2012年9月27日に発売予定のプレイステーション3、Xbox 360、およびPC用ソフト『スリーピングドッグス 香港秘密警察』。本作は、香港を舞台に、アクション映画さながらのド派手な格闘戦や銃撃戦を体験できるアクションゲームだ。今回は、発売が迫ってきた同作の序盤までのプレイインプレッションをお届けしよう。

■ボンクラの外国に対するイメージ†

自分のようなめったに海外に行くことのない、引きこもりがちな非国際派ボンクラ人間にとっては、外国というのは知識や情報とは関係なしに、イメージが先行しがちです。

どういうことかというと、文字やニュースで知る情報以上に、映画やマンガで受けるイメージが強いということ。アフリカにはまだまだ未開の地があるし、イタリアはプレイボーイだらけ。イギリスはメシがマズイし、アメリカは大統領が宇宙人に率先して立ち向かう。言われるまでもなく偏見でして、そうであることもわかっています。ただ、パッと浮かぶイメージというのは、なかなか拭いきれないものです。

さて、では香港とはどういう場所であるかと考えたとき、どうしたって自分の場合、頭に浮かぶのはカンフー、そして無限大に弾が出る銃撃戦なのです。言うまでもなく、ジャッキー・チェンとジョン・ウーのせいですね。いや、知識としては、そうではないことはわかってはいるのです。だけど、どうしたってそう思ってしまう。むしろ、そうあってほしいという願いなのかもしれません。

■この香港は知ってる香港†

前置きが少し長くなってしまいましたが、そんな香港のイメージを持っている自分が、今回やってみないかと渡されたのが本作です。まずはプレイする前に軽く下調べと、公式ページやファミ通.comの特設ページをチェック。すると……あるじゃないですか！　俺が知っている香港がそこに！

きらびやかな看板が、所狭しと立ち並ぶ雑多な街。どこか泥臭くも、生命力にあふれた人々。そして、街を裏で牛耳る黒社会。これらはもちろん、現在の香港でも息づいているものでしょうが、そこはゲームならではの誇張はされているでしょう。だけど、少なくとも自分が思っていた香港、憧れや怖れの場所としての香港は、まさにこのゲームの中に再現されていたのです。

こうなるともう、居ても立ってもいられません。下調べもほどほどに、さっそくゲームを開始です。気持ち蛇拳っぽいポーズでディスクをイン。

■はじめてのおシノギ†

物語はある取引風景から始まります。いいですね。香港ノワールです。そうこうしているうちに警察が現れ、その場から逃亡を図る主人公のウェイ。いわばこれが、映画におけるオープニングアクションシーンになります。

ここがいきなり最高です。障害物を飛び越え、屋根を跳び、家の中を駆け抜けて、夜の香港をひたすら逃げる！　景色を見る暇もないほどのスピード感ですが、一気にプレイヤーを香港の街中へと引きずり込んでくれます。

決死の逃亡むなしく、警察に捕まってしまうウェイ。ここでようやく、ウェイが秘密裏に活動する潜入捜査官であることがわかりました。いいですね。インファナル（地獄）の匂いがしてきましたよ。

ウェイの目的は、香港の裏社会組織である“トライアド”に潜り込むこと。そのためにここからは、幼馴染みがいる小さなチームの元で、下働きをすることになります。

最初に頼まれたのは、マーケットで店を開いている人たちからのお金の回収。いわゆるミカジメ料というやつですな。大人しく払う奴もいれば、チンピラをけしかけて抵抗する奴もいます。そんな奴には力を見せつけてやりましょう。そう、もちろんカンフーで！

正確にはマーシャルアーツとでも呼ぶべきものですが、ここはあえてカンフーで通したいと思います。このカンフーがまた、とても気持ちがいい！　基本はコンボ攻撃、カウンター攻撃、つかみからの投げとシンプルな構成ですが、敵との位置関係などによってバリエーションが無数にあります。要するに簡単操作で、達人気分が味わえる！　とくにカウンター攻撃は決まると気持ちよく、ついついろくに攻撃もせず待ち構えてしまいます。手でチョイチョイと敵を挑発する、ブルース・リーっぽいアクションを、ぜひ入れてほしかったものです。

海賊版を売る非常にけしからん店主から金を巻き上げたり、八百屋の口の悪いオヤジから「ケ○の穴にチンゲンサイ詰めてろ！」とか罵声を浴びつつも、回収は順調に進みます。途中、ちょいちょいチンピラが絡んできますが、そんな功夫が足りない奴らには負ける気がしません。負けそうなときは、屋台で肉まんやアイスを買って体力を回復です。

回収を終えると、最初のミッションが終了。ミッション内容によって、警官として、トライアドの一員として、それぞれの評価が経験値として加算されます。これも本作のミソでして、どちらの評価を上げるかによって覚える技が違ったりするのです。正義に生きるか悪に走るか、悩みどころですが、まあとりあえずしばらくは成り行きに任せてみましょうか。

■黒社会での戦いかた†

続いて与えられた仕事は、とある人物の身柄確保。少々きな臭くなってきましたが、黒社会での信用を勝ち取るためには、いたしかたありません。夜のマーケットを捜していると、目標の男を発見！　逃げた！　追え！　ここでは追跡劇が展開されます。

本作はこういった感じで、街を回る比較的ゆっくりしたミッションと、追跡などのスピーディーなアクションが、途中にバトルを交えつつ展開されます。これが非常にいい緩急になっていて、プレイを飽きさせません。まさに香港アクション映画のように、抑揚のあるリズムで物語が楽しめます。

ようやく男を追い詰めると、手下どもがワラワラとお出まし。数的には圧倒的不利な状況ですが、ここで燃えないはずがありません。この危機を乗り越えてこそのカンフーマスターというものです。

バトル時は直接攻撃だけでなく、周囲のオブジェクトを使った特殊攻撃も使えます。威力が高いうえ、非常に気持ちいいので、どんどん使っていきましょう。ゴミ箱に手下をどーん！　シャッターにガーン！　回転する室外機にガリガリガリ！　……え？

言い忘れていましたが、本作はZ指定のゲームです。こういったオブジェクトを使ったアクションや、徐々に出てくるさまざまな武器を使って、けっこうハードな攻撃をすることができます。油断をすると、自分でやっておいてビックリすることも。もちろんこれはこれで、ゲーム的なおもしろさにもつながっていますし、何より黒社会の物語だというのを強く意識させるための、重要な要素のひとつだと自分は思います。

さて、手下をひと通り倒し、目的の男を確保するとこのミッションは終了。そしてじつは、ここまでがある意味プロローグだったりします。

■そしてゲームは広大な香港の街へ†

ここまでの物語は、ほとんど限られたマーケットが舞台ですが、このあといよいよ、ウェイは香港の広い街に飛び出し、本格的に活動をスタートさせます。ミッションを着実にこなしてトライアドの信頼を積み上げるのも、街の人々の頼みを聞いてお金を稼ぐのも、カラオケやカジノに興じるのも、すべてはプレイヤーしだい。オープンワールドタイプのゲームならではの、自由な空間がそこには広がっています。

さらに序盤では登場しませんが、まさに香港アクション映画といった、スローモーション炸裂しまくりの銃撃戦や、クルマからクルマに飛び移るといった、ジャッキー顔負けのスタントなど、アクション面でも大きな広がりを見せていきます。

ですが今回は、先行プレイインプレッションということで、ここらでやめておきましょう。ただこれだけは言えるのは、ここまででも本作の魅力はかなり伝わったとは思いますが、はっきり言ってまだそのほんの一部にすぎません。発売時には、さらに踏み込んだインプレッションをもう一度お届けします！

ウェイの戦いはまだ始まったばかりだ！　再見！

著者：ババダイチ
週刊ファミ通でクロスレビュアーも務めるフリーライター。ゲームは全般的に遊ぶが、うまいというわけではない。ジャッキー・チェン、ジョン・ウーは直撃世代だが、香港には行ったことがない。

※スリーピングドッグス 香港秘密警察の公式サイトはこちら
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※本ソフトはCEROにより18歳以上のみ対象の指定を受けておりますが、掲載にあたっては、ファミ通.comの掲載基準に従い考慮しております。