ファミ通・電撃ゲームアワード2022 アドベンチャー部門で最優秀賞を受賞

 2022年(令和4年)5月12日は、『春ゆきてレトロチカ』が発売された日。本日で発売から1周年を迎えたことになる。

 『春ゆきてレトロチカ』は、スクウェア・エニックスから発売された新本格ミステリアドベンチャーゲーム(対応機種はNintendo Switch、PS5、PS4、Steam)。全編が実写を使ったフルムービーで展開されることで、発表の直後から大いに話題を呼んでいた作品だ。

『春ゆきてレトロチカ』が発売1周年。全編を美しい実写で描いた新本格ミステリで、ひとりの俳優が複数の役柄を演じていたのが本作ならでは【今日は何の日?】

 ディレクターを『428 ~封鎖された渋谷で~』や『TRICK×LOGIC』など、数々のアドベンチャーゲームに携わってきた伊東幸一郎氏が務め、撮影プロデューサー・シナリオディレクターを『全裸監督』で知られる、たちばな やすひと氏、音楽をアニメ『僕のヒーローアカデミア』やドラマ『あなたの番です』などの劇伴を手掛けた林ゆうき氏が担当。これだけのスタッフが本作のために集結していたところも注目の的だった。

 ストーリーはミステリ小説家で主人公の河々見(かがみ)はるかが富士山麓にある四十間(しじま)邸を訪れるところから始まる。科学者の四十間永司の依頼を受け、桜の下で見つかった白骨死体の正体究明と四十間邸に眠る“不老の果実”の捜索に乗り出すのだが、時代は過去に遡り不老の果実を巡る100年もの壮大な物語が始まってしまうのだから驚いた人も多かったのではないだろうか。

 キャスト陣も当然ながら豪華で、桜庭ななみさんと平岡祐太さんが主演を担当。榎木孝明さん、横山めぐみさん、筒井真理子さんなど、ドラマでよく観る俳優さんたちが大勢出演している点も見逃せない魅力だった。

『春ゆきてレトロチカ』が発売1周年。全編を美しい実写で描いた新本格ミステリで、ひとりの俳優が複数の役柄を演じていたのが本作ならでは【今日は何の日?】
『春ゆきてレトロチカ』が発売1周年。全編を美しい実写で描いた新本格ミステリで、ひとりの俳優が複数の役柄を演じていたのが本作ならでは【今日は何の日?】
『春ゆきてレトロチカ』が発売1周年。全編を美しい実写で描いた新本格ミステリで、ひとりの俳優が複数の役柄を演じていたのが本作ならでは【今日は何の日?】

 とくにユニークだったのは配役に“マルチロールシステム”を採用していた点。これはひとりの俳優が複数の役柄を演じるシステムのことで、2022年の話ではミステリ小説家を演じていた桜庭ななみさんが、別の時代の話ではまったくの別人を演じていたりするのだからおもしろい。

 ある事件の被害者役が別の事件では犯人役かもしれない……なんていう可能性もあるため、配役から犯人を予想するのが難しいところもよかったんじゃないかな。ドラマなどでは実際に配役から犯人を読めてしまう場合もあったりするので、本作ではそういった問題もクリアーしていてよかった。

 また、ゲストキャストとして声優の梶裕貴さん、麻倉ももさん、青木瑠璃子さん、女流棋士の香川愛生さんといった方々が出演されていたところもビックリだったはず。

『春ゆきてレトロチカ』が発売1周年。全編を美しい実写で描いた新本格ミステリで、ひとりの俳優が複数の役柄を演じていたのが本作ならでは【今日は何の日?】
『春ゆきてレトロチカ』が発売1周年。全編を美しい実写で描いた新本格ミステリで、ひとりの俳優が複数の役柄を演じていたのが本作ならでは【今日は何の日?】
『春ゆきてレトロチカ』が発売1周年。全編を美しい実写で描いた新本格ミステリで、ひとりの俳優が複数の役柄を演じていたのが本作ならでは【今日は何の日?】

 『春ゆきてレトロチカ』は新本格を名乗っているだけあって、犯人当ての謎解きパートが凝りに凝っている。映画やドラマのようにストーリーが進む“問題編”を鑑賞(鑑賞中に自分で手掛かりを見つけることもできる)した後は、主人公の思考空間の中で多彩な“謎”と“手掛かり”を組み合わせて多種多様な“仮説”を組み立てていく“推理編”が始まるのだが、これがゲームならではといった仕組みで楽しいのだ。

 最初にストーリーにちなんだいくつもの謎が提示されるので、手掛かりをパズルのように当てはめて仮説を作り出し、どんどん“論理の路(みち)”をつなげていくことになる。必要な情報が出揃えば“解決編”へと移行。推理編で導き出した仮説を突き付けて事件の真相を暴くわけだが、ここで誤った仮説を選べば推理は失敗してバッドエンドを迎えてしまうのだから緊張感が半端ない。

『春ゆきてレトロチカ』が発売1周年。全編を美しい実写で描いた新本格ミステリで、ひとりの俳優が複数の役柄を演じていたのが本作ならでは【今日は何の日?】
『春ゆきてレトロチカ』が発売1周年。全編を美しい実写で描いた新本格ミステリで、ひとりの俳優が複数の役柄を演じていたのが本作ならでは【今日は何の日?】

 自分で導き出せる仮説にはもっともらしいものもあれば、トンデモ仮説もあって闇雲に仮説を作り出せばいいわけではないところがイカしていた。ある程度はユーザーを誘導しつつも、自分で推理をしている気分をしっかりと味わわせてくれるシステムには誰しも思わず感心してしまったのではないだろうか。最初に筆者はパズル感覚で全部の仮説を埋めていたのだが、解決編での選択肢が増えすぎて逆に混乱してしまった記憶がある(笑)。

 2023年4月25日には、待望のスマートフォン版が配信開始。タッチ操作に対応して推理編の操作がより直感的になっているそうなので、本作を未体験であればこちらを選択肢に加えてもいいだろう。

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