2018年11月22日に発売された、プレイステーション4用ソフト『シェンムー I&II』。その発売を記念して、当時、芭月 巌役を演じられた、俳優・武道家の藤岡弘、氏にコメントいただいた。当時の思い出や、巌役に込めた熱い想いなどを語っていただいた。(※ほかの出演者&制作陣の発売記念コメントは下記の関連記事をチェック!)

『シェンムー』で厳格な父・芭月巌を演じた藤岡弘、が当時の思い出や若者へのメッセージを語る! 『シェンムー I&II』、シロ!!_02
『シェンムー』で厳格な父・芭月巌を演じた藤岡弘、が当時の思い出や若者へのメッセージを語る! 『シェンムー I&II』、シロ!!_01

Q 『シェンムー』に関する感想をお聞かせください。

 いやぁ、『シェンムー』ですか、懐かしいですね。あの時代としては、本当に衝撃的なゲーム内容だったものですから、私としても完成がとても楽しみでした。ゲームの詳細を聞くと、国境を超えた物語を描くということで、それはもう壮大なスケールなゲームだったものですから。

 当時としては画期的なモーションキャプチャーという技術が取り入れられ、私の武道の型なども、そのままゲームに登場しました。当時のゲーム会社が、いかに斬新なゲームを作ろうかと模索する中で、鈴木裕さんは一気に先へ向かったわけです。収録の際にスタッフの皆さんとお会いしましたが、その皆さんも“ゲーム業界の新しい道を切り拓くんだ”という、ひとつの目標への向かうパワーに満ち溢れていました。全員でひとつの大きな夢に突っ走っていくような、そんなエネルギーをスタッフの皆さんから感じられて、とてもワクワクしていましたよ。そこに私が関われたというのは、本当に光栄なことです。

 私は6歳のころから厳格な父に武道を叩き込まれ、俳優の前に武道家としての道を歩み始めました。非常に、自分と重なる境遇というか、シチュエーションでしたので、そこから俳優として巌を演じさせていただき、今度は私が逆の立場から、涼に武道の精神を伝えなくては……と、より一層強い思いで取り組んだので、とても感慨深いです。

 当時、私は俳優としては広く活動していましたが、父から継承した流派である“藤岡流”はそこまで掲げておらず、ひとりの武道家としての活動は、たとえばその肩書きでテレビに出演するといったことは、表立ってやっていなかったんですよ。ですが、『シェンムー』では俳優としてだけでなく、ひとりの武道家として注目していただけたのも光栄なことでした。

 当時私は世界を回って、数多くの武道の公演をやっていました。多くの国々で私の武道を見てもらっていたのですが、なんというか、とても反応がいいんですよね。武道というものは、これほどまでに世界中の注目と感心があるのかと。『シェンムー』は武道がテーマのひとつでもありますから、これは海外の方々にも受け入れてもらえるだろう、という予感がありました。だからこ、武士道精神、武士道スピリッツ、あるいは侍魂……。それらを私の武道を通してだけでなく、ゲームを通して感じてほしい、という想いを巌に込めました。

 巌は私の父のように、頑としてゆるぎない1本の芯を持ち、逃げない、負けない、屈しない、諦めない、何が起きてもブレない、真(まこと)の男です。その強さを、未来を切り拓いていく主人公・涼に伝えたいと思い、巌を演じました。そして、涼だけでなく、『シェンムー』をプレイした若者たちにも伝えたかったんです。

Q 今回『シェンムー』を初めてプレイする、若いプレイヤーたちへ向けて、メッセージをお願いします。

 いま日本は、平成の世が終わろうというなか、大転換期を迎えております。日本人よ、この局面を超えねばならない。いまこそ真価が問われているぞ! と。その骨幹で重要となるのが、武士道スピリッツであります。当時『シェンムー』に込めた想いを、いまの若者たちにもぜひ届けたい。若者たちよ、真剣に取り組んでいるものはあるか。命懸けで打ち込んでいるものがあるのか! 『シェンムーI&II』、シロ!