『サムライメイデン』プレイレビュー。ユニークなアイデアや美少女要素が満載！ D3Pイズムを感じるガールズ侍アクションが新生

　2022年12月1日、ディースリー・パブリッシャーから新作アクションゲーム『SAMURAI MAIDEN -サムライメイデン-』がリリースされる。

　対応ハードはNintendo Switch、PS5、PS4、PC（Steam）で、通常版のほかにゲーム本編と複数のダウンロードコンテンツがセットになったダウンロード専売の『SAMURAI MAIDEN DELUXE EDITION -サムライメイデン デラックスエディション-』も用意されている。

　物語の舞台は戦国時代。教室で居残り勉強をしていた主人公の玉織紬（たまおり つむぎ）は、“本応寺の変”が起こった1582年の本能寺に召喚される。そこで3人の護影や織田信長と出会った紬は、自分に与えられた重要な役割を知ることに。戸惑いながらも祖父から習った自慢の剣術を駆使して、地獄の亡者がひしめく本能寺地下冥界を探索していく。

　本稿では本作をひと早くプレイしたライターのジャイアント黒田によるプレイレビューをお届け。ネタバレなしでゲームの魅力を語っているので安心して読み進めてほしい。なお、筆者はSteam版でプレイしている。

3人の護影は同じ忍びと侮るなかれ。個性が際立ったメンバーの虜に！

　皆さんはディースリー・パブリッシャーというゲームメーカーにどのようなイメージをお持ちでしょうか。

　筆者がパッと思いつくのはユニークな代表作の数々。『SIMPLE1500』、『SIMPLE2000』シリーズや『お姉チャンバラ』、『地球防衛軍』、『ドリームクラブ』、『バレットガールズ』、『オメガラビリンス』などなど、挙げるときりがありませんが、いずれのタイトルも尖っていて、作品によっては美少女要素が強めなのも特徴的。筆者と同じようなイメージを持たれている方は少なくないと思います。

　本作もまさにディースリー・パブリッシャーの遺伝子がこれでもかと注ぎ込まれた作りになっています。主人公は女子高生の玉織紬。スマートフォンを愛用し、クレープやショッピングが大好きな現代っ子。そんな彼女が戦国時代に召喚されるところから、物語は大きく動き出します。

　「なるほど。今回は“女子高生×戦国モノ”なのね」

　なんて軽い気持ちで遊び始めていましたが、さすがにストーリーや設定は練られたものになっていて、紬を守る3人の護影たちや、戦国武将の織田信長、武田信玄、上杉謙信たちとのやり取りは女子高生ならではのネタが満載。とくにスマホに興味津々な護影たちの姿は微笑ましくてほっこりさせられました。

　護影たちのキャラクター設定も絶妙。3人とも忍びではあるものの、そこに“異なる属性”をプラスすることで個性豊かな人物に仕上がっていて、自分自身の魅力はもちろん、紬と絡むことで彼女の魅力や新たな一面を存分に引き出してくれています。

　せっかくなので護影たちの特徴や魅力をひとりずつ紹介していきましょう。

　ひとり目の依夜（いよ）は織田信長に仕える戦国時代の忍者。特別な力を持つ紬に強い尊敬や憧れの念を抱いていて、少しでも彼女の力になりたいと一生懸命です。

　紬が女子高生なら、依夜は紬を姉のように慕う女子中学生といった感じでしょうか。ふたりのやり取りでは、イマイチ自分に自身が持てない依夜を励ますお姉さんのような紬の姿が楽しめました。

　ふたり目は身体の一部が“からくり”になっている忍者・刃鋼（はがね）です。

　彼女は面倒見のいいお姉さん気質で、仲間たちが恥ずかしがるのもお構いなしに紬たちをかわいがる問題児。ですがその一方、冷静沈着な性格で、一行の年長者として締めるところは締めてくれる頼れるシーンも。

　その姿は、女子高生の紬をからかいながらも導いてくれる大学生のお姉さんのよう。刃鋼とのイベントでは彼女の冗談やいたずらに戸惑いながらも、頼れる姉のような存在として慕う紬が描かれていました。

　そして3人目。モフモフした尻尾とツンツンした耳が特徴的な狐美魅（こみみ）は、忍者でありながら陰陽術に通じている天才少女。

　自分の能力に絶対的な自信を持っており、他人に高圧的に接するのですが彼女に悪気はありません。ツンツンした性格ながらも極度の方向音痴で、迷子になって寂しがる姿は、抱きしめたくなるほどカワイイです。

　紬にとって狐美魅は、マスコットのような存在なのかもしれません。尻尾をモフモフするためにあの手この手を尽くす紬と、必死に抵抗する狐美魅の微笑ましい抵抗が堪能できました。あぁ、筆者もモフモフしたい！

　紬と護影たちのやり取りをメインストーリーだけではなく“泡沫空間（ほうまつくうかん）”のデートで堪能できるのもうれしい作り。

　物語を進めて仲間との“親愛度”を高めると、“思い出アルバム”で解放される泡沫空間は、次元の落とし穴とも言える謎の場所。この空間に迷い込むと、なぜか4人は離れ離れになってしまい、紬は護影の誰かとふたりきりに。都合よくふたりきりのデートが楽しめるというわけです。

　泡沫空間には敵が出現するうえ、護影たちの忍術を活用して突破する謎解きも用意されています。迷い込んだメンバーはふたりきりで心細いかと思いきや、紬たちは意外とウキウキな様子。みんなといっしょだと話せない話題で盛り上がり、紬と護影たちの距離がグッと縮まっていくのを感じました。

　また、キャラクターに命を吹き込む声優陣の巧みな演技もストーリーを進める大きな原動力に。

　夜道雪さん（紬役）、伊藤美来さん（依夜役）、上坂すみれさん（刃鋼役）、富田美憂さん（狐美魅役）はもちろん、戦国武将を演じた黒田崇矢さん（織田信長役）や斉藤朱夏さん（武田信玄役）、上間江望さん（上杉謙信役）も、本作に登場するキャラクターのイメージにピッタリ。

　とくに黒田さんボイスの信長がかっこよくて、「この信長もアリだな」と新たな信長像が生まれたと思います。

親切設計と骨太なアクションで初心者から熟練者まで楽しめる作りに

　続いては戦闘の話題に。イベントシーンでは、コロコロと変わる豊かな表情を見せてくれた紬たちですが、戦闘では一変して凛々しく戦う姿を堪能できます。

　美少女たちが戦うのでアドベンチャー好きも楽しめるようにライトな作りになっているのかなと思いきや、バトルの難度は想像以上。とくに強敵との戦闘では攻撃パターンを見極めて反撃のチャンスを逃さずにダメージを与えていくなど、力押しでは勝てない作りになっています。

　アクションゲームが苦手な方は尻込みするかもしれませんがご安心を。思い出アルバムはキャラクターの成長要素にもなっていて、護影たちの親愛度を高めていくことで紬が使えるアクションが増えていきますし、武器を強化して攻撃力や生命力を高めたり、新たなスキルを覚えたりすることも可能。

　たとえ戦闘不能になってもすぐにやり直せる機能も用意されていて、ユーザーライクだと感じました。

　さらに紬の多彩な剣術とクナイ攻撃や爆弾、からくりワイヤーアーム、氷結の陰陽術など3人の護影によるさまざまな忍術をスピーディーに組み合わせた剣忍一体のアクションも本作のウリ。

　仲間と協力して攻撃を畳み掛けることで強敵を一定時間無防備にできるスタン状態にでき、一気に大ダメージを与えられる場面も。これまで苦戦していたのが嘘のように豪快で爽快なアクションが味わえますよ。

　さらに！　ストーリーを進めると“口憑け（くちづけ）の術”が使用可能に。読んで字の如く、この術はお互いの手や顔や身体のどこかが触れ合うことで発動する禁断の術。護影が持つ生命エネルギーを分け与えることで紬が一定時間パワーアップするのですが、唇と唇を重ねれば術の力は最大限に膨れ上がるのです。

　でもね、いきなり唇を求めるのがNGなのはいつの世も変わらないみたい。

　“最初は手などの軽い触れ合いからスタートし、絆が充分深まったのちに、初めて唇を重ねるのが口憑けの術の極意でありマナー” （公式サイトから抜粋）とのこと。

　筆者はまだ、口憑けの術の極意を見ていませんが術に不慣れで初々しい姿も見どころ。とくに、気恥ずかしいのか一度顔をプイッと背ける狐美魅の姿にやられてしまいました（笑）。口憑けの術の発動シーンは3人とも凝っているのでぜひご堪能あれ！

魅力はストーリーやアクションだけではない！　充実のやり込み要素も本作の醍醐味

　本作はやり込み要素も充実。先ほど紹介した3人の護影たちの親愛度上げや武器の収集・強化のほかに、フィールドに配置された宝箱から“記憶の欠片”を集めたり、難度の高いステージに挑めたりします。

　記憶の欠片はさまざまな世界から流れ着いた記憶が欠片になったもの。

　記憶の欠片をひとつ集めるたびにキャラクターデザイン画やラフ絵を始めとした本作の設定資料が解放されていきます。これらの設定資料は図鑑で閲覧できるので、コンプリートを目指す楽しみも。各ステージで宝箱がいくつ配置されているか表示されるのも親切で収集欲が刺激されました。

　ここまで読み進めてくれた方は本作がディースリー・パブリッシャーらしい、チャレンジ精神と美少女要素が満載の新作だとおわかりいただけたはず。やり込み要素も大ボリュームなので、今年の年末年始は女子高生の紬が仲間たちとイチャイチャする姿に癒やされてみてみませんか？

製品情報

• タイトル：『SAMURAI MAIDEN -サムライメイデン-』
• プラットフォーム：Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4※、PC（Steam）
  ※PS5への無料アップグレードおよびセーブデータ引継ぎに対応
• 発売日：2022年12月1日発売予定 ※Steam版は12月8日発売予定
• 価格：
  パッケージ版:各7920円［税込］
  ダウンロード通常版:各7920円［税込］
  ダウンロードDX版:各9900円［税込］
• 対応人数：1人
• CERO：15才以上対象
• 声の出演：
  夜道 雪（玉織 紬）
  伊藤美来（依夜）
  上坂すみれ（刃鋼）
  富田美憂（狐美魅）
  斉藤朱夏（武田信玄）
  上間江望（上杉謙信）
  黒田崇矢（織田信長）他
• メインキャラクターデザイン：美和野らぐ
• 開発：シェード
• 発売：ディースリー・パブリッシャー