2023年サービス開始予定のPC、プレイステーション5、Xbox Series X|S用タイトル『エックスディファイアント』。本作はユービーアイソフトの人気作に登場する勢力たちが集結し、熾烈な銃撃戦をくり広げる基本プレイ無料のマルチプレイFPSゲームだ。
そんな本作のクローズドβテスト(CBT)が4月14日~4月26日に実施。本記事では実際にプレイしてみてのレビューをお届けする。
ユービーアイソフトの人気作がクロスオーバーして戦う新作シューター
『エックスディファイアント』は12人のプレイヤーがふたつのチームに分かれて戦う6対6のPvP形式のFPSゲーム。プレイヤーはユービーアイソフトの人気シリーズに登場する5つの勢力から個性的なキャラクターを選んでゲームに参加。キャラクターごとに用意されたスキルや、カスタマイズ可能な多彩な武器を駆使してさまざまなルールの中で戦っていく。
ゲームに触れた瞬間に感じたことは、キルタイム(撃ち始めてから敵を倒すまでの時間)が速く、リスポーン(再復活)までの時間が短いこと。印象としては『コール オブ デューティ』(以下、『CoD』)シリーズに近い作りになっている。それもそのはず、本作の開発には『CoD』の元開発者が携わっているのだ。
ゲームのスピード感はまさに『CoD』をインスパイアしたものになっており、全体的なゲーム速度がスピーディーで、操作していてかなり楽しかった。またルールによって異なるが、だいたい数秒でリスポーンできるうえに時間経過でHPが回復する仕様のため、FPSが苦手なプレイヤーでも気を張らずに遊べる点も大きな魅力と感じた。
ゲーム内のボイスチャット機能で、チーム内にいる初めて出会ったプレイヤーとでも連携を取ることが可能。フレンドとチームを組んでランクマッチで腕を競い合ったり、高ランクを目指したりといった競技性も用意されている。
カジュアルに遊べるアンランクのモードでは勝敗によるランクの変動がないので、練習を兼ねてプレイするなど、ライトプレイヤーも気軽にゲームに参加できるだろう。
銃で敵を撃つ以外にも、“アビリティ”や必殺技的な“ウルトラ”による攻撃・支援方法が存在する。火炎放射で目の前の敵を一掃したり、HPを回復したり、エネルギーシールドを展開して仲間を守ったりなど、能力はさまざま。チームメイトと連携して使えば、一気に戦況を好転させることも。そういった能力を駆使したチーム戦ならではの駆け引きも本作の見どころのひとつだ。
個性豊かな勢力が多数登場
プレイヤーは以下の5つから好きな勢力を選んで戦う。どれもユービーアイソフトのゲームに登場した部隊だ。
- クリーナーズ(『ディビジョン』)
- ファントムズ(『ゴーストリコン ファントムズ』)
- リベルタ―ド(『ファークライ6』)
- エシュロン(『スプリンターセル』)
- デッドセック(『ウォッチドッグス2』)
各勢力ごとに火器が得意、回復に長けているなどの特徴があり、いわゆる兵科のような感覚で選択が可能。同一パーティーでほかのプレイヤーと勢力が被っていても問題はない。
※CBT開始時にはデッドセックを除いた4つの勢力が使用可能だったが、テスト期間延長に伴いデッドセックも選択できるようになっている。
各勢力の説明の前に共通の要素に触れておく。各勢力にはウルトラ、アビリティ、パッシブ特性と呼ばれる3つの能力が備わっている。前述したようにウルトラはいわゆる必殺技。敵を倒したりアビリティを使ったりすると画面下部の%が上昇し、最大になると発動可能だ。ド派手かつ強力な効果で、ピンチをチャンスに変えられる力を持っている。
アビリティはクールタイム制の特殊攻撃。勢力ごとにアビリティは2種類ずつ用意されているが、戦場で使えるのはどちらかひとつのみ。出撃時やリスポーン時に切り替え可能なので、戦況に応じて使い分けるのがオススメだ。
パッシブ特性はつねに特殊効果が発動するというもの。ウルトラのように溜めたり、アビリティのように能動的に発動させたりする必要はない。共通要素を確認したところで、さっそく各勢力の特徴を見ていこう。
クリーナーズ
クリーナーズは火炎放射器や焼夷瓶など、炎にまつわる能力を使う勢力。どの能力も攻撃に特化しており、チームを引っ張るアタッカー的な存在だ。最大の特徴はパッシブ特性の“焼夷弾”。銃から放たれる弾丸が焼夷弾に置き換わり、着弾時に炎上ダメージを発生させる。
「つねに焼夷弾って強すぎない?」と思ったのだが、ダメージが幾分か増える程度。撃ち合いが圧倒的に有利なるというわけではない。しかもこのパッシブ特性には武器の射程が強制的に短くなるというデメリットがあるため、使用する武器との相性や敵との間合いをつねに考える必要がある。そういった点ではFPS経験者向けの勢力といえる。
ファントムズ
ファントムズは敵の射撃とグレネードを防ぐ磁気バリケードや自身への攻撃をガードするブリッツシールドなど、高い防御能力を持つ勢力。前線を維持したり、押し上げたりする役目を担うタンク役だ。
個人的にとくに便利だったのが、磁気バリケード。いわゆる前方に展開できるバリアーで、こちらの攻撃を通しつつ、相手の攻撃を防いでくれる。さらにパッシブ特性でほかの勢力よりもHPが高いため、撃ち合いにも強い。初心者にオススメしたい勢力のひとつだ。
リベルタード
最大HPのブーストやHPの回復など、自身とチームメイトの回復を担うヒーラー役。唯一、パッシブ特性を持っていないが、戦いに必要不可欠な回復能力を持っているため、何かと重宝する。
アビリティのバイオヴィーダブーストは最大HPを一時的に増やせるため、強引な撃ち合いも可能となる。ファントムズ同様、生存性を高められる勢力なので、こちらも初心者にオススメだ。
エシュロン
エシュロンは自身の姿を隠すデジタルギリースーツや敵の位置を知らせるソナーなど、隠密と索敵に特化した勢力。敵のミニマップに自身のキャラクターが表示されなくなるパッシブ特性と組み合わせることで、敵に気づかれる前にキルを狙える。
ただし、移動やエイムでデジタルギリースーツの効果が弱まったり、ソナーの索敵範囲が狭めであったりと、ほかの勢力と比べると各能力の特徴と弱点をしっかり把握しておかないと、能力を十分に引き出せない可能性も。個人的にはいちばん運用が難しかった勢力だ。
デッドセック
今回のテストでは使用できなかった。デッドセックはハッキングで相手の能力を封じたり、独自のガジェットで相手をスタン状態にさせたりなど、妨害能力に長けているようだ。
※CBT開始時にはデッドセックを除いた4つの勢力が使用可能だったが、テスト期間延長に伴いデッドセックも選択できるようになっている。
分かりやすく、かつ短時間で終わる4つのルール
ルールは以下の4つ。いずれのルールも10分前後で試合が終わるように設定されているのに加え、エスコートやゾーンコントロールでは攻守の交代が存在しない。そのため、どのルールでもテンポよくゲームを楽しめるようになっている。
ルール1 エスコート
攻撃側は引き渡し地点までペイロードを護衛、防衛側はペイロードの運搬を邪魔するのがおもな目的となる。ペイロードは周囲に攻撃側のチームがいれば前進、防衛側のチームがいると後退する。制限時間内にペイロードが引き渡し地点に到達すれば、攻撃側の勝利、できなければ防衛側の勝利となる。
ルール2 ゾーンコントロール
攻撃側は5つのキャプチャーゾーンの制圧、防衛側は制圧阻止を行う。一度制圧されたキャプチャーゾーンは取り返せないため、防衛側は残った場所を全力で死守しなければならない。制限時間内にすべてのキャプチャーゾーンを制圧すれば攻撃側の勝利、逆にできなければ防衛側の勝利となる。
ルール3 ドミネーション
3つのキャプチャーゾーンを奪い合い、制限時間内により多くのポイントを獲得したチームが勝利となる。ポイントはキャプチャーゾーンを制圧することで、徐々に獲得可能。制圧箇所が多いほど、獲得できるポイントが増える仕組みだ。
ゾーンコントロールと異なり、こちらのキャプチャーゾーンは何度でも奪い返すことが可能。また制限時間が残っていても、750ポイントに到達するとそのチームの勝利となる。
ルール4 オキュパイ
ランダムに出現するひとつのキャプチャーゾーンを争奪し合い、制限時間内により多くのポイントを獲得したチームが勝利となる。ドミネーション同様、キャプチャーゾーンを制圧すると、徐々にポイントを獲得でき、相手に制圧されたゾーンは奪取可能だ。また制限時間が残っていても、250ポイントに到達するとそのチームの勝利となる。
物資の運搬とその妨害、またはゾーンの取り合いと、いずれのルールもシンプルでわかりやすいというのも魅力のひとつ。複雑な要素がないおかげで、PvPシューターの醍醐味である、敵との撃ち合いやチームメイトとの連携に集中できるのはかなり大きいと感じた。
またドミネーションなどでは広いアリーナ型のマップ、エスコートでは一本道なリニア型のマップのみが使用されるため、ルールによって遊べるマップが変化するというのも新鮮で楽しかった。
銃の性能を自分好みにこだわって調整できる驚異のカスタマイズ要素
本作のメインとなる攻撃手段(メインウェポン)はアサルト、SMG、ショットガン、LMG、マークスマン、スナイパーの6つ。さらにハンドガン系のサブウェポンやグレネードなどの投擲物があり、これらを自由にロードアウトに登録しておける。
武器の豊富さも魅力だが、それ以上に驚いたのがアタッチメントを用いたカスタマイズ要素だ。メインウェポンの場合はマズル、バレル、フロントレール、サイト、マガジン、リアグリップ、ストックにアタッチメントを装着できる。しかも各部位ごとに細かく性能が異なるアタッチメントが数種類ずつ用意されている。
たとえば、マズルひとつとってみても下の画像のとおり。水平反動、垂直反動、反動回復、エイム速度、距離適正など、あらゆる性能が細かく変化することがわかる。ほかの部位のアタッチメントも同様だ。これにより、自分だけのオリジナルカスタムを作り出すことが可能。
装着したアタッチメントによって、銃全体のステータス変化をすぐに確認できるため、試行錯誤をくり返しながら納得のカスタマイズを見つけ出すのが楽しい。なお、メインウェポンに装着できるアタッチメントは5ヵ所までなので、どこを優先するかによってプレイスタイルが大きく異なるだろう。
遊びやすさとこだわりを両立させたゲーム性がPvPシューターの歴史に新たな1ページを刻む!
アリーナ型とリニア型のマップはどちらも狭すぎず、広すぎずという適度なサイズ感。キャラクターの足がかなり速いため、接敵スピードが速く、敵を探して右往左往することもない。キルタイムの速さとリスポーン時間の短さも相まって、敵との撃ち合いやアビリティによる駆け引きをテンポよく楽しめるスピード感は、さすが元『CoD』開発者と感心することしきり。。
わかりやすく、かつ10分前後で終わる各ルールの設定も絶妙だった。サクッと終わるので負けても「つぎの試合に行こう!」とすばやく気持ちの切り換えができるし、長期戦による疲れもない。1ゲームを手軽にサクッと遊びたい筆者としては非常にありがたかった。
その一方で、エスコートやゾーンコントロールなど、攻守の概念が存在するのに攻守の交代がないのは片方のチームが不利になるのでは? と感じる場面もあった。勝敗をとくに重要視するランクマッチでは攻守の交代を導入して欲しいところだ。
おそらくPvPシューターに慣れているプレイヤーほど、武器カスタマイズの奥深さに驚くはず。しかも見た目だけではなく、銃の性能にしっかりと差が生まれるため、かなり重要な要素ともいえる。装着するアタッチメントを偏らせれば、反動を極限まで抑えたり、エイム移動に特化させたり、反動回復を強化してリコイルコントロールをしやすくしたりなど、銃の性能を大きく変えることも。プレイヤーの個性を強く反映した自慢のカスタマイズを生み出すという、こだわりの遊びかたが楽しめるのも大きなポイントだ。
わかりやすさ、遊びやすさ、こだわりという魅力が詰まっている『エックスディファイアント』。開発に『CoD』の元開発者が携わっているということもあり、競技性とカジュアルさを両立したプレイヤーを選ばない、幅広い層が楽しめる作りになっている。しかも基本プレイ無料なので、これまでこういったタイトルに触れてこなかった人にもぜひとも遊んでもらいたいタイトルだ。