『ハテナの塔 -The Tower of Children-』先行レビュー。リアルタイムカードバトル+ローグライクの仕組みがとにかく楽しすぎる！ 世界観や怪しい敵キャラも魅力

　集英社ゲームズより、2023年4月20日に発売予定のNintendo Switch、PC（Steam）用ソフト『ハテナの塔 -The Tower of Children-』。

　本作は、カードを使ったリアルタイムバトルと、食料を集めて生存を続けるサバイバルローグライクアドベンチャーだ。世界の果てに立つ“ハテナの塔”の上で暮らす子どもたちが地上の楽園を目指す、不思議な世界観の作品となっている。

　どこか憎めない愛嬌のある敵キャラクターやランダムで入手できるカードを使って攻略していく骨太なローグライクなど、さまざまな魅力を秘めている本作。今回、発売に先駆けて先行プレイをする機会を得たのだが、つい時間を忘れて没頭して徹夜するまで遊び続けてしまった。

　難易度自体はさほど高くないためローグライク好きだけでなく、世界観に興味を持った人にもオススメしたい作品なので、本記事にてその魅力をお伝えしていこう。

カードを選ぶ駆け引きが熱いリアルタイムバトル

　本作で主役となるのは、ハテナの塔で暮らす子どもたち。塔を登るのではなく、その頂上から降りて地上を目指すのがゲームの目標で、冒険に出るメンバー以外は全員塔で生活をしている。

　初期時点だと巨大な木が生えているくらいで生活感がなく、どうやって生きているのか不思議な環境だ。そもそもなぜ子どもたちが塔にいるのかなど、本作には謎（ハテナ）が山ほどあり、それを解き明かしていくのも楽しみのひとつとなっている。

　最初は5人の子どもが塔で暮らしており、何もせずに休むか、塔を探検すると1日が経過してひとり1個パンを消費していく。これがサバイバル要素になっており、食料であるパンがすべて失われれば待っているのは悲惨な結末だ。

　そして、パンを得るためのもっとも効率的かつ確実な方法は、塔に潜って集めてくること。子どもたちは日数の経過に応じて順番に戦士になっていき、ふたりでペアを組んで塔に挑めるようになる。

　この戦士になる儀式を“戦礼”と呼ぶのだが、戦えるようになったときのステータスは完全ランダムのようで、後からパンを消費してのやり直しも可能だった。最初はそこまでシビアに考える必要はないが、理想のステータスを追い求めるのもおもしろそうだ。

　ペアを作って塔に潜ると、移動は自動的に行い、敵やイベントと遭遇したら自分で操作をしていく。バトルは手持ちのカードを使って行動していくシステムで、戦闘が始まるとランダムで手札が配られる。イメージとしてはランダムで攻撃や防御、回復などのコマンドが並ぶので、その中から適切なものを選んで使用していく感じ。

　手札に使いたいカードがない場合は、いつでもディール（手札の配り直し）も可能。とくにペナルティもないので、1枚だけ使ってすぐディールしたり、狙ったカードが来るまでひたすらディールをくり返してもオーケーだ。

　使えるカードは、各キャラごとに最初から所持している4枚と、塔内部で拾った物のみ。塔で拾ったカードは帰還後に回収されるため、最初に持ち込めるカード数は8～10枚程度に限られている。

　また、キャラは剣士、魔法使い、神技使いの3タイプに分かれており、職業によって使えるカードが異なる。たとえば剣のカードを出した場合、剣士がふたりならどちらも攻撃してくれるが、剣士と魔法使いのペアだと剣士しか攻撃してくれない。一部例外はいるが、基本的には剣士パーティー、魔法使いパーティーなど、同じ職業でペアを組んで戦ったほうが効率的に感じた。

　そして、バトルはターン制ではなくリアルタイムで動いているのもポイントで、こちらがカードを使わなくても敵はどんどん行動してくる。相手の攻撃タイミングもチェックでき、これに合わせてジャストガードをするなどバトルはけっこう忙しい。

　手札の中で使えるカードと使用する順番を選びつつ、相手の行動をチェックしてガードのタイミングを見極める、防御カードがないなら急いでディールする……などなど、考えることが多くてスピーディーかつ戦略的な戦いが求められるのだ。

　使うカードの選定や敵の行動把握に加え、さらに手札選びを複雑にしてくるのがカードの向き。配られるカードは時々上下の向きが変わっており、それによってカードの効果が変わってしまうことがある。

　一例を挙げると、“切りつける”というオーソドックスな剣の攻撃カードは、逆さまになると攻撃が発動しない。発動しないだけならまだしも、一部カードは使用すると自分がダメージを受けてしまう場合もあるのだ。慌ててカードを選んだら逆さまでダメージを負って不利になる、なんてことも日常茶飯事。

　敵の中にはカードの向きを変えてきたり、効果だけを反対向きにするなど、プレイヤーを惑わしてくる厄介な存在も。こうなると手札のカードに意識が集中してしまい、敵の行動を把握できずにガードが遅れることも増えてしまう。

　出現する敵はカードの効果を乱したり、特定のカードが弱点になるなど、それぞれ攻略法が異なっており、少しずつパターンを学習して立ち回りを覚えていくことが重要になっている。

　説明だけ聞くと戦闘システムは複雑に感じるかもしれないが、実際は直感的にプレイでき、なおかつやり応えもあって良質なバトルが楽しめるので、ぜひ実際にプレイして体験してみてほしい。

　職業によって戦いかたにも少し変化があり、最初に使う剣士とはまた違った楽しみも用意されていた。魔法使いの場合は剣士と違い連撃はできない代わりに、魔法をチャージするという要素が加わる。

　剣士と違い、魔法はカードを選んでから一定時間詠唱が必要になるのだが、ここでべつの魔法を使うとチャージが発生。チャージは最初に使った魔法に追加効果を付与するもので、詠唱中に風魔法を使うと数が2倍に、水なら威力を増し、火なら詠唱ナシで魔法を放てるようになる。

　魔法使いは、どんどん魔法を積み重ねて一発で高い威力を叩き出せるのがとにかく爽快。詠唱中にディールしてつぎつぎと魔法を強化していくと、自分がうまいこと操作できている感覚に浸れて余計に楽しい。属性相性でチャージどころか詠唱していた魔法を掻き消してしまうこともあるのだが、うまく扱えると高火力を叩き出せるのは大きな魅力だ。

　カードバトルは、使えるカードが増える後半ほど、より戦略的で奥深さが増していく。塔に挑む際はパンを集めるのが目的か、地上の楽園を目指すかを選べるのだが、ここでも駆け引きが生じる。

　敵を倒したり、宝箱から新たなカードを得るときは数枚から1枚を選ぶのだが、戦闘で役立つカードを取るのか、パンを取るのかが悩みどころ。ひとつでも多くパンを持ち帰ればその分生活は楽になるが、攻撃手段が増えずに先に進むと戦闘面では不利になる。

　どれだけ多く攻撃カードやパンを集められるか、ローグライクならではの一期一会を楽しみながら、少しずつ塔の最深部を目指していくのがプレイの流れだ。

　また、塔に入ると移動が自動的に行われる関係上、ふだんは戻ることができず先に進むしかない。ではどうやってパンを持ち帰るのかというと、特定の層までたどり着くと初めてリスクなしで撤退する選択肢が出現する。

　そのほか、出発時にパンを持ち帰るを選択していれば、桶のカードを使用していつでも帰還することも可能。ただし、桶は戦闘中に使用すると一定確率で所持しているパンを半分落としてしまうので、緊急時以外は一定の層までたどり着くのがベストだ。

　「もう少しパンを集めたいなぁ」と思って深追いしすぎて、けっきょく途中離脱でパンの数が減ってしまうなんて事故も起こりがち。

　前述した通り撤退するとパン以外の入手したカードはすべて失われるのだが、くり返し挑戦することで成長する要素もある。一定層に到達、ボスの撃破など条件を満たすことでハテナを集めると、新機能や新たなカードがアンロックされ、塔で出現するようになるのだ。

　挑戦するほど強力なカードも解放され、先に進みやすくなるので敵の行動パターンなど知識を蓄えつつ、ハテナを稼いでいけばクリアーに一歩近づけるだろう。

　もちろん、ハテナを集めず初期からあるカードだけでも最深部への到達は不可能ではない。どちらかと言えば重要なのは知識で、出現する敵やボスの行動パターンさえ覚えれば攻略はドンドン楽になっていく。

　「攻撃してこい！」と言ってくるのに殴ったらカウンターを決めてくる嘘つきな敵、名乗りを上げている最中に攻撃すると激怒する怪人まで、ハテナの塔にはユニークすぎる敵が満載。逆に行動パターンさえ覚えれば楽に勝てる敵も多いので、くり返し探検しながら戦いかたを学んでいくのがオススメだ。

　新カードの開放以外にも冒険が便利になる機能として、塔に生えている神木にパンを捧げると集落が豊かになる仕組みも注目だ。木にパンを捧げるという奇妙すぎる状況はさておき、貴重なパンを消費すると泉やパン窯など毎日パンをもらえる施設などが修復される。

　一部施設は塔の最深部に到達するために欠かせないものとなっているので、一定の食料は残しつつ、余力があれば神木にパンを捧げると攻略が楽になっていく。

　とはいえ、ムリにパンを捧げて食べるぶんがなくなってしまえば、ゲームオーバーへと近づいてしまう。2日連続でパンを食べられないと子が全滅して最初からになるので、パンの数はしっかり管理しないといけない。

　ちなみに、ゲームオーバーになってもアンロックしたカードや、神木に直してもらった集落の状況はつぎのチャレンジでも引き継げる。少々ズルいやりかたではあるが、パンをすべて失ってでも集落を直すのを優先すれば、つぎの攻略が楽になったりも……。

目指すは全員の楽園到達！　コンプリート要素と出会いが楽しすぎる

　プレイの流れはここまで紹介してきた通りだが、本作にはまだまだおもしろい要素がたくさんある。とくに気に入ったのが、塔での出会い。

　塔への挑戦中は敵との遭遇だけでなく、爆発する宝箱など突発的なイベントや、不思議なキャラクターたちと遭遇することがある。どいつもこいつも見るからに怪しいのだが、どこか愛嬌があり憎めず、出会えるのが楽しみになってくるのだ。

　キャラクターとの出会いは一種の謎解きとなっており、どれか1枚カードを選んでイベントを進めることになる。わかりやすいイベントだと、肉は持っているけど火がないと言っている老人に対して、どんなカードを選べば正解だろうと考える形だ。

　このイベントが一癖も二癖もあって、使うカードに失敗すると激怒して襲ってきたりとハテナ満載でハチャメチャな内容になっている。

　ゴミカードを押し付けようとしてくる不幸なおばさん、貴重なパンを要求してくるサステナブルな骸骨、倒した後に「好きなやつで殴ってくれ」と要求してくるボス、とあるイベントが原因でぶちぎれて襲撃してくる王様。

　語り尽くせないほどおもしろおかしい人たちが塔の中で待ち受けているので、何度も探索して全キャラクターとのイベントを進めるのも楽しみになってくる。

　1キャラクターにつき何度か遭遇してイベントを最後まで進めると、コレクションカードも入手可能。こちらはとくに攻略に影響しない収集要素だが、塔で出会う人のプロフィールなどがチェックできるようになるので、コンプリートしたくなる。

　そして、本作最大のコンプリート要素は子どもたちだ。最初は5人しかいない子どもたちだが、塔を探索しているとランダムで倒れている子どもを救出できることがある。そのぶんパンの消費量が増えて若干複雑な気持ちになるのだが、ともかく集落には最大で9人まで子どもが集まれる仕組みだ。

　子どもは塔を探検したり、時折集落で起きるイベントなどを通じて愛着度が上がっていく。これが最大になると覚醒イベントが発生し、それぞれが抱えている悩みなどを知ることができ、さらに秘めたる能力も解放される。すべての子どもを集め、愛着度を上げてコンプリートするのが最大の目標と言えるだろう。

　個性豊かな子どもたち、そしてハテナな敵キャラクター。プレイするほどに惹かれていく世界観に、テンポがよく楽しめるバトルシステムが合わさって、『ハテナの塔 -The Tower of Children-』は何時間でも遊びたくなるゲームに仕上がっている。一度最深部まで攻略するのはさほど難しくなく、数時間で到達できるがそこで終わりではなく、さらなるやり込みが待っていてボリュームも満点。

　ローグライク好きにはとくにオススメしたい、一度遊びだしたら病みつきになる良作だ。子どもによって所持しているカードも異なるので、さまざまなペアを試しつつ、地上の楽園を目指す冒険を試してみてほしい。　

『ハテナの塔 -The Tower of Children-』

• プラットフォーム：Nintendo Switch、PC（Steam）
• 発売日：2023年4月20日発売
• 発売元：集英社ゲームズ
• 開発元：タストα
• 価格：パッケージ通常版/3500円［税込］、コレクターズ・エディション/7800円［税込］、ダウンロード版/2500円［税込］
• ジャンル：アドベンチャー
• CERO：全年齢対象
• 備考：PC版はダウンロード専売

『ハテナの塔 -The Tower of Children-』Twitterキャンペーン！

　『ハテナの塔 -The Tower of Children-』が2023年4月20日に発売されるのを記念して、Nintendo Switch（有機ELモデル）と『ハテナの塔 -The Tower of Children-』コレクターズ・エディションをセットにして抽選で1名にプレゼント！

　応募方法は、ファミ通.comのTwitterアカウントと『ハテナの塔』のTwitterアカウントをフォローして、本記事のツイートをリツイートすれば完了。当選者の方にはDMでお知らせします。奮ってのご応募お待ちしております。

プレゼント商品

Nintendo Switch（有機ELモデル）＋『ハテナの塔 -The Tower of Children-』コレクターズ・エディション

当選者

1名様

応募方法

ファミ通.comと『ハテナの塔』のTwitterアカウントをフォローして、本記事のツイートをリツイートすれば完了。

ファミ通.comTwitterアカウント@famitsu
『ハテナの塔』Twitterアカウント@HatenaOfficial

応募締切

2023年3月14日（火）23時59分リツイート分まで

当選発表

2023年3月20日（月）以降に、ファミ通.com公式アカウント（@famitsu）から、当選者へDM（ダイレクトメッセージ）を使って通知します。

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