スーパーコアゲーマーがクリエイターに突撃! 椿姫彩菜のゲームの話

タレントでコアゲーマーとしても知られる椿姫彩菜さんが、ゲームクリエイターの皆さんに“ならでは”の視点で切り込む連載企画。椿姫さんが注目するゲームのクリエイター、旬なクリエイターに対談形式でお話を聞いていきます。椿姫さんのゲーマー側に立った突っ込みに、クリエイターはどう応えるのか? どんなぶっちゃけトークが展開されるのか? 注目です。

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“椿姫彩菜のゲームの話”第12回 カプコンの小野義徳氏に聞く“あのゲーム”の続編

2014-10-11 00:00:00

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●あのゲームの続編は?

椿姫彩菜さん(以下、椿姫) 個人的には歴史のあるカプコン格ゲーで、いまだからこそ続編を出してほしいゲームがいっぱいあるんですよ。たとえば『私立ジャスティス学園』シリーズ、『スターグラディエイター』シリーズとか……。そのあたりはどうなのでしょうか?

小野義徳氏(以下、小野) よりによって絶対実現しなさそうなふたつを(笑)。

椿姫 どうしてですか~!(笑)。格ゲーのシーンを盛り上げるために、過去の名作を新生させるのもアリだと思うんですよね。

小野 『ヴァンパイア』ですら難しいですから、きびしいと思います(笑)。逆に言うと『ヴァンパイア』の新作が世に出ることがあれば、そのつぎとしてのチャンスはあるかもしれません。つまり、『ヴァンパイア』の新作がリトマス試験紙の役割なんです。

椿姫 では、過去のシリーズ作ではなく、“完全新作”の格ゲーを作る可能性はあるのでしょうか?

小野 ……(意味ありげな沈黙)。

一同 爆笑。

小野 新作はやりたいんですが、実現させるにしてもいまこの記事を読んでいる格闘ゲームファンが喜ぶ形にはならないかなぁ。

椿姫 えーっ! そんなー。

小野 球技でもサッカーやバスケなどがあるように、格闘ゲームの中でもさらに細かくジャンルが分けられているじゃないですか。『モータル・コンバット』と『ストリートファイター』が同じものかというと、実際はまったくの別モノですよね。競技性を追求するところとは別の発展をしていますし。『スマッシュブラザーズ』シリーズだって、『ストリートファイター』シリーズとは異なりますよね。でも、広く括ると対戦型のアクションゲームという点で基本は同じ。

椿姫 ということは、たとえばですが新作は『スマブラ』スタイルの『ストリートファイター』だったりするのでしょうか(笑)。

小野 さぁ、どうでしょう。『パワーストーン』シリーズかもしれませんよ(笑)。それはともかく、格闘ゲームをスポーツとしてみると、自分たちのメーカー内で競技の数を増やすことはしたくないんですよ。いま格闘ゲームが盛り上がっているといっても、全世界の格闘ゲームプレイヤー人口は1000万人には届かないと思うんですよ。その枠の中で、障害物競争をします、マラソンもします……といろんな競技を提供するのは、プレイヤーの分散を招くだけでしょう。それよりは他社さんのシリーズを含めた中で、確固たるコミュニティーを作って、そこできちっと興行みたいなことが開催できる流れを構築するのがいいと思っています。そしてその動きとは別に、未体験の人には「みんなと競うことは楽しいんだよ」と教える場や機会も作りたいなと思っています。その場に向けて作るゲームは、きっと純粋な格闘ゲームにはならないんだろうなと感じています。将来のことを言うのは、ここくらいまでで許していただけますか?(笑)。

椿姫 でも、『ストリートファイター』キャラクターが登場する『パワーストーン』風のゲームも、シリーズのファンとしてはプレイしてみたいですよ。

小野 カプコンファンには、格闘ゲームのほうがなじみが深いでしょうけど、パワーストーン』もいいゲームですからね。あのゲームはいまにして思えば、時代を先取りしすぎていましたね。もう少し、平たくしていくともっと変わっただろうし、おもしろ味も増すのかな、と思います。そこは首を長くして待ってくださると、もしかしたら続編が現れるかもしれませんよ

椿姫 格ゲーを制作しているほかのメーカーさんにも、がんばってほしいですよね。小野さんと仲がいいバンダイナムコゲームスの原田さんも応援していると思いますよ。

小野 彼もさまざまなアクションをしていますからね。ほかのメーカーさんでいうと、アークシステムワークスさんも精力的に新タイトルを出していて、スゴいと思います。

椿姫 アークシステムワークスさんはアニメ寄りの声優の起用など、キャラクターにも力を入れているところもとても魅力的です。キャラクターに惹かれて格闘ゲームを始めた、ゲームセンターに通い始めたという女性が増えましたからね。キャラクターから格ゲーに入るのはSNKプレイモアさんの『ザ・キング・オブ・ファイターズ』以来(?)の新しいファン層ではないでしょうか。

小野 その流れがもっと広がるといいですね。本格的にその動きが顕著になると、ゲームセンターの運営のあり方も変わる可能性もありますからね。

椿姫 『ストリートファイター』シリーズがその流れになることは?

小野 絶対にありません(笑)。カプコンは、その流れでいったん動き始めたこともありましたが、本連載の1回目のゲスト『戦国BASARA』シリーズのプロデューサーの小林裕幸が、その流れを断ち切ってガチなアクションにしましたから(笑)。

椿姫 じゃあ『ウルIV』では、メイド服の女子が参戦するといった予定はないのですね(笑)。

小野 でも、それはやりたいなぁ(笑)。『ウルIV』のキャラクターについて、開発の事情からお話をすると、参戦キャラクターは『ストリートファイター』シリーズで過去最大のプレイアブルキャラクター数なんですよ。

椿姫 本当に多いですよね!

小野 44キャラクターもいるから、もう覚えきれなくて順番通りに並べられないんですよ。このうえでさらにキャラクターを加えると、調整などの労力はさらに増える。だから、もう増えないかな……と言いながら、数年後にはさらに増えてみなさんからツッコミを受ける可能性もありますけど(笑)。

椿姫 将来的に『ストV』が出るとして、そのときはキャラクター数はどうなるんでしょうね。

小野 あまりにたいへんだから、『ストV』ではキャラクターを厳選して8人に絞ります!(笑)

一同 爆笑。

小野 でもね、いちユーザーとして正直に言うと、8人くらいじゃないと覚えきれないんですよ。なにせこれまでもアップデートをするたびに変更点案をまとめた書類が大量に届くほどで、目を通すだけでも精いっぱい。プレイをするにも、キャラクターの対策が覚えられない(笑)。

椿姫 『ストII』も最初は8人でしたね。でも最近は、稼動開始当初はキャラクター数が少ないものの、時間が経つと少しずつ増えていくスタイルもありますから、そういうのもいいかもしれませんね。


次回はカプコンが現在開発中のプレイステーション4用ソフト『deep down(ディープダウン)』の話題をお届けします。

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