2022年7月にNintendo Switch向けにHD-2Dリメイクを果たした異色のRPG『ライブアライブ』。本作が2023年4月27日よりプレイステーション5、プレイステーション4、PC(Steam)向けに配信開始となった。
それを記念して、本記事では原作『ライブアライブ』のディレクターでありリメイク版ではプロデューサーを務めた時田貴司氏と、『オクトパストラベラー』シリーズのプロデューサーである高橋真志氏の“HD-2D”な特別対談企画を掲載。
ふたりのHD-2Dに懸ける思いや、『ライブアライブ』リメイク版誕生のいきさつなどさまざまに語ってもらったぞ。
時田貴司 氏(ときた たかし)
スクウェア・エニックス『ライブアライブ』 プロデューサー。(文中は時田)
高橋真志 氏(たかはし まさし)
スクウェア・エニックス『オクトパストラベラーII』 プロデューサー。(文中は高橋)
担当編集は時田Pに食って掛かった
――今回は、リメイク版『ライブアライブ』と『オクトパストラベラー』のHD-2Dタイトルに関わるおふたりの対談……という企画なのですが……。
時田・高橋 よろしくお願いします。
――本題に入る前に、時田さん! あなた『ライブアライブ』発売前のインタビューでは「いや~追加要素はないですよ。原作版そのままです」とおっしゃっていましたよね!
時田ええ、はい(笑)。
――大嘘じゃないですか! 最後の最後に追加要素入っていましたよね!? ちょっと!
時田いや、僕が言ったのは「“まったく新しいもの”は基本的にないです」ということでね、実際、アレ以外はないですし、大筋は原作通りなので。
――発売前に明言しなかったのは、やはりプレイして初めて驚いてほしかったからで?
時田作業のスケジュール上、あのくらいの戦闘を入れるのがギリギリのところで、まあ実際入っていたのですが、あれをもって「追加要素もあります!」と言ってしまうと、逆に「これだけかよ!」と思われる方もいるかなと。できることの範囲が限られる中で最大限の驚きと興奮をプレイヤーの方に与えるにはどうしたらいいか、と考えた結果ですね。
――「原作のままなのか~」と思いながらプレイしていて、ぶっ飛びましたよ! ……それを踏まえて、今回の他機種移植版では追加要素は?
時田いやいや、ないです、ないです。
――でも本当は?
時田ないんです! ただ、ハードに合わせて高解像度化されていたり、プラットフォームごとのトロフィー機能などの部分は新規で追加しています(※)。
――もう、どう言っても(笑)。
※編注:それ以外は本当にないそうです。
HD-2D版『ライブアライブ』誕生の経緯
――さて、本題に入りますが、高橋さんと時田さんがゲーム制作をごいっしょしたのは、『ライブアライブ』が初めてだったのでしょうか?
時田これが初めてですね。僕が浅野智也率いる浅野チームに合流してから、いっしょに仕事をするようになりました。
高橋僕は2009年にスクウェア・エニックスに入社し、その後2010年から浅野のさんのチームに入って、2012年発売の『ブレイブリーデフォルト』の開発がスタート地点だったので。ぴったり時田さんとは入れ違いですね(笑)。
時田そのころ、僕は『ファイナルファンタジー レジェンズ』の開発に関わっていて、その後、浅野チームに合流するのは、『オクトパストラベラー』発売のころでした。
――浅野チームへはどのような理由で合流したのでしょうか?
時田そのころ、AAA級のタイトルが市場の多くを占めていた中で、Nintendo Switchのヒットによりさまざまなジャンルのタイトルがチャレンジできる土壌が育ちつつありました。会社としても、その流れへ乗りたいという考えがある中で、僕が「やりたいです」と手を挙げ、浅野チームへの合流が決まりました。
高橋ちょうどそのころ『オクトパストラベラー』で生まれたHD-2Dを活かして過去作品のリメイクをしてみよう、 という計画を練り始めたところで。時田さんとどんなタイトルをリメイクしたらいいのか、議論を重ねましたね。
時田昔の作品をたくさん並べて、トーナメント戦じゃないんですが、「このタイトルとこのタイトルならこっちのほうがいいかな……」と、リメイクされるべきタイトルを厳選していって。ですので、僕個人の感情だけで決めたわけではないんですよ。 ちゃんと実力で勝ち残って、『ライブアライブ』に決まりました。
高橋すでにリメイクされている作品は外して、根強い人気があることなどを条件に、数タイトルまで絞り込みました。そこに残っていたのが『ライブアライブ』で、個人的にも「時田さんと作るなら『ライブアライブ』がいいのでは?」という思考は自然な流れでした。また、『ライブアライブ』はこれまで海外では未発売で、ある意味挑戦ではありますが、リメイクする理由のひとつになりましたね。
時田WiiやWii Uで展開された、バーチャルコンソール版『ライブアライブ』から、周年ライブを開催したりと、僕としても『ライブアライブ』の旗をコツコツと立て続けていました。そのおかげもあり、ファンからリメイクを期待される声も大きかったです。
また、海外では発売されていないタイトルなので、今回ワールドワイド展開することに価値があります。そういった要素も、『ライブアライブ』リメイクの後押しになりました。
――以前、時田さんは「『ライブアライブ』の復活に挑戦しましたが、うまくいかなかった」と言っていましたね。
時田ニンテンドーDSのころ、1度続編の企画を立てたことがありましたが、そのころは『ライブアライブ』ファンの熱量というものが会社に伝わりにくく、頓挫してしまいました。そのリベンジを、今回ようやく果たせました。達成できた理由のひとつが、やはりHD-2Dという表現技法だと思います。スーパーファミコンのイメージをそのままに、現代的に蘇らせることができるのが、大きかったです。
フル3Dでリメイクすることも考えましたが、ファンもそれを求めているのかというと、ちょっと違うところだと思うんです。ですので、いろいろな歯車がたまたまカッチリとハマったのが、HD-2Dリメイク版『ライブアライブ』なんだと思います。
――HD-2Dの映像が初めて世に出た際、時田さんはどんな感想をお持ちでしたか。
時田僕も『オクトパストラベラー』が発表されたときに、別チームから横目で見ていて「この手があったのか!」と驚きましたね。最先端技術を使うのではく、いまある技術のブレンドでどう魅せるのか、それをしかも2Dと3Dの融合で魅せるというのがすごく新鮮で、「これは手法として確かにアリだな」と。
高橋『オクトパストラベラー』の開発を手掛けたアクワイアさんのスタッフもちょうど自分と同じく、時田さんの手掛けたゲームを遊んだ世代の方々が多いんです。
――1990年代前半のスーパーファミコンで遊んだ世代ですかね。
高橋そのころの“思い出補正”と戦いながら、『オクトパストラベラー』、そしてHD-2Dを手掛けました。まさかそれが、逆輸入の形でリメイク版『ライブアライブ』に帰ってくるとは。感慨深い思いがあります。
――高橋さんは、『ライブアライブ』リメイクにどう関わっていたのでしょうか?
高橋『ライブアライブ』ではマネージャーという立場で一歩引いて、企画の立ち上げ時や壁にぶつかったときの調整などでした。
また、リメイクにあたってのコンセプト設計も時田さんと決めましたが、そこからは、時田さんと開発会社のヒストリアさんがバリバリ開発してくださって、「もう大丈夫そうだな」と安心してお任せしていました。ちょうど『オクトパストラベラーII』の開発が忙しくなったのもあり。
――HD-2Dの技法について、『オクトパストラベラー』を開発したアクワイアの経験をヒストリア側に伝授したりは?
高橋そんな大層なことはなかったです。ヒストリアさんが『オクトパストラベラー』をしっかり遊び込んでくださっていて、それを『ライブアライブ』に落とし込むにはどうすればいいか、主体的に考えてくださいました。
時田ヒストリアさんなりに、『オクトパストラベラー』からHD-2Dの研究していました。ただ『ライブアライブ』は、いろいろな時代や世界がありますよね。『オクトパストラベラー』は統一された雰囲気で描かれているので、「『ライブアライブ』はもっと弾けてしまってもいいんじゃないか」というお話はしましたね。
大きく違うところは、ゲーム画面に舞台のスモーク演出のようなエフェクトが掛かっていて、その煙に色を付けたりですとか、リアルな世界を描くならばありえない要素を取り入れています。空気感や色味で、『オクトパストラベラー』とは違う世界観を作れたらいいね、と初期から話していました。
――具体的に時田さんから、 ほかにグラフィックでリクエストしたことはありますか?
時田ほとんどなかったです。上がってくるものを見て「いやぜんぜんイイです!」と答えていくばかりで。
アニメーションに関しては、僕の想像の5倍くらいの作り込みでした。チェックすればするほどにアニメーションが加わっていて「また新モーションが増えてる!?」と、驚いていたほどです。『オクトパストラベラー』よりもキャラクターのサイズが大きいのに、です。おそらく、ヒストリアさんはコスト以上の労力を割いて作ってくれたと思います。
――あのこだわりのモーションたちは、ヒストリアのスタッフの皆さんのおかげだと。
時田オリジナル版はフィールドとバトルのグラフィックが別でしたが、リメイク版はバトル時の大きいキャラクターでフィールドも探索できます。結果的にはイベントもバトルも多彩なモーションができ、すごくよくなりました。
――画面全体の色味は、『オクトパストラベラー』よりも『ライブアライブ』のほうが、原色に近いイメージでカラフルですよね。
時田スーパーファミコンのイメージを生かしつつ、どうHD-2Dにするのかがやはり課題でした。『ライブアライブ』のキャラクターたちはポップなデザインであり、『オクトパストラベラー』は王道ファンタジーだからこそ、リアル調の色彩ですよね。ですので、『ライブアライブ』は各シナリオごとに、色彩自体を変えることにしたんです。おかげで各シナリオの差別化にもつながりましたね。
――各作品のHD-2D表現というのは、毎回あえて変えていこうとしているのでしょうか。
高橋「変えてほしい」ということはないですね。僕としては、それぞれの作品世界に合わせて個性を出すのがいちばんいいだろうと考えています。もちろんHD-2D自体もシンプルにバージョンアップを重ねていますし、必ず前回作ったモノよりも、よりいいものを作ろうという意識はあります。ただ、そこで“わざと変化を付けよう”という考えはなく、あくまで“このゲームをいちばんよく彩るためのHD-2D”を考える、というのを大事にしています。
時代の思い出とHD-2Dの表現
――HD-2Dを使い、スーパーファミコンの時代と比べてバトルやイベントシーンの演出はどう変わっているのでしょうか?
時田1991年の『ファイナルファンタジーIV』のころは、同一の画面でキャラクターが歩いてしゃべる、演劇的な表現方法でした。映画のようにカットが変わるのではなく、キャラクターたちの動きとタイミング、そしてBGMで魅せるのが主流でした。いまはカメラも動かせますし、『オクトパストラベラーII』はよくズームアップなどもしていますよね。
『ライブアライブ』は当時の表現を生かしつつ、より音のインパクトを立てました。音のタイミングはボイスが再生されることで調整しましたし、効果音とボイス、そしてBGMで盛り上げること。細かいことよりも、とにかく音でのインパクトで、メリハリをつけることに注力しました。
高橋1作目の『オクトパストラベラー』はカメラワークを付けていなくて、その場でキャラクターたちが動くという、いわば昔ながらの手法でした。『オクトパストラベラーII』ではイベントのための場所を用意したり、そのためのカメラワークを付けたりと、また別の作りかたになったので、イベントシーンはとくに進化がわかりやすく作れたのかなと思います。
また、キャラクターたちの等身が前作よりもアップしたので、 そのおかげでモーションのバリエーションを増やしやすくなりました。ですので、イベントでやれることも増えてにぎやかになっています。
――なるほど。『ライブアライブ』は、オリジナル版と見比べての演出調整などはしたのでしょうか?
時田当時のものとしっかり比較して見てもしかたないので、そこは感覚的に調整しましたね。HD-2Dのグラフィックとボイスが乗ったシーンになるので、リメイク版はもうオリジナル版とは別モノです。いまのテンポだからこそ気持ちいいところを探して調整しました。
最終的には、音の再生タイミングだけを集中的に調整したりもしましたから。たとえば、悲しいシーンで音楽を流すときに、そのシーンの最初から流すのではなく、セリフで「悲しい」とわかってから音楽を流したほうが、グッと来ると思うんです。昭和の演出イズムではあるのですが、そこはあえて付けていました。
――それでいて、『ライブアライブ』はオリジナル版イメージそのままなのが驚きました。
時田ありがとうございます。オリジナル版を見るとフィールドは真上からの見下ろし視点ですし、実はぜんぜん違います。また、グラフィックのほか、 声優さんのキャスティングも好評いただきました。ボイスを入れるとだいたい賛否両論になりがちなんですが、皆さん「想像通りの声だ」と言ってくださって。
高橋そこは、プロデューサーが時田さんであることが大きいように思います。 何十年も経った人気作品をリメイクするとなると、やはり別のスタッフがリメイクを担当することが多いです。そのとき作っていた中心人物が何十年後にリメイクを担当するというのは、なかなかないですよね。
そういう意味では、僕としてはリメイクを作ったというよりも“いまある技術で完全版を作った”みたいなイメージです。これまでのリメイクやリマスターとは違うと思いますね。『サガ』シリーズで言うと、『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』に近いかもしれません。
そのおかげで当時のイメージそのままに、『ライブアライブ』が遊べるのではないでしょうか。また、時田さんが作ったからこそファンも「これが正解なんだ」と。
時田内心はファンに叩かれないかビクビクでしたが(笑)。
――当時の思い出、というところで『オクトパストラベラー』は、“思い出補正”との戦いでした。『オクトパストラベラーII』では、 何と戦いながら作っていたのでしょうか?
高橋1作目は、プレイヤーがこれまで遊んできたRPGの思い出補正との戦いで、『オクトパストラベラーII』は、1作目との戦いになりました。1作目で高評価だった部分は変えずに、かといって何も進化がないと飽きられてしまうので、そこのバランスはとても苦労しました。
たとえばフィールドコマンドは、段差を登ったり川を渡ったりなど、アクション寄りにする方向を考えたときもありました。ですがそれをやるなら、もっと先の続編なのかなと。まずは前作で好評だったフィールドコマンドはすべてできるようにして、そのうえでもっとやれることを増やそうじゃないか、そうすれば、旅の中で世界の広さがより感じられるんじゃないかと。
じつはHD-2Dも、“スーパーHD-2D”のような“変化”する方向も考えていましたが、そうではなく、全体的に純粋なる“進化”を目指しました。
――『オクトパストラベラー』の時点で綺麗だったのに、さらに進化していて驚きました。
高橋僕たち自身も改めて、まだまだできることがあるんだなと驚きました。1作目でもっとこうしたかったという部分を『オクトパストラベラーII』では全部やり切ろう、というのがスローガンとしてあったおかげだと思っています。
――若い世代のプレイヤーには『オクトパストラベラーII』などが思い出となりゲームの原体験となるのは、不思議な感覚ですね。
高橋本当ですよね。 僕は時田さんたちの作るゲームを遊んで育ってきたわけですが、今度は僕たちが作ったゲームを若いころに遊ぶ世代もいて。
時田『ライブアライブ』はまさに遊んで育ってきたスタッフの方々も多く、声優さんの方々も『ライブアライブ』を愛してくださっていた方々が多いです。皆さんの思い出が紡がれて、30年掛けて『ライブアライブ』という作品が完成しました。
高橋作り始めたとき、スクウェア・エニックス社内にも「『ライブアライブ』すごく好きなんですよ!」という社員が本当にたくさんいて。他社からも「大好きだ」と言ってくださる方がどんどん出てきました。
時田これまでどこに隠れていたんだ、みたいな(笑)。でも本当に、とくに感じたのは、皆さんが好きだからこその熱量でした。クオリティーというのは、いろいろな要素で上げられると思います。 技術力やコストを掛ければ上がるものではありますが、 その完成度を上げるのは、 そこに掛ける熱意だと改めて思いましたね。
高橋まさにその通りだと思います。『オクトパストラベラー』シリーズを開発しているアクワイアさんも、 熱量がものすごいんですよ。そしてこの熱量って、 ゲームを通してプレイヤーの皆さんにすごく伝わるものだと思っています。
時田熱量って、作ろうと思って作れるものじゃないんですよね。 やはり商品ですから、売れるものを作ろうと好き嫌い関係なく仕事に取り組むというのは僕も多々経験してきました。ですがやはり、仕事への熱意が高くなったほうが、クオリティーの高いものができます。
島本先生の熱意もものすごい!
――海外ファンにとっては初めての『ライブアライブ』になったと思いますが、Nintendo Switch版発売後、どんな反響が届いていますか?
時田コアなファンの方々は自分たちで翻訳しながら遊んでいたらしいのですが、ようやく海外版が発売されたと喜んでくださいました。また、『オクトパストラベラー』を遊んでいた人たちが、HD-2Dタイトルの新作として楽しんでくれたようです。「昔のゲームとは思えない」という評価をいただきました。
――ローカライズにもこだわりを詰め込んだとお聞きしています。
時田はい。スクウェア・エニックスのローカライズチームが、かなりこだわってローカライズしてくれました。たとえば英語版ですが、中世編はシェイクスピア的な古い言い回しにしたりですとか、功夫編なら昔の中国映画のような翻訳にしたり、などです。各シナリオごとにその世界観に合わせたローカライズをしてくれました。
――また、豪華付録の“コレクターズエディションII”の開発経緯についてもお聞きしたいです。
時田“コレクターズエディションII”は 当初は作るつもりではありませんでした。ただ、じつは前回発売した“コレクターズエディション”が……すごく好評でして。
――(笑)。
高橋ソフト発売後にキャラクターのアクリルスタンドを販売したのですが、それがすぐ売り切れになって。追加生産を数回しましたが、それもすぐ完売してしまったくらいなんです。
時田「こんなに皆さんに求められているのならば、“コレクターズエディションII”を出そうじゃないか!」と決めました。そして、ファンの方々はすでにNintendo Switch版を遊んでいる人が多いでしょうから、 ゲームは買わずにグッズのみでも買っていただけるようにしました。
――島本和彦先生が当初同人誌として頒布したマンガ『超級!近未来編!!』が、公式として発売されることになったのにはとても驚きました。
時田僕も驚きました(笑)。とりあえず企画を進めてみて、 絶対どこかで怒られると思っていたのですが、まさか実現するとは。すごいですよね。これも島本先生の熱量のおかげだと思います。担当スタッフの方々も『ライブアライブ』が大好きで。ここも好きな人たちに後押ししてもらって、実現した部分です。
――内容は基本的にそのままで、 さらに今回加筆があるとお聞きしました。
時田じつは当初、4ページだけ描き下ろししてもらう予定でしたが、島本先生の熱意がすごくて、結果14ページ+α追加されます(笑)。ですので、島本先生の同人誌を買われた方も、きっと楽しめるものになっています。
――初代制作時の島本先生との思い出などはありますか?
時田ありますね~。 デザインの締め切りが近いというときに島本先生から電話が掛かってきて「描けないんで来てください! 言う通りに何でも描きますから!」と言うので、僕と島本先生と小学館の担当の方と喫茶店に行きまして。そこで何時間もキャラクターについて説明して、 あーだこーだと言いながら、 その場でどんどんキャラクターがデザインされていきましたね。
――そのおかげもあってか、 近未来編はシナリオの中でもとくに人気ですよね。
時田オムニバスストーリーだからこそ、 ここでは自分たちの好きなことをやろうぜ! というシナリオだからでしょうか。今回も、近未来編は開発時にはほかのシナリオとまったく異なる形の苦労があったんですよね(笑)。
――歌あり、3Dブリキ大王あり……。
高橋すごく労力が掛かっていますよね。でもファンの皆さんが好きだと思うところは、やはり力を入れて作らないといけないと思いますから、 そのぶん近未来編はとくに気合が入っているのかなと。
時田「ブリキ大王を3Dモデルで作ったんですが……(HD-2D作品なのに)3Dにしちゃっていいですか?」と言われて、即オーケーにしました。
――熱量がすごい!(笑)
――それでは最後に、おふたりからひと言ずついただけますと。
高橋『ライブアライブ』リメイクは、時田さんの人望でできたタイトルだと思いました。そして何より、そんな憧れの時田さんが楽しそうにお仕事をされているのを横で見られて、改めて『オクトパストラベラー』を世に出せてよかったとも思えました。
『オクトパストラベラーII』のネタバレトークにはまだ早いかもしれませんので、またの機会に。興味を持っていただけたら、ぜひぜひ遊んでもらえるとうれしいです。
時田まさか『ライブアライブ』が復活できるとは思っていなかったです。
正直会社にいてしんどいときもあり、他社に移籍すべきかな、と思ったりしたこともありましたが(笑)。ですがやはりファンの方々の声があったこと、そして会社に長く関わってきたからこそ、 多くのスタッフに信頼していただき、『ライブアライブ』復活につながったのだと思います。
やはり長く続けていると、自分の周囲に自分の手掛けた作品が好きな方々が、自然と集まってくるんですよね。たとえば『サガ』チームは、河津さん(河津秋敏氏。『サガ』シリーズ総合プロデューサー)が大好きな人たちが、いまも『サガ』を作り続けています。
僕も河津さんに負けないように、がんばっていきたいです。
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