2014年にリリース(2016年にはDMM GAMESから日本語対応のPC版がサービス開始)された『エルダー・スクロールズ』シリーズの最新作であり、初のオンライン作品となる『The Elder Scrolls Online』(エルダー・スクロールズ・オンライン、以下『ESO』)。

 1994年に第1作が発売されてから約30年となる2023年11月15日、プレイステーション5(PS5)/プレイステーション4(PS4)/Xbox Series X|S/Xbox One向けに、日本語対応のコンソール版が発売された。

 200名を超える豪華声優陣によるボイスも含めて、広大な世界をフルローカライズしている『ESO』。40回ものアップデートを重ねて進化し続ける本作のコンソール版は、2023年6月に配信された大型追加コンテンツ“モロウウィンドを覆う影”で始まった新章“ネクロム”を収録している。

 記事名:『エルダー・スクロールズ・オンライン』コンソール版発売記念インタビュー。9年の蓄積が実現した“タムリエル”の完全なる自由をクリエイティブディレクターが語る!

 コンソール版を遊ぶプレイヤーはイチからのスタートになり、膨大なコンテンツを誇る本作を遊び始めるには最適な機会と言っていいだろう。

 そこで今回は、『ESO』の開発を手掛けるZenimax Online Studiosのクリエイティブディレクター、リッチ・ランバート氏のオンラインインタビューをお届けする。

 ちなみに、東京ゲームショウ2023(以下、TGS2023)のタイミングで来日したリッチ氏には“青木瑠璃子×ファミ通・電撃のゲーム特番! 実機プレイ&最新映像スペシャルDAY01”に出演していただき、生インタビューをお届けしたので、興味がある方はチェックを!

※ベセスダ・ソフトワークスのコーナーは1:20:02あたり。

リッチ・ランバート

Zenimax Online Studios(ゼニマックス・オンライン・スタジオ)でクリエイティブディレクターとして『ESO』の開発に携わる。

――TGS2023に合わせて初めて来日されましたが、TGS2023の印象は?

リッチすばらしい経験でした。いろいろと見て回ったのですが、肩と肩が触れ合うくらいに大勢の来場者が会場にいらっしゃって、驚きましたね。たくさんの刺激を受けました。

――TGS2023の期間中に本作の発売日が発表されましたが、いよいよその2023年11月15日を迎えました。

リッチ私自身もワクワクしています。ローカライズにかなり時間がかかってしまいましたが、日本のユーザーにコンソールで『ESO』をプレイしていただけることをとてもうれしく思っています。

――少し前の話になるのですが、『ESO』のターニングポイントは、2016年に実施された第12弾アップデートの“One Tamriel(ワン・タムリエル)”だったと思います。ここから、より多くのプレイヤーが気軽に楽しめるMMORPGになりました。そこから7年をかけて進化した最新の『ESO』が、コンソール版としてリリースされるという。

リッチそうですね、“ワン・タムリエル”で『ESO』は、真の意味で『エルダー・スクロールズ』になったと思います。いまのタムリエルは何の制限もなく、どこまでも自由に行くことができます。

 かつてはレベルゲート(レベルに差があるといっしょに遊べなくなる、レベルによって入れない土地があるといった制限)が存在していたのですが、いまはレベルに関わらず自由に行動できますし、レベルに差がある友人とも冒険を楽しむことが可能になりました。

※以下より、動画はDMM GAMES公式YouTubeチャンネルにて配信されたPC版のものとなります。

――フレンドとのレベル差を気にしないでいいのはうれしいですね。

リッチどのようにすればユーザーの経験に影響を与えられるのか、その方法をずっと探ってきました。その結果、大きく自由度が増して、ユニークなオンラインゲームになったと思います。

――影響という意味では、『The Elder Scrolls IV: Oblivion』と『The Elder Scrolls V: Skyrim』のエッセンスは『ESO』にどのような影響を与えたのか、気になります。

リッチストーリーテリングは大きな影響を受けています。『エルダー・スクロールズ』シリーズのストーリーテリングは、いわゆる全能の存在がナレーションで登場するとか、プレイヤーより上に立つものが存在すると感じさせるようなことはありませんよね。ストーリーを形作るのはプレイヤーであり、プレイヤーの視点でストーリーが紡がれます。しかも、そのストーリーはプレイヤー次第で変わっていくこともある。

 ここが『エルダー・スクロールズ』のクールなポイントであり、それは『ESO』でも変わりません。また、たとえば遠くにおもしろそうなロケーションを見つけたら、友人とそこまで走って行って、探索を楽しむといった、プレイヤーそれぞれの経験も大事にしています。

 記事名:『エルダー・スクロールズ・オンライン』コンソール版発売記念インタビュー。9年の蓄積が実現した“タムリエル”の完全なる自由をクリエイティブディレクターが語る!

――リッチさんがゲームを知らない友人から「『エルダー・スクロールズ』って何がおもしろいの?」と訊かれたら、何と答えますか?

リッチ「何でも自分で決めることができるところ」と答えますね。魔法使いとなって火の玉を飛ばしたり、メレー(近接戦闘)に特化して暴れたりと、自分の好きなビルドでキャラクターを作り、自分の意志で進む道を選べる。ここがとても魅力的だと説明します。

――『エルダー・スクロールズ』の魅力は“もうひとつの人生”を送れる点にもあると思うのですが、その没入感を強める要素として個人的にはハウジングシステムの“ホームステッド(Homestead)”が気に入っています。

リッチ大量の家具とデコレーションを用意しているので、配置はもちろん、自由に飾り付けを楽しめますからね。とくに「こうすべき」というルールもなく、たとえば石と椅子を組み合わせてユニークな家具を作るといったクラフト要素もあります。アイデア次第でグランドピアノやオートバイのような家具も作成できるんです。

 私も、プレイヤーの方々が作った家を見て回るハウジングツアーを実施したのですが、皆さんのアイデアに驚かされました。日本のプレイヤーの皆さんがどのような自宅を作るのか、とても楽しみにしています。

――リッチさんは以前、“メイルストローム・アリーナ(Maelstrom Arena)”もオススメのコンテンツのひとつとおっしゃっていました。

リッチそうなんです! このアリーナはソロプレイヤー向けのコンテンツになるのですが、いくつか用意された闘技場に挑んで、どれだけ早くクリアーできるかを競うものです。

 ここで皆さんに楽しんでいただきたいのは、プレイを改善してより早く進める方法を編み出すことです。ベストなプレイのために工夫する余地がたくさんある点が気に入っています。

リッチまた、第40弾アップデートで加わった“果てしなき保管庫(Endless Archive)”も、コンソール版に実装しているのでオススメです。

 ローグライクの要素を持つPvEのアクティビティですが、ランダム生成のステージを舞台にソロでもパーティーでもバトルを楽しめます。

リッチ私は妻とゲームを通して出会ったので、デートの代わりに『ESO』をよくプレイするのですが(笑)、彼女は探索をじっくり楽しむタイプで、私はいろいろなことに挑みたいタイプなんです。でも、ケンカすることもなく自由にプレイしています。お互いのプレイスタイルが異なっていても、それぞれのペースで楽しめるゲームだと思います。

――2022年に実装された新章“ハイ・アイル(High Isle)”はまるでドラマのような群像劇が展開され、さらに新たな章となる“ネクロム(Necrom)”はコズミックホラーテイストの物語が展開しています。アップデートのたびに新鮮な体験を提供していますが、どのようなコンセプトでストーリーを構築しているのでしょうか?

リッチ当然のことですが、まずはいままでリリースしてきた章を確認して、「これまでになかったユニークなストーリーとは何か」を考えます。そして、新たなストーリーのコンセプトとなる言葉を決めるんです。

 “ハイ・アイル”では、アーサー王の伝説に出てくる“キャメロット(Camelot)”という単語をもとに、中世のヨーロッパで騎士が活躍するような物語を起点にしました。

リッチ“ネクロム”では、ご指摘の通り“コズミックホラー(Cosmic Horror)”をベースに、巨大な眼を持つ神であったり、奇妙な色彩であったり、プレイヤーの感情を掻き立てるようなイメージを作り上げていきました。プレイヤーにどのような感情を持ってもらいたいか……ここを考えることは、とても大事にしています。

――“ネクロム”を含む第40弾アップデートまでがコンソール版には含まれていますが、初めて『ESO』をプレイする人は、最初の同盟・種族の選択から迷うかもしれません。そんな人にアドバイスはありますか?

リッチ『ESO』の世界は壮大で、たっぷり時間をかけて探索を楽しめるゲームになっています。キャラクターのレベルを最大まで成長させることが重要なゲームとは異なり、数々のコンテンツも含めて、冒険の道のりをじっくりと楽しむことに魅力があります。

 同盟と種族を最初に決めたことで、プレイヤーの体験が限定されることはありません。どのようなビルドでもやり直しができないゲームではないので、実験の感覚でいろいろと試してください。キャラクターの成長過程もきっと楽しいものになります。わからないことが発生したり選択に迷ったときは、コミュニティーを頼ってください。『ESO』のプレイヤーはすばらしい人ばかりなので。

――ソロでもコンテンツは十分楽しめますからね。

リッチもちろんです! メインストーリーに関しては、ソロでも十分に楽しめます。難度の高いコンテンツ、たとえば強力な敵と戦いたいときだけ、複数のプレイヤーと挑戦するというスタイルもオススメです。レベルアップしたいときは仲間と協力すると効率がよくなることもあります。

 確かに『ESO』はMMORPGですが、複数人と遊ぶのは苦手だというプレイヤーがいらっしゃることは理解しています。『ESO』はあらゆるプレイヤーが楽しめるゲームだという姿勢を崩すことはありません。

 記事名:『エルダー・スクロールズ・オンライン』コンソール版発売記念インタビュー。9年の蓄積が実現した“タムリエル”の完全なる自由をクリエイティブディレクターが語る!

――コンソール版が出ることで日本にも新しいユーザーコミュニティーが生まれると思います。

リッチ日本のユーザーコミュニティーに対しては、日本のベセスダ・ソフトワークスがしっかりサポートします。Zenimax Online Studiosとしても、できる限りサポートします。私個人はコミュニティーのファンアートや配信を観させていただくことが大好きなので、日本のユーザーコミュニティーでもたくさんの交流が生まれることを楽しみにしています。

――最後に、日本のコンソール版プレイヤーにメッセージを!

リッチ先にも述べましたが、日本でのコンソール版リリースには、すごく時間がかかってしまいました。それでも辛抱強く待っていただいた方々がいらっしゃることに感謝しています。

 皆さんが体験する冒険は、私たちが9年以上の時間をかけてエネルギーを注ぎ込んできたものです。ぜひ、その熱量を体験してください。ローンチからたくさんの改善を重ね、たくさんのコンテンツをご用意しました。ぜひ、日本の皆さんにもどんどんプレイしていただきたいと思います。そして、これからもさらなるストーリーやコンテンツを用意しているので、期待してお待ちください。

 記事名:『エルダー・スクロールズ・オンライン』コンソール版発売記念インタビュー。9年の蓄積が実現した“タムリエル”の完全なる自由をクリエイティブディレクターが語る!

商品情報

  • [タイトル]The Elder Scrolls Online(エルダー・スクロールズ・オンライン)
  • [対応ハード]PS5/PS4/XSX|S/Xbox One
  • [メーカー]ベセスダ・ソフトワークス
  • [発売日]2023年11月15日
  • [価格]各8778円[税込]
  • [ジャンル]RPG
  • [対象年齢]CERO 17歳以上対象
  • [備考]開発:Zenimax Online Studios