2018年11月22日に発売された、プレイステーション4用ソフト『シェンムー I&II』。その発売を記念して、オリジナル版の制作に関わったスタッフたち、そして出演者たちにコメントいただいた。昔の思い出や、当時の苦労などがたっぷりと語られているので、ご注目を!(※藤岡弘、さんの発売記念コメントは下記をチェック!)

『シェンムー I&II』発売記念! 松風雅也、櫻井孝宏など出演者&冲方 丁、光吉猛修など制作陣から到着したコメントを公開!_11

松風雅也さん

芭月 涼役

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芭月涼は、まさに僕の分身です

 ゲームセンターが今より華やかなころ、アーケードゲームのヒットメーカーである鈴木 裕さんが、家庭用ゲームを作ることになりました。映像畑の役者を集めての大規模なオーディションがあり、当時メガレンジャーだった私は、そこで初めて裕さんに会います。

 当初は『バーチャファイター』のRPGとしてのスタートでしたが、その世界初のゲーム方式は“FREE”(※)と名づけられ、いまでは“オープンワールド”と呼ばれています。裕さんは「すべて自由、当たり前のことを当たり前に起こす」という理想を持ち、数百人のスタッフとともに、誰も見たことのない世界作りに挑みました。

 私は主人公・芭月涼のモーションキャプチャーとセリフを担当。座る、歩くなどの基本動作や、QTEイベントで涼が殴る、もしくは殴られるといった動き。彼が高いところから落ちるときは、私も落ちています。高さ15メートル! となると死んでしまうので、低いところから落ちたモーションデータを伸ばしたり、空中に吊られて落ちているモーションを収録したり。セリフも毎回、話しかけかたが少しずつ変わるので、何度も話しかける人用の、プレイヤーにはほぼ聞かれないであろうセリフもすべて収録。それはそれは、膨大な収録量でした。

 スミソニアン博物館に作品が展示されている鈴木 裕さんが、さらにゲーム史を塗り替えた伝説の作品。しかも、長き旅は『シェンムーIII』へと続いています。本物の伝説を、こんなお手ごろ価格で手に入れられることはめったにありません。皆さん、ぜひどうぞ。

※FREE……“Full Reactive Eyes Entertainment”の略。

櫻井孝宏さん

藍帝、ゴロー、ユアン役など

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再始動に興奮しております

 出演者数名は当初、開発をサポートするテストボイス用のキャストでした。そこから僕は、藍帝、ゴロー、ユアン役などなど……ほかにもさまざまなキャラクターにチャレンジさせていただき、新人の自分にとっては貴重な経験の場となりました。セガ3号館スタジオは、忘れられない場所です。長い時を経て再び動き始めたシェンムー……。奇跡のような再始動、HD化に興奮しております。

安 めぐみさん

原崎 望役

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いまならうまく演じられるはず!(笑)

 私は『シェンムー 一章 横須賀』のヒロイン・原崎望の声を担当させていただきました。10代のときに声優に初挑戦ということで、とてもガチガチに緊張して収録したのを覚えています。きっといまなら、もうちょっと上手にできるはず……! もしまた機会があれば、よろしくお願いします(笑)。これからも『シェンムー』を応援しております!!

大谷育江さん

薫芳梅役

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掛け合いでのセリフ収録が印象的でした

 『シェンムーII』!! ゲームの収録にしては珍しく、お相手の顔の見える位置にマイクが配置されて、掛け合いでのセリフ収録があった覚えがあります。もちろん、超リアルなかわいい表情の、芳梅ちゃんの映像も見ながら! 細かい部分は記憶が曖昧なところもあるのですが、映像がきれいで、ドラマに出演しているかのような錯覚に陥った覚えがあるので、とても印象的な作品です。ただ、できあがりのゲームの中でうまく会えた記憶はないのだけれど……(苦笑)。

夏樹リオさん

ジョイ役

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貴重な経験をさせてくれました

 『シェンムーII』には、いっぱい思い出があります! シナリオ量が多いので、スタジオにたくさん通いましたし(笑)。待機部屋があって、出番待ちのあいだにほかの役者さんと仲よくなり、いろいろなお話が聞けました。ジョイ役で思い出深いのは、やっぱり中国語です。発音指導の方がついてくださったんですが、「マー」の発音だけでも何種類もあって……。試し読みだとオーケーがいただけるんですが、感情が入ると首をかしげられたりして(笑)。本当に、思い出深い作品です。

冲方 丁氏

小説家、脚本家(当時シナリオを担当)

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“ゲーム業界のベトナム戦争”も、いまは昔

 思い出深きは“ドブ板”という言葉。その地から主人公を旅立たせる物語を築くべく、延べ数十人……いえ、顔も知らない方々を含めれば、数百人もが関わったのだということを改めて思い出します。早すぎたシステム、360 °自由に移動できるマップ、あの当時の技術では遠すぎたゴール……。“ゲーム業界のベトナム戦争”と呼ばれた過酷な現場も、いまは昔。テクノロジーの発達が、あのころ果たせなかった物語を進ませるのだと思うと、いろいろと込み上げます。『シェンムーIII』にも期待!

名越稔洋氏

セガゲームス 取締役CPO

セガのチャレンジ精神の象徴

 たくさんの思い出の詰まったプロジェクトでしたね。正直に言うと、苦労したことばかりが思い起こされます。しかし、“誰も見たことのないRPGを作る”。その大きな目標を掲げつつ、またその目標に対して真正面から挑戦したプロジェクトであり、セガがハード事業に取り組んでいた時代に最後に生み出した未完の大作は、まさにセガのチャレンジ精神の象徴でした。私自身、学んだことが多いプロジェクトであり、いまでもその学びはいろいろな場面で生かされていると思います。

光吉猛修氏

セガ・インタラクティブ 第三研究開発本部 開発一部 サウンドセクションチーフクリエイター/ボーカリスト 光吉猛修

現地取材で得たインスピレーション

 『シェンムー 一章 横須賀』にてサウンドディレクターを担当しました光吉です。忘れられない思い出としましては、開発当初、涼が歩む道を実際にたどろうと、中国にチームで赴いた取材旅行でしょうか。当時、海外に慣れていなかった私は水に当たってしまい、本当に苦しみながらの旅程ではあったものの、機内から見下ろした眺めでメロディーが思い浮かび、紫禁城を天壇公園から眺めながら涙が溢れ、そんな中で生まれた音楽もやはりいろいろな感情が入り混じった、独特の響きを奏でているのでは、と思っています。

高木保浩氏

セガ・インタラクティブ 第三研究開発本部 開発一部 サウンドセクション セクションマネージャー

シーンへの音楽のあてかたにご注目を!

 『シェンムー 一章 横須賀』の後期から開発に従事し、その流れで『シェンムーII』のサウンドディレクションを担当しました。サウンド開発の問題点がすでに見えていたことや、楽曲ストックも相当数あったこと、優秀なサウンドスタッフを10名規模で任せていただけたことなど鑑みると、かなりたいへんだったとはいえ恵まれた環境だったんだなと、いま振り返ってみて思います。開発中に上がってくる楽曲は良曲ばかりでしたので、シーンへのあてかたについては、かなりこだわりを持って取り組ませていただきました。そういった部分も楽しんでいただけますと幸いです。

宮脇謙史氏

『シェンムー I&II』キャラクターデザイン

濃いキャラクターたちを描く日々

 20年前のことですが、キャラクターデザインを担当させていただいた当時のことは、いまでもはっきりと覚えております。個性が強くてインパクトのあるキャラクターを鈴木 裕さんが望まれていましたので、おのずと濃いキャラクターばかりを描いておりました。モブも含めて、個性的なキャラが続々とモデリングされ、気がつけば、ほかのゲームではあり得ないほど濃い人物が溢れる世界ができあがってしまいました。この独特さも、『シェンムー』がいまでも愛されている理由のひとつだと思います。