2023年6月15日にスマートフォン、PC向けにリリース予定の新作オープンワールドサバイバルRPG『Undawn(アンドーン)』。開発は『PUBG』を手掛けたLIGHTSPEED STUDIOS、パブリッシングは『勝利の女神:NIKKE』で知られるLevel Infiniteという、強力なタッグが贈るサバイバルゲームだ。

 ゲームプレイ、サバイバル要素については下記を確認してほしい。

 そんな同作を手掛けるキーマンふたりにインタビューを実施。開発経緯や本作ならではの魅力、そして一躍話題となったウィル・スミスさんとのコラボについて伺った。

『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装

Maxyy Zhang

『Undawn』メインプランナー
LIGHTSPEED STUDIOS所属

Siyu Luo

『Undawn』パブリッシングプロデューサー
Level Infinite所属

――本作経緯を教えてください。

Maxyy企画自体は3、4年前くらいから始まっていました。過去にRPGやシューティングゲームを作った経験上、ユーザーは単一的なゲームプレイ体験では満足しないだろうなと。そこで『Undawn(アンドーン)』は、多種多様なゲームシステムを構築することをまず目標にして制作が開始されました。

 本作の根幹的な部分はサバイバル要素にあり、そこにRPGやシューティング要素を加えて、プレイヤーが多様な体験を感じてもらえるようにしています。

――おもにRPGやシューティングゲームが好きなユーザー層を想定して制作されたんですね。グローバル展開されるということで、「この国では大丈夫だけどこの国ではできない」といった、世界共通の基準を決めるうえで苦労されたことはありましたか。

Maxyyまずお伝えしたいのが、日本のサーバーは独立しています。日本のユーザーに向けては、さまざまなカルチャライズを行い、和風のインテリアを多く取り入れたり、招き猫を家具として実装したり、ほかの国と比べて独特な工夫をしています。

 ゲームのレギュレーションについて触れるとしたら、LIGHTSPEED STUDIOSはこれまでも世界に向けた展開を行っておりますので、地盤はありました。過去の経験を活かし、各国のレギュレーションに注意して、さまざまな国の人々の生活習慣に適切なゲームを提供できていると思っています。

――日本以外にも独立したサーバーはありますか。

Siyuアメリカ版があります。日本と、アメリカと、グローバル版、という3つのサーバー展開になります。

――先ほど、日本独特のカルチャライズをしていると仰っていましたが、ほかにはどんな要素がありますか。

Siyu3つほどあります。まずはキャラメイクの種類ですね。日本のユーザーはとくにキャラメイクにこだわりがあると思ったので、ほかのバージョン(サーバー)より種類を多くしています。つぎに日本語ボイスの実装です。豪華声優陣を起用して、フルボイスでのストーリーを実装しました。

 最後はクラフトや服装などの部分はもちろんなのですが、日本のユーザーが好みそうなテーマ付きのイベントなどを実装していました。イベントの実施期間自体も、CBTから得た意見を取り入れて、ほかのバージョン(サーバー)とは違った形を取りました。

『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装
『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装

――CBTの反響はどうでしたか。

Maxyyオープンワールドでマップが広い、地形がたくさんある、探索が楽しい、サバイバル要素がおもしろいなど、いい評価をいただきました。とくに女性ユーザーからは、キャラメイクにカスタマイズ性があると喜んでいただけたようです。

 また、改善してほしい点も寄せられていて、たとえばPC版のUIをもっと使いやすいように変えてほしい、といったものです。これらについてはアップデートで将来的に改善していきたいと思っています。

『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装
『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装

――ユーザーの男女比はどのくらいですか。

Siyuおおまかに男性が7、女性が3という割合です。

――シューティング要素が入ってくると男性が多いのかなと思っていましたが、意外と女性ユーザーも多いですね。やはりクラフト要素やコスチュームに興味を持ってもらえた、ということでしょうか。

Siyuそうだと思います。

――CBT時のスマホ版とPC版のユーザー比率も教えていただけますか。

Siyuスマホ版が8、PC版が2、といった割合です。スマホ版の応募が多かったですね。

――個人的にいちばん気になっていたのが、ウィル・スミスさんをアンバサダーとして起用した理由です。経緯も含めて教えてください。

Maxyy採用を決めたのは約2年前です。彼の持つワールドワイドな影響力が魅力的だなと思ったので、それがいちばんの理由ですかね。あとは『Undawn(アンドーン)』を開発する際に、ウィル・スミスさんが出演した映画の過去作などから影響を受けた部分がある、というのも理由のひとつです。

――けっこう前から計画されていたのですね。影響を受けたものをひとつ挙げるとしたら、どの作品になりますか。

Maxyy映画の『アイ・アム・レジェンド』(ワーナー・ブラザース製作のSF作品)です。『Undawn(アンドーン)』の物語と親和性を感じました。

――ウィル・スミスさんは『Undawn(アンドーン)』の世界観にもマッチしていますし、インパクトもあっていいですよね。約2年前から採用を決めていたとのことですが、起用にあたってのハードルはありましたか。

Maxyyこのゲームを開発してウィル・スミスさんに話を持っていったときに、作品としてのクオリティーを認めていただけたようです。その後、彼から許諾をいただいて、アンバサダーとしての起用にいたりました。

――かなりスムーズに。クオリティーを認められるというのはうれしいですね。続いてゲーム内容について触れていきたいのですが、ゲームを実際にプレイしてみて、クラフト要素にも力が入っているように感じました。このクラフトはどういった意図でシステムに組み込まれていったんでしょうか。

Maxyyリアルな終末世界を作り、それをユーザーに体験してもらいたいと思っていました。そうすると、サバイバルの要素が重要になってきます。まずは衣食住の概念ですよね。服を作ったり、食料を探したり。あとは家を作って安心感、帰属感を持ってもらう。リアルな終末世界のサバイバルにはどれも必要な要素だったので、クラフトの機能を入れました。

『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装
『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装
『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装

――確かに衣食住はサバイバルのテーマとして鉄板ですよね。ほかにも、眠りが浅いと悪夢を見て醒めるまでサバイバルに戻れないという仕様や、服を洗うという洗濯の概念など、珍しいシステムがありました。これらを取り入れた理由や、こだわった部分を教えてください。

Maxyyやはりリアルという部分にこだわっていたので、これらの要素を取り入れました。たとえば、空腹だと走るのが遅くなったり、自分の体や服を洗わないと臭ってきてゾンビに襲われやすくなったり。現実世界でも起こりうることをゲームにも取り入れたかったんです。

『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装

 また、睡眠に関してですが、実際に人間は人生の半分以上を睡眠に費やします。ですので睡眠は大事な要素だと思い、ある状態で眠ると悪夢というダンジョンに入ってしまう、というシステムを組み込みました。

『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装
『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装

――これらのサバイバルの要素はもちろんなのですが、RPGやシューティングゲームの要素もかなりボリュームがあると感じました。各要素の量やバランス調整はどのようにされましたか。

Maxyyベースとなるサバイバル要素を考えると、もちろんクラフトは外せませんし、ほかの要素も必要で切っても切り離せないから増えていった、という感じです。たとえば職業は漁師などが実装されていますが、今後はもっといろいろな職業を増やしていって、サバイバル要素もクラフト要素も充実させていきたいと思っております。

――こういったサバイバルゲームで職業システムが採用されるのが新鮮でした。なぜ取り入れたのでしょうか。

Maxyyユーザーがより長くこのゲームをプレイしてくれるように取り入れました。衣食住を充実させるだけだと、同じサイクルになりがちなので、ジョブシステムを入れることで、もっといろいろな楽しみ方ができるかなと。いまは一般的な職業しか実装していませんが、今後のアップデートではエンターテイメント性のある職業の実装も考えています。たとえばバンドマンとか。

――もしバンドマンが実装されたら、音楽的なコンテンツの実装も期待したいところですが……。

Maxyyこれは仮の話ですが、たとえばインテリアとしてピアノを実装するとか。みんなが戦っているなかでピアノを弾いて、応援するなんてことができるかもしれません。

『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装

――今後は職業をベースにして、システムが増えていくということでしょうか。

Maxyyそうですね。「この職業にはこれが必要だから」と、システムやクラフト可能なアイテムが増えていく予定です。

――LIGHTSPEED STUDIOSさんはこれまで『PUBG』などのシューティングゲームをリリースされていて、『Undawn(アンドーン)』内のシューティング要素も安定していました。また、オープンワールドのシューティングゲームはスタジオとしても初挑戦だったと思います。オープンワールドならではの工夫した点、苦労した点があればお聞きしたいです。

Maxyyシューティング要素に関しては、銃を撃つスピードや反動などの体感を大切にしつつ、ライトな層でも楽しめるような設計にしています。このゲームのメインはやはりサバイバル要素ですので、シューティング要素を本格的にしてしまうのは違うかなと。エイムが合わせやすかったり、自動でリロードされるなどの工夫をしています。

『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装
『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装

――物語中の会話の選択肢によって好感度が変わるシステムが、「ギャルゲーだ!」と編集部でも話題になっていました。あの要素を入れた理由をお聞かせください。

Maxyyいちばん大事にしているのが、人と人の絆だと思っています。絆は会話で育まれていくものですので、このシステムを取り入れています。

――ちなみに、好感度によって結末が変わるといった要素はあるのでしょうか。

Maxyyいま予定されているのが初期段階のストーリーですので、現状はそこまでいかないと思います。ただ、選択肢によって好感度が変わり、それによって特別な会話、ミッションが発生することはあります。

『Undawn(アンドーン)』開発者インタビュー。ウィル・スミスの起用は2年前から計画していた。日本サーバーは独立で、独自のカルチャライズを実装

――要素がかなり多く、あれもやりたい、これもやりたいと、現実の時間が足りないなと思いました。そのあたりのバランスについてはどうお考えですしょうか。

Maxyy今後、意見を取り入れてより遊びやすいように改善していきたいと思っています。たとえば、サーバーに対してレベルが低いユーザーには多めに経験値が割り振られるなどの機能は、現時点で考えていますね。

――ゲーム全体を通して、どのシステムもライト層がプレイできるように設計されている、ということでしょうか。

Maxyyシューティング要素がこのゲームのもっとも大事な部分ではない、というのは確かですね。多くの人が楽しめるように、多くのシステムを提供するのが目標ではありました。

――現時点でも広大なマップが存在していますが、さらに広げていくアップデートはどのくらいの頻度で行う予定でしょうか。

Siyu2ヶ月に1回のアップデートを考えています。マップを更新するとともに、地形や天候も更新する予定です。

――すでに実装されているマップの地形が変わるということでしょうか?

Maxyy完全に新しいテーマの地形が追加されていく感じです。

――リリース時にウィル・スミスさんとのコラボが実現しましたが、今後はこういったコラボの予定はあるのでしょうか。

Siyuいま詳しくお話できるものはないですね。ただ、ウィル・スミスさんに関してはゲーム内イベントを行う予定です。イベントに参加すると限定衣装が手に入るなどの特典を考えています。また、すでに発表されていますが、お笑い芸人の“かまいたち”さんが出演するテレビCMも予定されております。

――実際にゲームをプレイしてみて、個人的には弓を使って動物を狩猟するシステムが楽しかったのですが、今後そういったイベントを行う予定はありますか。

Siyu現在、いろんなイベントを企画しておりますので、今後、そのようなイベントが実装される可能性はあります。ゲーム内からもゲーム外からも、さまざまな意見を取り入れていきたいと思っております。

――最後に、日本のユーザーに向けてコメントをお願い致します。

Siyuさまざまなシステムを実装しているので、たくさんのユーザーにこのゲームを楽しんでほしいと思っております。

Maxyy多くのユーザーが楽しめるようにいろいろなシステムを提供しているので、ぜひ日本のユーザーのみなさまにも楽しんでいただきたいと思っています。6月14日より事前ダウンロードが開始されますが、その際にキャラメイクも限定的に開放される予定ですので、ぜひ遊んでみてください。

 正式リリースは6月15日となり、リリース後も日本ユーザー向けのイベント実装などを予定しておりますので、楽しみにお待ちいただければと思います。まだまだシステムなどに改善が必要な部分もあると思いますので、ご意見、ご要望があればぜひいただきたいと思っています。