くり返しプレイして徐々にキャラクターを成長させていく探索型ローグライトアクションゲーム『Dead Cells』。数々の人気IPとのコラボが話題を集める同作だが、この3月には『悪魔城ドラキュラ』シリーズとのコラボダウンロードコンテンツ(DLC)『Dead Cells: Return to Castlevania』が配信され好評を博した。

 この度、『Dead Cells』本編と『悪魔城ドラキュラ』シリーズのコラボDLCがセットになったパッケージ版『Dead Cells: Return to Castlevania Edition』が、Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4向けに2023年9月14日に発売決定したのを受けて、『悪魔城ドラキュラ』シリーズの生みの親であるコナミデジタルエンタテインメントより、プロデューサー谷口勲氏にお話をうかがった。

谷口勲(たにぐちつとむ)

コナミデジタルエンタテインメント プロデューサー

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『Castlevania』に敬意と愛情を持ってくれていることが伝わってきた

――『Dead Cells』とのコラボが実現した経緯を教えてください。

谷口まず、過去10年の中でももっとも偉大なインディーゲームのひとつである『Dead Cells』が『悪魔城ドラキュラ(Castlevania)』シリーズにインスパイアされているということは、私たちにとっても誇らしいことです。

 当初、MotionTwin社とEvil Empire社から単なる小さなコラボではなく、内容が詰まったDLCをご提案いただきましたが、我々としてもそれを望んでいたのでうれしく思ったのを覚えています。その企画内容からも、MotionTwin社とEvil Empire社のメンバーと話していても、彼らが『Castlevania』に敬意と愛情を持ってくれていることが伝わってきました。ですので、我々としては彼らが『Castlevania』に敬意をもって、彼らの持つあらゆる才能を発揮してくれるのではないかと期待しました。

 また、それとは別の話ですが、個人的に『Dead Cells』でドラキュラとの戦いがどのようなものになるのかを見てみたかったというのもあります。

――『Castlevania』のDLCを開発するにあたって、KONAMIサイドはどのような要望を出したのですか?

谷口KONAMI側から要望を出すことはあまりありませんでした。今回のゲームは『Dead Cells』の世界の拡張版だったので、DLCの創造的な決断に干渉したり、強制することを、我々はあまり望んでいませんでした。何よりも『Return to Castlevania』チームが『Castlevania』やそのファンに最大限の敬意をもって開発してくれたおかげで、言うべきことが少なかったことも、要望が少なかった理由だと思います。

 我々が何度か追加要素のアイデアを出したときに、『Return to Castlevania』チームから「じつはそれも考えていて、プロトタイプを作ったから見てみて!」と言われたこともありましたね。

 このやり取りで今回のDLCは非常によいものになると実感させられました。

――監修にあたって、とくに心がけた点はどのへんですか?

谷口そうですね。原作を尊重するという点で、少しこだわった部分があります。たとえば、城やカーミラのマスクのデザイン、シャノアの背の高さの調整など、いろいろとリテイクをお願いしたことを覚えています。ただし、これらのフィードバックはつねに『Dead Cells』の世界で『Castlevania』をいっしょに楽しむという共通の目標を持ってのことでした。

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――『Dead Cells』と『Castlevania』がこのへんがマッチしているんだなといった気づきなどありましたか?

谷口当初はアクションやバトルシステムには大きな違いはあるので、『Dead Cells』に『Castlevania』をなじませるために苦労するかなと思っていましたが、思っていた以上にスムーズになじんだと思います。それは、もともと『Dead Cells』が『Castlevania』から影響を受けている部分もあるので、そういった点で相性がよかった部分があったのだと思います。

 あとは、個人的に感心したのは“多くの外部IPを受け入れることができる『Dead Cells』ワールドの許容力”でしょうか。現時点でも『Dead Cells』は多くのIPを受け入れていますし、それでもその世界観を維持しています。これは本当に素晴らしいことだと思います。

――開発陣とのやりとりの中で、印象的なエピソードなどありましたら、教えてください。

谷口フランスのボルドーのスタジオで最終版候補をテストしたときのことですね。最終版候補にもかかわらず、新しいアセットや過去作のイースターエッグが追加されていて、最後の最後まで詰め込む姿勢に感動しました。

 『Dead Cells』ってめちゃくちゃ難しいゲームだと思うのですが、そんなゲームを私は開発者の方々の前でプレイしたわけですから、プレッシャーはすごかったですね。結果としては、よいプレイはできず、いつもの力を出せなかったわけですが……よい経験をさせていただきました(笑)。

 あとは、“リヒターモード”が実装されたときも驚きましたね。“実装できたらしたいモード”ということで当初から企画に入っていたモードでしたが、開発終盤までとくに言及がなかったので、我々は実装しないものだと思っていました。ですので、突然、実装することを共有されたときは本当に驚きましたね。そして『Castlevania』のファンの皆さんに喜んでもらえるなと確信しました。

――『Castlevania』DLCで「ここはとくにいいですね!」といったポイントは?

谷口まず、作曲者であるヴァルモン氏と会う機会があり、いっしょにサウンドトラックを聴いたのですが、今回のアレンジ楽曲は素晴らしいと言わざるを得ませんね。初めて聞いた瞬間から虜になりましたし、何ひとつとしてリテイクする必要がありませんでした。『Castlevania』ファンの皆さんにはぜひ聞いていただきたいです。『Dead Cells』ファンの皆さんにも、この素晴らしい楽曲を発見していただきたいと思います!

 また、『Castlevania』のファンにとっては、想像以上に多くのイースターエッグが実装されているので、それを探すだけでも何度も楽しめると思います。さらに、『Castlevania』の武器やキャラクターのアクションが『Dead Cells』ベースで再定義されていますので、過去作とは違った新しい側面も発見できると思います。

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――『Castlevania』DLCは世界中のファンに受け入れられているようです。『Castlevania』が世界中で受け入れられていることに対する率直な感想を聞かせてください。

谷口非常に多くのファンの皆様に楽しんでいただけていることは、何よりもうれしく思っています。ネット上のコメントを見ていると、若い世代の方にも非常に前向きに受け入れられているようですし、今回のDLCをお届けできて本当によかったなと感じています。今後も幅広い世代の皆様に楽しんでいただけるようにがんばっていきますので、応援よろしくお願いいたします。

――ずばり、『Castlevania』の今後の展望をお教えください。今後、予定している展開はありますか?

谷口まず、ファンの皆様の興奮と熱意を目の当たりにしていて、感動していますし、それが我々の活動の原動力となっています。皆様本当にありがとうございます。

 我々は、この数年で『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』、『Castlevania Advance Collection』で、皆さんに愛されてきたゲームを現行機で遊べるようにしてきました。また、プレイステーションやモバイル向けに『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』を、そしてApple Arcadeでは『悪魔城ドラキュラ- Grimoire of Souls』を配信しました。加えて、今回『Dead Cells』との素晴らしいクロスオーバーも実現させていただきました。

 我々としては、今後もさまざまな形で『Castlevania』シリーズをお届けしたいと思っていますし、皆様に喜んでいただけるようにチャレンジしていきたいと思っています。

――最後に、本作を楽しみにしているゲームファンにメッセージをお願いします。

谷口まず始めに、すでに遊んでくださった皆様には本当に感謝を申し上げます。今回のDLCは『Castlevania』に対する愛と情熱が溢れた内容になっていて、とても多くのコンテンツが詰まっています。“『Castlevania』ファン”や“『Dead Cells』ファン”はもちろんですが、アクションゲームが好きな方にも楽しんでいただける内容になっていると思いますので、ぜひ一度遊んでみていただければと思います。

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