これぞ、プレイステーション VRのキラーコンテンツになり得る1作

『バットマン:アーカム VR』を体験 まさにバットマンになれる!【E3 2016】_02

 2016年6月14日~16日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて、世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2016が開催。ワーナーブラザースブースで、『バットマン:アーカムVR』を試遊する機会があった。『バットマン:アーカム VR』と言えば、先日開催された“PlayStation E3 2016 Press Conference”にて発表された、プレイステーション VR専用タイトル。タイトルがアナウンスされるや記者などは、「『バットマン』もVRに来たか~」と、プレイステーション VR向けタイトルのさらなる充実ぶりに唸らされもしたわけだが、実際にところ、この『バットマン:アーカム VR』、じつにいい!

『バットマン:アーカム VR』を体験 まさにバットマンになれる!【E3 2016】_01

 まず驚かされたのが、本作の開発を手掛けているのが、ロックステディ スタジオであるという点。ロックステディ スタジオと言えば、ゲームファンのあいだで極めて評価の高い『バットマン:アーカム』三部作を開発したスタジオ。前作『バットマン:アーカム・ナイト』で、「ロックステディ スタジオが『バットマン』シリーズを作るのはこれが最後」と表明していただけに、『バットマン』関連の新作を作るのはちょっと意外だった。まあ、スピンオフ的な作品だし、そこはありなのでは……と思いつつ、むしろ高い技術力を持って知られるロックステディ スタジオがVRを手掛けるということのワクワク感が抑えられなかったり。

 体験できたコンテンツはふたつで、“Be the Batman”と、ディテクティブモードだ。“Be the Batman”は、そのものずばりのVRでバットマンになりきれるというモードだ。“Be the Batman”というと、ファンの方ならご存じかと思うが、『バットマン:アーカム・ナイト』のキャッチフレーズで、その高い没入感ゆえに、“バットマンになれる!”を謳い文句にしていた。そのフレーズが、VRというデバイスを得て文字通り実現するのが、『バットマン:アーカム VR』だと言える。

 実際のところ楽しめるのは、ブルース・ウェインが執事のアルフレッドと会話をしたあとで、秘密のエレベーターで地下に降りてバットマンスーツを装着するところまで。ゲームの冒頭に近いだろう部分だ。実際のところ、ふつうのゲームだったら何てことはないくだりなのだろうが、これがVRで体験するとハマる。とくにマスクを装着するときは、「おお、これでぼくもバットマンになるのか?」と、ドキドキすることしきり。没入感を超えた“なった感”とでも言いますか、バットマンというものの存在感が、そのまま自分に重なる感じだ。「このままこの世界で、バットマンでいたい」と思うのは、バットマンファンならずとも理解していただけるのではないだろうか。

 もうひとつ体験できたのは、本作のメインのゲームシステムにあたると思われる、ディテクティブつまり探偵するモードだ。『バットマン:アーカム』シリーズは爽快なアクションで知られるが、本作ではVRというデバイスとの相性を考えてか、“探偵する”というゲームシステムを採用しているのだ。この“探偵する”というシステムもまさに、バットマンらしいと言えるだろう。

 具体的なゲームの流れを紹介しよう。本エピソードは、ナイトウイングが殺されるという衝撃の展開から始まる。このナイトウイングを殺した犯人を探すのがバットマンのミッションだ。捜査の手始めに。バットマンは殺人現場を検証する。まずはガジェットのひとつである特別なスキャナーを用いて、ナイトウイングの致命傷となった箇所をもとに、殺人者の一連の動きを予測。そのうえで事件に目撃者がいたことを割りだし、指紋からその目撃者を特定する……という一連の流れが体験できる。デモプレイはここで終了となったが、つぎの段階ではこの目撃者を探し当てて証言を聞き出し……という展開になるものと思われる。

 キモとなるスキャナーは、残像粒子などから人の動きを特定できるようで、プレイヤー(バットマン)は、スキャナーを駆使して残像粒子の動きを早送りしたり巻き戻したりすることで、3箇所の致命傷を特定し、ゲームを先に進めることができる。個人的には、証拠を見つけるとゲームを進行できるという、往年のアドベンチャーゲームを思わせて、“探偵している”という気分に浸れた。

 ひとつ特筆すべきことは、表現のリアリティー。目の前にいるナイトウイングは、まさにそこにいるかのような立体感がある。その場にいることのリアリティーが、“捜査している感”を盛り上げ、さらに世界感への没入を高めるといった具合だ。『バットマン:アーカムVR』にちょっと接しただけでも、「バットマンになってあんなことやこんなことをしたい」という夢(妄想?)がどんどん生まれる。『バットマン』の世界観に浸りまくれる本作は、プレイステーション VRの魅力を堪能するに十分な1本だ。

 『バットマン:アーカム VR』は2016年10月発売予定だ。