アイマス』の千早を演じていた状況だったので、30年も先のことを言われても「私たちはいらないってことなの?」とどういうことなのか理解できなくて。でも、テレビアニメ化を経て、とくにそのことを強く感じるようになっていたので、『シンデレラガールズ』と『ミリオンライブ!』のみんなにも「『アイドルマスター』です!」と自信を持って言ってほしいと思うように自分の欲求がどんどん変わっていったんです。そして、10周年ライブの2日目に彼女たちといっしょのステージに立ったときに、「これから先、もっとすごい景色をこの各ブランドの子たちが作っていけるんだな」ということを感じて、スタッフさんが言っていた「『アイドルマスター』という言葉が残っていれば、それでいいんだよ」という言葉が、ストンとすごく心に落ちたんですよね。なので、10周年を最後にとにかくがむしゃらでやるという気持ちが変わってきたんです。そういう意味では、必死さではなく本当の楽しさを探せるようになったのは10周年以降だったと思います。なかなか性格的に難しいミッションですが(笑)。

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――『アイマス』は、多彩な楽曲も魅力のひとつだと思いますが、お気に入りの楽曲などはありますか?

今井日によって違うとも思うんですけど、いま「お気に入りの楽曲を教えてください」と言われた瞬間に思い浮かんだのは、なぜか『i』でした。そんなに目立つポジションの楽曲ではないのですが、歌詞が染みるんですよね。SSAの合同ライブ(※“THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2014”のこと)のときに、原紗友里ちゃんと、木戸衣吹ちゃんと、あさぽん(※双海亜美・真美役の下田麻美さんの愛称)の4人で歌わせてもらったのですが、そのときに「私は『i』が好きだな」と思いました。もちろん、千早が担当している楽曲も印象深いですが、向き合う機会が多かったので、「どう表現したらいいのか」、「どういう風にみんなに届けよう」とすごく考えてしまう苦しさもあるので手放しにお気に入りとは言えません。私にとって『蒼い鳥』は本当に運命を変えてくれた曲なので、特別以外の何ものでもないですから。なかったら困る曲というか、生まれてきてからもう1度、私という人間を生み出してくれた曲なので。

――千早の曲はそういう次元ではないですよね。

今井細氷』や『眠り姫』も、ひとつひとつの楽曲で生みの苦しみをすごく味わいましたし、「今度はそれをライブでどう表現するか」、「私の技量では追いつかない部分をどうやって埋めていったらいいのだろう」と毎回葛藤していました。でも、それだけ苦しんでいる分、CDやライブで聞いた方から「よかったです」と感想をもらえたりすると、本当に「うれし~い」という気持ちになるんですけどね(笑)。

――続いて、今井さんにとって『アイマス』とは、どのような存在でしょうか?

今井線路のレールを切り換える分岐器のようなものだなあと。私が歩いていた今井麻美という人生が、『アイマス』に出会ったことによって、まったく違う人生を歩むことになったんですよね。

――自分の意志で進みながらも、あるタイミングで誰かに切り換えられたような感覚だったということですね。

今井そうですね。人生のレールが変わった瞬間が『アイマス』だったなといまになって思います。

――最後に全国のプロデューサーにメッセージをお願いします。

今井『アイマス』15周年ということで、15年間丸々応援してくだった方やテレビアニメで知ってくださった方、ほかのブランドで知ってくださった方など、始まりはそれぞれだと思いますが、『アイマス』のいろいろなブランドを応援してくださっている方が本当に増えていると実感しています。最近では、日本国内に留まることもなく、世界中から「好きです」というお言葉をいただくことも増えました。私というちっぽけな存在がこれだけ多くの方に知っていただけて、そして、『アイマス』を好きになっていただけたのは本当に奇跡みたいなものだと思っています。しかも、それが15年もの時を流れているということに、月並みな言葉ではありますが、本当に感謝しています。途中何度もくじけそうになることもありましたが、こうやってみんなで15周年を迎えられることを本当に幸せだなと思いますし、まだまだこれからというアイドルやユニットもいるので、いろいろな『アイドルマスター』という言葉がこの世界に残っていくことを願っています。なので、これからも各々の生活スタイルにあった応援をしてくれたらうれしいです。

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