カリプソメディアジャパンより、プレイステーション5、プレイステーション4版の『トルトゥーガ パイレーツ テイル』が2023年2月23日に発売される(Xbox Series X|S版、Xbox One版は1月19日、PC版はEpic Games Store独占で1月20日にダウンロード専売で配信)。

 本作は、海賊船団のリーダーとなりカリブ海最強の海賊を目指す海戦シミュレーションRPGだ。海上を自由に航海するゲームながらアクションではなくターン制のバトルとなっており、難解な操作が必要なくじっくりと遊ぶことができる。

 今回、本作のプレイステーション5版をプレイする機会を得たので、プレイレビューをお届けしよう。

『トルトゥーガ パイレーツ テイル』レビュー。目指すはカリブ海を支配する大海賊! 船内政治や船のアップグレードなど海賊ライフを満喫できる海戦シミュレーションRPG
※本記事はカリプソメディアの提供でお届けします。
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沈めるべきか、拿捕して積み荷を奪うか。海賊プレイが捗るタクティカルバトル

 ゲームを始めると、まずはプレイヤーのアイコンや名前、マストのデザインなどを自由にカスタマイズできる。最初に活動する本拠点もいくつかの港から選べるが、どこを選んでもさほど難易度に違いは出ないので好きに選んでよさそうだ。

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 キャラクター作成が終わったら、さっそく海賊生活がスタート。最初は一隻の海賊船だけを所持している状態で、カリブ海を好きなように航海できる。とはいえ最初はチュートリアルも兼ねて進むべき町などを教えてくれるので、慣れるまではストーリーに沿って進めたほうがいいだろう。

 海上での操作はシンプルで、プレイステーション5ではスティックを倒した方向に船が進んでいく。マストを畳むといった細かな指示は必要ないので、海賊行為を行わない限りは気ままな海の旅を堪能できる。時折イルカなどの生物が船の周りを泳いでいたりと、海の旅ならではの出会いも待ち受けていた。

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 本作にはわかりやすい目標としてキャンペーン(ストーリー)があるが、必ずしもストーリーを進行する必要はない。感覚としてはオープンワールドに近く、お金稼ぎに邁進したり、海賊として名を上げて海を支配したりと自分で好きなように遊びかたを選べる。

 どのようなプレイをする場合でも重要になるのは、資金の調達だ。船員の補充や積み荷の売買、船の修理など、なにをするにもお金は必要不可欠。いかにしてお金を効率的に稼ぐかが、本作をやり込む際に意識したいポイントだ。

 お金を稼ぐ平和的な方法は、積み荷の売買だ。各町の市場で売っている商品の値段は一定ではなく、時期や地域によって物価が異なる。これだけでピンと来る人も多いと思うが、安く商品を仕入れて、高く買ってくれる場所に持ち込めばそれなりの利益を出せるというわけだ。

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 だが、本作のプレイヤーは海賊でジャンルは海戦シミュレーション。やはり平和的にお金を稼ぐより、海賊としてひと山当てることがメインコンテンツだ。海賊としてお金を稼ぐ方法はシンプルで、航海中の商船などを襲撃して積み荷や船を奪えばいい。

 航海中にはほかの海賊や商船と遭遇することがあるため、襲うと決めたら海賊旗を掲げて突撃! 相手の船に近づけば戦闘画面へと移行する。ちなみに商船は海賊旗を見ると全力で町へと逃げ込むので、逃がさないようにあらかじめ航行ルートをチェックしたり、十分に接近してから海賊旗を掲げるといった工夫も必要だった。

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 戦闘に入ると海にグリッドが表示され、シミュレーションRPGらしい画面へと切り換わる。ここからはふだんの船の操作とは異なり、毎ターンマスを移動して接近したり、攻撃範囲内の敵にダメージを与えるタクティカルバトルが展開されていく。1対1のバトルではなく、仲間である船長と船の数だけユニット数も増える仕組みだ。

 バトルは全体的に硬派なシステムで、相手との押し引きや距離の取りかたなど駆け引きが生じる。また、人どうしが戦うタクティカルバトルとは違って本作は船の戦いなので、移動の仕方もやや独特なのが印象的。戦闘中は1ターンに長距離を移動すると速度が上がりすぎて、つぎのターンの最小移動距離が大きくなってしまう。

 つまり、急いで敵に接近しすぎると、1マス移動ができず狙った位置に止まりにくくなるのだ。攻撃も側面についた大砲を使うのが主流なので、状況によっては至近距離にいるのに一方的に攻撃される羽目になりかねない。移動距離、船の向きなどの考えは最初はクセが強く感じるが、慣れてくると戦略的に戦えて飛躍的に楽しさが増した。

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 ほかにも、風向きや地域特性など海戦らしい要素がバトルを味わい深いものにしてくれる。岩の近くにいると衝突してダメージを受けたり、風向きによって進める方向が限定されるため、理想通りの動きをするには船長としての手腕が必要。

 小回りの利かない船だからこそのもどかしさをどれだけ理解して、戦いに活かせるか。複雑だからこそ、狙い通りにバトルが進んだときに抜群の手応えを得られる。

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 敵船に近づいたらいよいよ砲撃戦になるのだが、ここでもいくつかの決断を下さなくてはならない。砲撃時に使う弾薬にはいくつか種類があり、敵船の乗員を狙うか、船に打撃を与えるかを選べる。

 この選択の違いは、相手の船に乗り込む移乗攻撃をする際にとくに影響する。相手の船に隣接すると乗り込んで制圧できるのだが、相手の戦力である乗員の数によって成功率が変わってくる。相手の船を沈めるつもりなら強力な弾薬を、乗り込んで制圧するならグレープショットで乗員を減らすといった具合に使い分けが重要になっていく。

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 船に接近して移乗攻撃が始まると、砲撃の撃ち合いとはまた違った仕組みでの戦いになる。一気に襲い掛かって数を減らすか、防衛に徹して乗組員の減少を防ぐかなど、いくつか選択肢が表示されるので、これを相手の船が離れるまで何度も決断をくり返していく。

 この仕組みがあるからこそ、海戦中に敵の乗員を削っておくことが戦略的に重要になるというわけ。最終的に相手の戦力をすべて削り切ることができれば、占領完了。

 そのままバトルに勝利すれば、船を積み荷ごとすべて奪取して一気にお金稼ぎができてしまう。逆に大砲で沈めてしまった場合は船は海底へ、積み荷もほとんど失われるのでもったいない。ただ倒すだけなら大砲で沈めてしまうのが楽なのだが、お金を稼ぎたいなら拿捕を視野に入れるのがセオリーだ。

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選択ごとに成功するかの%が表示される。
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船を占領しても、敵が残っているなら戦闘は続行される。最初の船から乗員を削られすぎると、戦闘後半が不利になることも。

 また、バトルは最大6対6になるため、ほかの船との連携プレイも戦局に影響する要素だ。各個撃破を狙うか、数隻で囲んで一気に撃破を狙うのか。相手の船数や戦局、戦力差によって動きかたを変えると、格上相手に勝つのも不可能ではない。

 こちらが船の数で圧倒的に劣っていても、陸地付近の狭い地形を活かしたり、一隻ずつ最速で撃破を狙うなどプレイヤーの工夫次第で勝ちを狙いにいけるのはいいシステムだ。

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 そのほか、RPGらしい要素として船を動かす船長(ユニット)はレベルを上げることができ、多彩なアビリティを習得できるのも見どころだ。最大6人の船長に複数のアビリティを習得させることで、回復要因やサポート役など立ち回りも変えられる。

 アビリティは通常より強い砲弾の発射や、被害を減らす防御系のもの、海上にトラップを設置するなど効果はさまざま。自分で好きなアビリティをセットできるので、船の特性に合わせてカスタマイズしていくと効果的だ。

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 実際に使ったアビリティだと、罠の設置アビリティは1隻には必ずセットしておきたいほど便利だった。自分の動いたルートに罠を置けるため、削りたい敵の周辺をすべてトラップで固めてしまうと、本格的な戦闘に入る前に戦力を削れて有利に戦える。敵の数が多いほど作動する機会も増えるため、相手の移動ルートを推察しつつトラップを配置すると、戦略的に戦える感覚に浸れて遊び応えがあった。

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アビリティを使用して、敵船の周りをぐるっと一周。
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周辺一帯をトラップまみれにして、1マスでも動けば被弾する状況に追い込む。

 砲撃戦、移乗攻撃、アビリティを使用して戦闘に勝利したら、相手の船から戦利品を回収して終了。移乗攻撃で制圧していれば大量の積み荷がゲットできるが、逆に砲撃で沈めるとほとんど戦利品が手に入らないこともある。船はダメージを負ったら修理も必要になるので、修理代すら稼げない赤字の戦闘にならないよう、最低でも1隻は拿捕したいところだ。

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船内政治や船のアップグレードなど、船長の仕事は山積み

 船長のレベルアップによるアビリティ習得以外にも、戦利品を売ってお金を稼いだら船をアップグレードしてさらなる戦力アップを狙える。海賊船を自分好みに強化できる、いちばんワクワクする要素と言っても過言ではない。

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船は性能に影響しないスキンのセットも可能。クラーケンの触手を生やしたり、幽霊船のような不気味さを演出するなど好きなデザインを選ぼう。

 船のアップグレードで序盤から手を出しやすいのは、大砲の変更だ。ほかにも装甲板の強化などいくつかアップグレード要素はあるが、最初は大砲を変えるのがオススメ。高い金額を払って高性能な大砲を付ければ、商船程度なら簡単に沈められるようになる。

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 ちなみに筆者は最序盤に港でいちばん高かった大砲をムリして買ったのだが、圧倒的な強さで序盤の敵を一撃で屠れるようになってしまった。調子に乗って何度も船を沈めてしまい、積み荷も回収できず船員に小言を言われまくる日々を過ごしたが、強いのは間違いないので大砲を強化しておいて損はないと思われる。

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遠距離から一発撃ち込んだら一瞬で沈んで戦闘終了。高い金を払った甲斐がある強さだった。

 好きなように商船を襲ってお金を稼ぎ、海賊船を自分好みに強化していく。この流れだけを聞くと自由な海賊ライフの印象を受けるが、じつは本作は船員や町での関係値など人望が試される場面も多い。

 いつでも襲撃できる商船は町を往来して利益を出す、どこかの国に所属する存在であり、当然ながら略奪行為に精を出しすぎると敵対関係になってしまう。好き放題暴れると町では冷遇され、最悪賞金を懸けられて追いかけ回される羽目になりかねない。

 ということで、特定の主権国家と仲よくなって良好な関係を結ぶことも重要だったりする。国に対抗する力がないうちは、海賊生活も意外と世知辛いのだ。町にいる知事から海賊討伐などのミッションを受ければ国での地位が上がり、性能のいい装備なども売ってくれるので、最低でも1国とは仲よくなるのが得策だ。

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 また、船員たちの評判も航海に影響を及ぼすため、適度に飴と鞭を与えるのがよい船長としての立ち回り。船員たちは戦利品の分配額によって船長への評価が変わり、分配金が少なければ金の亡者と陰で文句を言われてしまう。

 ほかにも航海前には、海戦に勝利する、新しい船長を迎えるといった約束を船員とすることになり、それを達成しないとこれまた評価が下がっていく。こういった船内政治をこなしつつ、お金を稼ぎ、船や新たな船長を迎えて強くなっていくというのが基本的なプレイの流れだ。

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 ある程度戦力が揃った後は、一部の海域を支配している国や海賊を相手に戦ったり、町を襲うなどより海賊らしい行為も可能になってくる。時折遭遇する海賊を倒すと隠れ家の位置も割り出せ、襲撃すれば以降は自分の隠れ家として使用できるのも魅力だ。

 隠れ家は戦利品や船を隠せる自分だけの拠点で、征服した各海賊のアジトへのファストトラベルもできたりといたれり尽くせり。自分だけのアジトを持てるワクワクする要素で、中盤以降のやり込みには欠かせない場所にもなる。

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 大量のお金と素材は必要になるが、乗っ取ったアジトでは船の修理ドッグや酒場など、町と同じ施設を作り出すことが可能だ。これをすべて完成させれば町を行き来する回数を減らせるため、必然的に国を相手に喧嘩も売りやすくなる。船や戦力が十分に集まったら、国すら恐れないカリブの大海賊を目指すのもアリだろう。

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 戦闘システムの奥深さや海賊のロマンを感じる航海のシステムなど、好きな人はトコトンはまるタイプのゲームに仕上がっている『トルトゥーガ パイレーツ テイル』。

 各テキストがいささか小さくてミッションや各システムを把握するのが疲れるのが難点だが、こういった細かな点はアップデートでの改善にも期待したい。アップデートでの調整がほしい部分はありつつも、ベースとなるシステムはやり応えのある内容なので、シミュレーションRPGや自分で立ち回りを変えられるゲームが好きな人にはオススメだ。

『トルトゥーガ パイレーツ テイル』

  • プラットフォーム:プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Epic Games Store)
  • 発売日:
    • プレイステーション5、プレイステーション4/2023年2月23日発売
    • Xbox Series X|S、Xbox One/2023年1月19日発売
    • PC(Epic Games Store)/2023年1月20日発売
  • 発売元:カリプソメディア
  • 開発元:Gaming Minds Studios
  • 価格:
    • プレイステーション5、プレイステーション4/4470円[税込]
    • Xbox Series X|S、Xbox One/3500円[税込]
    • PC(Epic Games Store)/3725円[税込]
  • ジャンル:シミュレーション
  • CERO:12歳以上対象
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