コーエーテクモゲームスとDMM GAMESがタッグを組んで手掛けているスマートフォン/PC用ゲーム『BLUE REFLECTION SUN/燦(ブルーリフレクション サン)』。本作は、昨年立ち上がった“BLUE REFLECTION”プロジェクトの最後を飾る作品で、“イローデッド”と呼ばれる姿に変身して戦う少女たちの物語が描かれる。今冬サービス開始に向け、現在、開発が進められているところだ。

 本記事では、開発のキーマンであるイラストレーター岸田メル氏、コーエーテクモゲームス細井順三氏、土屋暁氏のインタビューをお届け。“BLUE REFLECTION”プロジェクトの中で本作がどういう立ち位置にあるのか、シリーズ初となる男性主人公を登場させたのはなぜかなど、かなり深いところまでお話をうかがった。

岸田メル氏(きしだ める)

キャラクターデザイン/クリエイティブ監修

細井順三氏(ほそい じゅんぞう)

コーエーテクモゲームス プロデューサー

土屋暁氏(つちや あきら)

コーエーテクモゲームス ディレクター

『BLUE REFLECTION SUN/燦(ブルーリフレクション サン)』開発者インタビュー。男性主人公を登場させた理由、8人の女の子たちと終末世界で生きていく物語の魅力などを聞く!

ついに“BRプロジェクト”の最後の作品が動き出す

――“BLUE REFLECTIONプロジェクト”の一角としてタイトルだけが発表されていた『BLUE REFLECTION SUN/燦』(以下、『BR SUN』)ですが、ようやく詳細情報が公開となりました。あらためて細井さん、土屋さん、岸田さんは本作にどのような形で携わっているのでしょうか?

細井私はプロデューサーとして関わっています。土屋はディレクターをやりつつ、プロジェクト全体を見ているので、プロデュース的な側面も担当してもらっています。

土屋基本的には、細井や岸田さんからコンセプトの案がいろいろと出てきて、それをどうやったら実現しつつ、よりおもしろくて奥の深いものにできるか、という点を追求して現場を回している感じです。それと、『BLUE REFLECTION TIE/帝』(以下、『BR TIE』)でもそうでしたが、シナリオ関係をひと通り見ています。

――『BR TIE』でも、ご自身でシナリオを書かれたりしていましたね。

土屋そうですね。『BR SUN』のシナリオに関しては私のほうで、ひと通りプロットからメインストーリー部分を書いています。それにプラスして、DMM GAMESさんが抱える強力なライター陣といっしょになってシナリオをまとめているので、いままで以上にすごくおもしろいものに仕上がっていると思います。

細井岸田さんにはこれまでの『BR』作品同様、キャラクターデザインはもちろんのこと、世界観だったりシナリオだったりすべての面において監修していただいています。ゲームシステムも、岸田さんが持つ世界観を引き出すような形にしています。

岸田『BR』シリーズではそれぞれ監修やキャラクターデザインを担当していますが、どれも関わりかたが微妙に違うんです。『BR SUN』についていえば、いちばん違うのは変身するキャラクターの数が多いことですね。

さらに、スチルイラストもめちゃくちゃ数がありまして、そちらの監修もしています。ほかのデザイナーさんに担当していただいたデザインやキャラクター、3Dモデルやイベントイラストなども、完成まですべて僕が関わらせていただいています。顔も含めてけっこう直している部分もあり、作画監修に関しては力が入っていますね。1作目の『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』、『BR TIE』、『BLUE REFLECTION RAY/澪』(以下、『BR RAY』)と比べても、いまのところ労力をいちばん割いている作品だと思います。

とくにキャラクターデザインは練りに練りました。『BR SUN』の制作、1作目の発売直後ぐらいから始まっているんです。だから春日詩帆や久野きららを先行して『BR TIE』に出せましたし、瀟美岐(シャオ・メイチー)もビジュアルだけは“BRプロジェクト”のコンセプトアートで先に出ています。

『BLUE REFLECTION SUN/燦(ブルーリフレクション サン)』開発者インタビュー。男性主人公を登場させた理由、8人の女の子たちと終末世界で生きていく物語の魅力などを聞く!

――キャラクターができあがったのは、だいぶ前のことだったんですね。

岸田本作はキャラクター先行で作業を始めていたので、「こういうキャラクターがいいよね」と話しながら造形を決めていきました。それ以外にも、ストーリーのコアになるような部分、世界観については、初期段階で細井さんたちと打ち合わせをして決めています。「話はこういう感じだよね」と確認しあった後、実際に肉付けしていく部分、他作品との関係をまとめる部分は土屋さんに担当してもらいました。

――『BR SUN』のコンセプトは“滅びつつある世界での少女たちの戦い”ですよね。

岸田この作品がほかの作品とどう違うのかを具体的に言うと……アニメの『BR RAY』は、1作目で描いた女の子どうしの悩みとか関係性、そして僕のイラストが持つ“儚い部分”をかなりフィーチャーした印象です。プロジェクトの中でも、繊細な雰囲気をいちばん引っ張ってくれていると感じています。

『BR TIE』はゲームとしてのおもしろさ、作品の舞台が持つ箱庭感を突き詰めている感じですね。少女たちのがんばりやドラマチックな展開をちょっとアッパー気味に表現して、鮮やかな世界観を構築しているなと。

そして『BR SUN』は、ちょっとダーティーな感じというか、退廃的な空気みたいなものをより広げている感じです。プロジェクトの中で、もっとも未来を描いているのは『BR TIE』ですが、いったいこの世界で何が起きて『BR TIE』へつながっていったのかという部分を深堀りしています。スマホで遊べる作品なので、バトルのデザインについても戦うことを強く意識するような設計にしています。

――確かに、イローデッドの変身姿からは、なんとなく“ダークヒーロー”的な印象を受けますね。

土屋 “この世界で、本当に地に足をつけて生きる”みたいなデザインで。プレイヤーの皆さんには、長い期間この世界に浸っていただくことになるので、そこはもうガチンコで真剣に描いています。

岸田1作目ではコモンと呼ばれる精神世界で戦いましたし、『BR TIE』は雫世界という閉じられた空間がメインの舞台でした。ですが、『BR SUN』はふつうに現実世界で戦います。現実世界で物理的にバトルをしているので、そこはほかの作品といちばん違うところかもしれませんね。

――そういった『BR SUN』のコンセプトが固まる中で、『BR RAY』、『BR TIE』も形が作られて行って、“BRプロジェクト”として進行したということでしょうか。

細井そうですね。同時進行で作ることは最初から決めていました。

岸田最初から決めて分けて進めていたところもありますが、あとは出たとこ勝負で、結果的にこうなったという感じでしょうか(笑)。プロジェクトが立ち上がったころは、『BR RAY』が最終的にああいった雰囲気になるとは、僕らも思っていなかったので。

――立ち上がったのはプロジェクトの中でも初期とはいえ、『BR SUN』は最後にリリースされる作品となります。『BR RAY』、『BR TIE』からのフィードバックなども反映されているのでしょうか。

細井『BR TIE』はある意味ですべての結末であると言えるのですが、この『BR SUN』は起点となる話なんですよ。ここがすべてのきっかけと言いますか。なぜこうなって、過去に何があったのかを知ることもできるようになっています。

――BRプロジェクトの時系列を把握するのは、なかなかに難しいです。確か、まずは『BR RAY』の1周目があって、その後に1作目『幻に舞う少女の剣』があり、日菜子(1作目の主人公)の行動を受けて、『BR RAY』の2周目が始まるんですよね。そして、『BR RAY』の最後で空から降ってきた灰が、世界を滅ぼすのが『BR SUN』で、その後『BR TIE』に続いている……という認識でよいでしょうか?

土屋それで合っています。社内資料でもその流れを3回か4回ぐらい書かされました(笑)。

岸田考察している人はもちろん深く楽しめます。ただ、別に時系列を意識しなくても問題ないようにはできています。

それぞれのタイトルに込められた意味

――BRプロジェクトの作品には、それぞれ印象的なタイトルがついていますが、各タイトルにはどんな意味を込めているのでしょうか。

土屋BR2』でも『BR3』でも『BR4』でもないんだということを示しつつ、それぞれのタイトルの魅力をいちばん伝えられるものにしています。どれが最初でどれが最後でもなくて、それぞれが独立していて、かつそれぞれが対等につながっている内容なんですよ。

まずは“SUN/燦”ですが、“燦”にはきらびやかという意味もあります。英字の方は“SUN”……つまり太陽にもなります。ストーリーはダーティーな内容ながらも、「絶望の中で、一筋の希望、復興の光が見えてくるストーリーなんですよ」という部分をしっかり出したいと考え、このタイトルを選んでいます。

――なるほど。英字と漢字表記が合わさっているのには、そういう意図があったんですね。

土屋はい。ちなみに“帝”には“TIE”という英字を当てています。だから“絆”という意味があるんです。

――てっきり、物語の核となる、主人公の星崎愛央に帝王のようなイメージを重ねて、“帝”と付けたのかと考えていました。

土屋もちろんあの子が世界の運命を握るカギだし、そういう意味合いもあります。 そして“澪/RAY”はもう、完全に一筋の光をイメージして付けています。まず“澪”でこの世界に一筋の光が生まれて、そして“燦”で光が拡散されて、“帝”で新しくなる……。そういう流れを意識して、英語でも漢字でもちゃんと意味を持たせています。そして英字の頭文字も、並べると“R、S、T”とアルファベット順になるんです。

――アルファベット順については気づいていませんでした! 細かいピースが組み合わさると、いろいろと真相が見えてくる土屋さん節を強く感じられるネーミングですね。

土屋いろいろと仕込んでみました(笑)。

男性主人公をあえて用意したのは、プレイヤーに違和感を持ってもらいたいから

――『BR SUN』の対応プラットフォームをスマートフォンアプリ、PC向けゲームにした理由と、DMM GAMESさんとタッグを組んだ経緯や狙いなどを教えてください。

細井スマートフォンやPCのプラットフォームは、非常にレッドオーシャンな市場です。ですが、ユーザー数が非常に多いプラットフォームなので、そこにきちんと『BR』シリーズ作品を出すことによって、さらに多くのユーザーさんに触れていただけるのではと考えました。そんな想いもあり、あえてスマートフォンとPC向けに制作させていただきました。

そして今回、ユーザー層を拡大したいと考えていたときに、DMM GAMESさんのプロデューサーとお話しする機会がありまして。BRプロジェクトの展望についてお伝えしたら、「ぜひ、いっしょに作りましょう!」と賛同してもらったのがきっかけです。

――アニメの『BR RAY』も、家庭用ゲームの『BR TIE』も、最初からエンディングが定められている作品です。ですが『BR SUN』は、オンラインサービスという、ある種終わりがない存在です。サービスが続く限り、『BR SUN』のストーリーも広がり続けるということでしょうか。

細井そうですね。終わりがないというと、ちょっと語弊があるかもしれませんが。

岸田終わりは決めていると言えば決めています。ただ、現段階で詳しいことは話せないのですが、そもそも“BRプロジェクト”自体、ループものとして用意しているんです。『BR TIE』では詩帆たちがいた世界が滅びたというような描写がありますが、この『BR SUN』が本当にあの『BR TIE』につながっているのか……なので、物語のひと区切りとなる箇所はもちろん用意していますが、その先については皆さんに驚きを届けられるように考えています。

土屋プラットフォームの特性を考慮しながら、「こんな展開だとすごく熱いよね」というシナリオを、ずっと練りながら作っています。運営型タイトルの息の長さも込みで、いちばん楽しめる形で作品を届けたいという想いがあります。いろいろな仕掛けがありますので、ぜひお楽しみに。

――これまでのシリーズ作品に触れてきた人はもちろん、新しいユーザーに向けてもアピールしていく作品になると思いますが、新規の方に対し、とくにどこをアピールしたいですか?

細井『BR』シリーズは、邦画的な雰囲気を持っていたり、岸田さんが持っている世界観を表現したりしています。ただ、我々が『BR』で目指す方向は、ちょっとニッチな部分があるのかなと思っています。ですので、「『BR』シリーズに興味はあるけど、触るのはちょっと敷居が高いな……」と感じていた方も正直いらっしゃったと思っています。そういった方たちに「基本プレイ無料だからこそ、岸田さんが作った世界観に触れていただきたい」というのが正直な想いです。

それと、『BR』シリーズが持つ雰囲気というか、作品が持つ独特な世界観は、スマートフォンゲームの中でもけっこうめずらしいのではないかなと。邦画的な雰囲気でしっとりとした世界観…… “日本人が持っている独特の感性”みたいなのをきちんと活かしたのが『BR』シリーズなのかなと。ですから、多くのRPGを遊んでいるユーザーの方にこそぜひ触れていただきたいです。

岸田『BR SUN』のゲームデザインも、いわゆるRPG的な要素が強いんです。これまでの『BR』シリーズは、基本的に十中八九繊細というか柔らかい感じの、ふんわりしたものだけで構築されてきたと思います。ですが本作は、“世界の終末が迫る世界観の中で、敵と戦っていくRPG”という要素を組み合わせたことで、独自路線の作品になったのではないでしょうか。

いままでちょっと距離を置いていた人も、『BR SUN』は「触れてみたら想像と全然違った」と感じていただけると思います。

もちろん女の子のデザインに関してはしっかり儚さとして踏襲していますが、シリーズ初となる男性の主人公もいますし、ゲームで表現していることはけっこうガッツリしているというか。ガチガチのRPGになっているんじゃないかなと思うので、願わくばですけど多くの人に受け入れてもらえたらうれしいですね。

――本作について、いちばん驚いたのが男性主人公の存在です。いままでは作中で男性の存在を感じることがほぼなかったわけですが、なぜ男性主人公を登場させることにしたのでしょうか?

『BLUE REFLECTION SUN/燦(ブルーリフレクション サン)』開発者インタビュー。男性主人公を登場させた理由、8人の女の子たちと終末世界で生きていく物語の魅力などを聞く!

岸田これはぶっちゃけ話になりますが、本当は1作目でも男主人公を作ろうとしたことはあるんですよ(笑)。

――え!? そうなんですか?

岸田けっこう議論しました(笑)。それから「さまざまな事情で制約がかかる状況なので、とことんニッチにしたほうがいい。そのほうが響く人がいるんじゃないか」という話になって作ったのが1作目でした。

それはそれでうまくいった部分もありますが、僕らが1作目でやりたかったことは、“女の子だけの世界”というわけではなかったんです。『BR SUN』では原点に戻って、男性もいっしょにきちんと描こうと。今回はアバターとなる男性主人公に感情移入してもらって、もう彼は自分自身だと思って、女の子たちがたくさんいる世界で女の子たちといっしょに冒険してほしいという想いがあります。

細井我々も男性主人公を入れることで、さまざまな議論が生まれるだろうなと思ってはいます。これまで女の子だけを主役にしてシリーズを続けてきたので。ただ今回は、シリーズの世界観をさらに広げたいという想いがあるんです。

岸田今回の主人公は“ビジター”ですよね。プレイヤーにはこの世界観に外から入って来てほしい。

細井そうですね。なお、女の子どうしはバディを組んでいるので、シリーズのファンの方が期待している、いわゆる“百合”感もあります。

――シリーズファンが喜ぶテイストは残しつつ、違うものも入れたと。

細井もちろん、これまでのファンの皆さんが「なんでこんな綺麗な世界に男がいるんだ」と思われる気持ちはわかります。わかってはいますけど、そこに関してはきちんとストーリー見ていただければ、ご期待に添えてご満足いただける内容になっていると思います。その違和感が『BR SUN』には必要なんだということが。

――主人公がアバターということで、てっきりプレイヤーが顔パーツなどを選んで、その外見を作っていくのかなと思いましたが、主人公のビジュアルは決まっているようですね。

細井主人公のビジュアルや人格はしっかり決まっています。

岸田顔も含めて「これが主人公ですよ」というデザインは決まっています。ただ、何か理由があってこのデザインにしたというよりは単純に僕の中の美学で、「これが見栄えがいいよね」というものを描いただけですが(笑)。

このビジュアルに意味があるわけではないので、物語の中でとくに容姿をフィーチャーされることもありません。ちょっと勝手な話ですが、ユーザーさんが自身を投影してくれたらいいのかなと。

この主人公には人格もありますが、プレイヤーが「これは違うな」と思うような行動をしないように細心の注意は払っています。最初に男主人公を作ろうと考えた段階で、 性別問わず憎まれない人柄で、それでいて、ユーザーが「ここでカッコよく活躍してほしい」と思う場面ではしっかり活躍する。そんなヒーロー的要素があるキャラクター像こそ、この作品の主人公として目指すべきところかなと考えました。

土屋主人公がプレイヤーにとって不快なものにならないようにするため、相当気を遣っています。さっきの話にもつながりますが、スマートフォン向けタイトルであるからこそのストーリーと、スマートフォン向けタイトルであるからこその主人公という、“自分を投影したものが中に存在している構図”を作りたかったんです。

家庭用ゲーム機タイトルの場合は、テレビでプレイすることが多いと思いますが、テレビは映画やドラマを見たりするツールでもあります。『BR』シリーズは基本的に邦画テイストを持つ作品で、プレイヤーは傍観者として画面の向こう側にいる女の子たちの物語を見る形でした。

ですがスマートフォンは、テレビと違って“交流するためのツール”だと思っています。だからこそ、スマートフォンならではのちゃんと自分がそこに入り込める“ゲームの没入感”が必要だろうと。

だから向こうの世界に自分の足を一歩踏み出せるような、そういった体験ができるようなものを作りたいとなり、「やはり主人公は必須だろう」という結論になりました。

ただ、強い自我を持った主人公にして、「絶対に俺はこうする!」みたいな人格にしてしまうと、プレイヤーが離れていってしまう可能性もあります。

そうではなくて、共感できるところではしっかり共感できて、女の子たちがいろいろやっているときは「そうだよね」と聞き手側になり、いっしょに世界が作っていけるようなシナリオを書いています。正直これがもう本当に難しくて、たぶん5回くらいリテイクしています(笑)。

細井いやもう、リテイクじゃないです。リメイクです。本当に作り直していますから(笑)。

土屋最初に何章分かのシナリオを書いたのですが、それを全部壊して書き直しました。どんな人でも楽しめるようにDMM GAMESさんにもご協力いただいて、さらにリライトしてブラッシュアップしています。

細井DMM GAMESさんのチェックは本当に厳しいんですよ(笑)。

土屋今回はライターとしていろいろ経験豊富な方に参加していただいています。チェックを受けたシナリオを見て、「これだったら万人に受け入れられるだろうな」と感じましたね。

細井だから本作では、DMM GAMESさんのクリエイティブな部分も見せられると思います。

――シナリオ作りへのこだわりという部分ですね。

土屋シナリオにかなりの修正が入って、すごくヘコみましたが、冷静に第三者視点で見るとものすごく入りやすい話になっているなと。それでいて、もともとの物語の流れとか、キャラクターのスタンスやクセとかはしっかり活かされています。

岸田僕はまだ序盤しかテストプレイできていませんが、めちゃくちゃ食べやすくなっていると思います(笑)。僕が関わってきたガストさんの作品や『BR』シリーズは、いい意味でも悪い意味でも「わかっている人はわかるよね」、「わかっている人は好きだよね」といったニッチな要素が多かったと思うんですよ。

一方で『BR SUN』は、いい意味ですごく一般向けというか、スムーズに物語が入ってくる感じがします。でもキャラクターのかわいさとか、「こういうものが欲しいよね」とファンが期待する要素がちゃんと入っているのはすごくいいと感じています。

「僕が持つ世界観だったり、邦画的テイストだったりを表現したスマートフォンゲームはあまりないと思う」と先ほどお話ししましたが、中身に関しては相当触りやすくなっているので、気軽に楽しんでもらえると思います。

『BLUE REFLECTION SUN/燦(ブルーリフレクション サン)』開発者インタビュー。男性主人公を登場させた理由、8人の女の子たちと終末世界で生きていく物語の魅力などを聞く!

8人の女の子たちが並ぶと壮観

――先ほど、女の子たちはバディを組むとおっしゃっていました。今回公開された8人の女の子たちが、ペアを組んで戦うことになるのですね。

土屋そうですね。バディによって抱えている問題が違うので、主人公がそこに入っていって、どんな形で解決していくのかが描かれていきます。

運営を続ける中でいろいろなイベントも展開される予定ですが、バディにフィーチャーしたお話もどんどん追加して、作品の魅力度を上げていきたいですね。

――バディどうしの掛け合いだけでなく、女の子たちみんなの掛け合いなどもありますか?

土屋もちろんです。基本的には8人全員でいつもワチャワチャしていているので、3Dモデルの負荷がたまらないです(笑)。

――8人の3Dモデルを同時に動かすのはたいへんそうですね……!

岸田3Dモデルが、本当にいいんですよ。

土屋いろいろと最適化を図りまして、ちゃんと8人を綺麗に表示できるまでのクオリティーにいたりました。ぜひご期待ください。

『BLUE REFLECTION SUN/燦(ブルーリフレクション サン)』開発者インタビュー。男性主人公を登場させた理由、8人の女の子たちと終末世界で生きていく物語の魅力などを聞く!

――それにしても、これだけ女の子が多いと、キャラクターデザインは大変ですよね。

岸田登場する女の子は8人ですが、変身したらまったくビジュアルが違うので、16人をデザインしたのと変わりませんからね。それに加えて、主人公やサブキャラクターのデザインもしましたし、さらに今後サービスがうまくいけば登場予定となるキャラクターのデザインも完了しています。しかしこれだけいると、“あいつ”のことをみんなは忘れているんじゃないかなと心配になりますね(笑)。

土屋そんなことはないです(笑)。

岸田大丈夫ですか?(笑)

――“あいつ”というのがすごく気になる発言ですが、いずれ発表されるのを楽しみにしています。ところで、今回公開されたキービジュアルにも、以前公開された"BRプロジェクト"のキービジュアルにも美岐が描かれていますが、最初は彼女が物語をリードしていくのでしょうか。

岸田彼女は、女の子たちの中でも非常に重要な役割を持つキャラクターです。ある意味、主人公がこの世界に入ってくる前の中心人物になります。最初にキャラクターデザインしたのも美岐でしたが、この形になるまでかなり時間かかりました。詩帆もけっこうパターンを描いたと思います。ほかの女の子はけっこうスムーズにいったかな。きららは最初に出した案で決まりましたね。

――きららは『BR TIE』に登場しましたが、変身姿は見ていないので、すごく驚きました。

岸田意外ですよね。『BR TIE』をプレイした人ならば「こんな感じになるのか」とビックリしていただけると思います。イローデッドに関しては、キャラクターごとにテーマや属性みたいなものがありまして、それに沿ってデザインしています。きららなどがそうですが、背負いモノがでかいキャラクターもいて、イベントシーンでイローデッドが並ぶと確実に奥が見えなくなります(笑)。

土屋ホーム画面などでアレシアがいちばん手前に来ると、おそらく全員が隠れます(笑)。

――(笑)。

土屋だから本当に壮観で、ホーム画面とか超見栄えがよくなります。本当にキャラクターデザインがすごく素敵で、3Dモデルもよくできていると思います。

岸田久しぶりにデザイン画を見たら、「俺よくこんなデザイン作ったな」、「なんだこれ、死ぬほど複雑じゃん」って思っちゃいました(笑)。でも、これからもまだまだたくさん描かなくてはいけないんですよね……。

『BLUE REFLECTION SUN/燦(ブルーリフレクション サン)』開発者インタビュー。男性主人公を登場させた理由、8人の女の子たちと終末世界で生きていく物語の魅力などを聞く!
『BLUE REFLECTION SUN/燦(ブルーリフレクション サン)』開発者インタビュー。男性主人公を登場させた理由、8人の女の子たちと終末世界で生きていく物語の魅力などを聞く!
背負いモノがデカいキャラクターの代表、アレシア。白い羽が大きく広がっている。

――先ほど、運営が続けば新キャラクターの登場も……とおっしゃっていましたが、過去の『BR』シリーズのキャラクターが登場することもあるのでしょうか?

岸田出ないと困りますよね(笑)。彼女たちはイローデッドではないので、基本的にはあのままの外見で登場する予定です。

細井イローデッドとはつまり、“現出している姿”なんです。

土屋“内なる神”のようなものが出てきているんですよね。

岸田とはいえ、過去作のキャラクターたちにも新しいデザインを用意したいですね。それは運営がうまくいけば出てくるのかな……と(笑)。

『BR TIE』にどうつながっていくのかに注目

――以前、『BR TIE』のインタビューで、土屋さんは「ふだんはキャラクターを推すことはしないけど、あえて推すならば詩帆だ」と語られていましたよね。

土屋詩帆は今回のお話のキーにもなるし、『BR TIE』で少しだけ匂わせていた部分も描かれます。『BR SUN』はすべてのBRプロジェクトをつなぐと言いますか、包含している部分がありますが、その中で彼女がすごく重要なポジションにいるのは間違いないです。

『BLUE REFLECTION SUN/燦(ブルーリフレクション サン)』開発者インタビュー。男性主人公を登場させた理由、8人の女の子たちと終末世界で生きていく物語の魅力などを聞く!

――とはいえ、『BR TIE』のストーリーを思い返すと、詩帆たちが『BR SUN』でどれだけがんばっても、世界は大ピンチを迎えるわけですよね……?

土屋そこがスマートフォンタイトルとしての仕掛けの部分でして。

岸田先ほどもちょっと言及しましたが、本当にあの『BR TIE』につながるのか? という。

――『BR TIE』にどうつながるのか、ファンはプレイしてみてのお楽しみというわけですね。

土屋スマートフォンタイトルとして、いかにおもしろいストーリーが作れるかというポイントですね。もちろん『BR TIE』とつながっていることは間違いないですけども。

細井先ほど岸田さんもおっしゃっていたように、『BR』シリーズ自体、ループものですからね。

岸田『BR SUN』の最後のポイントが、本当にあの『BR TIE』の手前になるのか……そのあたりはとくに断言はしていませんし。『BR TIE』のエンディングの後にみんながどうなったかも、誰もわかりませんから。たとえばですが、『BR TIE』後に新たな世界は創造されたのか。新たな世界が創造されていたとしたら、『BR RAY』や『BR TIE』など他作品に登場していたキャラクターたちは『BR SUN』でどのような人生を送っているのか。この『BR SUN』ではなぜ男性主人公という存在が生まれているのか。

土屋単純にヒロインたちに介入していくだけの存在ではなく、ヒロインたちによって成長し変化していく存在、それが本作の主人公であると我々は考えています。それはユーザー自身でもあるし、主人公の行動が世界の結末にも変化を及ぼしていくといった、家庭用ゲームではできないことをやりたい。毎回同じこと言っているかもしれませんが(笑)。

ふたつのプレイサイクルで楽しみが広がる

――『BR SUN』のゲームプレイについて、どのような形で進んでいくのかを教えてください。

土屋基本的にストーリーを進める、女の子たちを育成するというプレイサイクルがメインです。バトルをしてヒロインたちを強くする、アイテムを集めて武器を作るなどしてバトルをクリアーすると、新しいストーリーに進むことができます。

それと、本作では女の子たちとの交流にもかなり力を入れています。女の子たちには変身姿だけでなく私服姿なども用意していますが、それぞれにエピソードを用意しました。また、本作でも女の子たちのココロの中に入っていく展開もあり、そこで彼女たちの心の扉を開けていくと、さらにエピソードが追加されます。いろいろな場所に“おでかけ”したりもできますし、彼女たちとの距離をどんどん近づけていく交流が、もうひとつのプレイサイクルになります。ふたつのサイクルを回していくことで、『BR SUN』のおもしろさを味わえる形です。

――男主人公と女の子がデートするというのは、『BR』としては新しい表現ですね。

土屋そうですね。だからいろいろな体験ができるようになっています。彼女たちと想い合う関係性を体験することも、バディとしての彼女たちを温かい目で見守ることもできます。また、いわゆる仲間全員で目標を持ってバトルに挑み、困難に打ち勝っていくという達成感も味わえますね。

我々はよく『BR』シリーズを“群像劇”と言っていますが、そういった群像劇を打ち出しつつ、主人公がこの輪に入ることで、さらにバリエーションを増やしているわけです。とはいえ、本作は恋愛ゲームではないので、彼女とラブラブになっていくことが目的でもないし、ゴールでもないんです。

――それぞれのエピソードではスチルも楽しめると思いますが、相当な枚数ですよね。監修が大変そうです……。

岸田もはや思い出話みたいなっちゃいますが、やはり初期は本当に大変でしたね(笑)。いっしょにスチルを描いてくださる方々と僕のあいだで、あまりコンセンサスが取れていなかったんです。ですが最近は、もうほとんど直さなくてもいいぐらい高いクオリティーのイラストが上がってくるようになりました。だからもう、「やったー。最高!」って(笑)。

一同 (笑)。

岸田僕は『BR』シリーズでも作品ごとにけっこう絵柄を変えているのですが、「『BR SUN』におけるキャラクターデザインはこういう感じで、こんな処理をしています」というのをほぼ正確に汲み取ってもらっています。イラストによってはほぼ僕が描いたものもあります。

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――バトルシステムは、どのような感じになるのでしょうか?

細井『BR』シリーズは作品によってバトルシステムも違いますが、本作に関しては、1作目のバトルの持ち味を重要視して、再構築しました。

――イローデッドへの変身は、バトルにどのように関わりますか?

土屋イローデッドへの変身は、『BR TIE』のようにバトルに組み込まれているわけではなくて、コスチュームのひとつとして扱われます。コスチュームごとに付いているスキルが違うので、「この敵には、このコスチュームのキャラクターでいこう」と戦略を立てて戦わせると、いままで全然倒せなかった相手でも一撃で倒せて爽快だったりしますよ。

――ちなみに、オンラインでほかのプレイヤーと関わる要素は用意されていますか?

土屋そこは随時アップデートで増えていく予定です。

――ほかのプレイヤーの存在が、シナリオに関わってくることも……? 土屋さんがシナリオ担当ということで、そういった仕掛けがあるのかなと考えてしまいます。

土屋どうでしょうね。そこについては不問にさせてください(笑)。いずれ何か出てくるかもしれません。

ガストブランド最長の開発期間をかけて送り出す『BR SUN』

――本作は来年リリース予定とのことですが、具体的にはいつごろに……?

細井今冬……という感じでしょうか。

――とすると現在は、リリースに向けて大詰めの段階に入っているのですね。クローズドβテストも予定されているそうですし、リリースキャンペーンなどの実施も楽しみです。

細井この『BR SUN』で、“BRプロジェクト”として発表していたタイトルは最後になります。それにふさわしいクオリティーになっていますし、男性主人公が入ることで、新しい『BR』シリーズを皆さんに体験していただけると考えています。

「なんで男性主人公がいるんだ!」というご意見もいただくとは思いますが、プレイしていただければ確実に理解していただけると思います。ぜひクローズドβテストに参加していただいて、実感してみてください。

土屋『BR』シリーズはこれまで、家庭用ゲーム機やアニメで展開してきましたが、本作ではスマートフォンとPCで新たな体験ができるものを用意しました。調整に調整を重ね、何度も壊しては作って、また壊して作って……と、本当にいいものに仕上げようと全力投球中です。

細井『BR SUN』の開発期間は、相当長いんですよ。何せ『ライザのアトリエ』1作目よりも先にプロジェクトがスタートしていますから。

土屋もう4年以上開発していますね。すでにひと通り遊べる形になっているのですが、さらにもう一歩上を目指して、限界までクオリティーアップを図っています。とにかく世界観は奥深く作っていますし、皆さんに長く遊んで愛していただける作品になっている自信があります。まずはぜひクローズドβテストで体感していただければ幸いです。

――ガストブランドの通常の開発期間が短すぎる気もしますが、それにしても4年以上は時間をかけていますね……! それだけの気合を感じます。では、最後に岸田さんから、『BR』ファンへのメッセージをお願いします。

岸田岸田メルと言えば、やはりキャラクターデザインに注目されている方が多いと思います。僕としては、どの子も本当にめちゃくちゃかわいいと思っているので、自信を持って「皆さんに愛していただけるキャラクターです」とお伝えしたいです。

『BR』シリーズでは、いつも“全員が同じ濃度のヒロイン”だと思ってデザインしています。誰かが上で誰かが下ということはありませんので、ひとりどころか、何人も好きになってもらえると思っています。触れていただければ、お気に入りのキャラクターが見つかるはずです。

もちろん物語も世界観含めて非常に力が入っています。今までのファンはもちろん、『BR』シリーズを知らない方もまっさらな気持ちでプレイを楽しんでもらえるのではないでしょうか。

あとは、『BR』シリーズも4作目になると、ガチの『BR』ファンの方が生まれているんですが……そういう方たちから、なぜか僕宛てに「『BR SUN』はどうなっているんだ?」と、かなり問い合わせが来ていまして(笑)。そういう方たちには「お待たせしました」という気持ちでいっぱいです。そんな熱い『BR』ファンの方々に、ぜひがんばって布教してほしいです。そして新規の方々も、ぜひよろしくお願いします!

『BLUE REFLECTION SUN/燦(ブルーリフレクション サン)』開発者インタビュー。男性主人公を登場させた理由、8人の女の子たちと終末世界で生きていく物語の魅力などを聞く!