2023年2月22日、コスモマキアーより花火パズルゲーム『ファンタビジョン 202X』がプレイステーション5(PS5)で発売される。プレイステーション VR2(PS VR2)の対応タイトルでもある本作は、2000年3月9日、プレイステーション2でソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)第1号タイトルとして発売された『ファンタビジョン』の続編にあたるもの。

『ファンタビジョン202X』プレイレビュー

 基本的なゲーム性は踏襲しつつも、現代のゲームとして、Unreal Engineで再構築された4K出力対応の美麗なグラフィックやリプレイモードの搭載など、新たな魅力も追加されている。本記事では、PS VR2版をメインに本作のプレイレビューをお届けしていく。

『ファンタビジョン』の基本ルール

 本作は“打ち上げ花火”をテーマにしたパズルゲーム。プレイヤーは、地上など(舞台には宇宙も!)から打ち上げられた花火玉を“キャッチ”し、“フラッシュ(爆発)”させていく。

『ファンタビジョン202X』プレイレビュー
『ファンタビジョン202X』プレイレビュー

 花火玉には赤、青、緑の3色があり、同じ色の花火玉を3つ以上キャッチするとフラッシュさせることができるようになる。ただし、一度ひとつの色の花火玉をキャッチすると、フラッシュさせるかリリース(手放す)まで違う色の花火玉は取れなくなる。

 さらに、打ち上げられた花火玉は一定時間で消滅する。花火玉が消滅すると、そのたびに画面左下のライフゲージが減っていき、これがゼロになるとゲームオーバーとなってしまうのだ。なお、ライフゲージは花火玉をフラッシュさせると少しずつ回復させることが可能。

 一度に打ち上げられる花火玉は基本的に4つずつなので、どの玉をキャッチしていけば効率よくフラッシュができるかを考えながらプレイしないと、すぐにゲームオーバーになってしまう。

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 一方、花火玉にはもうひとつ“ワイルド”と呼ばれる、何色にもなれる特別な玉がある。たとえば赤の玉を集めている途中でワイルドを取ると、そのつぎは赤だけでなくほかの色の玉が取れるようになる(赤赤ワイルド緑緑緑……など)。この要素を利用すると、同時に複数の色の花火玉をフラッシュさせる“デイジーチェイン”と呼ばれる連鎖が発生し、ボーナス得点を獲得できるのだ。

 また、フラッシュして飛び散った火花が同じ色の花火玉に当たると、その花火玉が“誘爆”する。ワイルドを駆使してデイジーチェインを発生させ、さらにそれを利用して誘爆を重ねて高得点をゲットする……というのが、本作の基本テクニックとなる。

『ファンタビジョン202X』プレイレビュー

 そのほかにも、さまざまなアイテムが出現することがある。こちらはワイルドと同様の扱いで、コンボに組み込んでフラッシュさせるとそれぞれライフゲージが回復するなど所定の効果が発動する。

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 なかでも“スター”と呼ばれるアイテムは、“スターマイン”という高得点を狙うには欠かせないボーナスタイムを発生させるためのもので、とくに見逃せない。スターをひとつフラッシュさせると、画面左下の“スターマインランプ”が1文字ずつ点灯していく。そして8文字すべて点灯すると、“スターマイン玉”が打ち上げられる。これをフラッシュさせると、いっしょにフラッシュさせたものと同じ色の花火玉が大量に打ち上げられる“スターマイン”が始まるのだ。

『ファンタビジョン202X』プレイレビュー

 スターマイン中は、同じ色の花火玉がまとまって打ち上げられるので、ひたすらキャッチしてフラッシュすることをくり返す。ゲーム中もっとも頭を使わずにすむ、気持ちいい時間である。

『ファンタビジョン202X』プレイレビュー
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 以上が本作の基本となる要素である。ルールはシンプルなのだが、花火玉はけっこう早く消滅してしまうので、操作に慣れるまでがなかなかたいへん。そこで役に立つのが、“遊び方”モードだ。こちらはいわゆるチュートリアルムービー。英語訛りの日本語ナレーションがいい味を出していて、いやむしろ味が出すぎていて、初見だと中身を理解し忘れてしまいがちなのが玉にキズか。

 このムービー、基本ルールと応用ルール3編で合計4編用意されている。最初は基本だけでいいか……と考えてしまいそうだが、じつは応用で紹介しているテクニックは、応用と言いつつもあらかじめ知っておく必要があるものばかりなので、最初からチェックしておきたいところ。ムービー自体はとてもよくできているので、プレイしながら何度も確認していけば、ゲームにもすぐ慣れることができるはず。

『ファンタビジョン202X』プレイレビュー
『ファンタビジョン202X』プレイレビュー

VR空間の最高の視点で花火を楽しもう!

 VRモードの操作はモニターモード(テレビなど、一般のモニターに表示してプレイするもの)とまったく同じ。PS VR2 Senseコントローラーだけでなく、DualSenseワイヤレスコントローラーなどPS5用のほかのコントローラーでもプレイ可能だ。ハプティックフィードバックに対応した振動の設定も行える。

 また、PS VR2を使うか使わないかもゲーム起動時に選択できる。

『ファンタビジョン202X』プレイレビュー

 プレイ感覚についても、モニターモードとVRモードはほぼ変わらない。VRモードはヘッドマウントディスプレイを使っているぶん、目の負担があって若干疲れやすいものの、いわゆる“VR酔い”については30分ほどぶっ続けでプレイしてもほとんど感じなかった。

 VRモードでは、首を振れば周囲の景色も見渡すことができる。もっとも、つぎからつぎへと花火玉が上がってくるので、そんなことをする余裕はスターマインの前後やステージクリアー時くらいしかないが。

 ビジュアル面をモニターモードと比較すると、やはり3Dで見えるぶん迫力が違う。また、視界が限定されているおかげでゲームに集中しやすくもなっていると感じた。BGMや効果音がプレイをジャマしない絶妙な塩梅で挿入されているのも、オリジナル版と同じ評価ポイントである。

 そしてVRモード最大の特徴は、“リプレイ”モードにある。このモードは、ステージクリアー時に保存したリプレイデータ(最大10個まで)を再生できるのだが、各ボタンに振り分けられたカメラ(視点)をさまざまに変更したり、再生速度を変えたりと、色とりどりの花火が咲き乱れる光景を存分に味わえる仕組み。「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」と、かの有名な映画のタイトルそのままの楽しみかたができるのだ。

『ファンタビジョン202X』プレイレビュー
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『ファンタビジョン202X』プレイレビュー
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 とくに、プレイ中にデイジーチェインをたくさん決めていたり、スターマインで複数の色の花火玉をもって突入したりしていると、リプレイでの花火の美しさも段違いに向上する。「あ、上手くプレイするってそういうことなんだ」と妙に納得させられてしまった。

 最初は独特の操作感に面食らうかもしれないが、“遊び方”のチュートリアルムービーを観ながら30分くらいプレイすれば、イージーモードならふつうにクリアーできるくらいには慣れてくるはず。本作は、それからがおもしろくなってくるのだ。

 同じ色の花火玉を3つ揃えたらワイルドもしくはアイテムをキャッチして、ほかの色を集めてデイジーチェインを狙う。難しそうならとっととフラッシュさせて花火玉が消滅する前に拾う……という基本戦術をくり返していれば、ハードモードでもクリアーはそれほど難しくはない。狙ってデイジーチェインができるようになれば、スターマインを複数の色の花火玉で持ち込めるようにもなるし、ステージあたりのスコアも伸びてくるはず。

 シンプルなルールである一方、ハイスコアや最多チェイン数など奥深いやり込み要素もあるので、パズル好きな人でも楽しめる作品であるのがうれしい。

 ちなみに、1ステージの長さは5~6分程度。2ステージごとにレトロな雰囲気のムービーが流れて舞台が変更されるので、だいたいそのくらいのタイミングで休憩を挟みながらプレイするとちょうどいいだろう。

『ファンタビジョン202X』プレイレビュー

 なお、本作はプレイ中のボタン配置も自由に変更できる。慣れてきたら、キャッチやフラッシュを左右のボタンに振ってあげるとプレイしやすいかもしれない。トリガーボタンについては、ストロークの問題があるので多少コツが必要だが、PS VR2 Senseコントローラーでプレイするならやりやすくなると思われる。

『ファンタビジョン202X』プレイレビュー

 夜空に咲き乱れる花火の美しさを、パズルとともに楽しめる『ファンタビジョン 202X』。あえて要素を絞ったこの作品は、PS VR2のエントリー用ソフトとしてはもってこいの1本。「どれにしよう……」と迷っている人にはオススメである。