2024年2月10日にサービス開始から2周年を迎えたスマートフォン、PC(Steam)向けRPG『ヘブンバーンズレッド』(以下、『ヘブバン』)。『Angel Beats!』コラボ第2弾を筆頭に、豪華イベントで盛り上がっている本作では、メインストーリー第五章前編“魂の仕組みと幾億光年の旅”の開幕が2024年2月23日に控えている。

 第五章前編の開幕を記念して、ゲームキャスター・篠原光さんにインタビューを実施。本作の魅力やメインストーリーの注目ポイントなど、存分にお話をうかがった。なお、インタビュー内にはストーリーのネタバレが含まれているため、読む際はご注意いただきたい。

※インタビューは2024年1月上旬に実施しました。

『ヘブバン』好きな元日テレアナ篠原光さんにインタビュー。絶望の淵で肺から押し出した水瀬いちごの「なぁ」。息の揺らぎから感じる最上級の“切ない”

篠原光さん(しのはらこう)

元日本テレビアナウンサー。2023年3月いっぱいで古巣を離れる。現在はPROTAGONに所属し、ゲームキャスターとして活躍中。文中は篠原。

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息苦しさや切なさを超えた先に待つ“温かさ”が『ヘブバン』にも健在

――初めに『ヘブバン』との出会いをお聞かせください。

篠原リリースから8ヵ月ほど経ったころ、日本テレビアナウンサー時代にアナウンス部のデスクで後輩の河出奈都美アナウンサーにおすすめされました。日ごろから好きなアニメや好きなVOCALOIDの曲など、オタクトークをしてくれる後輩だったのですが、その日はものすごい熱量で「篠原さん! ストーリーが、ストーリーがものすごいゲームがあります!」と。

 仕事の片手間にやりたくなかったので、秋ごろに教わってから冬まで温めて、2022年~2023年の年末年始休みにがっつり進めまして、お正月から泣いていました。最高の作品を教えてくれた河出アナウンサーには心から感謝しています。いい後輩を持ちました。

――後輩から布教を受けたのですね。過去にKey作品を遊んだことはありましたか?

篠原はい。初めて遊んだのはPSP版の『AIR』です。中学高校と6年間男子校だったのですが、中学1年生のころに親友がノベルゲームやアニメカルチャーを教えてくれました。初めてのノベルゲームで何をプレイしようか迷った末、慣れないパソコンで調べて出てきたのが『AIR』。近所のゲームショップまで買いに走ったのを覚えています。

 どうしようもない抗えない運命、全員を救う選択肢はなさそうだと気づき始めたときの息苦しさや切なさ、それでもたどり着いたエンディングでは「これでもよかったのかもしれない」と思わせてくれる温かさ。『AIR』を通して感じたKeyのイメージは間違いなく『ヘブバン』でも生きていて。だから、15年の時を経たいまもKeyのストーリーをリアルタイムで感じられて幸せです。懐かしいですね、当時は『CLANNAD AFTER STORY』がオンエアされていたころでした。

――『AIR』と『ヘブバン』で同じイメージを抱いたと。篠原さんにとってKey作品とはどんなものなのでしょうか?

篠原心の成長期を支えた作品……でしょうか。というのも、僕がノベルゲームやアニメカルチャーに触れるようになったのが中学1年生の冬、つまり2007年ごろなんです。先述したPSP版の『AIR』をプレイした中学生男子の成長たるや。

 わがまま100%の男の子が急にあれほど繊細なストーリーに触れたわけですから、何度も翻弄されました。そして、エンディングではちゃんと涙が流れてくるんです。物語への感情移入を通して、自分も変わっていったんだろうなと思います。

――『AIR』のプレイ体験を通じて心が成長する。とても素敵ですね。実際に『ヘブバン』を遊んでみていかがでしたか?

篠原懐かしさ100、新しさ100で、200%楽しめる作品でした! Keyが作るストーリーのファンとしても、戦略を立てながら遊び進めるRPG好きゲーマーとしても、わくわくしながらプレイしています。

 ノベルゲームの会話を通して世界観を感じていた昔と、オープンワールドの任務を通して世界に溶け込む現代。その両方が歩み寄ってひとつの形になったのが『ヘブバン』なのでは、と個人的に感じています。そういった意味で、物語には懐かしさを、システムには新しさを感じていますね。

――ノベルゲームではなく、RPGでKeyさんのストーリーを楽しめているからこその感覚なのかもしれません。「『ヘブバン』のココが好き!」というポイントを教えてください。

篠原ライブシーンのカットインです! Keyファンで軽音楽部出身の私は震え上がりました。スタジオでの会話なども自分の青春時代を思い出すような空気感で、ひたすらエモーショナルな気持ちで見ています。

 最近だと『死にゆく季節でぼくは』がとくに好きで。なんですか……ギターのめぐみん(逢川めぐみ)とベースのおタマさん(國見タマ)が向き合うシーン。「わあああああ(泣)」と腹の底から湧き上がる叫びを誰かと共有したい。誰か!

『ヘブバン』好きな元日テレアナ篠原光さんにインタビュー。絶望の淵で肺から押し出した水瀬いちごの「なぁ」。息の揺らぎから感じる最上級の“切ない”

“切ない”が詰まった最上級のお芝居が心を揺さぶる

――メインストーリーは序章から断章IIまで配信されています。お気に入りの章を教えてください。

篠原おそらく多くのファンがいらっしゃるかと思いますが、第二章です。水瀬いちごの、さらには水瀬いちごを演じる声優・愛美さんの魂の叫びが響くクライマックスが頭に焼きついて離れません。心を大きく揺さぶられました。

 また、ストーリー全体を通しても「このゲームは登場人物がいなくなってしまう」とプレイヤーに意識づける大事な章。『ヘブンバーンズレッド』という作品の無慈悲さがいい意味で発揮された章だと思います。

――主要キャラクターが退場するとは思いもしませんでした。いちごの涙に心を揺さぶられたとのことですが……。

篠原“Requiem for the Blue”にて描かれる、水瀬いちごの「なぁ蒼井…。あたし、蒼井のために何かしてやれたかな…?」のシーンがとくに切なくて。

 もっと細かく言うと、このセリフの「なぁ」という声です。押しつぶされそうな気持ちで肺から押し出したような「なぁ」の“息の揺らぎ”は、“切ない”が詰まった声優さんの最上級のお芝居だったと、同じく声を扱う職業として思います。

『ヘブバン』好きな元日テレアナ篠原光さんにインタビュー。絶望の淵で肺から押し出した水瀬いちごの「なぁ」。息の揺らぎから感じる最上級の“切ない”

――シーンが蘇ってうるっときました。切ないストーリーとは対照的な笑えるギャグシーンも魅力のひとつです。好きなギャグシーンも教えてください。

篠原31Aで夜な夜な行われる“第○回○○選手権”です。夜が更けてもまったく眠くなくて、なんとなく“激安の殿堂”的な、深夜でも開いているどこかへお散歩に行った思い出が僕もありまして。自分の思い出と重ねて楽しんでいます。

 アナウンサーとしてはこういうシチュエーションだと“回し”になることが多いので、おタマさんと一緒にリアクションを取るイメージでストーリーを進めています。直前までツッコミに回っている和泉(和泉ユキ)がちゃんと真面目に参加しているところも最っ高です!

『ヘブバン』好きな元日テレアナ篠原光さんにインタビュー。絶望の淵で肺から押し出した水瀬いちごの「なぁ」。息の揺らぎから感じる最上級の“切ない”

篠原あとは、いじりにいじられた末にみんなの期待にちゃんと応える、手塚司令官(手塚咲)の「くるくるぱーーーかーーーーー!!」も大好きです。毎回律儀な人だなって思います。

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――わかります(笑)。2024年2月23日には第五章前編の追加が予定されています。期待している点をお聞かせください。

※インタビューは2024年1月上旬に実施しました。

篠原各部隊の連携です! 第四章後編では、各部隊のそれぞれの強みと個性がわかりやすく描かれていて、いまだ謎めいていたセラフ部隊全体の雰囲気を身近に感じられるようになりました。小学生のころ、運動会に向けての学年練習を経て他クラスとの距離が急に近くなるような、あの感覚です。

 具体的には“行動観察報告書 第1186号”のように、編成済みの他部隊のパーティをお試しで使えたらうれしいです。自分で組んだパーティには定番のスキル回しがあってそればかりになりがちなので、ふだん使わないバフやデバフで難敵を攻略していく謎解きみたいな感覚を味わいたいなと。とくに、柳美音部隊長率いる31Fの活躍が楽しみです!

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コラボカフェも堪能! 溢れ出る『ヘブバン』愛

――メインストーリーのほかにも、ストーリーイベントが月1回配信されています。お気に入りのストーリーイベントを教えてください。

篠原僕は柳美音推しなので、“小さき帝と穏やかな朝食”です。31Fについて語られているストーリーが少ないというのもあるのですが、完璧でスタイリッシュに見える31Fが熱く人間くさい絆でつながっているのが分かって好きです。

篠原でも、ストーリーイベントは好きなものが多くてひとつには絞れませんね。佐月マリとお母さんの関係を描いた“優しさと切なさと心強さと”も大好きです。

――ストーリーイベントというと、2023年の2月には『Angel Beats!』コラボイベントが開催されました。こちらは遊ばれましたか?

篠原もちろんです! 最高でした。SS立華かなでが情報解禁されたときの「ガードスキル・ハンドソニック」の声が聞こえたときの興奮たるや!! いつか日向(日向秀樹)が実装されて椅子ロケットで攻撃する専用スキルがこないかなとひそかに期待しています。

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――キャンサーに攻撃が通じたらおもしろいですね(笑)。お話を少し前に戻しまして、篠原さんは柳が推しなのですね。

篠原そうなんです! へたれで落ち着きのない自分と真逆、スマートで品位あふれるただずまいに憧れすらしています。昔からどんな作品でも“めちゃくちゃ強いキャラ”を好きになりがちで、30Gの白河ユイナなどと同様、柳も相当な実力者だと思っています。

『ヘブバン』好きな元日テレアナ篠原光さんにインタビュー。絶望の淵で肺から押し出した水瀬いちごの「なぁ」。息の揺らぎから感じる最上級の“切ない”
柳美音

篠原しかも、執事ときました。これも昔からなのですが、妖狐とか悪魔とか執事キャラの系譜はとにかく最強のイメージが強くて、いわゆるツボなんです。たまりませんね。「この人がいればきっと大丈夫だろう」という安心感に心を開いてしまうのかもしれません。あ、でもきっかけは一目惚れです。切れ長の赤い目と余裕ある笑みに。

――この流れで好きな部隊も教えてください。

篠原31Aです。推しは別部隊にいますし、ふだんバトルでお世話になっているキャラも別部隊なのですが、こればかりは31Aです。

 理由は、ストーリーを進めるうちに感情移入しすぎてしまったからでしょうか……。プレイヤーは31Aに所属する茅森(茅森月歌)として生きていますので。あれほどの葛藤を見せられて応援せずにいられますか? 逆に。

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――好きなスタイルも教えてください。

篠原和泉ユキの“ナイトクルーズ・アテンダント”です。全体雷攻撃の専用スキルがシンプルにめちゃくちゃ強くて、ストーリーから強敵まで幅広くお世話になっています。初めて使ったときはHPまで削りきる威力に感動しました。

 和泉でブレイクして、“ナイトクルーズ・エスコート”の茅森につなぐ連携が強いうえに思い入れ深く、「こりゃ31A強いわ」と呟きながら戦っています。そして、黒スーツが似合いすぎている。これに尽きますね。

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篠原最近だと、別衣装のシャルロッタ(シャルロッタ・スコポフスカヤ)とスーツ姿のおタマさんが仲間になり、雷属性の親和性がすごいことになっています。

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――推しの柳はバトルでは使っていないのでしょうか?

篠原じつは、僕のスマホにはまだ柳のSSスタイルがおらず、丸山奏多お嬢様のみがいる状況です。つまり、柳が戻るまでお嬢様を無事お守りするのが、ストーリーと平行して行うべき自分の使命と心得ています。運営さん、ピックアップガチャをお願いします!

――お迎え報告を楽しみにしています。キャラクターの掛け合いで、お気に入りのフレーズはありますか?

篠原“夏だ!水着だ!トロピカル祭りだ!”の「よっ!」「トロピカルだねえ!」でしょう。やっぱり!

――ありがとうございます。劇中を彩る多彩な楽曲も『ヘブバン』の魅力のひとつです。お気に入りの楽曲を教えてください。

篠原きみの横顔』です。イントロのギターと歌詞がたまりません。戦闘と同時に聞こえるギターの音にテンションを上げてもらったプレイヤーも大勢いると思います。僕の場合だと、聴いている最中は「うおおおお」と心の中で叫びながら戦っていますね(笑)。
 
 そして「時が過ぎ去っても今をただ生き抜く」、「いつだって不安で及び腰」など、ストレートな心象描写が刹那の戦いを生きるセラフ部隊に重なってめちゃくちゃ熱いです。

――歌詞に注目して聴きなおしたくなりました。篠原さんはコラボカフェなどのゲーム外イベントにも参加されているとのことですが、とくに印象に残っているゲーム外イベントを教えてください。

篠原まさに池袋で開催されていたコラボカフェです! これも僕に『ヘブバン』を教えてくれた後輩の河出アナウンサーが連れ出してくれたのですが、360度好きな作品に囲まれた空間がこのうえなく幸せでした。

 会場内で流れていたのは各ストーリーイベントの告知映像。Requiem for the Blueが流れたときなどは泣きながらデザート食べました。個人的には、やたら細かいグルメ描写もヘブバンの魅力のひとつなので、より料理にこだわったヘブバン食堂もいつか開催してもらいたいという希望があります!

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コラボカフェで写真撮影を楽しむ篠原さん。

“最上の、切なさを。”のキャッチコピーに偽りなし

――『ヘブバン』の今後の展開で期待していることがあれば教えてください。

篠原手塚司令やななみん(七瀬七海)、浅見教官(浅見真紀子)など、先輩部隊員の戦いはどんなものだったんだろうと気になるので、いつか知れたらなと思います。戦傷により前線を退いているそうなので再び最前線に出向くことはないと思うのですが、心のどこかでピンチのときには助けに来てほしいとも思いますし……。うーん、難しいですね!(笑)

――七瀬はセラフを扱えるのかなど、気になる点は多いですね! 最後にまだ『ヘブバン』をプレイしていない方に向けて、メッセージをお願いします。

篠原“最上の、切なさを。”の看板に偽りなしです。

 心を鷲づかみにされて、ギュッと苦しくなるほどのストーリーを味わったことはありますか? 唇を震わせながら“つぎへ”のボタンを押す感覚を、ぜひ感じてほしい。最高純度の切なさを誇る作品が、ここにありますよ!

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