スーパーコアゲーマーがクリエイターに突撃! 椿姫彩菜のゲームの話

タレントでコアゲーマーとしても知られる椿姫彩菜さんが、ゲームクリエイターの皆さんに“ならでは”の視点で切り込む連載企画。椿姫さんが注目するゲームのクリエイター、旬なクリエイターに対談形式でお話を聞いていきます。椿姫さんのゲーマー側に立った突っ込みに、クリエイターはどう応えるのか? どんなぶっちゃけトークが展開されるのか? 注目です。

  1. ファミ通.com>
  2. 企画・連載>
  3. スーパーコアゲーマーがクリエイターに突撃! 椿姫彩菜のゲームの話>
  4. “椿姫彩菜のゲームの話”第17回 200万ダウンロード突破の市村龍太郎氏のスマホタイトル『無限∞ナイツ』

“椿姫彩菜のゲームの話”第17回 200万ダウンロード突破の市村龍太郎氏のスマホタイトル『無限∞ナイツ』

2015-05-22 17:00:00

tubaki/TN4_2304

椿姫彩菜(以下、椿姫) 最近のゲーム業界は、スマートフォン用ゲームアプリ(以下、スマホアプリ)の勢いがすごいですが、これについて市村さんはどうお考えですか?

市村龍太郎氏(以下、市村) スマホアプリの売上が伸びているのは事実だけど、家庭用ゲーム機がなくなることはないと思うよ。最近は家庭用ゲームとスマホアプリの垣根がなくなってきてるのは間違いない。でも、スマホではできるけど家庭用ゲーム機ではできない。その逆で家庭用ゲーム機ではできるけどスマホではできないというものが必ずある。たとえば、スマホでは代用のきかない“コントローラーで遊ばないといけないゲーム”は今後も生き続けられると思う。

椿姫 スマホで使えるコントローラーを付属でつければ、コントローラーで遊ばないといけないゲームもスマホで遊べちゃいますよね?

市村 Bluetoothを使えばスマホにコントローラーを接続することができるけど、でも「そこまでしてゲームをやるのか?」と思うんだよね。じつは、ゲームを遊ぶということだけで考えればスマホよりプレイステーション4のほうが安かったりするわけだから、家庭用もまだいけるんじゃないかなと。ただ、スマホでも家庭用でも遊べるようにしないといけないというのはあるよ。スクウェア・エニックスとしては家庭用だけではなく、アーケードやスマホもやっているし、いろんなハードに対して、うちだけにしかできないことをやっていければ戦えると思っているよ。

椿姫 スマホアプリのクオリティーは、かなり上がってきていますよね。

市村 そうだね。僕もコンシューマー的なゲーム性の強いスマホアプリを作りたくて、『無限∞ナイツ』(※)というゲームをやらせていただいたんだけど、スマホアプリは1回でどれだけおもしろくするかという考えが、アーケードゲームに近いと感じたね。『モンスターバトルロード』のスタッフが手掛けたということもあり、そのあたりにはこだわっているよ。

※無限∞ナイツ:簡単操作で大軍勢によるバトルが楽しめるスマホアプリ。
公式サイトはこちら

椿姫 小さい子も親しみやすいテイストのゲームですよね。

市村 『ドラクエ』で全年齢対象のゲームを作ってきたからどうしてもそうなっちゃうね(笑)。それに『乖離性ミリオンアーサー』のような大きいお友だち向けのタイトルはすでにウチから出ているので差別化しようと思ったんだ。まずはそこを意識したかな。ライバルは社内にいるって言う(笑)。

椿姫 配信開始後すぐに100万ダウンロードを突破してものすごい勢いでしたが、この人気は想定していたのでしょうか?

市村 「何かの間違いじゃないのか?」と焦ったよ(笑)。だからありがたいけれども開発チーム全体が「どうしたらいい?」となってしまったんだ。当初は、様子を見ながら少しずつと思っていたら一気に来てしまったからね(汗)。

椿姫 本当にすごかったですよね。

市村 最初はスクウェア・エニックスが『パズドラ』や『モンスト』みたいなゲームを出すと思われて騒がれたみたいだね。そういったご期待をいただける可能性があったのであれば、受け口をしっかり用意しておかないといけなかったんだけど、慎重になりすぎてしまった……誤算だったかな。スマホアプリの運営は今回が初めてだったから社内の経験者にいろいろとアドバイスをいただいていたものの、実際やってみないとわからないことも多くてバタバタしてしまったけど、2~3ヵ月してからようやくつかめてきた感じだね。お客様にはご迷惑ばかりかけてしまいましたが。

椿姫 『無限∞ナイツ』は軍勢がすごい量出てきて楽しいし、ほかのプレイヤーが作った防衛ラインに攻め込む“対戦”もおもしろいですよね。

市村 軍勢を操作するというならこのくらいいないとダメなんじゃない? と、とにかくたくさん出すようにしたんだ。それから、対戦のヒントは『進撃の巨人』。壁を突破したり、壁を防衛するというイメージがね。それに攻めるだけじゃなくて、攻め込まれるというものが、ゲームのアクセントとしてほしかったんだ。

椿姫 対戦はクエストと違ってフレンドのキャラクターを借りられないから、自分の実力がハッキリ出ますよね。

市村 そうだね。対戦ランキングをやっているんだけど、ほとんど突破されない防衛がとにかくうまい人がいるんだよ。そういう人の防衛ラインの構成を見るのがすごくおもしろい。

椿姫 キャラクターの特性が攻撃と防衛の2種類あるのも奥深くしていますよね。

市村 そのとおり! 攻撃特性がいまいちでも、防衛特性が優れているからデッキに組み込もうだとか、個性が出ると思うんだよね。そのあたりのバリエーションは今後の運営でさらに拡張していきたい。

椿姫 今後もどんどんアップデートしていくのでしょうか?

市村 もちろん。アップデートを重ねてこれから進化していくよ。いまでもユーザーさんからたくさんのご意見やご要望をいただいているから、それを踏まえてさらに一歩進んだ形のものを提供できればと考えているよ。

椿姫 スマホアプリは、そういった対応の早さも重要になりますよね。

市村 スピードはとても重要なことだね。もしすぐに対応できないとしても、実装を決めたのであれば「やるつもりなんです」という姿勢をお伝えするようにしている。対応したらすぐに反応があるし、そういったユーザーさんといっしょに作っていけるところがやり甲斐のあるところだよ。

椿姫 いまはニコ生やTwitterなど、ユーザーと直接意見を交換できる場もありますしね。

市村 そうだね。いい意見も悪い意見もしっかり受け取れるから環境としてはいいよね。

椿姫 それでは最後にファンへのメッセージと私へのメッセージをいただけますか?

市村 2015年は1月に『無限∞ナイツ』の運営をスタートして、2月に『DQヒーローズ』を発売してと、2作連発でスタートしました。そして2016年は『ドラクエ』シリーズは30周年を迎えるんだけど、その盛り上げのための仕込みをしていたり、もちろんこの先に発表する予定の新作もがんばって作っています。ちなみに本編じゃないですよ(笑)。いつも突っ込まれるから言っておこう(笑)。この新作がちょっとエッジの効いたタイトルなので、まずは『DQヒーローズ』をプレイしつつ続報をお待ちいただければと思います。

椿姫 それでは私へのメッセージも。

市村 彩菜ちゃんはゲームをよく知っていて、実際にゲームをプレイして育ってきたから言葉が本物なんだよね。ちょっとプレイしたくらいで「遊びましたよ!」という人もいるけど、彩菜ちゃんは本当にガッチリプレイしているから、いい意味できびしく言ってもらえるのはありがたいなーって思っているよ。今後も彩菜ちゃんに楽しんでもらえるようなゲームを作って、それでいっしょに応援してもらえるとうれしいよね!

tubaki/TN4_2194