2022年11月30日に、Nintendo Switch用ソフトとして『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』が発売される。

 『フロントミッション』といえば、言わずとしれた、オリジナル版がスクウェア(現スクウェア・エニックス)より1995年にスーパーファミコン向けにリリースされたターン制シミュレーションRPG。ヴァンツァーと呼ばれる巨大歩行兵器を操り戦う本作では、西暦2090年の太平洋上のハフマン島を舞台に、主人公のロイドが傭兵部隊を率いて第二次ハフマン紛争を戦い抜いていくストーリーが描かれる。ハードなストーリーはもとより、ヴァンツァーのリアルな設定などが多くのファンに愛された一作だ。その人気ゆえにシリーズ化もされている。2007年には1作目の『フロントミッション』がニンテンドーDSでリメイクもされている。

『フロントミッション』リメイク版の発売元がスクエニではない理由。「原作の雰囲気が保たれたタイトルになると期待し、リメイク権を許諾した」

 そんな根強い人気を持つ同作だけに、9月に行われた“Nintendo Direct 2022.9.13”(ニンテンドーダイレクト)にて、ニンテンドーDS版のHDリメイク作となる『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』が発表されたときは喜んだファンも多かったのではないかと思われるが、そこでふと気になったのがパブリッシャーがForever Entertainmentである点。

 Forever Entertainmentと言えばポーランドに本社を構えるゲーム会社で、近年日本でも積極的にタイトルをリリースしているので、ご存じの方も多いかもしれない。Forever Entertainmentというと印象深いのが、2020年にセガの『パンツァードラグーン:リメイク』を、2022年には同じくセガの『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド:リメイク』をリリースしていること。『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』は、そんな同社の日本のIPのリメイク化第3弾だと思われる。

 記者はかつて、Forever EntertainmentのプレジデントCEO、ズビグニェフ・デビツキ氏にインタビューしたことがあるのだが、大の日本好きで日本ゲーム好きが印象的だった。

 『パンツァードラグーン:リメイク』や『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド:リメイク』にしても、『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』にしても、デビツキ氏の日本愛ゆえのプロジェクトだと思われるのだが、そこで気になるのが『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』とスクウェア・エニックスとの関係。『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』に対してスクウェア・エニックスはどのように関わっているのか、『フロントミッション』のIPはどうなるのか、そしてシリーズ最新作の展開はあるのか……。すっかり気になってしまった、記者は思い余って質問をスクウェア・エニックスにぶつけてみたところ、以下のお返事をいただいた。

※リメイク版『フロントミッション』の概要はこちら

『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』ニンテンドーeショップサイト

IPの権利はスクウェア・エニックスが保持。ただし新作の予定はなし

――『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』がForever Entertainmentから発売されることになった経緯を教えてください。

担当最初にForever Entertainment社から情熱的な売り込みを受けて、という形になります。弊社側で『フロントミッション』に対して何らかのアクションの予定がなかったことと、Forever Entertainment社による他社のリメイク作品や彼らの企画内容を見て、『フロントミッション』の雰囲気が大事にされ、うまく商品化できるだろうと期待が持てましたので、『フロントミッション』を預けてみよう、ということになりました。

――これは、『フロントミッション』1作目のリメイク権をForever Entertainmentに許諾したということでしょうか。それとも『フロントミッション』そのものの権利をForever Entertainmentに譲渡したということでしょうか?

担当リメイク権を許諾した形になります。IPの権利は変わらずスクウェア・エニックスに属しています。

――許諾したのは『フロントミッション』1作目のリメイク化権利のみですか?

担当すでに発表済みとなりますが、1作目から3作目までを許諾しています。

『フロントミッション』リメイク版の発売元がスクエニではない理由。「原作の雰囲気が保たれたタイトルになると期待し、リメイク権を許諾した」

――『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』の開発にあたって、スクウェア・エニックスはどのように関わっているのですか?

担当監修として関わっています。まず今回のリメイクのベースとなる作品をニンテンドーDS版でお願いしました。『フロントミッション ザ・ファースト』は2度の移植でシナリオや武器・パーツが追加されていますので、ゲームとしていちばんボリュームのあるDS版を選んでいます。ほかにも、キャラグラフィックの修正や、ヴァンツァーの動きなどに意見を出しました。

――今後、スクウェア・エニックスから『フロントミッション』関連タイトルがリリースされる可能性はありますか?

担当関連作品としましては、弊社のマーチャンダイジング部より、“フロントミッション ストラクチャーアーツ”というプラモデルシリーズが第3弾まで発売されており、第4弾や1作目のボスであるレイブンの発売も予定されております。

 ゲームタイトルについては、現在予定ありません。

『フロントミッション』リメイク版の発売元がスクエニではない理由。「原作の雰囲気が保たれたタイトルになると期待し、リメイク権を許諾した」

 スクウェア・エニックスから『フロントミッション』の新作の予定がないのは残念だが、Forever Entertainmentにはシリーズ3作のリメイク権を許諾しているとのことで、今後のさらなるリメイクの流れも期待できそう。まずは、『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』楽しみたい。

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