『ライフ イズ ストレンジ 2』独特のグラフィックは「プレイヤーに強い印象を与える画作り」を意識――開発スタッフインタビューその2

公開日時:2020-04-06 18:00:00

 世界のゲームファンに衝撃を与えたアドベンチャーゲーム『Life is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』の待望の続編『ライフ イズ ストレンジ 2』。そのソフト発売後、ネタバレを含む『ライフ イズ ストレンジ 2』情報第2弾は、開発を手掛けたDONTNOD Entertainmentのもうひとりのクリエイティブ・ディレクター氏のミシェル・コッホ(Michel Koch)氏のインタビューをお届け。

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クリエイティブ・ディレクター
ミシェル・コッホ氏(文中はミシェル)

 以下、ネタバレにご注意ください。

独特のグラフィック表現の理由

――もうひとりのクリエイティブ・ディレクターのラウルさんとは役割の違いは?

ミシェル ラウルは演出や音楽、イベントシーンなどを中心に見ています。私はもともとはアート畑の出身で、『Remember Me』ではアートディレクターを務めていました。そこから手を広げていって、『ライフ イズ ストレンジ』では画作りを中心に、脚本や物語なども見ています。

――『ライフ イズ ストレンジ』シリーズの画作りは絵画的で独特のグラフィックですね。それが魅力のひとつになっています。

ミシェル 開発初期は予算も限られていて、開発メンバーもすごく少なかったので、リアルな表現は難しいだろうと考えていたんです。また、個人的には『ゼルダの伝説 風のタクト』がとくに好きなので、ああいったビジュアルデザインを参考に、テクスチャをある程度少なくして、写実的でもなく、でもアニメっぽいものでもない、その中間くらいのデザインに落とし込んでいきました。前作からゲームエンジンがUnreal Engine 4にパワーアップしたことで、すべての要素を少しずつブラッシュアップしています。具体的には、主人公たちの表情や、服のシワ、ライティングなど、そういったものを全体的にアップグレードしている感じですね。写実的なものよりも、プレイヤーに強い印象を与える画作りを心掛けています。ライティングはゲームでもすごく重要な要素で、3Dモデルがよくできていても、ライティング次第ではいい部分が見えなくなってしまうので、本作でもかなりこだわっています。

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――つねにコンセプトアートが動いているような、そして舞台は現在なのに、どことなくノスタルジックなグラフィックも印象的です。

ミシェル 開発初期から、リード・コンセプトアーティストのエドワードがほとんどのコンセプトアートを描いているのですが、彼のアートに基づいて画作りをするのは開発のゴールのひとつでもあったので、そう言っていただけるのはすごくうれしいです。また、自分たちが子どもだったときに家の窓はどう見えていたか、カーペットはどうだったか、そういったことを思い出して、何かしらのノスタルジーを感じるような画作りも意識しています。開発の主要メンバーはみんな30代で、自分たちが昔に感じたものを作品に込めているので、そうしたところからも懐かしさみたいなものが出ているのかもしれません。さらに本作では、アメリカに行ってリサーチをした際に、現実とは思えないような自然の景色にたくさん出会えました。それらが複合的に作用して、独特の雰囲気を作り出すことができたのだと思います。

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リサーチした際に撮った写真。『ライフ イズ ストレンジ 2』らしい写真がいくつも(記事の最後にも写真を貼っておきます)

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――前作はアルカディア・ベイというひとつの町が舞台でしたが、今回は場所も季節も変わっていきます。

ミシェル キャラクターがさまざまな場所に移動して行き、まわりの環境も変化して、異なる人たちと出会って、別れて。そういう物語を描きたかったというのが理由のひとつです。また、場所と時間の変化は、過酷な旅ということをプレイヤーにも実感してもらえるという点でも大きな効果があったと思います。

マックスとクロエからショーンとダニエルへ

――前作からの主人公を変更するというのは、なかなか大きな決断だったのでは!?

ミシェル マックスとクロエを好きなファンの方々は本当にいっぱいいるので、続編で主人公を変えるのは、確かに勇気がいることでした。『ライフ イズ ストレンジ 2』の立ち上げ初期のころは、マックスとクロエの物語を再び描くことも、ファンの望みに応えることも重要なことだと思っていました。しかし、クリエイターとして私たちも新しいものに挑戦したいと思いましたし、ファンの皆さんにも新しい体験をしてほしい。そこで、主人公をまったく違うキャラクターにすることにしたんです。ファンのコミュニティでは、マックスとクロエの話題が多かったのですが、最終エピソードがリリースされた後では、ダニエルとショーンのこと、あるいは『ライフ イズ ストレンジ 2』のストーリーが話題になっていたので、とてもうれしかったですね。

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マックスとクロエから……

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ショーンとダニエルに

――今回はダニエルへの接しかたが、後の物語に変化をもたらすのが特徴ですね。

ミシェル まだ自分自身が確立していない子どものダニエルが、プレイヤーの接しかたによって変化していく。ダニエルがどう成長したかは、プレイヤーはエンディングで知ることになります。ここはコンセプトとして重要でしたし、ゲームのシステムとしても複雑化していき、大きな挑戦でした。

――模範になる行動をしても、必ずしもいい結果に結びつくわけではなく、かといって逆のパターンが完全にいいとも言い切れない。どの選択が兄弟にとって本当にいい結果なのか、とゲームが終わってからすごく考えさせられました。

ミシェル どのエンディングにもいい部分と悪い部分がある、というのは、まさにそういうコンセプトで作ろうと思っていたからです。兄弟が離れ離れになったから悪い、いっしょにいられるからいい、と簡単に割り切れるものにはしないように作っています。なので、おっしゃる通り完全にこれがベストだ、と断言できるエンディングはないかもしれません。感じかたは人それぞれだと思うので、日本のゲームファンの方も、ぜひダニエルとショーンの旅路をいっしょに歩んで、最後のエンディングを見ていろいろと考えてくれたらいいなと思います。

――最後に、いまだから明かせる開発秘話のようなものはありますか?

ミシェル そうですね……。『ライフ イズ ストレンジ』シリーズには“SKWEEKINAX(スクウェイキナックス)”というシリアルが随所で登場するのですが、それには由来があります。『ライフ イズ ストレンジ』を本格的に始動するにあたって、スクウェア・エニックスと契約をする際に、契約書を見てくれた我々の弁護士さんが「スクウェイキナックスさんとの契約ですね」と言ったんです。スクウェア・エニックスをそう読み間違えたんですね(笑)。それを開発メンバーがみんな覚えていたので、シリアルの名前につけたんです(笑)。

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Life Is Strange - ファミ通エクストリームエッジ

タイトル:Life is Strange 2(ライフ イズ ストレンジ 2)
対応機種:プレイステーション4、Xbox One、PC
発売日:2020年3月26日
価格:各4980円[税抜](各5478円[税込])
言語仕様:音声-日本語/英語 テキスト-日本語/英語ほか
CERO:D(17才以上対象)
開発会社:DONTNOD Entertainment
※Xbox One版とPC(Steam)版はダウンロード専売。Xbox One版は本編及び無料の日本語化DLCを2020年3月26日(木)に配信予定。PC版の本編はグローバル版が配信中。無料の日本語化DLCを2020年3月26日(木)に配信予定。

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