2022年10月6日にサービス開始1周年を迎えた、スマートフォン向けアプリ『アイドルマスター SideM GROWING STARS』(以下、『サイスタ』)。1周年を記念して、伊集院北斗を演じる神原大地さんにインタビューを実施。10年以上彼といっしょに歩んでいる神原さんに、演じるうえで大事にしていることや、これまでの活動で印象的だったことなどを聞いた。

※本インタビューは、9月中旬に実施しました。
※本インタビューは、2022年10月6日発売の週刊ファミ通(2022年10月20日号 No.1766)に掲載した記事に加筆、修正を行ったものです。

神原 大地(かんばら だいち)

8月30日生まれ、大阪府出身。代表作は、『ときめきメモリアル Girl's Side 2nd Kiss』(クリストファー・ウェザーフィールド役)、『真・三國無双8』(郭嘉役)、『魔法使いの約束』(カイン役)、『number24 』( 東坂虎之進役)など。(文中は神原)

『サイスタ』神原大地さん(伊集院北斗役)インタビュー。「北斗は僕にとって、親友のような存在です」
『サイスタ』神原大地さん(伊集院北斗役)インタビュー。「北斗は僕にとって、親友のような存在です」

とある人物からの言葉がオーディションでの力に

――伊集院北斗が初登場した『アイドルマスター2』から考えると、約10年来の付き合いになると思いますが、彼と初めて会ったときのことは覚えていますか?

神原北斗はオーディションを経て演じさせていただくことになったのですが、お話をいただいたときは、Jupiterの3人のうち誰を受けるのか決まっていませんでした。ですので、誰を受けるのか連絡が来るまで、いただいた3人の資料を読みながら練習をしておこうと思い、当時の僕が演じた役柄やオーディションで受けることが多かったキャラクター性の冬馬と翔太をメインに練習していました。ところが、事務所から「北斗役を受けてください」と言われて。彼はキザなところがあるのですが、そこが僕のイメージと違うなと思っていたので、少しビックリしつつも、気持ちを切り換えて、北斗役のオーディションを受けました。

――当時の神原さんの中では、いちばん自分が演じなさそうなキャラクターだと思っていたんですね。そんな中で行われたオーディションはいかがでしたか?

神原オーディション当日、会場に向かう道中で、養成所からの同期だった、天海春香役の中村繪里子ちゃんと偶然すれ違いまして。そこで彼女にオーディションの話をしたら、「受かってね!」と応援してくれたんです。それが励みになったのか、トラブルなどもなく、オーディションを終えることができました。

――中村繪里子さんの言葉が力になったのですね。そうして射止めた北斗役を演じる際に意識されているところはありますか?

神原『アイドルマスター2』における北斗たちは、ヒール的な立ち位置といいますか、ライバルのような存在だったので、演じるときやメディアに出る際には、北斗にいい印象を持たれないようにしていました。彼自身はすごく素敵な子なのですが、彼がいい子だとプロデューサーさんたちが感じてしまうと、ライバルとしての立ち位置が崩れてしまうので、そこは意識していました。

――ゲーム内ではヒール役な一方、時折笑顔を見せるシーンもありましたね。

神原Jupiterでの会話シーンなどでありましたね。そういったときには、スタッフさんと相談しながら、北斗の笑いかたとしてあえて歳相応に笑うお芝居をしていました。彼もひとりの男の子なので、そういったところを入れることで、彼の憎みきれないところを少しだけお芝居で表現していました。

『サイスタ』神原大地さん(伊集院北斗役)インタビュー。「北斗は僕にとって、親友のような存在です」

――『アイドルマスター2』での活躍がありつつ、その後、彼らは315プロダクションに活躍の場を移すことになりますが、演じる際に意識したことはありましたか?

神原SideM』で315プロダクションに移籍してからは、765プロダクションとのライバル関係はなくなり、彼ら自身の成長が描かれるようになりました。ですので、彼自身が成長している様子が感じられるようなお芝居をより意識するようになりましたね。

――そんな北斗は、神原さんにとってどのような存在ですか?

神原親友のような存在です。僕は、北斗といちばん近い距離にいますが、彼のすべてを知っているわけではありません。お芝居を通じて、いまだに彼の新たな魅力に気づくこともあります。深い関係性だけど、新たな魅力を知ることもある。そういった意味でも、北斗は僕の親友だと思っています。

――では、北斗と似ているなと感じるところはありますか?

神原北斗役に決まってから初めての収録の現場で、スタッフさんに「なんで、僕を北斗役に選んでくれたんですか?」と聞いたことがあったんです。そうしたら、「神原くんは、ちょっとナルシストなところがあるよね。そこが北斗と似ていると思ったのはひとつあるよ」と言われて(笑)。ですので、そういったところは北斗と似ているかもしれません。

 一方で、演じる中で、北斗が僕と似てきている部分もあるなと感じていて。たとえば、昔の北斗はおもに女性への心遣いを大切にしていましたが、いまでは男女関係なく、動物たちへもそのように接していたり。北斗と長い期間いっしょに過ごすことで、お互い似てきているのかもしれませんね。

 あと、北斗の姿勢から学んでいる点もあります。彼は、他者を褒めて素敵な気持ちにさせたりするというよさがありますが、僕もそんなことができるよう、いつも心掛けるようにしています。

――同じユニットに所属する天ヶ瀬冬馬と御手洗翔太のふたりも、北斗を語る上で欠かせない存在だと思います。彼らについてはどのような印象を持たれていますか?

神原冬馬は、とにかく真っ直ぐな男という印象です。彼は、自分が信じた道を迷わず進んでいるのかなと。961プロダクションのころは、黒井社長が示す道を突き進んでいましたが、それは彼が何か歪んでいたからではなく、当時から自分が信じた道を貫こうとしていたんだと思います。そんな彼の真っ直ぐ進むことができる姿勢というのは、リーダーとして頼もしく感じています。

 翔太は、飄々としたところがありますが、じつはいろんなことを考えていたり、まわり見て動いている子ですよね。自然体に生きているのかと思いきや、人の懐に入るのがうまかったり、寝坊したりするけれど、じつは人一倍努力家な面もあります。冬馬や北斗にはない魅力を持っている彼は、やはりJupiterに欠かせないアイドルです。

――ふたりを演じる寺島拓篤さんや松岡禎丞さんの印象も伺えればと思います。

神原寺島くんはリーダーシップがあり、Jupiterはもちろん、315プロダクション全体を引っ張ってくれています。そういったところは、冬馬と似ていますね。また、僕と寺島くんの関係性は、作中の北斗と冬馬の関係性に近いものを感じています。僕たちは、出演するライブの前に演出などについて「ここは、もっとこうしたほうがいいんじゃないか」と意見を交換することがあって。そうした僕らの意見を寺島くんがスタッフさんたちに伝えてくれます。よりよいライブにするために意見を交わして行動していく姿は、北斗と冬馬みたいな関係性だなと感じていますし、僕も寺島くんをいい相棒のような存在だと思っています。

 一方で、僕と寺島くんはガンガンと突っ走ってしまうところがあります。それをうまく制御してくれるのが、松岡くんですね。彼は、自分たちができることを見極めながら、冷静な意見をくれます。そして、周囲への気遣いも忘れない。僕らに足りないところを補ってくれるのが松岡くんなので、頼りになる存在です。

――作中の3人と同じく、皆さんも絶妙なバランス感なのですね。そんな皆さんが演じるJupiterは、昨年から『サイスタ』という新たなステージに活躍の場が広がりました。

神原アイドルたちがさらに活躍できる場を作っていただけたのは、すごくうれしかったです。また、『サイスタ』ではアイドルたちの過去の物語も描かれたり、ひとりひとりを深堀りしてくれているのもうれしかったですね。

『サイスタ』神原大地さん(伊集院北斗役)インタビュー。「北斗は僕にとって、親友のような存在です」

――ここで、『SideM』の全体のお話についてお聞かせいただければと思います。『SideM』には数多くの楽曲が存在しますが、神原さんが個人的に好きな楽曲を教えてください。

神原パッと頭に浮かんできたのは、神速一魂の『オモイノウタ』と、FRAMEの『スリーブレス』です。神速一魂はオラオラ系、FRAMEは元気系の楽曲が多いユニットだと思いますが、この2曲に関しては、ユニットの方向性とは少し違う、しっとりとした楽曲になっていますよね。異なるアイドルの魅力を感じられる楽曲となっているので、とても印象的で素敵だなと思いました。

 『アイドルマスター』シリーズの強みは、長く続いているからこそ、アイドルが成長する過程を見られるところだと思います。僕も、北斗を演じるときに彼の成長をお芝居でも表現するようにしています。いま挙げた2曲も、アイドルが成長したからこそ表現できる楽曲だと思うので大好きです。そういった意味では、Jupiterの新しいCDに収録されている新曲も『Alice or Guilty』の作曲者の方が担当してくださっているので、成長したJupiterが原点に戻って歌う楽曲というのも、またおもしろいかなと思います。

――10月5日にリリースされたCD『GROWING SIGN@L 12 Jupiter』ですね。こちらに収録されている『Inner Dignity』と『Before long, DELIGHT』についても伺えればと思います。

神原『Inner Dignity』は、いまお話した、『Alice or Guilty』と同じ濱本理央さん作曲の楽曲で、エッジの効いた曲調が特徴です。成長した北斗だからこそ表現できる歌に挑戦しているので、そこに注目していただけたらうれしいですね。

 『Before long, DELIGHT』は、Jupiterの中でも、翔太っぽい楽曲になっています。じつはこの曲、僕の願いをスタッフさんが叶えてくださったものなんです。というのも、Jupiterの楽曲は、冬馬が引っ張っていくイメージのものが多かったのですが、ひとつ前のJupiterのCD『NEW STAGE EPISODE:03 Jupiter』では、北斗っぽい楽曲の『Radiant Letter』を作ってくださっていて。そういうこともあって、スタッフさんに「今度は翔太っぽい曲がほしいです」とずっとリクエストしていたんです。

 そして、今回『Before long, DELIGHT』の収録の際に、「この曲、翔太っぽいですよね」とスタッフさんに話したら、「神原さんが(翔太っぽい楽曲がほしいと)言ってくださったので作りました」と、どうやら僕の意見を参考にしてくださったらしいんです。それがうれしくて、現場にいた松岡くんに、思わず「感謝してくれよ」と言いました(笑)。

 僕は、Jupiterの3人それぞれがセンターになる楽曲がほしいと思っていましたし、翔太っぽい楽曲を3人で歌ってみたいと考えていたので、それを叶えてくださったスタッフさんにはとても感謝しています。

――神原さんにとって待望の楽曲となっているのですね。好きなアイドルについても聞かせてください。

神原僕は、北斗を筆頭に金髪のキャラクターを演じることが多いことが影響してか、金髪の子を好きになる傾向がありまして。315プロダクションでは、華村翔真に惹かれました。ソーシャルゲーム版『SideM』でも、最初のSRが翔真だったんです。運命的ですよね。また、翔真をきっかけに、ユニットの彩も好きになりました。

『サイスタ』神原大地さん(伊集院北斗役)インタビュー。「北斗は僕にとって、親友のような存在です」

難易度の高い『VOY@GER』のパフォーマンスが、各ブランドを繋ぐ

――彩の(猫柳)キリオと(清澄)九郎とのパフォーマンスも素敵ですよね。印象に残っているライブやイベントはありますか?

神原4thライブは印象的でした(※1)。このときのステージでは、自分たちがチャレンジしたかったことが全部成功して、かつミスがひとつもなかったんです。それまでのステージでは、何かしらミスをしてしまって、悔いが残るものばかりだったのですが、4thライブではそれがなくて、100点満点の内容だったと思います。

※1…“THE IDOLM@STER SideM 4th STAGE ~TRE@SURE GATE~”。2019年5月11日、12日に、さいたまスーパーアリーナで開催。神原さんは、両日に出演。

――なるほど。個人的には、3rdライブ千葉・幕張イベントホール公演初日の『Alice or Guilty』から『BRAND NEW FIELD』のセットリストも思い出深いです。以前、冬馬役の寺島拓篤さんに伺ったときは、神原さんと寺島さんの提案を受けてのセットリストだとお聞きしました。

※2…“THE IDOLM@STER SideM 3rdLIVE TOUR ~GLORIOUS ST@GE!~”。幕張、仙台、福岡、静岡の4都市を巡る『SideM』初の周年ライブツアー公演として、2018年2月〜4月に開催。Jupiter(寺島さん、神原さん、松岡さん)は2月3日の千葉・幕張イベントホール公演に出演。

神原315プロダクションに所属してから、Jupiterもさまざまなステージで活躍してきましたが、315プロダクションに所属する前のユニットの活動がない期間、961プロダクションからのプロデューサーさんたちからずっとファンレターをいただいていて。その人たちに何か恩返ししたいとずっと考えていました。

 そうしたときに、『Alice or Guilty』と『BRAND NEW FIELD』を披露する機会を得たので、この2曲が連続するのは体力的にも、スタッフさんの動き的にもかなり難度が高くなることは予想できましたが、ずっと応援してくださっている方々に楽しんでいただけたらということで、このセットリストを提案しました。『Alice or Guilty』では、『アイドルマスター2』時代のダンスを忠実に再現するべく、寺島くんと松岡くんにもお願いして、当初よりもハードなレッスンにもチャレンジしたり。たいへんなことが多かったですが、会場の皆さんに心から楽しんでいただけたようで、挑戦してよかったなと思います。

――いまでもあの興奮は忘れないです。少しお話いただいた部分もあるかと思いますが、ステージに立つときに心掛けていることもお聞きできればと思います。

神原ステージに立つまでは、完璧な姿をお見せしようと思っているのですが、ステージに立った後は、その場の空気感やプロデューサーさんたちの熱気に身を任せることを大事にしています。そうすることで、もしかしたら失敗してしまうかもしれないけど、会場の空気感から生まれるパフォーマンスこそがライブの醍醐味だと思うので、毎回意識しています。ただ、会場の雰囲気に身を任せつつ、意識せずともミスのないステージをお届けできるよう、レッスンで歌や振り付けを体に染み込ませるようにしています。

――会場の皆さんと楽しむことを大事にされているのですね。ライブとしては、今年の5月に開催された“バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル2nd”で、“FIVE STARS!!!!!”としてステージに立たれましたね。

神原当日会場で歌わせていただいた楽曲に関しては、僕自身が歌唱として参加したものがほとんどなかったので、レッスンがたいへんでした。『なんどでも笑おう』は、『SideM』のライブでも一度披露させていただいたのですが、『POPLINKS TUNE!!!!!』と『VOY@GER』に関しては、ゼロから覚える必要があり、苦労しました。

 しかも、この2曲は基本的に振り付けがある程度女性向けに考えられていて、女性特有のステップの踏みかたなどもあり、それらを覚えるのに苦戦しました。『VOY@GER』はダンス自体の難度もかなり高いこともあり、公開されているMVを見たときに、思わずパソコンを閉じてしまったほどです(笑)。ほかのキャストの方々も、ダンスレッスンのときに、みんな「『VOY@GER』はヤバい」と口を揃えていました。当日も舞台裏で集まって練習していましたね。一方で、ほかのブランドの皆さんとこれまで共演する機会がなかなかありませんでしたが、『VOY@GER』を通じて、ちょっとした絆が生まれた気がしました。

――『VOY@GER』が各ブランドを繋げたのですね。12月3日の7thライブ“SUNLIGHT SIGN@L”公演1日目にもご出演されますが、現時点でどのようなライブにしたいと考えていますか?

神原現時点では歌う楽曲などは決まっていませんが、まだ皆さんに披露できていないものもありますので、そういった楽曲が披露できたらうれしいですね。既存の楽曲を歌うにしても、また違った見せかたができたらいいなと思います。

――今後の活動で、やってみたいことはありますか?

神原『アイドルマスター2』で、Jupiterが神戸のステージに立つ場面があったので、神戸でパフォーマンスできたら、プロデューサーさんたちに喜んでもらえるのかなと思います。また、961プロダクションに所属していたことのある子たちはみんなが思っていると思いますが、961プロダクションのアイドルだけで何かイベントなどができるとうれしいですね。

――どちらも実現したら、すごくおもしろそうです。ちなみに、今回のインタビューが掲載されている週刊ファミ通は、伊集院北斗、桜庭薫、眉見鋭心が表紙を飾っていますが、彼らの仕事ぶりはいかがですか?

ファミ通_イラスト着彩
週刊ファミ通2022年10月20日号 No.1766掲載時とは、一部デザインが異なります。

神原北斗がこんなに歯を見せて笑っている表情って、珍しいかなと思います。昔は、格好つけていたり、斜に構えているような表情が多かった気がします。この自然な笑顔は、315プロダクションでの活動を通じて成長したからこそのものかなと。薫や鋭心も柔らかくてやさしい表情をしていますね。彼らを熱心に応援してくださっている方ほど、3人の姿からグッとくるかと思います。

――そんな北斗たちアイドルの『サイスタ』でのさらなる活躍が楽しみです。

神原北斗もJupiterも315プロダクションも、まだまだ進化の途中だと思っています。これからさらに彼らが成長して、そこで生まれた新たな魅力をプロデューサーさんたちに見せられるように、僕たちも精一杯がんばります。そして、プロデューサーさんたちのさらなる応援によって、彼らの活躍の幅もさらに広がっていくと思うので、見たことのない景色にたどり着くために、僕たちといっしょに、アイドルたちの活動を盛り上げていきましょう!

『サイスタ』神原大地さん(伊集院北斗役)インタビュー。「北斗は僕にとって、親友のような存在です」
『サイスタ』神原大地さん(伊集院北斗役)インタビュー。「北斗は僕にとって、親友のような存在です」

週刊ファミ通2022年10月20日号 No.1766では、『サイスタ』1周年記念特集を掲載

 週刊ファミ通 2022年10月20日号 (No.1766)では、『アイドルマスター SideM GROWING STARS』(『サイスタ』)1周年記念特集を掲載。1年目の振り返りやプロデューサーアンケートなども掲載しているので、こちらも要チェック!

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