2019年4月26日より、『Fate/Grand Order』×リアル脱出ゲーム“謎特異点II ピラミッドからの脱出”の東京公演が開始。本記事では、東京公演の前日に行われたプレス向け体験会の模様と記者の感想をお届けします。

 “謎特異点II ピラミッドからの脱出”は、前作“謎特異点I ベーカー街からの脱出”の反響を受けて制作された完全新作のリアル脱出ゲーム。舞台がベーカー街からピラミッドに変わり、登場サーヴァントも一新されています。

 プレイヤーは人理継続保障機関・カルデアのマスターとなり、6人1組で様々な謎を解き明かしながらピラミッドからの脱出を目指します。制限時間はなんと60分。

 筆者は前作“謎特異点I ベーカー街からの脱出”で最後の大謎にまんまと騙され、脱出失敗してしまった凡庸マスターです。当時、「謎特異点IIがあったら絶対に脱出してみせる!」と心に誓いましたが、果たして今回は脱出できたのでしょうか?

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前作から数段パワーアップしたマスター体験に脱帽

 公演が始まると、SCRAPスタッフによる前説で『FGO』固有の用語や脱出に関わる設定、目的などを丁寧に解説してくれます。『FGO』のことをまったく知らない人であってもしっかりと楽しめるように工夫されているので、ご安心ください。

 前説からすでに公演は始まっており、1人1人が右手に令呪のシールを貼ったり、有名な召喚時のセリフを全員で声に出して唱えてサーヴァントを召喚したりと、とにかく“自分はマスターであり、これからエジプトの特異点を修復するんだ”と強く意識させるような演出が随所に散りばめられており、テンションが上がります。

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前作と同じく「お疲れさまです、マスター!」と出迎えてくれるカルデア職員たち。これもマスター体験の一部です。
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令呪は男性バージョンと女性バージョンが用意。筆者はせっかくなので女性バージョンを選択しました。

 全編フルボイスの冒頭ストーリーを見終えてからのレイシフト。そしてテーブルの上にシートで隠されていた脱出のためのキットを確認すると……この先はネタバレになってしまうので何も書けません(笑)。ただ、筆者はあまりの衝撃に「うわぁ、これどうすんの……」と思考停止してしまい、1~2分ほど立ちつくしてしまいました。あれは本当にヤバイ。

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 筆者のチームの結果は、あと一歩、いや二歩三歩手前のところで時間切れ。一応最終問題の答えを出すことには出しましたが、そこはSCRAPさんが手がけるリアル脱出ゲーム。制限時間に追われ、冷静でなくなった頭が導き出した答えが正解なはずがありませんね。この失敗、前回もやりました(笑)。

 ちなみに筆者が体験した回は全14チームが参加して、脱出できたのは1チームだけでした。前の時間の回でも14チームが参加し、2チームしか脱出できなかったといいますから、前作よりも謎の質が高かったのだと言えるでしょう。謎と書いてファラオと読む。オジマンディアスさまマジファラオ。

 誤解を招いてしまうともったいないので少し補足すると、前作よりも専門的な知識が求められるとか、意地悪な仕掛けだとかそういった類のものではありません。むしろ謎そのもの自体は前回よりも簡単かも。より閃きと注意力が求められる内容でした。

 エンディングまで見終えた感想をネタバレなしで語るとすると、「本当に最高だった!」としか言いようがありません。シナリオ、演出、謎、仕掛け、マスター体験、すべてが前作を上回っていました。

 シナリオは前作よりもボリュームがあり、オジマンディアス様に深く関わる内容で、最後は涙なしにはスクリーンを見ていられません。チェックポイントを回る時の演出も映像付きかつフルボイスとなって大幅に強化され、マスター体験にかなりこだわって作られていると肌で感じました。

 前作では宝具の要素が少なかったですが、今作ではサーヴァントの代名詞といえる宝具が大活躍するところも素晴らしい。チェックポイントでは原作の有名なシーンを彷彿とさせる展開もあって、ニヤニヤしてしまいました。

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筆者が召喚したのはアヴィケブロン先生でした。全員の宝具効果はしっかりと確認しておくことをオススメします。

 最後の大謎も、前作を体験しているので「ここで何かあるはず!」とわかってはいるんです。わかってはいるんですけど、刻々と時間が迫っている焦りからか、用意された不正解ルートにするすると入ってしまうんですよね(笑)。

 世の中の謎解き系の仕掛けは「なんでそうなるの?」と疑問に感じてしまうものもありますが、本公演はそんなことはなく「そうきたか!」と納得できるもの。前回とは別パターンかつもうひとひねり加えられていて、作り上げたスタッフの皆さんと、正解にたどり着いたチームに心からの拍手を送ることができました。

 筆者は1人で参加したのですが、ひとたびリアル脱出ゲームが始まれば初めて出会った仲間と一瞬で仲良くなり、協力して特異点の修復を目指すことができました。この一体感が本当に楽しい。周りに一緒に行く人がいないから参加しにくいと思っている方、全然心配いりませんよ! 気軽に参加してみましょう。公演をきっかけに、新しい友達ができるかもしれません。

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公演が終わるとフォトスポットが開放。オジマンディアスとニトクリスと一緒に記念撮影はいかが?

バスター石倉氏と平井真貴氏が前作との違いや裏話を語る

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 公演終了後に行われた、“FGOスタジオ”のスタジオ長であり同作のマーケティングディレクター・バスター石倉氏とSCRAP シナリオ・コンテンツ制作ディレクターの平井真貴氏によるトークショーの模様をお届けします。

謎特異点IIのコンセプトと前作との違い

 前作“謎特異点I ベーカー街からの脱出”は1作目ということで“わかりやすさ”をコンセプトに推理物をモチーフに制作。一方、本作ではピラミッドから脱出するアクション物を意識して作ったそうです。

 最初にわかりやすいテーマを設けたことで、次作を生み出すのにとても苦労したと語る平井氏。実は30個ほどテーマ案を出し、それでも決まらずに10~20個の案を作った結果、やっと決まったのが“ピラミッドからの脱出”だったそうです。

 ユーザーアンケートも大いに参考にしたそうなので、公演後に配られるアンケートには次作への要望をしっかり記入することをオススメします。

 ちなみに本作の難易度については、1公演で2~3チームの正解を出すつもりで設計したとのこと。先行体験会では合計60チームが参加して8チームしか脱出できていないため、平井氏は少し難しかったかもしれないと振り返りつつも、会場から「難しい」と声が上がっているのを聞いて、その声が気持ちいいですねとコメントしました。

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 ここで前作との違いについての話題に。謎特異点Iとの違い、それは会場の数で、前作は全国5箇所での開催、今作では全国7箇所に拡大されました。新しく増えたのは仙台と岡山の2箇所で、特に仙台は“FGO 冬祭り”が開催されたこともあったため熱が高く、マスターからの要望の声が大きかったそうです。

謎特異点IIの魅力は史上最大級のゲームキット

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 自分が本当にマスターとなり、どういった冒険をするかが制作基準だったという本作は、キービジュアルで主人公たちに冒険映画風の格好をさせて冒険感を演出。演出が得意なディレクターの手で令呪を1人1人に用意するなど、マスター体験を強化するアイデアを随所に盛り込んだそうです。

 前作でもボイスが流れるたびに声が上がっていましたが、今作でも全編オリジナルのフルボイス。奈須きのこさんと桜井光さんなどのライター監修の元、オープニングとエンディングのシナリオを前作よりも長めに用意したそうです。

 今作のキーとなっているオジマンディアスについて平井氏は、女子の期待を一身に集めており、味方にいると絶対に勝てる安心感があり、敵対した時はその逆と、どのように物語を進めていくか悩みながら、制作を進めていことを明かしました。

 プロット段階で何度もリテイクが発生し、3~4回ほどやり直して、一番オジマンディアスがカッコよく見えるシナリオに仕上げたそうです。

 そして平井氏がもっとも推したい謎特異点IIの魅力は、圧倒的なスケール感。リアル脱出ゲーム史上最大級のゲームキットによる、冒頭の物量の絶望感を楽しんでほしいとコメントしました。

謎特異点IIIはあるのか?

 石倉氏から平井氏へ謎特異点IIIについての質問も。平井氏は謎特異点IIがまだ始まってもいないのに未来の話になったことに戸惑っている様子でしたが、まだまだネタもあり、アンケートを見れば見るほどネタが増えるため、やろうと思えば無限にやれるとコメント。

 それを受けて石倉氏から、今年の冬には“謎特異点III”を開催したいと無茶振りが。平井氏はIIでやりきれなかったことをIIIで実現したいこと、そして開催箇所をもっと増やしたいことなどの意気込みを語り、好評であれば新作を作れるので、体験したマスターたちに感想Tweetなどの宣伝活動を打診していました。

 最後に石倉氏から「ようやく謎特異点IIにたどり着きました。今後もIII、IV、Vと続けて全国の開催場所も広げていきたいと思っているのでご支援お願いします」、平井氏から「謎特異点Iとはまったく違う新しい“FGO脱出体験”を、さらにリアル脱出ゲームとしても新しい体験を目指して制作しました。ぜひ『FGO』を知らない人も来場してください」とメッセージが送られ、トークステージは終了となりました。

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入口にはチョークで描いたダ・ヴィンチちゃんのイラストも。