2023年9月28日にMetaから発表され、10月10日発売予定のMRヘッドセット『Meta Quest 3』をいち早く体験してきたのでそのインプレッションをお届する。

『Meta Quest 3』基本情報

  • カラーパススルーで本格的MR体験
  • 約30%の高解像化、両目で4K超え
  • 重量は重くなったけど軽くなった気がする!?
  • 画質向上に合わせてアプデするゲーム/アプリは50本、新規アプリも50本用意
  • 価格は74800円から購入特典もアリ
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『Meta Quest 3』実機レビュー

高解像なカラーパススルーでMR(複合現実)世界に突入

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フロントパネルの左右にステレオRGBカメラ、中央に深度センサーを備える。この3つの目が、『Meta Quest 3』の外観上の大きな特徴となっている。

 『Meta Quest 3』をなぜVRヘッドセットと記さなかったのか。それはカラーパススルー機能を使って現実世界を透かして見るMR(Mixed Reality・複合現実)の性能が高いためだ。3D CGで描かれた仮想の世界と現実世界を違和感なく融合してくれるヘッドセットとなる。その秘密は本体の目立つ箇所に配置されているステレオRGBカメラと深度センサーにある。

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ステレオRGBカメラの解像度は18ppd。『Meta Quest 2』、『Meta Quest 3』のカメラの性能は未公開だが、Metaいわくパススルー解像度は『Meta Quest 2』の約10倍、『Meta Quest Pro』の約3倍とのこと。

 明るい部屋で試すとヘッドセットを被っていることを忘れるほどリアリティのあるMR体験を楽しめる。暗い部屋ではややノイズが目立ってくるが見通し力は十分高い。

 没入感を高める視野角も重要なスペック。『Meta Quest 3』は水平110度/垂直96度となった。『Meta Quest 2』は水平97度/垂直93度、『Meta Quest Pro』は水平106度/垂直96度だったので、『Meta Quest 3』はQuestシリーズ史上もっとも広い範囲が映し出されるヘッドセットになった。

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 また、プレイスペースは静止モードと歩行モードに対応。 歩行モードは、 2m×2mの障害物のない床面積が必要。境界線の機能は、自動的に部屋を3Dスキャンして壁、床、家具などの位置を把握して周囲の物理空間とバーチャル体験をシームレスに融合できる。

SoCもディスプレイも性能大幅アップ

 搭載されるSoCは、最新世代となるSnapdragonXR2 Gen2。『Meta Quest 2』の2倍以上のグラフィック性能を持つチップだ。

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レンズの品質は明らかに向上した。中心部だけではなく周辺視野もスッキリとした描写となっている。

 強力なSoCと組み合わさるディスプレイパネルの解像度は、片目当たり2064x2208ピクセル。『Meta Quest 2』より約30%の高解像化を果たし、両目合わせて4Kを超えるものとなった。その高解像性能を活かすのが、ハイエンドモデル『Meta Quest Pro』ゆずりのInfinite Displayテクノロジーパンケーキレンズ。視覚の没入感を損なうことなく、40%スリム化を実現し、視野全体がクリアとなった。いいことずくめだ。

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フェイスパッドを外すとかなり薄くなったという印象を受ける。

 基本リフレッシュレートは『Meta Quest Pro』と同じ90Hz(『Meta Quest 2』は60Hz~)で、最高120Hzのモードも試験中とのこと。描画数が増えれば増えるほど映像の動きをなめらかにすることができるので、アクションゲームで遊んだときに効果が期待できる。

ゲームをプレイ「PC繋がってる!?」と疑いたくなる高画質

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重量バランスが好ましく、重さを感じにくいため、いろんなVR/MRゲームを試したくなる。

 『Meta Quest 3』向けにチューニングされたゲームも試すことに。まずは宇宙基地内のサスペンスやアクションが楽しめる『Red Matter 2』をプレイ。

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 「…。え、これ本当にQuestシリーズの画質? 内緒でゲーミングPCとつながってない?」と疑ってしまうほどの圧倒的な描写力。改めて記すが『Meta Quest 2』より約30%の高解像化を果たした...のだが、それ以上に画質が上がったように感じる。

 すでに『Red Matter 2』は発売されているが、『Meta Quest 3』の画質に合わせてアップデートするゲーム/アプリは50本。新規アプリも50本用意されるという。楽しみでしかない。

 MR機能を用いたゲームの楽しさを体感するべく、スマホの人気ゲーム、ねこあつめのVR/MR版となる『Neko Atsume Purrfect』も試してみた。PerfectではなくPurrfect。間違ってはいない。なぜなら「Purrfect」とは、「ねこさいこう!」を意味する言葉だからだ。

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ねこを抱ける!
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遊べる!
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撫でられる!

 なんだろうか。本当だろうか。この幸せ空間は。しかもMRをフル活用することも可能で、自分の部屋にねこあつめのねこたちが遊びに来てくれるという天国確変モードもまったなし。

 もしかして『Meta Quest 3』とNeko Atsume Purrfectがあれば、ねこと一緒の生活を楽しめちゃう...? まって、ポテンシャルすごくない?

コントローラーはリングがなくなりました

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コントローラのボタン種類・レイアウトは『Meta Quest 2』準拠。

 専用コントローラーのMeta Quest Touch Plusはリングがなくなったデザインに。仮想空間内でオブジェクトに触れたときの触覚フィードバックがしっかりと伝わってくるので、ゲーム世界への没入感を高めてくれる。

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バッテリーは単三電池1本。『Meta Quest 3』充電ドック(19580円)を購入すれば、コントローラも充電できるようにリチウムイオン乾電池が付属する。

重くなったのに軽く感じちゃう不思議

 身につけるウェアラブルデバイスなので重量や装着感はとても重要なポイントなる。重量はトータルで515gで、『Meta Quest 2』の503gより重くなった...というのが信じられない。というのも装着すると、『Meta Quest 2』よりも若干軽くなったように感じるからだ。

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Y字形状となったヘッドストラップ。ホールド性に優れており、頭を振っても安定している。

 本体部が薄くなったこと。そしてヘッドストラップの後部が初代『Oculus Quest』のようにY字形状となったことで、『Meta Quest 2』にあった前方向への重さがかなり解消されている。50:50といった最適なバランスとまではいかないまでも、フロントヘビーすぎるとは感じなくなったことで、重くなったことを意識させない。

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左右のレンズ間(IPD)を調節するホイールが底面部分に備わる。

 IPDは初代Quest同様の無段階調整式に戻った。調整範囲は53~75mm。Quest 3をかぶり、映像を見ながら底面部のホイールを回して、もっともシャープに見える場所で止めればよい。3段階調整式かつヘッドセットを外さなければセッティングができなかった『Meta Quest 2』から大きく進化した部分だ。

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新構造のフェイスパッドによりメガネ調整スペーサーが不要になった。
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フェイスパッド内部のボタンを押すと、フェイスパッドの長さ(深さ)を4段階で調整できる。

 フェイスパッドの長さを調整することで、メガネをかけたままでも楽に使えるようになった。また、『Meta Quest 3』専用の度付きレンズ(7499円)も購入できるようになった。メガネ派の人でも安心!

オーディオは立体感がUP

 内蔵スピーカーは左右2機ずつ、ヘッドストラップアームの前側と後ろ側に備わっている。後部側面にスピーカーホールがあった『Meta Quest 2』と比べると、ゲーム中の音の立体感が向上した。

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ヘッドストラップアーム末端部にあるスピーカーホール。
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もうひとつ、ヘッドストラップアームの上部前方にもスピーカーホールがある。
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左側面に備わる充電用USB Type-C端子(上)と電源ボタン(下)。
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右側面にはイヤホン端子が備わっている。

『Meta Quest 3』は7万円から

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 『Meta Quest 3』の予約開始は本日2023年9月28日から。2023年10月10日に発売開始だ。価格は128GBモデルが74800円、512GBモデルが96800円。Meta公式ECサイト(Metaストア)やAmazonだけではなく、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、コジマ、ヤマダ電機といったショップでも購入可能だ。

 なお2024年1月27日までに購入すると、128GBモデルには『Asgard'sWrath 2』(5990円相当)の特典付き。512GBモデルには『Asgard'sWrath 2』と、毎月2本のVRゲームが遊べるMetaQuest+サブスクリプション6ヵ月分(13190円相当)の特典が付く。

 47300円の『Meta Quest 2』と比べると、かなり値上げされたという印象がある。しかし性能は大幅に向上。一部機能は15万9500円の『Meta Quest Pro』より高いことを考えると、リーズナブルではないかとも感じてくる。

 なお『Meta Quest 2』、『Meta Quest Pro』は共に併売される。まずはVRゲームを試してみたい方は『Meta Quest 2』を選べばよいし、表情/目トラッキングなど次世代以降のトレンドとなりそうな機能を求めるなら『Meta Quest Pro』を手に取るべき。そして、VR/MRゲームのクオリティを追求したいならベストバイは『Meta Quest 3』となる。この3機種のラインナップはかなり強力な布陣となりそうだ。

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