『ひぐらしのなく頃に』などでおなじみの竜騎士07氏の作品だけあって、ホラーアドベンチャーの中でもグロテスクな描写が執拗で濃密。そこが本作の魅力でもあるのだが、やはり遊ぶ人を選ぶかな。その点が問題ない人であれば、現実と白昼夢が交錯しながら展開していく、“呪い”や“祟り”をテーマにした不思議な物語に惹き込まれるはず。PC版にはなかった新シナリオ“結姫編”が追加されているのもいいね。
週刊ファミ通1500号より
選択肢のない、ひたすら読み続ける作りだが、日常パートと不可思議なホラーパートが織り交ぜられる構成や、序盤での伏線が中盤から回収される展開に夢中になれます。ヒロインはみんなかわいくて、ハーレム感も○。怖さの成分は思ったほど強くなく、グロテスクなテキスト描写のほうが目立つ印象。“結姫編”で雛形先生の物語が見られるのはうれしく、ウルッとしてしまうシーンもあり、読後感も良好。
週刊ファミ通1500号より
日常でふと湧き上がるドス黒い感情を、生理的嫌悪または性的倒錯ムードたっぷりに描写する作風になじめれば、一気に引き込まれます。プレイヤーが展開に干渉できる要素はほぼなく、ビジュアルノベルとしての演出面もオーソドックスではありますが、“伝奇ホラータッチの恋愛もの”としての読み応えは十分です。左右スティックを使ってのショートカット機能をカスタマイズできる点は便利ですね。
週刊ファミ通1500号より
不気味な霊障や人間の陰惨な悪行など、目をそむけたくなる描写の連続で、遊び手を選びそうですが、主人公たちといっしょに立ち向かう勇気が奮い起こされます。美少女ゲーム的な構成ながら、白馬の王子さま、千年ロマンス、怖い話といった女性が好む要素も多く盛り込まれ、物語の虜に。インタラクティブ性こそ低めながら、ゲームというメディアでの表現に適した作品性です。ボリュームにも満足。
週刊ファミ通1500号より
総評
トロコンまで。竜騎士07さんのホラーアドベンチャーです。同氏のわたしの印象はミステリーがいつの間にかSFサスペンスになっていたでござる、といった感じでしたが、本作はハナからオカルトサスペンス全開でわりと面食らいました。ストーリーは非常に良かったです。鹿神編からこれまでの伏線を怒涛の勢いで回収して行きますので、そこからが本番だと思ってください。ただストーリーで唯一気にくわないのがラストのラストで涼と雛子が霊障として復活するところ。これじゃ絶対誰も幸せにならないと思うんですけどね。それも含めての呪いと言うなら竜騎士07さんに脱帽です。ゲームとしては完全に一本道なので総評ではそこだけマイナスにしました。