吉田直樹プロデューサー兼ディレクターが『FFXIV』の未来を語る、プロデューサーレターLIVEが2019年5月24日に実施。今回の放送は“パッチ5.0最新情報”と題し、2019年7月2日に発売を迎える最新拡張パッケージ『漆黒のヴィランズ』の魅力を実機映像を交えて公開した。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_02
今回は、『漆黒のヴィランズ』のメディアツアー(プレビューイベント)のために訪れているアメリカ・サンフランシスコから生放送。冒頭で『漆黒のヴィランズ』のタイトル画面がお披露目に。

 本作では、新たな拡張パッケージがリリースされるたびに、バトルシステムおよびジョブアクションに幅広い調整が加えられる。『漆黒のヴィランズ』で実施される改良・改修内容の一部がこの日に発表されるとあって、世界各国のプレイヤーが固唾を飲んで放送を見守った。かねてより指摘されてきた、いわゆるシナジーに関する課題がどのように解消されるのか。あるいは、アクションの性能が変更されることで、ジョブの触り心地がどう変わるのか……調整の中身とその意図を吉田氏が詳しく解説したので、そのあたりをたっぷりと振り返っていこう。

クエスト関連のシステムが大きく変更に

 それでは、この日に発表された新情報を順番に振り返っていく。まずは、戦闘システムおよびクエストに関する変更点からご紹介。本記事に記載されているコメントは、すべて吉田氏によるものだ。また読みやすさを高めるため、コメントに少なからず編集を加えている。同氏の発言をそのまま記載しているわけではないので、その点にご留意いただきたい。

F.A.T.E.

 これまでFull Active Time Event(以下、F.A.T.E.)は、プレイヤーの皆さんの経験値稼ぎ用のコンテンツとして存在してきました。最近はレベリングに役立つコンテンツが多数存在するため、『漆黒のヴィランズ』のF.A.T.E.には新しい役割を持たせることにします。たとえば今回、エリア攻略要素というものが遊びとして新たに入ったりしています。

 各地域のF.A.T.E.を攻略すると専用のトークンが手に入り、それを各地のショップに持ち込めばアイテムと交換できます。また、F.A.T.E.を通じてその地域のロア(世界設定)が語られるので、第一世界の様子がより深く理解できるはずです。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_03
当該地域の攻略が進むと、ショップに並ぶ品物の種類が増えていくとのこと。

サブクエスト

『漆黒のヴィランズ』で楽しめるサブクエストにも、大きな変更が加えられています。今回登場するあらゆるサブクエストが、レベルアジャストに対応。パッチ5.0で追加されるすべてのサブクエストはレベル70から受注できるので、メインジョブのレベルが80に到達した後、サブジョブの育成にもご活用いただけます。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_04
メインシナリオとサブクエストを並行して進めると、冒険の途中でレベルがカンストし、それ以降に得られる経験値がムダになってしまうことが多かった。サブクエストにレベルアジャスト機能が導入されたことで、そうした事態を回避しやすくなる。

ロールクエスト

 ロールクエストという新たなクエストが実装されます。第一世界にも皆さんと同じ英雄と呼ばれていた人たちがおり、彼らの足跡を、ロールクエストを通じてたどっていただきます。
 ファイター系DPS、ソーサラー系DPS、タンク、ヒーラーの4つの中からメインジョブに合ったものを選んで遂行。『漆黒のヴィランズ』のメインクエストをクリアーするためには、これらロールクエストのうち、いずれかひとつを完遂していただく必要があります。依頼の過程でイベントバトルが登場するものがあるほか、4種類のロールクエストをすべてプレイすることも可能です。メインクエストに絡んでくるお話もあるので、お時間があるときにぜひプレイしていただければと思います。

 踊り子とガンブレイカーには、レベル60から70にかけて、それぞれの職業の成り立ちを知ってもらうための専用クエストが実装されています。一方で既存ジョブには、メインクエストを終えた後に登場する、レベル80向けのクエストが用意されています。ジョブクエストは以前と比較するとかなり変わっていますが、基本的にロールクエストを進めていくものだと思っていてください。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_05
ロールクエストをクリアーするとメインクエストのフィナーレへの扉が開かれ、さらにそれを超えた先にジョブクエストが待ち受けている……そんな作りになるようだ。

大工房クエスト

 ギャザラ―とクラフター向けのクラスクエストを大工房クエストと呼ばれる5系統の依頼にまとめることで、全体のクオリティーアップを図ることにしました。クリスタリウムを中心とする大工房と呼ばれる場所を拠点に、クラスクエストを進めていくことになります。クラフターには3系統の依頼が存在する一方、ギャザラーには2系統のクエストが用意されています。

 大工房はミーン工芸館と呼ばれ、第一世界の設定に根差したお話が多く登場します。今回のクラスクエストには“お得意様取引”の仕組みが用いられており、必要な素材はすべて専用アイテムとして(支給されるため)、いままで以上にプレイしやすいはずです。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_06
大工房クエストは“お得意様取引”と同様、レベリングに活用できるコンテンツなのかも。

ユーザーインターフェースの変更 その1

 ユーザーインターフェース(以下、UI)のベーススキンが変更できる仕組みが入ります。第一弾となる今回は、既存のダークスキンに加え、ライトスキンが新たに選べるようになるので、双方を切り替えて使っていただければと。メジャーパッチごとに(新たなスキンを追加する)というわけにはいきませんが、今後も少しずつ選べるスキンのタイプを増やしていきたいと思います。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_07
ウィンドウの色が変わるだけで、画面の雰囲気がガラリと変わる。
『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_08
システムコンフィグでスキンを切り替えた後、いったんログアウト。そこから再度ログインすると、UIのカラーリングが変わるのだ。

ユーザーインターフェースの変更 その2

 パッチ5.0が公開された時点で、クロスワールドリンクシェルを一気に8チャンネルまで増やす予定です。また、ターゲット情報で確認できるモンスターのHPが小数第一位まで表示されるようになもなります。近ごろボスのHPがすごく多くなってきたので、1%単位の表示ではそろそろ無理があるだろうということで、今回の措置の実施を決めました。皆さんに“残り0.1%で負ける悔しさ”を味わっていただこうかなと(笑)。

 さらに、パーティリスト情報にもアップデートが加えられています。たとえば、味方のHPが満タンなのかどうかを、ひと目で確認できるようになります。

 加えて、「ハウジング用アイテムが無数にありすぎて(実際の見た目が)確認しづらい!」という声を受け、現在実装されているすべての家具について、設置した際の見た目をプレビューで表示できる専用UIが登場します。皆さんのゲーム体験を豊かにする変更はほかにもまだまだ存在しますが、詳しくは(後日公開予定の)パッチノートをご確認ください。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_09
敵の残りHPの表示が、このように変更される。

メインパラメータ上昇系マテリアが排出停止に

 続いては、バトルシステム関連の変更点を振り返っていこう。

チャージアクションシステム

 使い勝手の向上を図るための新たな仕組みとして、チャージアクションシステムが実装されます。
 チャージアクションシステムは、アクションのリキャストを溜められる仕組みです。チャージアクションに指定されている技のリキャストが戻るたびにチャージが溜まり、最大チャージ数に到達するまでこれが増えていきます。チャージアクションには、最大チャージ数が2や3の技があり、非戦闘時も増えていきます。

 たとえばモンクの羅刹衝は、火力を落とさないために、再使用が可能になった時点ですぐに発動することが求められていました。今後この技は、リキャストが戻るたびに使用可能回数が溜まっていくので、無理に使わなくてもよくなるうえ、2連続で発動することもできます。ちなみに、忍者の活殺自在もチャージアクションです。

 チャージアクションは、ジョブ固有のものではなく、アクションごとに設定されています。対象に指定されている技を持っているジョブもあれば、そうでないタイプもあります。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_10
チャージアクションシステムの概要。

詠唱中断システム

 いまの『FFXIV』には、敵の攻撃の詠唱を遮断する要素が存在しますが、皆さんご存知の通り、すごく仕組みがわかりづらいです。たとえば、モンスターが使用する技が止められるものなのかどうかが、実際にやってみないとわからなかったりします。そうした課題を解決すべく、明確なシステム化を実施。敵の詠唱を中断させる目的だけのアクションを実装しました。このアクションで詠唱を止められる技はハイライトで強調されているので、(視覚的に)すぐわかります。

 詠唱の中断に使う技は、タンクと遠隔物理DPSのロールアクションとして実装されています。これらのロールをプレイされる方は、敵の詠唱を止めることが自身の役目であると思ってください。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_11
詠唱の中断に成功すると、「INTERRUPT」と文字が現れるように。

ロールアクションの選択式を廃止

 紆余曲折ありましたが、ロールアクションの選択式を廃止させていただきます。全体の数を整理のうえ、レベルアップで自動的に修得していく方式に改めました。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_12
ロールに応じて、使用できるロールアクションの数が異なる。

MP/TPシステム

『漆黒のヴィランズ』開幕後、すべてのジョブとレベルにおいて、最大MPの値が10000で固定されます。現在は“MPの何割かを使って発動する魔法”が多いので、この方式に変えたほうが、“その魔法があと何回唱えられるのか”がわかりやすいかなと。

 今回の措置にともない、信仰のパラメータの効果が“MPの回復速度がアップする”に変更されます。そして、TPが完全に廃止されます。今後はリソースを気にせず、アクションの使い分けを存分に楽しんでいただければと。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_13
TPのゲージが取り除かれたことで、ゲージ全体の見た目がすっきりとした。

メインパラメータとマテリアシステムの変更

 タンクの装備更新の難度がほかのロールよりも高いという課題を克服すべく、今回の措置を行うことにしました。具体的にいうと、現時点で実装されているすべてのアクセサリの性能を変更させていただきます。タンク向けのアクセサリには、VITのほかにSTRを付与。それ以外のロールに関しては、VITが付きます。

 今回の変更により、STRやVITなどメインパラメータが上昇するタイプのマテリアは、今後装着不可になります。これらが装着できなくなったぶん、もとのアクセサリの性能を高めに設定しました。今後は、「まだ4層をクリアーしていないのに、なぜVITが上昇するマテリアを装着しないんだ!」みたいなことが起こらなくなります。

 いままでのタンクは、週制限トークンとの交換で獲得できる装備と、零式の側で手に入る防具の性能よりも、クラフターメイドのアイテムのほうがパラメータが高くなる傾向がありました。この問題を解決すべく、マテリアスロットの数を変更。アクセサリと帯のいわゆる“確定穴”がふたつに増えます。これで明確に、(製作で入手できる防具よりも)週制限トークンおよび零式装備のほうが強くなります。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_14
メインパラメータが上昇するマテリアの排出が停止されることにより、マテリア合成の利用価値がいま以上に高まるはず。

ペットシステムの変更

 ペットシステムにも大きな変更があります。これまでペットには、すぐに倒されないよう、被ダメージを通常の10分の1に減らすなどの対策が講じられてきました。今後のペットは、敵の攻撃をはじめとするアクションのターゲット対象にならなくなります。これにともない、(タンクとしての立ち回りができる)カーバンクル・トパーズとタイタン・エギのアクションの中身が変わります。

 ペットアクションをEXホットバーから削除し、プレイヤーアクションに統合することにしました。また3種類のエギには、クリムゾンサイクロン、大地の守り、エリアルスラッシュといった技を持っていますが、これらをひとつのプレイヤーアクションに集約することで、対応する技をボタンひとつでくり出せるようにしました。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_15
ペットを管理しやすくするために、これらの調整が行われる。
『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_16
共通化されたアクションを使えば、ペットの種類に関係なく同系統の技がくり出せる。

そのほかの変更 その1

 バトルにまつわる各種計算式が、『漆黒のヴィランズ』向けのものに再調整されています。2019年5月29日に、今回のメディアツアーの情報が全世界同時に解禁されます。たくさんのアクションアイコンやヘルプメッセージが明らかになると思うのですが、それらの数値は『漆黒のヴィランズ』用の計算式で決められているので、その大小だけを根拠に「すごく強い!」みたいに判断しないほうがいいのではいのかなと。ぜひ、調整された計算式が基になっていることを念頭に置きつつ、新情報に触れていただければと思います。

 インスタンスダンジョンには、連続でモンスターを倒すとチェインボーナスが加算される仕組みが入っていますが、アイテムレベルの下限で挑むとこのボーナスがすごく増えたりします。作りがとても不思議な感じになっているので、今回システムそのものをなくしました。チェインボーナスで獲得できるはずだった経験値は、そのインスタンスダンジョンに登場するモンスターに振り分けてあるので、以前よりも稼ぎが悪くなることはありません。

 また、レベルキャップの開放ともない、ダメージの上限値が引き上げられます。そろそろケタ数が増えてきたので、『漆黒のヴィランズ』のつぎの拡張パッケージとなる6.0で、数字のケタ数を削るデノミを間違いなく行います。(次期拡張パッケージの存在が明かされたことを受けて)6.0は、僕が生きているあいだにやります(苦笑)。いずれにしても、新規の方からすると訳のわからない数字になってしまうので、数年後に桁数を削減するタイミングが訪れます。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_17
吉田氏はこの資料に書かれた内容を説明する過程で、6.0と呼ばれる『漆黒のヴィランズ』に次ぐ新たな拡張パッケージの存在を明言したのだ。

そのほかの変更 その2

 パーティボーナスの計算式も変更になります。パーティを組むことで“すべてのメインパラメータがX%上昇する”仕組みに変わり、メンバー内のロールの数によってその値が増えるようになります。

 パッチ5.0公開以降に実装されるバトルコンテンツでは、いわゆるファインプレイで増加するリミットゲージの量が以前よりも減っています。なぜそうしたのかといえば、ファインプレイが予期せずに多発した場合、通常よりも早いタイミングでリミットブレイクが発動可能になるからです。その結果、たとえばそのつぎの戦闘でリミットブレイクが使用できるタイミングとのあいだで、ブレが生じてしまうことになります。さらに、ファインプレイの多発を利用してタイムアタックをするみたいな……ちょっと違う遊びになってしまっている面もあるので、そのあたりはパッチ5.0以降から是正したいと思います。くり返しになりますが、4.Xシリーズまでのコンテンツは変わりません。いままで(リミットゲージの意図的な蓄積を)実行できたコンテンツは、そのままできます。

 そして最後にヒーラーの皆さん、お待たせしました。現在発生しているバリアの量が、パーティリストに表示されるようになります。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_18
パーティリストにバリアの残量が表示されているのがわかる。なお黒魔道士のHPゲージの真下に表示されている三角マークは、そのプレイヤーのHPが満タンではないときに表示される“目印”だ。

防御スタンス時も火力が下がらなくなる!

 バトルシステムの変更点を発表した後、いよいよジョブ間のシナジーへの対策と、タンクに関する調整内容が発表された。

ジョブ間シナジーの調整

 パーティメンバーが固定化されていくいまの状況……「特定ジョブが必須だよね」といったところに対応するのが、今回のコンセプトです。全体的に、ジョブ間のシナジーは残っているものの、効果量がかなり減少しています。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_19
パッチ5.0で実施される、シナジーにまつわる調整項目がこちら。

 さらに、ジョブの組み合わせを縛っていた斬、打、突の耐性低下デバフをすべて削除することにしました。今後、「特定ジョブの組み合わせで枠がふたつ埋まるよね」みたいな状況は解消されていくと思います。モンクが肩身の狭い思いをすることもなくなるはずです。今回の措置にともない、それぞれのアクションの効果量がかなり見直されています。また、一部シナジー系アクションの削除も行われます。

 この後、詳しくご説明しますが、踊り子はシナジー系のジョブというよりも、バッファーです。そう聞くと「踊り子が必須になるのでは?」と思うかもしれませんが、そうではありません。

タンク全体の調整内容 その1

 MTとSTというふたつの役割にどう対応するのかという点が以前からの課題でしたが、議論を重ねた結果、マッチングで同系統のタンクが重複してしまったときなどのために、4ジョブすべてがMTとSTのどちらもこなせるようにする、という結論に達しました。

 パーティ全体に対する防御バフ/STがMTを支援する技/自身を守るバフ。この3タイプのアクションは、4つのジョブすべてが持っています。ではどこでそれぞれの違いを出すのかといえば、各ジョブはそれぞれ異なるメカニクスを持っているので、そこで差別化が図られています。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_20
今回の調整により、それぞれのタンクのベース性能が横並びになった。

タンク全体の調整内容 その2

 攻撃スタンスが廃止され、今後はタンクスタンスのオン/オフだけを選ぶことになります。これに合わせて「攻撃力が下がるからタンクスタンスをオンにしたくない!」という事態が起きないよう、タンクスタンスそのものの仕様を変更しました。具体的には、世界中で嫌われている“攻撃力ダウン”の効果がなくなっています。加えて、“被ダメージ軽減”と“最大HP上昇”などの効果も、バランスを取るためにいったん削除してあります。

 タンクスタンスをオンにすることで得られる効果は、“敵視が上昇しやすくなる”だけですが、どの攻撃を行っても敵視が高められるようになります。つまり、MTが常時タンクスタンスを入れ続けたとしても何らデメリットはありません。“被ダメージ軽減”については、特性の側に(同様の効果が)再設定されています。タンクマスタリーという特性によって、常に自身の被ダメージが20%軽減される状態になっています。加えて、最大HPと与ダメージにタンク専用の計算補正が掛かるようにもなります。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_21
“攻撃力ダウン”が削除されたことで、タンクの火力がスタンスの有無に左右されなくなった。

タンク全体の調整内容 その3

「敵視を高めるためにはこの技をやらなければならないが、DPSが下がってしまう」という状況が起こらないよう、敵視を高めるためのコンボも廃止。これによって、MTとSTのどちらを担当していたとしても、同じスキルローテーションでプレイできるようになります。

 敵視を高めたいときはタンクスタンスをオン。自身を守りたいときは防御バフを利用。パーティ全体をカバーしたいときはパーティ向けの防御バフを使用。ST時はMT支援用の技を発動。それ以外の状況下では、コンテンツのタイムラインに合わせて最高のスキルローテーションをくり返してDPSを出す。世界中のタンクが理想とする状況が生み出せるのではないかなと思っています。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_22
吉田氏によれば、タンクスタンス実行時の敵視上昇の割合を「すごく高くした」とのこと。

ナイトの調整内容

 忠義の剣が削除されますが、プレイ感自体はさほど大きく変わっていません。そのほかに大きなところでいえば、ライオットソードを実行して新たなバフが付与されると、魔法の詠唱時間がなくなります。またシェルトロンの効果が“一度だけ”ではなく、“一定時間”に変わりました。レイジ・オブ・ハルオーネは廃止ではなく、(一定レベル到達時に)より上位の技に置き換わるはずです。

戦士の調整内容

 戦士も(攻撃スタンスの)デストロイヤーがなくなってはいるものの、以前と比較してプレイ感に変化が生じないようにしてあります。ウォークライを実行すると原初の混沌というステータスが付与され、これを消費することで発動できる技はフェルクリーヴよりも強力なものになっています。4つのタンクが持つ技のなかで、もっとも強いのではないかなと。

暗黒騎士の調整内容

 ダークアーツがなくなった点がいちばん大きいと思います。パーティ全体を守るバフを所持するほか、“内なる自分”を引き出していっしょに戦うこともできます。

ガンブレイカーの特徴

 斬る際にトリガーを引くところが『FF』のガンブレードらしさなので、そこをソイルというものに見立てて、“手ごたえ”が感じられるよう作られています。

 いわゆる3段コンボを決めると、ソイルが蓄積。ソイルの有無などに応じて(コンボの)ルートがどんどん変わっていくので、遊び心地がほかのタンクとまったく違います。無敵技や突進技がくり出せるほか、(自身に)リジェネが掛かる技もあります。慣れるまで難しいかもしれませんが、やればやるほど味が出てくるジョブです。

占星術師のカードが劇的に変化!

『漆黒のヴィランズ』のリリースを機に、ヒーラーにも大幅な調整が加えられる。その具体的な中身を見ていこう。

ヒーラー全体の調整内容

 ヒーラーとして、3ジョブが横並びになるよう徹底的に調整しました。それぞれのジョブに足りていない部分を強化することで、ヒール面の不足を補う……そうした点に主眼が置かれています。もちろん、攻撃力における(ジョブ間の)バランスも見直されています。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_23
光の戦士たちを長年支えてくれたプロテスが『FFXIV』を卒業することに。

白魔道士の調整内容

 ヒーリングリリーが、時間の経過とともに花開くようになります。また、強力な回復魔法の多くが長めのキャストを必要とするため、白魔道士はほかのヒーラーにくらべて移動が遅めでした。ひとつひとつの行動が出遅れがちだったので、インスタント系の回復を大幅に強化することで、移動しながらヒールを撒けるようになっています。これにより、そのつぎの一手……たとえば回復や攻撃などの準備がやりやすくなるはずです。

 高レベル帯では、ヒーリングリリーの消費に合わせて、新たに追加されたブラックリリーが成長。そこから強力な攻撃魔法が撃てたりすることもあるようです。

学者の調整内容

 基本性能は大きく変わっていません。これまではバリア系のヒールが多めだったので、今回はダイレクトに味方のHPを回復できるアクションが加わっています。(バリアを展開した後)ほかのヒーラーに仕事を任せるのではなく、学者もダイレクト系のヒールを実行。お互いに支え合うといったところが重要になります。

 セレネとエオスの能力がまったく同じになったので、見た目の好みで選んでいただければと。またフェアリーよりも回復能力の高いセラフィムが、一定時間召喚できるようになりました。これを活用すれば、ボスがくり出す強力な攻撃により対処しやすくなるはず。なお、マクロを使って光の癒しを連打する方がいらっしゃいますが、プレイ感があまりよくないので、こちらはできないようにさせていただきました。

占星術師の調整内容

 カードの効果が全部変わりました。すべてのカードが、与ダメージが上昇するタイプになっています。もちろん“誰に使うか”というところは残してあるので、カードを引き直したりする局面も当然残されています。

 ドローと(カードの効果を発動させる)プレイのリキャストを分けたので、(ドローしたい局面とプレイしたい)局面がかち合ってしまうことがなくなっています。双方のスタンスに調整が加えられているうえ、一定時間どちらのスタンスも使えたりするハイレベルなアクションも入っています。

機工士がメカを駆使するタイプに生まれ変わった

 ここからは、DPSへの調整の中身を振り返っていく。今回のバランス調整でもっとも大きな変貌を遂げるジョブは、機工士のようだ。

DPS全体の調整コンセプト

 調整の方向性が大きくふたつに分かれています。ひとつは、すんなりと正統的な進化を遂げたタイプ。モンク、竜騎士、忍者、侍、黒魔道士がこれに該当します。もうひとつは、規模の大小はあるにせよ、メカニクスが変化したタイプ。吟遊詩人、機工士、召喚士がこのグループに入ります。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_24
メカニクスの再構築が行われる3つのジョブは、より大きな変貌を遂げる。

モンクの調整内容

 疾風迅雷の4段階目が実装。当該の構えを使ったときに、4段階目が開放されます。疾風迅雷を進化させると、アクションが早くなりすぎるために、モンクを使いこなせる人とそうでない人とのあいだでDPSの格差が開くのではないか……この点を懸念して、パッチ4.0で4段階目の実装を見送った経緯があります。

 ですが、使っていて楽しくない状況は避けるべきと考え、プレイヤーのリクエストに素直に応える形にしたうえで、DPSの格差が開かないよう気を配りました。たとえば、疾風迅雷の効果が切れると火力が一気にダウンしてしまうので、そうならないよう疾風迅雷を維持するための構えを用意する……そういった調整が行われています。

 パッチ5.0の時点ではまだ大丈夫かと思いますが、おそらくパッチ5.4くらいまでアップデートが進むと、(装備の更新によって)スキルスピードがかなり速くなるはず。お気を付けください。

竜騎士の調整内容

 ヘヴィスラストの廃止により、スキルローテーションが簡易化されます。ほかにもミラージュダイブの発動条件が変わっていたり、ジャンプの高速化が図られていたりと、基本的に使いやすくするための真っすぐな調整が行われています。

侍の調整内容

 侍はもともと使いやすさを目指して開発されたジョブなので、プレイ感覚が大きく変わらないよう正統進化を心掛けました。閃を剣気に変換できる葉隠の存在がリソース管理を複雑にしていたので、こちらを削除。乱れ雪月花の発動回数が増える方向へ進んでいます。

忍者の調整内容

 タンクロールのスタンスに関する仕様変更にともない、敵視を操作するタイプのアクションが軒並み削除されています。目新しいところでいえば、特定の状況下で使える上位忍術や、影分身が入ったりしています。また活殺自在がチャージアクションになっています。

黒魔道士の調整内容

 目新しい要素として挙げられるのは、アンブラルソウルです。アンブラルブリザードの状態でこれを実行すると、アンブラルハートのスタック数が増えていきます。黒魔道士は敵が(ジャンプするなどして画面内に)いない状況が続くと火力が一気に落ちてしまいますが、これを使えばカバー可能です。

 ほかに大きなところでいえば、最上位の魔法が入っていたりですとか、地味ですがアストラルファイアの時間が延びていたりもしています。あとは、ポリグロットがふたつまでスタックするようになりました。これにともない、ポリグロットを消費する、即時発動系の単体魔法が追加されています。このように、移動中でもできるだけ魔法が唱えられる状態が維持できる……そんな方向で調整が加えられています。

 あとは、MPがゼロの状態でもブリザガが撃てるようになっていますし、“単体の敵にしか当たらないフレア”みたいな魔法も追加されています。ちなみに、キャスターのロールアクションからマナシフトがなくなりました。

赤魔道士の調整内容

 基本的には正統進化です。バランスゲージを消費して発動するインスタント系のアクションが追加されたので、移動中の攻撃手段がひとつ増えています。またデプラスマンとリキャストを共有する、その場で一回転して殴る技が追加されました。後方にジャンプするとステージから落ちそうなときは、こちらをご活用ください。なお、今回はどのジョブにも範囲攻撃のためのスキルローテーションが用意されています。

機工士の調整内容

 申し訳ありません、ほぼ新ジョブになりました。ヒートゲージを始めとする、煩雑かつ複雑だった部分を改修。仕組みを理解したとしてもおもしろくなかったところも、大きく変えてあります。ほかのジョブにも当てはまることですが、ゲージに関しては、溜まることでうれしさが感じられるよう調整しています。

 新しいところでいえば、ヒートゲージとバッテリーゲージのふたつを蓄積することで、ロボットを呼び出したりできます。現状はガンナーのイメージが強く押し出されていますが、改めて機工士の再定義を実施。いろんなメカを駆使するタイプのジョブに生まれ変わりました。さまざまな武器を取り出して炎を吹いたり、ドリルを飛ばしたり、ときにはロボットまで呼び出せる……そんなジョブになっています。ガウスバレルと特殊弾のふたつは、ともになくなりました。

召喚士の調整内容

 ルインジャの使用可能条件が、“ペットがアクションを実行したとき”になったので、(使用タイミングを)自身でコントロールしやすくなりました。また、サモンがすべてインスタントになったので、使用するエギを瞬時に切り替えられるようになっています。戦況に応じてどんどんエギを替えて、最適なペットアクションを実行。ときにはバハムートを呼び出し、それができないときにはフェニックスを召喚する……そんなイメージです。

 あとは、エーテルフローを最大まで溜めたうえで戦闘を開始しなければならないところも、そうしなくて済むようメカニクスを変えてあります。

吟遊詩人の調整内容

 遊び自体は大きく変わっていません。現状の問題点を解消し、遊びやすくするのが今回のテーマです。代表的なところでいえば、戦歌から“パーティメンバーのクリティカル発動率アップ”の効果がなくなっています。一方で詩心は、これまでクリティカルヒット発動時に付与されていましたが、DoT(継続ダメージ)による攻撃がProc(追加効果)すると溜まるようになります。

 このようにストレスを減らしつつ、使い勝手がよくなるよう調整が加えられています。なお高レベルになると、ソウルボイスゲージが追加。これを消費することで、さらに強力なアクションが発動可能になります。

踊り子の特徴

 基本的にはバッファーです。ジョブのコンセプトは“ダンスやステップ”で、“パートナーを組む”という新たな仕組みが入っています。踊り子本人と、任意に選択した仲間とのあいだでバフをアップさせていき、その相手の行動によって自身のゲージが溜まっていく……そんなイメージです。
 2種類のステップで構成されているスタンダードステップと、4つのステップから成るテクニカルステップが存在。これらを実行すると、ステップだけが行え(るモードに突入し)ます。(規定時間内にボタンを押して)指定された通りの順番でステップを踏むとバフが発動。ダンスパートナーにも同じ効果が付与されます。そうしてバフの効果時間が終わりに近づいてきたら、改めてステップを踏みなおす……これが基本になります。

 自身を中心とする範囲攻撃と遠距離攻撃のどちらも使えるので、近づいたり離れたりがすごく重要になります。いままでにないシステムなので一見すると難しそうに感じられますが、アクションそのものはシンプルなので、慣れれば楽しくステップできるはず。今回のメディアツアーでは、「あのリズムアクションゲームのようだ!」と言ってすごく踊り子を気に入ってくれた方が多かったです。ステップ(の入力スピード)が少しずつ速くなっていくので、すごくテンポよくプレイできます。

 ダンスパートナーがウェポンスキルを成功させたりすると自身のエスプリゲージが溜まっていき、これを消費することで“剣の舞い”みたいな強力な技がくり出せます。ダンスしているだけでも楽しいので、ぜひレベリングしてみてください。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_25
ダンスパートナーに指定した相手に、その状態を示すバフが付与されているのがわかる。

『FFXIV』のオケコンが帰ってくる!

 ここからは、プロデューサーレターLIVE恒例のお知らせコーナーに突入。今回もビッグニュースが発表されている。

『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_26
2019年6月12日に開幕するE3 2019年に、『FFXIV』が出展。
『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_27
次回プロデューサーレターLIVEは、2019年6月15日に放送予定。
『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_28
左手用のゲーミングデバイスが、『FFXIV』開発チームの完全監修によって誕生。発売元のホリは「何とか10000円以内に収めたい」と話していたとのこと。
『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_29
交響組曲エオルゼアの2年ぶりの開催が決定! チケットは6月下旬ごろ発売予定だ。
『漆黒のヴィランズ』ジョブ調整の内容を総まとめ。“6.0”の存在もまさかの発表!『FFXIV』プロデューサーレターLIVE_30
ロスガル族とヴィエラ族のキャラクタークリエイションが楽しめる、『漆黒のヴィランズ』ベンチマークソフトが現在公開中。

 この日に発表された新情報は、以上の通り。バトルシステムの大規模な調整が行われるのは、『紅蓮のリベレーター』のリリース以来、約2年ぶり。『漆黒のヴィランズ』発売を機に、戦闘シーンのありかたがガラリと変わることになる。本記事で紹介した発表内容を踏まえたうえで、「この仕組みならばこうなるはず」みたいな感じで、新たに幕を開ける“レベル80時代”のバトルはどのようなものになるのか、いろいろ想像してみるといいだろう。そんな楽しみかたができるのは、拡張パッケージの発売を目前に控えたいまだけのはずだ。