マーベラスから2019年12月12日発売予定のプレイステーション4用ソフト『CONTROL(コントロール)』は、超能力を駆使したアクションとガンシューティングの両軸で敵を倒していくアクションアドベンチャーゲーム。

 その開発を担当したRemedy Entertainment(以下、Remedy)より、広報責任者のThomas Puha(トーマス・プハ)氏がインタビューを受けてくれた。

 超能力アクションとガンシューティングという異色の組み合わせのほか、Remedyらしい独特なストーリー展開や背筋をゾクゾクさせるサウンドなど、そのこだわりを存分に語ってもらった。

 また、本作のダウンロードコンテンツには、何と小島秀夫監督が声を吹き込んだキャラクターが登場する! 出演が決まった経緯やRemedyとの関係性についても聞いた。

『CONTROL(コントロール)』はプレイヤーがゲーム体験を自由に“コントロール”できるアクション。Remedy広報責任者にインタビュー_16

Thomas Puha氏

Remedy Entertainment 広報責任者

強制する要素をなるべく排除し、プレイヤーが自由に選択できるように。

――まずは、本作の魅力について教えてください。

トーマスRemedy作品の伝統ともいうべき、ユニークなキャラクターたちによる奥深い物語は本作でも健在です。本作独特の魅力としては、やはり超能力アクションとサービスウェポン(銃)の組み合わせでしょう。

――アクションとシューティングの組み合わせは、“難しそう”というのが第一印象でした。しかし、やってみると意外とスムーズにプレイできて驚いたのですが、アクションやシューティングが得意でない方向けに何か工夫されているのでしょうか?

トーマスそれは興味深いご質問ですね。というのも、私たちは本作をコアなゲーマー向けに作ったのです。私たちは新たな作品を作るとき、前作の反省をもとに作るべきであると考えています。
 2016年に発売した『Quantum Break』は、まさしく幅広い人たちに遊んでもらいたいと思って作りましたが、すべての人たちを喜ばせようとするのは非常に難しいことであると学んだ作品だったのです。それを受けて、本作ではコアなゲーマーをメインターゲットとしています。

――なるほど。私がスムーズにプレイできた理由は、超能力とサービスウェポンがそれぞれクールタイムを要するからだと思っています。どちらかがクールタイムのときはもう片方で攻撃するように自然とプレイできていました。確かに、ゲームの難易度やアクションの自由度などで見ると、かなりやりごたえのある作品だと思います。

トーマスおっしゃったとおり、それぞれのクールダウンは意図して設定したものです。これらを適切なバランスに調整するため、多くの時間を費やしました。どちらを使って戦うかは、つねにプレイヤーが“コントロール”してほしいと思っています。

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――超能力とサービスウェポンを交互に使ってもいいし、どちらかだけで戦ってもいいのでしょうか?

トーマスもしプレイヤーが望むのであれば、それも可能になっています。

――改めて、このふたつの攻撃方法について苦労された部分がありましたら教えてください。

トーマス私たちはこれまでの経験から銃の取り扱いに関しては十分な知見がありましたが、超能力については十分ではありませんでした。これを、銃を扱うのと同じくらい超能力に対しても満足してもらうにはどのようにすればいいのか、そこが本作における課題でした。
 遠くのものを掴んで、それを敵に向かって投げるという超能力アクションがありますが、これも調整に非常に苦労しました。本当にそれを自分が操作しているという感覚を得るためには、アニメーション、サウンド、そして物理的なロジックなど考えなければならないことが山積みです。
 中でも、サウンドにはとくにこだわっています。プレイしていただければ分かると思いますが、掴んだものが本当に近づいてくるのが音で感じられるはずです。

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――“音”というのはプレイしていてかなり印象的な要素でした。とくに、フィールド探索中に幾度となく聞きことになる、耳鳴りのような不気味な音がいまでも耳に残っています。まるでホラーゲームかのような雰囲気もありますが、やはりサウンド面はかなり力を入れていますね。

トーマスRemedyにとってサウンドはかなり重要な要素のひとつです。会社自体の規模に比べて、かなり大きな部分がサウンド部門に当てられています。もちろん、ビジュアルからも怪しげな雰囲気は伝わるようにしていますが、ゾクゾクするような感覚は音で表現することを意識しています。
 ヒスに侵略されたエージェントが宙に浮いているところに近づくと、ぶつぶつ何か言っているのが聞こえたり、どこか不安になるようなBGMだったり。ぜひ一度聞いてみていただきたいです(笑)。

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――作品の雰囲気からしてそうですが、メインストーリーの内容もかなり謎めいたものですよね。フィールドを探索しているとその補完になる資料を拾って読むことができますが、仮にこれを読まないままプレイを進めた場合、物語の理解度にどれくらいの影響がありますか? ついついアクションに集中していると後回しにしてしまって……(笑)。

トーマスメインストーリーは連邦操作局の新米エージェントであるジェシーの物語ですが、彼女の人生や大切な弟の行方について言えば、十分に理解できると思います。ある程度の満足度も得られるでしょう。しかし、本作にはそれとは別にさまざまなサイドストーリーが用意されています。
 それは連邦操作局についてであったり、オールデストハウスに関するものだったり。資料を読み飛ばしてしまうと、それらを十分に理解できなくなってしまいます。ですが、それもあくまでプレイヤーの選択次第です。
 とはいえオールデストハウスの来歴や、いろいろな超常現象が起きているにもかかわらずオールデストハウスで作業をしている一般職員が抱える秘密など、気になりませんか(笑)? もし気になったらビデオやドキュメントも気になったら読んでみてください。

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――そう言われると気になります。しかしあくまでも選択はプレイヤーに委ねるというスタンスなんですね。

トーマスアランウェイク』や『Quantum Break』では、かなり長い時間にわたってストーリーに関するムービーを見なければなりませんでした。それによって、プレイヤー自信がキャラクターをコントロールしている感覚がなくなってしまったと思っています。本作ではそれを改善しようと思い、こうした形をとっています。

――なるほど、見るタイミングもこちらで決められるのはいいですね。さて、すこし物語を進めると武器や能力のカスタマイズやサブクエストが解放されるようになります。これによってよりいろいろなエリアに行くようになりますし、そうすると目についた資料を拾い集めるようになるんですよね。
 さらに、能力ポイントを振り分ける際に足を止めるのがミソだと感じました。そのときに「ついでに資料にも目を通そうかな」という気になるんですよ。カスタマイズ機能はあくまでも独立したひとつの遊びですが、実際にプレイしてみるとそれがサイドストーリーというコンテンツにも紐づいていくように感じたのですが、これは狙って作られているのでしょうか?

トーマスコンテンツどうしの繋がりは意識しています。おっしゃっていただいた例もそうですし、その逆もまたしかりです。
 メインストーリーを進行するだけであれば、作中に存在するエリアすべてに行かなければならないわけではありません。ですが、サブクエストやサイドストーリーを追っていくと、そういったエリアにも足を踏み入れることになります。
 そこでは、新たなサブキャラクターが登場するかもしれないし、なにかカスタマイズのための材料が見つかるかもしれません。そうした“寄り道”をすることで、新たな発見をしたり自分の超能力や銃がアップグレードしたりできるわけです。ですから、なるべく多くのプレイヤーに、目を向けてもらいたいと思っています。

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――ところで、本作にはあの小島秀夫監督が声の出演をしているとのことですが、どういった経緯なのですか?

トーマスまず前提として、私たちは小島監督の作品の大ファンです。個人的に小島監督や今泉健一郎氏、齊藤昭義氏と長くお付き合いさせていただいています。具体的には、E3 2018にて小島監督が本作のデモを見に来てくださったのがきっかけです。そのときにサム・レイクとも意気投合していました。
 そこから、今年の1月になって小島監督が弊社を訪問してくださったのですが、その際にダメ元でお願いしてみたところ、ご多忙にもかかわらず快諾していただいたという流れです。本当にありがたいことなのですが、お返しに私たちが小島監督に何ができるのか、見当がつきません(笑)。

――収録はその1月に行われたのですか?

トーマス日を改めて、日本で行いました。収録ではNGもまったくなく、すべて完璧に進行していただきました。ちなみに、小島監督は日本語のセリフを話していただいていて、齊藤昭義氏が通訳として英語で話してくれています。

――小島監督の声が聴けるのも楽しみのひとつですね(笑)。それでは最後に、発売を楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。

トーマス日本での発売は12月12日です。もうすこしお待たせしてしまいますが、いままさに作業を進めていまして、素晴らしいゲームになっていっています。きっと日本のゲーマーの皆さんにも楽しんでもらえると思いますので、ぜひプレイしてみてください。

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 本インタビューを行う際、特別に本作の体験プレイをさせてもらえる時間をいただいた。レビューの際には完成させられなかった武器カスタマイズ“スピン”や超能力アクション“浮遊”などを体験してきたので写真でご紹介しよう。

※今回プレイしたROMはプレイレビュー用データであり、製品版の内容とは異なります。
※ゲーム内の日本語テキストはローカライズ対応中の仮のものです。
※製品版では日本語字幕のほか、看板にも日本語訳が表示されます。

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能力のカスタマイズを極めていくと、敵が撃ったミサイルを掴んで投げ返すこともできるように。すげぇ……。
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体力ゲージの横に白い十字のマークがある敵は、自動で体力が回復していっている。これも初めて見る要素だ。どうやら、範囲内の敵を回復させる敵がいるらしい。そちらを先に倒さなければならないようだ。
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フィールド内にあるプロジェクターを掴んでみると、映像もしっかりひっくり返るという細かなこだわり。こういうのを見せられるといろいろ探してみたくなる。
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物語が進むにつれてマップもどんどん広がっていくが、高速移動を使えば行きたい場所にすぐ移動できる。

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