2023年9月21日(木)~24日(日)に、千葉家・幕張メッセ国際展示場で開催される“東京ゲームショウ2023”(TGS2023。※9月21日、22日はビジネスデー)。

 会場にて、シンガポールの開発会社であるBattleBrew Productionsが手掛ける『Cuisineer』がプレイアブル出展されていた。フランス語で“男性の料理人”を意味する“cuisiner(キュイジニエ)”から派生したと思われる『Cuisineer』(キュイジナー)というタイトルの本作は、レストラン経営と、ダンジョン探索要素を組み合わせたアクションRPG。

レストラン経営&ダンジョン探索『Cuisineer(キュイジナー)』は、「会社にとってこれが最後の作品になるかも」との思いから、悔いのないように大好きな“食べること”を取り入れたゲーム【TGS2023】
画面写真は英語版だが、日本語にも対応。

 主人公は若き冒険家のポム。ある日故郷のパエルに帰ってくると、レストランを経営している父親と母親は、懸賞にあたったとか何とか破格の条件で世界一周旅行の旅に出ており、お店は借金だらけで閉まっている状態。ポムはレストランを立て直すために乗り出すことに……。そのための手段がダンジョン探索で、ポムはダンジョンに潜り込んでモンスターを倒し、食材やアイテムなどを入手し、レストランを繁盛させていくことになるのだ。

 武器がフライ返しや包丁というのも、いかにもレストランをモチーフにした本作らしいところ。武器には“うまみ”や“からみ”、“甘味”といった料理にまつわる属性があり、その属性ごとの敵との相性などもあるようだ。必殺技などもあり、ハクスラアクションは極めて爽快。

レストラン経営&ダンジョン探索『Cuisineer(キュイジナー)』は、「会社にとってこれが最後の作品になるかも」との思いから、悔いのないように大好きな“食べること”を取り入れたゲーム【TGS2023】

 会場で、本作を開発するBattleBrew ProductionsのCEOであるショーン・トー氏にお話をうかがってみた。

レストラン経営&ダンジョン探索『Cuisineer(キュイジナー)』は、「会社にとってこれが最後の作品になるかも」との思いから、悔いのないように大好きな“食べること”を取り入れたゲーム【TGS2023】

ショーン・トー

BattleBrew Productions CEO

心と胃に響くようなゲームを

――本作を開発するにいたった経緯を教えてください。

ショーンBattleBrew Productionsはシンガポールの開発スタジオなのですが、シンガポール人は食べることが大好きです。「食べ物が出てくるゲームを」というのが本作開発の入り口ですね。

 BattleBrew Productionsは、クラスメートや友だちと集まって2017年に設立した開発会社なのですが、『Cuisineer』の企画を立ち上げる段階では開発予算がとても潤沢とは言えず、「もしかして、BattleBrew Productionsにとってこれが最後のゲームになるかもしれない」との思いがありました。であれば、「自分たちにとって悔いのないような、誇りになるようなものを作りたい」ということでスタートしました。私たちの心と胃に響くようなゲームを……という感じです。

――心と胃に響くゲームですか……。そこにダンジョン要素が入ってきたのですね。

ショーン一方で、ローグライクなゲームを作りたいという思いもあったんです。そんなときにイメージしたのが、『ムーンライター 店主と勇者の冒険』や『ルセッティア』といったタイトルでした。両作ともダンジョンxショップという要素が共通しているのですが、我々は食べ物をモチーフにしたいということで、レストラン経営にしようということになりました。

――本作は、食べ物に対する愛が込められたゲームと言えそうですね。

ショーンそうですね。本作では、いかにおいしく見せるかということでビジュアルはかなりこだわっています。開発しているときに、食べ物のデザインを見て、「ああ、お腹がすいてきた……」と思うくらいの完成度ではやったつもりです。実際に深夜に開発をしていて、本作のビジュアルを見てお腹が鳴ったこともあります(笑)。

 本作の開発は2年半くらいかかっていて、ちょうどコロナ禍とかぶっているのですが、開発中にシンガポールでも2回くらい外出禁止がありました。「外に出て、食事ができない」ということで、食べ物に対する思いがより強くなっていきました。そんな思いも本作には込められていると言えるかもしれません。

――コロナだから……ということですね。

ショーンちなみに食べ物をゲームシステムに組み合わせるにあたって難しかった部分というと、モンスターがドロップする食材の材料を、いかにいい感じに配分していくかでした。“このモンスターを倒したら、何が得られるか”という振り分けには苦労しました。

レストラン経営&ダンジョン探索『Cuisineer(キュイジナー)』は、「会社にとってこれが最後の作品になるかも」との思いから、悔いのないように大好きな“食べること”を取り入れたゲーム【TGS2023】

――大好きな食べ物とハクスラアクションを盛り込んだゲームですが、手応えはいかがですか?

ショーン東京ゲームショウ2023のビジネスデーでもたくさんの方が遊んでくださって、楽しそうな表情を見ていると手応えは感じます(取材を実施したのはビジネスデー2日目の9月22日の午後)。

 一方で、まだローンチしていないので、「成功するのかしら」とか「いまやっていることは夢なのではないか」という不安みたいなところもあります。

レストラン経営&ダンジョン探索『Cuisineer(キュイジナー)』は、「会社にとってこれが最後の作品になるかも」との思いから、悔いのないように大好きな“食べること”を取り入れたゲーム【TGS2023】
壁には、試遊した方からのメッセージも。

――最後に、日本のゲームファンに向けてメッセージをお願いします。

ショーン開発チームは日本のカルチャーが大好きで、それがゲームにもたくさん反映されています。もちろん、ラーメンやとんかつ、寿司なども本作には出てきます。日本のユーザーの皆さんには、ぜひとも楽しんでいただきたいです。

レストラン経営&ダンジョン探索『Cuisineer(キュイジナー)』は、「会社にとってこれが最後の作品になるかも」との思いから、悔いのないように大好きな“食べること”を取り入れたゲーム【TGS2023】

 『Cuisineer』は、Steam向けに日本では11月10日発売予定。どのように心と胃に響くゲームになるのか、期待したい。