映像ストリーミングサービスのNetflixが、イギリスのSFドラマ『ブラック・ミラー』の最新話『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』を公開した。

 『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』の舞台は1984年。ゲームクリエイターを志す青年ステファンが、"タッカーソフト”というゲームメーカーに『バンダースナッチ』なる小説原作のアドベンチャーゲームを持ち込みに行く所から始まる。

 『ブラック・ミラー』では過去にもゲーム開発ネタのエピソード(シーズン3第2話“拡張現実ゲーム”)があったが、今回は放送形式までゲーム仕立て。なんと「どっちのカセットテープを聴く?」とか「オファーを受ける? 断る?」といった選択肢を選ぶことで話が分岐していく、往年のゲームブックやレーザーディスクゲームを思い起こさせるインタラクティブドラマなのだ。

 もちろん、技術によって少しブッ壊れたディストピアを見せてくれる『ブラック・ミラー』のこと、話が再スタートしたり、選択肢によって終了したり、段々ヤバい方向に進んだりするのだが、ここではコレ以上の具体的なネタバレは避けよう。なお過去の選択肢にさかのぼって選び直すことも可能だ。

NetflixがSFドラマ『ブラック・ミラー』最新話"バンダースナッチ”を公開。なんとゲームブックのように選択肢で分岐するインタラクティブドラマ!_01
さてどっちを聴くか? ちなみにゲーム機などで視聴した場合は、選択肢登場前にコントローラーの振動で予告してくれたりする。

 『ブラック・ミラー』の初期作はかつて英BBCで放送されていたが、このようなストリーミング技術を応用した分岐つきのインタラクティブドラマをBBCでやるのは難しかっただろう。でもNetflixなら、論理的には選択肢に合わせてその視聴者に配信する映像データを切り替えればいいだけだ。

 実はNetflixがインタラクティブドラマを制作・配信するのは今回が初めてというわけではなく、過去には『マインクラフト』からスピンオフしたアドベンチャーゲーム『Minecraft: Story Mode』のインタラクティブドラマ版や、いくつかの子供向けコンテンツをこの形式で配信している。

 ちなみにNetflix以外でも映像ストリーミング技術を応用した(既存のゲームを移植するクラウドゲーミングとは違った形の)インタラクティブドラマはいろいろと模索されており、例えばインタラクティブ映像配信サービスのEkoでは、名作インディーアドベンチャー『Her Story』のSam Barlow氏を起用した『#Wargames』が公開されている。最新ドラマを「プレイする」のはそう珍しくなくなっていくのかもしれない。

 さて『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』に話を戻そう。実は本編終了後に仕込まれたイースターエッグ(隠し要素)として、作中に登場するタッカーソフトのホームページが公開されているのが海外ファンによって発見されている。サイトでは『バンダースナッチ』をはじめとするソフトの製品ページや、求人広告などを閲覧可能だ。

 その中に、こちらもドラマで登場するゲーム『Nohzdyve』のZX Spectrum(往年のホームコンピューター)用のゲームファイルが公開されており、ZX Spectrum用のエミュレーターで本当にプレイ可能。思いっきりレトロな内容だが、気分を1984年のインタラクティブドラマ迷路にブチ込むためにチェックしてみてはいかがだろうか。

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イースターエッグを見つけると辿り着けるタッカーソフトの“公式サイト”には『バンダースナッチ』の製品ページも。
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劇中に登場する、先輩ゲームデザイナーのコリンによる新作『Nohzdyve』は、なんとZX Spectrumのエミュレーターでプレイできるファイルが公開されている。