トレジャー製らしい、小気味良くアイディア豊かな2D横スクロールアクション。
このゲームの最大の特徴は、ブラックジャックやリボンの騎士のサファイア、その他マイナーなものも含め手塚治虫のキャラクターが相当数登場、シナリオやゲームシステムに深くかかわってくる点にあります。
主人公のアトムが、出会ったキャラクターたちを理解(そのために必要なエピソードをクリア)することで成長するシステムや、火の鳥の持つ輪廻という要素のゲームへの活かしかたなど秀逸です。
快適な操作性、テンポの良いゲームバランスなど、根幹となる部分の出来の良さがそれらをアイディア倒れに終わらせていません。
特に、「かんたん」にするとEX攻撃による力押しで進め、「むずかしい」を選択するとEX攻撃の使用が制限されるので力押しは通用しなくなるが「かんたん」での経験を活かせるので、無理なくやり応えの増す難易度設定は絶妙。
ゲーム進行に合わせて順次公開される手塚キャラクター名鑑は、きわめてマニアックなネタや、このゲームにおけるキャラクター設定の元ネタなども掲載されていき、プレイへの動機付けとしても、オマケとしても魅力的に機能しています。
大きな不満点といえば、三つ目がとおるの写楽を理解する方法が納得いかないことぐらいでしょうか。
アクションゲームとは思えないほど充実したシナリオも、物語として優れているだけでなく、プレイと密接にかかわっているゆえに感情移入でき、ゲーム中で語られるアトムの名前の由来などはかなりグッときます。
これほどの傑作にもかかわらずあまり売れていないらしいので、一人でも多くの人にプレイしてもらいたいです。