「キミも“ロボコップ”にならないか?」

 『RoboCop: Rogue City』(ロボコップ: ローグ シティ)のプレイレビューを依頼されたとき、こう聞こえた気がした。

 本作は映画『ロボコップ』を題材にしたプレイステーション5向けの新作ゲーム。おなじみのSFアクションヒーロー・ロボコップとなり、劇中の世界で犯罪に立ち向かうFPS(一人称視点のシューティング)だ。

 映画好きの筆者としてはこの機会は逃せない。即オーケーして早速プレイしたのだが、ファンとしてはっきり言う。本作は『ロボコップ』世界を存分に楽しめる最高のムービーゲームとなっていた。

 本稿では『RoboCop: Rogue City』のプレイレビューを、映画ファン目線でお届けしよう。

※本記事は3gooの提供でお届けします。

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まずストーリーがヤバい!

 巨大企業・オムニ社の最新テクノロジーにより誕生した、鋼の肉体を持つデトロイト最強のロボット警官・ロボコップ。本作では映画『ロボコップ2』と『ロボコップ3』のあいだが描かれるのだが、まずここがファンの超重要ポイントだろう。

 というのも、映画の2作目と3作目ではかなり作中の雰囲気が変わっている(ような気がする)。1~2作目ではオムニ社の陰謀と犯罪者たちとの戦いが中心だったが、3作目ではディストピア化したデトロイトで市民を弾圧する企業とロボコップ&レジスタンスがバトルする。みずからを作り出した企業に逆らい、ロボットではなく警官として市民を救おうとするロボコップを描いていた。

 これはこれでよかったのだが、世界観が変わり過ぎていた感も否めないし、何より『1』~『2』で敵だったオムニ社が日系企業に買収され因縁の社長も変わっていた。この変化に驚き過ぎて初見時に「何かひと作品飛ばしたんじゃないか?」と思ったほどだ。

 しかし、本作では2~3作目の空白期間をオリジナルストーリーで補完してくれる。“新顔”と呼ばれる脅威が現れたことをきっかけに起こった大事件を追うロボコップ。オムニ社の経営不振の理由、社長交代劇の真相など3作目までの経緯が描かれる。

『ロボコップ: ローグ シティ』を映画ファンがプレイ。これは実質映画『ロボコップ2.5』! ゆっくり歩きながら敵をひとりずつロックオンする“らしさ”に大興奮

 『ロボコップ3』公開から約30年経って追加ストーリーがくるとは思わなかったが、ここにきて正史を補完してくれるのはファンとしてもかなりうれしい。

『ロボコップ: ローグ シティ』を映画ファンがプレイ。これは実質映画『ロボコップ2.5』! ゆっくり歩きながら敵をひとりずつロックオンする“らしさ”に大興奮

操作感がロボコップ過ぎる

 本作におけるロボコップの移動速度だが、あえて断言しよう。めちゃくちゃ遅い。最初のプレイ時、“スプリント”が歩行状態だと勘違いしていたほどだ。

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 だがそれでいい。そもそもロボコップはもともと人間だったとしてもけっきょく身体はロボット。映画でもゆっくり動いていたし、あのぎこちない歩きかたが逆にいいのだ。スライディング&壁ジャンプしながら戦うロボコップなど見たくない。「スピーディーなロボコップはロボコップに非ず」だ(戦闘中スキルで短距離のダッシュができるがそこはスルーしていただこう)。

 また、戦闘時に“ロボコップ・ビジョン”で敵をスキャンする演出もかなり見もの。ブラウン管っぽい画面に蛍光色の緑色のUI。愛銃・オート9を撃つとき「これこれ! ロボコップが銃を撃つときはこうでなくちゃ!」とかなり興奮した。

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 なお、ふつうの敵と戦う際は頑丈なアーマーに任せたゴリ押し戦法が基本だ。ロボコップ自身の体力がかなり多めに設定されているので、敵が使う小口径の銃程度ではびくともしない。大勢の相手でも焦らずひとりずつオート9で倒していく。これもじつにロボコップらしい。

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 そのほか戦闘中にはメインテーマが流れてくれたり、戦闘終了時にはオート9でガンプレイ(西部劇でよく見る銃をくるくる回すやつ)してくれたりと、ファンへのサービス精神も旺盛。本作が発表されたとき「FPSだとロボコップが見えないけど大丈夫?」と心配になったが、こういった細やかな演出がファンの心をくすぐる。むしろFPSになったことで“ロボコップのなりきり体験”を存分に味わえた。

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聖地巡礼も忘れずに!

 最新のグラフィックスで表現された映画世界も魅力だ。

 まず警察署。ロボコップが待機する鉄柵に囲まれたいつもの場所を始め、市民が並ぶ受付、射撃場、シャワー室とロッカールーム、地下駐車場など、映画でも見たスポットが警察署内だけでもこんなにある。

『ロボコップ: ローグ シティ』を映画ファンがプレイ。これは実質映画『ロボコップ2.5』! ゆっくり歩きながら敵をひとりずつロックオンする“らしさ”に大興奮
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 街に出ればゲームセンターやオムニ社の内部に行くこともある。個人的には、地面をこすり火花を散らしながら出動するパトカーのワンシーンがお気に入り。映画と同じカットで最高だ。

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『ロボコップ』未視聴でも楽しめる?

 ここまで『ロボコップ』を観たことがない方を置き去りにして書いてきたが、避けて通れない「映画未視聴でも楽しめるか?」についても触れておこう。実際のところ本作は『ロボコップ』を知らなくても楽しめるようになっていると思う。

 というのも、やはりシューティング要素がいい。過剰な威力を誇るオート9の銃撃、大勢の敵をものともしない頑丈なアーマー、容赦ない人体破壊描写などにより銃撃戦はバイオレンスかつ爽快。圧倒的な戦力差で犯罪者集団を無双する“ヒーロー体験”がかなり楽しめた。

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 また、戦闘や探索で手に入れた経験値・アイテムなどでロボコップ自身を強化できるRPG要素もおもしろい。レベルアップ時にもらえるスキルポイントを割り振れば、基礎ステータスが上がったりスキルを覚えたりする。攻撃特化か、防御重視か、はたまた平均的なステータスにするか、自分なりのビルド(スキル構成)を考える楽しみもある。

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 要するに本作は爽快なシューティングとシンプルなRPGの要素も盛り込まれたゲーム。むしろ未視聴の方には、本作をきっかけにして映画シリーズにハマってほしいところだ。

ゲームでもあり映画でもある

 本作を総評するならシューティング要素を楽しめる“映画”といったところだろう。ロボコップの新ストーリーというだけでうれしいのに、シネマスコープサイズ(映画用の画面比率)のムービーも流れるという徹底ぶり。ちょくちょくこれがゲームであることをすっかり忘れるほどかなり“映画”だった。

『ロボコップ: ローグ シティ』を映画ファンがプレイ。これは実質映画『ロボコップ2.5』! ゆっくり歩きながら敵をひとりずつロックオンする“らしさ”に大興奮

 かといってゲームパートも甘く見てはいけない。アーマー&オート9による爽快な銃撃戦やサイドストーリー・会話から世界観を深堀りしていく探索パートも楽しい。『ロボコップ3』への布石も用意されており、細かい部分もファンとしては見逃せなかった。

『ロボコップ: ローグ シティ』を映画ファンがプレイ。これは実質映画『ロボコップ2.5』! ゆっくり歩きながら敵をひとりずつロックオンする“らしさ”に大興奮

 まさに映画とゲームのいいとこどり。とくに映画『ロボコップ』ファンには絶対におすすめしたい作品となっている。ぜひ本作で最高の“ロボコップ体験”を味わってほしい。

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作品概要

  • タイトル:RoboCop: Rogue City(ロボコップ: ローグ シティ)
  • プラットフォーム:プレイステーション5
  • 発売日:2023年11月30日発売
  • 価格
    ・スタンダート エディション:8580円[税込]
    ・アレックス・マーフィー エディション:10010円[税込]
  • ジャンル:FPS
  • プレイ人数:1人(オフライン)
  • 対象年齢:18歳以上対象(CEROレーティング:Z)
  • 開発元:Nacon S.A. / Teyon
  • 発売元:3goo
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