2020年2月29日に全国公開となるアニメ劇場版『SHIROBAKO』。新キャラクターの宮井楓を演じた声優、佐倉綾音さんにインタビュー!

 収録中にキャスト陣で盛り上がった話題や、楓を演じる際に心掛けたことなどを直撃した。撮り下ろし写真とともにお届け!!

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佐倉綾音さん(さくら あやね)

1月29日生まれ、東京都出身。第12回声優アワード助演女優賞・パーソナリティ賞受賞。代表作は『新サクラ大戦』(天宮さくら役)、『僕のヒーローアカデミア』(麗日お茶子役)、『新幹線変形ロボ シンカリオン』(速杉ハヤト役)など多数。(文中は佐倉)

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劇場版『SHIROBAKO』新キャラクター・宮井楓(声:佐倉綾音)

素の状態とのギャップを強調にするためにあえて大人っぽく宮井を演じました」(佐倉)

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――役が決まる前は、『SHIROBAKO』にはどんなイメージをお持ちでしたか?

佐倉 “アニメ業界を描くアニメ”ということで、放送時、業界内でもすごく話題になっていて、どの現場に行っても、スタッフさんやキャストさんが楽しそうに本作の話をされていたんですよ。私は直接関わってはいなかったので、気になりつつも、傍観していた感じです。

――そんな本作に、劇場版で参加されることになったわけですが、そうなると見えかたも違ってきたのでは?

佐倉 収録前にテレビシリーズ全話を改めて観ましたが、本当によくできているし、とてもおもしろい作品ですよね。リアルタイムで見て、私もいろいろ語り合いたかった……と、いまさらながら後悔しています(笑)。

――テレビ版で印象に残っているシーンはありますか?

佐倉(高梨)太郎がやらかして、みんなで尻ぬぐいをするというパターンがおもしろいですね。つぎつぎと問題を起こすトラブルメーカーなのに、それでもみんなに愛されている感じがいいなと。私自身は、ひとつひとつの問題を解決していかないと落ち着かない性格なんですけど、それとは真逆の、太郎みたいな生きかたに憧れているところがあって。周囲の人から面倒を見てもらえる“愛され感”というか、無邪気なところが、本当にうらやましいなって思いながら見ていました。

――映画で佐倉さんが演じられる宮井楓は、どんなキャラクターなのでしょう?

佐倉 肩書きとしてはアシスタントプロデューサーという役職のキャラクターで、どちらかというと、ほかのメンバーのサポートに回ることが多い役割ですね。作中では重要な局面を任されるなど、その実力を試されるシーンもあったりします。

――性格にも、特徴的な部分はあったりしますか?

佐倉 見た目通りにクールで、仕事はそつなくこなすタイプです。とはいえ、なんといっても『SHIROBAKO』の登場人物ですからね。ひと癖、ふた癖ある性格だということは、前もってお伝えしておきます(笑)

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――宮井楓という名前について素朴な疑問なのですが、主人公の宮森あおいと“宮”の字がかぶっていますよね?

 

佐倉 そこは私も気になりました! “宮”かぶり(笑)。これは、あくまでも私の推測なんですけど、宮森と宮井は同年代で、アニメ業界でのキャリアもほぼ同じなんです。そんな似た者どうしでありながら、宮森にとっては、違うレールを走ってきた“対になる立ち位置”のキャラクターが宮井楓で、だから“宮”かぶりもあえてなのかなと。宮井という存在が目の前に現れたとき、宮森のアニメ制作に取り組む姿勢には、どんな変化が起きるのか……というのも、注目していただきたいポイントです。

――楓の役作りでは、気をつけたことは何ですか?

佐倉 キャラクターデザインが大人っぽい雰囲気なので、
見た目に合わせるか、それとも宮森たちに近い、若い感じで行くか、ちょっと悩みました。でも作中で、楓のギャップが浮き彫りになるシーンがあるので、そこのかわいさをより強調するために、ふだんは大人っぽいほうがいいなと思って、あえてクールな感じにしました。

――そのシーンも楽しみです。本作は、アニメの制作現場が舞台の作品ですが、今回、収録に参加して、「ほかの現場とはここが違う」と感じたポイントはありますか?

佐倉 どの現場でも、感情の表現などで疑問点があれば、監督やスタッフさんに相談して「この方向性でいこう」といった指針を決めてから収録に臨むのですが、本作の場合は、その際のスタッフさんの回答がものすごく具体的だったことが印象に残っています。たとえば「このシーンは、どれくらいヤバい場面で、どの程度焦っている感じですか?」と聞くと、実例を交えて答えてくださるんです。その場にいる全員が、実際にこれまで収録現場で体験したことのある出来事ばかりなので、すぐに意思が共有できて。そういうところも、『SHIROBAKO』の収録現場っぽいなと思いました。

――みんな“万策尽きた”になりかけたことがあるのかもしれませんね(笑)。収録の際は水島努監督から指示や演技指導があるのですか?

佐倉 それが、水島監督からは具体的な指示はほとんどなくて。「一度やってもらって、違っていたら指摘します」という感じで、自由にやらせていただきました。

――監督はキャストを信頼して、お任せされているのでしょうね。信頼感を感じる反面、アレコレと指示がないと、逆に、「これで合っているのかな?」と不安になることはないですか?

佐倉 水島監督の作品には、これまでにも何度か呼んでいただいたことがあるので、あまりストップを掛けない方だということはわかっていました。なので、そこに不安はありませんでしたが、『SHIROBAKO』の場合は、かなり特殊な作品ですから、「これくらいやっても大丈夫かな?」と探り探り、お芝居を固めていきました。

――ほかにも収録で印象的だった出来事やエピソードはありますか?

佐倉 とにかく登場人物が多いので、スタジオにはつねに大勢のキャスト陣がいて。自分の出番じゃないときは外に出て、みんなでワイワイとおしゃべりをしながら過ごしたのが思い出深いですね。たしか、多いときは30人くらい集まっていたと思います。

――学校の1クラスくらいの人数が!

佐倉 とにかく大所帯で、そのなかには、ベテランの先輩方もいらっしゃいましたが、飛び交う話がどれもおもしろくて。まじめな話もあれば、誌面には載せられないような、とんでもない伝説なんかも、つぎつぎに出てくるんですよ。そういうコミュニケーションの場に、新参者の私も加えていただいて。分け隔てなく接してもらえたのがうれしかったですね。

――まるで本作の1シーンのような光景ですね。

佐倉 確かに(笑)。自分たちが深く関わっているアニメ業界のお話なので、自分を投影しながら演じている方が多かったように思います。それと、女性陣のあいだでは「メインキャラクターのなかで、いちばん“アリ”な男性は誰か?」という話題で盛り上がっていました。

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――おお、それは気になります。いちばん人気は誰に? イケメン度で言うと、ナベP(渡辺隼)とか?

佐倉 それが、意見が完全にバラけて、誰かひとりに人気が集中ということはなかったんですよ。ナベPは「いつも飲み会ばっかり行って、家に帰って来なさそう。奥さんを幸せにするタイプじゃないね」とか、みんなで好き勝手に言って盛り上がっていました(笑)。逆に「私もお酒は好きだから、いっしょに飲みに行けたら楽しそう」という人もいたりして、ぜんぜん話に収拾がつかなくて。

――(笑)。

佐倉 太郎も、さっきも言ったように序盤はダメダメなキャラクターですが、後半の平岡と飲みに行くシーンで株が上がりましたし、人気でしたね。太郎はいっしょに仕事をしていたらイヤだと思うんですけど、後輩にいたらすごくかわいいんだろうなと思います。

――太郎のあのシーンはいいですよね。佐倉さんの推しは?

佐倉 私は、同じ苗字ということもあり、撮影監督の佐倉さん(佐倉良樹)を推しています。

――へえ。渋いチョイスですね。

佐倉 朴訥とした雰囲気だけど、何があっても動じず、「待つよ、撮影は待つのも仕事だから」と言って受け止めてくれるところがいいんですよ。

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撮影監督・佐倉良樹

――どのキャラクターにも惹かれる部分がありますよね。それでは最後に、そんな劇場版『SHIROBAKO』の見どころを教えてください。

佐倉 今回は宮森たちが、劇場版アニメを作るお話なんですけど、作中で奮闘するキャラクターたちがいて、さらにその物語を作っている、私を含めた現実世界のキャストやスタッフも大勢いるという、この感覚が不思議で。

――メタフィクション的な要素もありますよね。

佐倉 こうした体験ができたのも、本作に関わらせていただけたからこそなので、本当にありがたく思っています。今回、演じさせていただいた宮井楓も、私たちとおなじように「何かを表現したい」という思いがあって、アニメ業界に身を置いているキャラクターなので、そんな彼女が宮森たちと関わって、何を表現していくのか? というところにも、注目していただけるとうれしいです。

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