小気味いいアクションが◎。戦闘中に暴走トレーラーが突っ込むなど、突発的なハプニングがあるのもおもしろい。マルチプレイのルールは豊富で、なかでも最大16人による“バトルロイヤル”は乱戦になることが多く、いつ誰に狙われるかわからないというシチュエーションがたまらない。
週刊ファミ通1230号より
オンライン対戦は多彩なルールが用意されており、なかでも決められた役割に従って戦う“チームバトル”は熱い。スピーディーに展開される戦闘の爽快感も○。対戦プレイに焦点がいきがちだが、ストーリーモードもしっかりと楽しめる内容になっている。登場キャラクターたちも魅力。
週刊ファミ通1230号より
マルチプレイは、ルールが豊富にあるのがいい。バトルロイヤルでは、ほかのライバルどうしが戦っているところにまとめて攻撃できるなど、乱戦ならではの楽しさを味わえる。アイテムやステージ中のオブジェクトを利用して戦えるのも、ハチャメチャさに拍車がかかっておもしろい。
週刊ファミ通1230号より
広いステージはギミックが満載なうえ、「こんなのアリ!?」的なイベントが時折発生。このイベントを利用してうまく立ち回れば、形勢逆転も狙えるのがいい。欲を言えば、アクションが苦手な人への措置がもう少しあるとよかったかな。Xbox 360版のほうが、発色がハッキリしている印象。
週刊ファミ通1230号より
良かった点
爽快感のあるアクションが一番の魅力。
掴み技を決めた時や、キラーウェポン(特殊技)の攻撃演出や、相手と攻撃がかち合った時にお互いが見合ってガツンと拳を交わし合う姿がサイドビューで映されたりと、アクションでの「ココ!」と言う部分を非常にこだわって作っているな、と感じた。
また、それらの演出を、「荒廃した無秩序な地球」という世界観設定やキャラクターの部分からもきっちり作られており、オイルタンクやトラックを爆発させて攻撃出来たり、ステージ中にある様々なオブジェクトを派手に破壊することが出来たり、突然絨毯爆撃を喰らったり、毒ガスがステージ中に広がったり、巨大タンクカーが戦ってるところに突っ込んできたりと「アナーキー」というコンセプトを大事にしているな、と思った。
攻撃も、昨今の2D格闘ゲーム等と比べると、X(□)、Y(△)の2ボタンで通常攻撃を行うのだが、連打だけでもコンボが出るようになっており、ストーリーモードならプレイしはじめから、爽快なアクションを楽しむことが出来る。
また、そういった構成ながらも、攻撃を出すテンポや、XとYの出す順番などで多彩なコンボを決める事が出来るのも良いな、と思った。
ストーリーモードは基本的にはミッション/ステージ式で、オンラインメインという事もありボリュームも薄く一本道だが、様々なキャラクターを選べたり、CPUと協力して敵を倒したり、と、マンネリ化しない工夫は出来ているのではないかな、と思う。
ステージ始めやミッションの前後で5分弱のムービーが流されるようになっており、ちょっとした海外のB級映画のような雰囲気を楽しむことが出来る。また、ボリューム自体は薄いながら、ムービー内やゲーム中にも声優による声での演出が楽しめる。バロン(声:高木渉)とジャック(声:中田譲二)の掛け合いなんかは非常に面白いな、と思った。
オンライン対戦ではバトルロイヤル、サバイバル、タッグバトル、チームバトル、デスボール、フラッグ、ゲージマッチなどの11種類のルールが用意されており、2人から16人までで戦う事が出来る。オンライン対戦をメインにしたという事もあって非常にバリエーションがある。
他にもHIPIHOPアーティストにゲームの物語性を意識して作曲してもらった事もあり、サウンドとゲームの一体感が素晴らしく、アクションの没入感にも一役買っているな、と思った。
悪かった点
オンライン対戦関連での問題が多すぎる、というのが特に目立つ悪い点。
先ず一番に目につくのはマッチングのし難さ。
クイックマッチ(直ぐにオンラインプレイを始められるルームに参加出来る機能)やカスタムマッチ(特定のルール、接続地域を選択し対戦可能なルームに参加する機能)を使用しても「閉め切られたため参加できませんでした」「参加に失敗しました」と表示され、ちゃんと参加できないことが多々ある。
加えて、販売の不振(販売本数 Xbox360:5000本 PS3:25000本)から、過疎がひどく、ルームを作成しても碌に人が集まらない。カスタムマッチで自分の好きなルールを設定しているルームを探しても「候補が見つかりませんでした」と言われてしまう。
大人数での乱戦プレイがウリのゲームなのだが、一定の人数を集めるだけでも結構な時間が掛かるため、大人数でのルールほどプレイに漕ぎつけるまでにストレスが掛かる。
今年一月に延期された欧州、北米版が発売されるも同様に売り上げは振わず、オンラインの過疎は相変わらずだった。
オンラインプレイを目的としてこれから購入される際はこのネットワーク関連の問題について事前に理解された方がいいかな、と思う。
次に目についたのが、オンラインプレイのゲームバランスの粗さや作り込みの甘さ。
先ず第一にジャンプ中、空中はガードが不可能なため、相手が空中にいる場合は只管攻撃を重ねる事が出来る。加えて、バグなのか仕様なのか、壁際で空中攻撃を食らうと無限に空中コンボを重ねることが出来てしまう。また、複数人数から攻撃を食らうと全く抵抗出来なくなってしまう。
これによりバトルロイヤルなどの場合は上級者の空中コンボでのハメ攻撃が絶えず、複数人数でのバトルルールの場合友人同士などでボイスチャットを使い特定の敵だけを狙う、という風にされると、全く抵抗できずにやられてしまう。
おまけに連続でキルした上級者はキラーウェポンの使用限度や、体力の最大値が増えるため、一度倒されると更に倒しにくくなる。「上級者とはマッチングしないようにしよう」なんて思っても、ランク別に参加する機能やキック機能などがないため、どうしようもない。
これらにより「上級者が初級者をカモにする」と言うことが絶えずある。
私はノーマルモード、ハードモードをやり込んだ上でオンラインプレイに参加したのだが、それでも中々上位には上がれない。ハードをやりこんでこれ、という事は、ノーマルやイージーをクリアしプレイしたいキャラクターを解放し、嬉々としてオンラインプレイに参加したプレイヤーは、かなり悲惨な事になっているのではないかと思う。
普通の格闘アクションなどとは違って、一対一で戦っている途中でも背後から大ダメージ攻撃を喰らう可能性があるため、カメラに映っていないところから突然攻撃を喰らい訳も分からず死んでしまい、非常に納得がいかなかったりすることがある。この辺りは悪い意味で「アナーキー」な感が強かったかな、という印象。
総評
ストーリーモードでの不満はボリューム不足以外に殆どないと言っていい。サウンド、ストーリー、演出、ゲーム性全て自分が期待している以上の出来だった。が、メインだったはずのオンラインプレイがかなり粗末な出来。
3D視点格闘アクションと2Dの一般的な2D格闘アクションの対戦プレイでは操作の敷居の高さが段違いで、ひとつ攻撃を当てるのも非常に難易度が高いことは理解出来るし、開発側の作業量も多く、開発が非常に困難な事は十二分に理解できる。その結果としてレイジ(無敵状態)解放機能やロックオン機能やシンプルな攻撃システムなどである程度現れているのだが、まだまだ作り込みが甘く、プレイ環境の構築といった問題等も含めて、完成しきっておらず、「せめて空中ガード機能は…」「壁ハメのバグだけは…」と、不満の残る内容だな思った。
個人的にはこの世界観、音楽、キャラクターが非常に好みで、オフライン目的で購入したため十分に満足しているのだが、ゲーム全体を見た時や、人に「これは面白いのかい」と聞かれた時に高く評価出来るとは言えない。
一個人として、ゲームシステム、オンラインプレイの改善され、より派手に、アナーキーになったマックスアナーキー2が出たら、喜んで買いたいな、と思う。