【ファミキャリ!会社探訪(16)】『にゃんこ大戦争』が1000万ダウンロードを突破したポノスを訪問!_08

“ファミキャリ!会社探訪”第16回はポノス!

 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍している、各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナーの第16回は、ポノス。
 ポノスは、1990年に画像処理技術を扱う会社として設立。家庭用ゲーム機向けソフトの開発を手掛けた後、徐々にモバイル事業へとシフト。現在では、『にゃんこ大戦争』など、多くの人気コンテンツを配信している。今回は、これまでグラフィックデザイン、3DCG製作、営業、広報など、幅広い業務でゲーム作りに携わってきた同社専務取締役 COOの升田貴文氏に話を聞いた。


海外のトレンドにポノス流のエッセンスを加えてメガヒットを生み出す

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ポノス 専務取締役COO
升田貴文氏

-―7月14日に、代表作『にゃんこ大戦争』が1000万ダウンロードに到達しましたね。
升田貴文氏(以下、升田) つい最近、900万ダウンロードを祝っていた気がするのに、あっという間に1000万。ダウンロードのペースはどんどん速くなっています。その要因はさまざまなのですが、社内体制に起因するものもいくつかあります。まずひとつは、プロモーションなどの管理部門の強化が進んだこと。社員ひとりひとりがいままで以上に担当業務に専念しやすくなり、自分自身が持つ力を最大限に発揮できるようになったのです。
 また、外国語を母国語とするネイティブスタッフが増えたことも挙げられます。『にゃんこ大戦争』は、海外でも人気を集めています。当然、翻訳版を作っているのですが、翻訳を外注するとどうしても開発スピードは遅れます。社内にネイティブスタッフがいることで、微妙なニュアンスなどの翻訳がスピーディーに行えるようになりました。
――『にゃんこ大戦争』はどのようにして生まれたのですか?
升田 『にゃんこ大戦争』はタワーディフェンスゲームの一種です。開発当時、モバイル端末でプレイできるタワーディフェンスゲームは、日本にはほとんどありませんでした。一方、海外ではそれは当たり前のことになっていました。「日本もいずれ海外のようになるはず」と考えたことがきっかけのひとつです。ただ、日本では、タワーディフェンスゲームはコアなゲームというイメージが広がっていました。海外からそのまま持ち込んだとしても、限定的なヒットしか期待できなかったのです。そこで考えたのが、ネコとの組み合わせ。日本人になじみがあって、なんとなく脱力系で、というところが、コアなゲームというイメージを打ち消してくれたのです。
 海外を始め、社外の情報にアンテナを張り巡らせておくというのは、当社流の仕事スタイルのひとつです。それが『にゃんこ大戦争』誕生の土台にあったと言えます。それ以上に「タワーディフェンスゲームが好きだった」、「おもしろいゲームを作りたかった」というのが開発の原動力です。ですからゲーム作りは、仕事であって仕事でないようなものでした。このスタンスこそが、ポノス流だったと言えます。
――他社にはない、御社の魅力を教えてください。
升田 職種の枠にとらわれず、広く“ゲーム作り”に携われることです。グラフィック・デザイナーやプログラマーがサウンドに関するアイデアを出すことは、当社ではごく自然なこと。私の入社当時は、グラフィッカーでありながら営業や広報をするこということもありました。
この仕事スタイルのメリットは多いですよ。まず、幅広い知識やスキルを身につけることができます。ゲームの企画やプロジェクトマネジメントの仕事を目指していきたい人には、とても役立つ経験となるでしょう。また、「自分がこのゲームに関わったんだ」という実感が大きくなります。これは、仕事へのモチベーションを維持するうえでとてもうれしい効果です。
このほかに、入社後、早い段階から仕事を任せてもらえるのも、当社ならではです。
――きれいなオフィスに魅力を感じている社員さんも多いのでは?
升田 はい。そのとおりです。バーカウンターや大型プロジェクターなど、設備には力を入れています。また、ケーブル類を設置するために、ガス管をイメージした配管を使うなど、見た目にもこだわりました。これらはすべて、スタッフが気持ちよく働ける環境を実現するため。クリエイターは、モチベーションによって仕事の質が左右されがちな職種です。また、机でじっと座っているからといって、いい仕事ができるとは限らない職種でもあります。そんな特性にマッチするオフィス環境をと考えたら、いまの姿になったのです。
――現在活躍中の社員さんは、どんな方が多いでしょうか?
升田 オフィスのイメージがあるからか、あるいはゲームという業界のイメージからか、当社メンバーは「派手そう」と言われることがしばしばあります。でも、実際はすごくマジメ。責任感を持って、コツコツと仕事を進めていくタイプのメンバーが多いんですよ。
 特徴的と言えるのは、“人に対して丁寧”という点でしょうか。“親しき仲にも礼儀あり”と言うこともできます。メンバー内で意見交換をしたり、仕事などの依頼をしたりする際などに、きちんと相手の気持ちや事情に心配りができるのです。「こんな言われかたをしたらイヤだな」、「いまはきっと、こんなことで困っているんだろうな」といった具合に相手の立場になって考え、相手に配慮した接しかたをする。この絶妙の距離感や付き合いかたが、スムーズなチームプレーの土台になっていると思います。こういったことができるのは、職種の壁を越えて“ゲーム作り”という枠組みで幅広い業務を経験しているからでもあります。

“遊び”はクリエイターには不可欠な要素。社内の仕組みを作ってバックアップ

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――経営陣の一員でもある升田さんが、メンバーに日々伝えていることはどんなことですか?
升田 ひとつは、「物事、とくにゲームのおもしろさを自分の物差しだけで計らないように」ということです。独りよがりにならず、「お客さんは何をおもしろいと思うのか」、「お客さんはどんなふうにプレイするのか」をつねに考えないといけないのです。ただ、そればかり考えていては当たり障りのないものしか作れませんし、自分らしさなんてどこにも発揮できません。お客さま目線を忘れず、でも最後は自分の判断を信じる。そんな仕事の仕方ができるようになってもらいたいです。
 もうひとつは、「80%ぐらいの力で仕事ができるようになろう」ということです。これは手抜きをするという意味ではなく、余力を残した状態でも周囲を納得させられるぐらいの技量を身につけようという意味。そして、残しておいた20%で、思いっきり遊びなさいという意味です。クリエイターは、人を楽しませる仕事です。そのためには、自分自身が楽しく毎日を過ごしていることが必須条件になります。また、“楽しいこと”に関していろいろな引き出しを持っておく必要があります。話題のスポットに出かけたり、おいしいお店で食事をしたり、映画を観に行ったり。そういった時間こそが、いい仕事へとつながるのです。そこで当社では、“映画ふたりまで鑑賞料サポート”などの仕組みを作って、遊びをバックアップしています。また、土日の出社は禁止にしています。これも、遊びをサポートしようという仕組みのひとつです。
――ゲームを取り巻く現在と今後の動向をどのようにお考えですか?
升田 スマートフォンをはじめとしたモバイル端末とゲームの融合により、これまではゲームとは接点がなかったような人たちがゲームを楽しむようになりました。これは、業界にとってはうれしいことです。ただ、この状況がいつまで続くかはわかりません。ライトユーザーがヘビーユーザーに育っていく可能性もあれば、ライトなまま、あるいは再びゲームから離れていく可能性もある。だからこそ、ライトユーザーには、いま以上に手軽にゲームを楽しんでもらえるような努力が重要だと私たちは考えています。そのためには、これまでのゲーム業界の常識を打ち破る必要があるかもしれません。市場の拡大にあぐらをかくのではなく、市場が拡大しているからこそ、ダイナミックな変化に挑戦しなければいけないのです。
――御社として目標は何ですか?
升田 具体的な数値目標などは設定していません。ただ、社内でよく話し合っているのは、「ゲーム会社ではなく、エンタテインメント会社になろう」ということです。これは、より広い視野に立ち、お客さまに楽しみを提供できる存在になろうという意味です。ゲームはグラフィックやサウンドという要素を持っていますから、それらが独立した事業として成長する可能性もあるのです。ゲームとして出発したタイトルを、ほかのエンタテインメントに展開していくことも考えられます。

「おもしろいものにチャレンジしたい」という意欲がすべての出発点

――期待している人材についてお教えください。
升田 プログラマーは随時募集中です。当社の競争力の源泉であり、アイデアをカタチにするのがプログラマー。より多くの仲間と、まだカタチにできていない「おもしろい!」を具現化させていきたいです。サーバー系、ネイティブ系の両分野で活躍の舞台は数多くありますよ。
 グラフィック、サウンド、企画、管理など、その他の職種もどんどん強化していきます。これはプログラマーも含めた話なのですが、当社での仕事に職種の垣根はほとんどありません。上流から下流までほとんどを社内で制作し、そこに関わっていくことができるので、“ゲーム作り”という枠組みで仕事を考えている人にとっては最高の環境だといえます。速いスピードで成長することができますし、ゲーム作り全体を把握したうえでそれぞれの仕事に取り組むという、需要の高いスペシャリストになることもできますよ。もちろん、「特定分野を突き詰めていきたい」という志向の人も大歓迎。キャリアやスキル、志向に合わせた業務や役割を用意できるのは、いまの当社だからこそだと言えます。
――御社に興味をお持ちの方へ、メッセージをお願いします。
升田 業界経験のある方は、みなさんのいちばん得意なことを大いにPRしてください。その経験やスキルを最大限に発揮いただけるポジションを作って、みなさんの入社をお待ちします。未経験者や新卒・第二新卒の方は、遊びも含めてさまざまなことにチャレンジし、その経験を聞かせてください。失敗したってかまいません。むしろ、失敗からのほうが人はたくさんのことを学べます。成功も失敗も含めて、すべての経験がみなさんの今後に大きな財産となるはずです。
 既にヒットタイトルを持ち、開発のスピードも速い当社。それは、みなさんも早い段階からヒット作に携わることが可能だという意味です。また、チームで協力しながら仕事を進めているので、「多くの仕事を抱えてしまってたいへん」という心配もありません。小規模な会社ならではのスピード感ややりがいを味わいながら、安心・安定した環境で働くことができます。だからこそいちばん期待するのは、「おもしろいものを作りたい」というみなさんの意欲です。その気持ちがあれば、きっと、自分自身も世の中も大満足の仕事ができるはずですよ。

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ポノスってどんな会社?

 1990年設立のポノス。以後、1994年に任天堂とスーパーファミコン開発のライセンスを、1995年にはソニー・コンピュータエンタテインメントとプレイステーション開発のライセンスを締結した。その後、2001年にはNTTドコモと公式コンテンツ配信のライセンスを締結するなど、徐々にモバイル事業へとシフト。現在では、7月14日に1000万ダウンロードを突破した『にゃんこ大戦争』(iOS/Android)など、多くの人気コンテンツを配信している。
 現在は“求められるモノは創らない、それ以上を創りだす”を企業理念とし、“ゲームに対する熱い思い”を込めた新しいコンテンツを世界へ向けて発信している。
<会社概要>
ポノス株式会社
●代表取締役:辻子 依旦 ■設立年月日:1990年12月7日 
●従業員数:32名(2014年8月1日現在)
●事業内容:スマートフォン向けアプリケーション事業、公式コンテンツ配信事業

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▲スタッフが気持ちよく働けるように、と設置されたというバーカウンター。
▲何かのショールームかと見間違えるほど、非常に開放的で明るい社内。
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▲“キモかわ”なにゃんこたちが大活躍するタワー・ディフェンスゲーム『にゃんこ大戦争』。
▲さまざまな危機を、指先ひとつでキャラクターを動かして回避する『Mr.Oops!!(ミスター・ウップス)』(iOS/Android)。