クロスレビュー

平均

-
発売日
2013年08月21日
対応機種
Xbox 360
ジャンル
アクション
メーカー
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フラッシュバック(Xbox 360)のレビュー・評価・感想情報

ハイルナー
Xbox 360 2014-05-30 16:21:36投稿
6

良かった点
 このゲームでもっとも好印象だったのは、原作で難点となっていた操作系の問題を、リメイクに際して大幅に改善し、極端にゲーム性を変えることなくアクションゲームらしい遊びやすい作りに仕立て直してある点。
 原作(Amigaをはじめとする一連の移殖)では、アクションゲームと言う体裁ながらも、全体的に映画的なアクションを意識し過ぎるあまりに非常に操作性が悪く、融通が利きにくい作りだった。目立ったところでは、銃を撃つアクションを起こす際、リアリティを意識するがあまりに「銃を構える→打つ」という二度手間を掛けなくてはならなかったり、モーションを意識したアクションできっちり整合性を取るために、壁や上の足場に乗り移る際は、ジャンプした際に誤差なくビタで足場を掴める位置からでなくてはちゃんと足場に乗り移れなかったり、と言った要素。これが、キャラクターがポリゴン化し形式ばったアニメーションをつけなくても滑らかな動きをつけられるようになった事で、足場がずれていてもキャラクター側が上手く飛びついてくれるようになり、銃を撃つ操作もRスティックの存在により標準を合わせやすく、かつトリガー一本で銃撃してくれる。操作感覚も非常に気持ちがよく、基本的な操作や、敵からの攻撃をかわして撃つ、というアクション要素もそのまま踏襲されていながらも、遊びやすく楽しい内容になっている。

 それから、リメイクに際してハードウェアの色彩表現能力が格段に向上したことにより、全体的に無機質的だったステージデザインが非常に幅広く、色味豊かになっている。
映画「ブレードランナー」を思わせる東洋風のサイバーパンキッシュなステージデザインや、同じくブレードランナーのリック・デッカード(ハリソン・フォード)を思わせる短茶髪で茶色い上着を着た主人公、「ターミネーター」を思わせるエネミーデザインなど、SF映画から影響を受けたらしい造形が多分に盛り込まれている。また、それ以外の部分でも多く映画ネタを取り込んでいるようで、主人公がデス・タワーで使用する偽名がJ・カーペンターと、SF映画監督のジョン・カーペンターから取られていたりするため、SF映画ファンならニヤリとするところも多い。

悪かった点
 原作で一番の魅力だった映画的な演出や、重厚なシナリオが、シナリオ面での付け足しや声優の起用によって、反って陳腐化させてしまっている。
とりわけひどいと思ったのは声優たちの棒演技で、文章体を考えていない質の悪い翻訳をもとに棒演技の声を重ねたことによってこの上なく醜悪なものとなっている。ムービーの間で挟まれる声がひどいのは勿論、アクション中でもやたらべらべら喋る上、その内容が「いたい!」「ちくちくした!」「パーティだぜ!」など、小学生でもそんなリアクションをとったりするだろうか?というよく分からないもので、興ざめもいいところ。その上、設定で英語ボイスに変えることが出来ないばかりか、吹き替えをオフにすることさえ出来ないという悪辣きわまりない仕様。せめてオフにさせてくれたっていいのではないか、と思う。

 加えて、それまで説明の少ない演出によって深みを持たせていたシナリオに恋人との別れ、記憶喪失の謎などやためったらに突っ込んでいて、全体的にごちゃごちゃしすぎている印象を受ける。話にも今一つまとまりがついておらずもやもやするし、なによりそのためのムービーも3Dムービーではなくモノクロイラストのスライドだけで構成されているので見ていてもあまり面白みがない。

総評
 ゲームプレイ自体は、原作を踏襲した古臭い内容ながらも中々に楽しく、レベル要素や難易度設定も盛り込まれているため、それなりにやり込み要素もある。
 しかしながら、劣悪な翻訳やボイスアクト、付け焼刃的なシナリオの強化によって、原作の一番の魅力だった映画的演出や世界観を台無しにしてしまっており、これが90年代初頭に絶大な支持を得た作品のリメイクだと考えると、思わず悲哀を感じざるを得ない。

 値段も1000円程それほど高いものではなく、一定の基準以上の面白さはあるため、原作ファンであればとりあえず買っておいても良いかも知れない。。

クロスレビュー

平均

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発売日
2013年08月21日
対応機種
Xbox 360
ジャンル
アクション
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