かつて、“PROJECT Re FANTASY”というプロジェクト名称として発表され、その名が意味する通り、ファンタジーRPGの“革新”を志向するアトラス渾身の作品『メタファー:リファンタジオ』(以下、『メタファー』)。

 当記事では、現在公開中のファーストトレーラーがいっそう興味深くなる、開発者への独自インタビューを、週刊ファミ通2023年7月6日号(6月22日発売)から一部抜粋してお届けする。

橋野 桂(はしのかつら)

アトラス、ディレクター(文中は橋野)

一見すると“王道”にも映りつつ、根源にあるのはアトラスらしさ

――本作のプロジェクトが始動したとき以来、久しぶりにインタビューさせていただきます。『ペルソナ』シリーズなどを手掛けてきた橋野さんたちがファンタジーRPGを作ることにした理由を、改めてお聞かせください。

橋野僕たちの中では、当初から「つぎはファンタジーだ!」という前提があったわけではなくて、まずは何よりも“新しいもの”を作りたいと思い、いっしょにゼロからスタートしてくれるスタッフを募りました。そうして設立した社内プロダクションが、本作を開発しているスタジオ・ゼロです。

 みんなといろいろなことを話しているうちに、ふと、“ファンタジー”という言葉がよく出てくることに気が付いたんですよね。僕たちは『ペルソナ』シリーズや『真・女神転生』シリーズなどで現代を舞台にした作品を多く世に出してきましたが、ファンタジーというジャンルは当たり前のように昔から世の中で人気があって、その理由を僕たちなりに紐解いてみたくなったんです。

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――以前のインタビューでも、「これまでの作品で目指してきたような、ほかでは決して味わえない体験や感動が、幻想の世界だからこそ描けるテーマを持ちうるものだとすれば、いまこそチャレンジする価値がある」と、橋野さんはおっしゃっていましたね。

橋野はい。テーマのひとつとして、今回お披露目した映像でご覧いただける“ユートピア”というキーワードがあります。現代人に愛されるファンタジー世界というものは、往々にして現実では到底叶うことのない幻想なり理想なりが盛り込まれています。でも、そういう世界で実際に暮らしている人々にとっては、僕たちが暮らしているような世界こそがユートピアに映るかもしれません。

 そういう視点と言いますか、“ファンタジー世界にいる自分”というフィルターを通してゲームを遊んでいるうちに、一見まったく違う世界にいるはずの主人公たちがやろうとしていること、夢見ていることが、どこか現実の自分に当てはまったとしたら。そして、ゲームを終えた後に、何かしらの思いを現実へと持ち帰るような体験ができたとしたら……。そのような示唆も込めて、映像の冒頭では現実社会の光景を挿入しています。

――“暗喩(metaphor)”を意味する本作のタイトルも、まさしくそのような……?

橋野もともと、幻想文学やファンタジーと呼ばれる往年の作品には、そういう要素も多かれ少なかれ含まれていましたよね。一方、僕たちがゲームを作るなら、現実とは無関係の異世界として描くという手もありますし、そういう内容のほうが日常のあれこれを忘れられて気分転換にもってこいかもしれません。

 でも、そうやって完全に切り離してしまうのも、もったいないではないですか。幻想って、単なる空想では終わらない“何か”が根源にあるから、今も昔も多くの人を惹きつけていると思うんです。

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 【インタビュー 中略】※『ペルソナ』シリーズとの違い、本作ならではのゲームデザインなどについては週刊ファミ通にて掲載。

――遊び甲斐がありそうですね……! お話を聞いていると、橋野さんたちがこれまでに手掛けてきた作品の要素をいったん分解して、ファンタジーRPGとして新たに解釈、再構成しているという印象を受けます。

橋野僕たちが培ってきたノウハウと、本作で表現したいことが合致する要素があれば、迷うことなく取り入れています。もちろん、従来のままではなく、本作にふさわしい形にして、ですね。『ペルソナ』シリーズを経験している方であれば本作のシステムもスムーズに理解していただけるでしょうし、未経験でもファンタジーRPGがお好きであれば、きっと新鮮な心地で楽しんでいただけると思います。

――一見すると王道のようにも映りつつ、その印象にとどまらない何かがありそうです。

橋野あるとき、別の開発チームのスタッフに本作を見てもらったのですが、「もしかしたら正統派のファンタジーRPGになるのかなと思っていたら、やっぱり違うようで安心しました」みたいな反応をもらったんですよ。僕はそれを激励の言葉と受け止めましたが(笑)、まさに本作は、実際にプレイすると大小さまざまな部分で、いわゆる王道とはだいぶ異なる趣きがあることを感じていただけるはずです。

――確かに、アトラスの作品ならば王道よりも独創的なものを期待してしまいます(笑)。発売時期は来年とのことですが、完成までの道のりは見えている段階でしょうか。

橋野時間はかかりましたが、僕たちが目指した作品にどうやら着地できそうだと言えるくらいには、ゴールが見えてきています。途中で脱線することなく作り続けて、その最後の工程に差し掛かろうとしている段階です。今回の映像からいろいろとご想像を膨らませていただきながら、続報にご期待いただけたら幸いです。

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週刊ファミ通では、橋野氏のほか、本作のキャラクターデザイナー・副島成記氏、サウンドコンポーザー・目黒将司氏へのインタビューも掲載している。

 ※インタビューの全文は、週刊ファミ通2023年7月6日号(6月22日発売)でチェック!

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