アニプレックスより12月8日に発売予定のプレイステーション4、Nintendo Switch向けソフト『魔法使いの夜』(通称『まほよ』)。2012年にPC向けビジュアルノベルとしてTYPE-MOONより発売され、10年経ったいまでもファンに愛され続ける本作が家庭用ゲーム機に移植されていよいよ発売されます。

 長い時を経て、令和の時代によみがえった『魔法使いの夜』の体験版をひと足先に遊ぶことができたので、その内容と魅力をご紹介します!

【魔法使いの夜】PS4/Switch体験版 3分レビュー【まほよ】

『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー
『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー
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『魔法使いの夜』とは?

 『魔法使いの夜』はTYPE-MOONが開発し、2012年4月12日に発売されたPC向けビジュアルノベル。本作のシナリオを手掛ける奈須きのこ氏(『Fate/stay night』や『月姫』、『空の境界』といった名作の生みの親)が1996年に執筆した未発表の小説を原作とした作品です。

 キャラクターデザインや原画、グラフィックを長年TYPE-MOONのクリエイティブに携わるこやまひろかず氏が担当し、そのグラフィックや演出は当時(2012年)のビジュアルノベルの最高峰といっても過言ではありませんでした。世界観は他のTYPE-MOON作品と似たものを持ち、中には『月姫』や『空の境界』などで見かけたことがあるキャラクターも。

『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー
蒼崎青子
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久遠寺有珠
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静希草十郎

TYPE-MOON作品を知らなくても楽しめる魔術師たちの世界

 ここまでの説明だと「他のTYPE-MOON作品を知らなければ十分に楽しめないかも」なんて思ってしまう人がいるかもしれません。他作品を触っていたほうがより楽しめる点に関しては否定しませんが、知識ゼロで『魔法使いの夜』に触れても全然オーケー! むしろ未知の魔術世界と奇妙な事件、目を惹かれる美少女たちの姿に気づけば夢中になっているはず。

 舞台は1980年代後半の地方都市“三咲町”。この町に山奥の田舎から引っ越してきた少年・静希草十郎と魔術師・蒼崎青子の出会ったことをきっかけとして物語が動き出す、日常と非日常を絡めた伝奇作品です。ちなみに、三咲町はPC版『月姫』の舞台でもありました。

『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー
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 1980年代特有のレトロな雰囲気をベースに、クスッとくるような場面やゾッとする美しい戦闘風景など、TYPE-MOON作品特有の雰囲気や魅力がグッと詰め込まれています。

あらすじ

―――坂の上のお屋敷には、二人の魔女が住んでいる―――

 1980年代後半。華やかさと活力に満ちた時代の黄昏時。都会におりてきた少年は、現代に生きる二人の魔女とすれ違う。

 少年はごく自然に暮らしてきて、彼女は凛々しく胸を張って、少女は眠るように隠れ住んで。

 三者三様の星の巡り。交わることなんてもってのほか。何もかも違う三人の共同生活が始まるのは、あと、もうちょっと先の話―――

フルボイス&フルHD化されてよみがえった名作

 PCからプレイステーション4、Nintendo Switchへの移植に合わせてグラフィックの進化やボイスの追加も発表されています。まずフルHD化について。移植前となるPC版をプレイ済みの方なら伝わると思いますが、あの“動く”シーンの数々がより鮮明に、より美麗となって楽しむことができます。

画面解像度

  • PS4:1920×1080 フルHD対応
  • Switch:
     TVモード 1920×1080
     テーブルモード・携帯 1280×720
     HD対応

 また、コンフィグやセーブデータ数といったシステム面も充実していました。文章の速度やオートモードの細かい設定、各種音源の調整はもちろん、セーブできるデータ量も120個とバッチリです。いつでもお気に入りの場面を登録しておき、自由に再生して楽しめますね。

『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー
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 続いてフルボイス化についてです。こちらも移植版ならではのうれしいポイント。今回から劇中のキャラクターすべてにボイスが付き、より『魔法使いの夜』の世界へ没入できるようになっています。実際に体験した私の感覚としては、リッチな紙芝居から映画のあいだくらいの感触。やはりキャラクターの声があるのとないのでは、想像以上に違いました。

 各キャラクターを担当される声優陣は以下の通りです。

出演声優(※敬称略)

  • 蒼崎青子:戸松 遥
  • 静希草十郎:小林 裕介
  • 久遠寺有珠:花澤 香菜
  • 久万梨金鹿:安済 知佳
  • 木乃美芳助:梶川翔平
  • 槻司鳶丸:深町 寿成
  • 蒼崎橙子:青木 瑠璃子
  • ルゥ=ベオウルフ:種崎 敦美(※)
  • 周瀬唯架:松井 暁波
  • 周瀬律架:伊藤 静
  • 文柄詠梨:手塚 ヒロミチ

※崎の正式な表記は立つさき。

 また現時点(11月3日)では未発表ですが、物語の序盤より登場する山城先生こと、山城和樹の声を務めるのが日野聡さんであることが体験版で確認できました。

現代に生きる魔女の表と裏。日常と非日常の境界が描かれたストーリー

 世界観については軽く前述しましたがいま一度おさらいです。『魔法使いの夜』は、1980年代後半の地方都市である三咲町が舞台。この街へ引っ越してきた少年・静希草十郎が、ひょんなきっかけで蒼崎青子が扱う魔術を見てしまったことで、ごく普通の日常である表側から、魔術師たちの日常である暗い闇の世界へと足を踏み入れてしまう……という感じです。

『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー
『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー

 体験版のボリュームはボイスをすべて最後まで聴くと1時間ほどで、本作の表側の生活……現代に潜み生活するふたりの魔女と一般人である草十郎の交流がメインで描かれていました。一方で青子と有珠の“本来の日常”である不可思議な魔術の世界もほんのひと握りだけ垣間見ることができます。

 また、原作の体験版と同じく、製品版とは異なる特殊な構成となっていることもお伝えしておきます。

『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー

普通のノベルゲーでは味わえないリッチな演出

 いちTYPE-MOONファン、『まほよ』ファンとして個人的に触れておきたいのは、この作品に詰め込まれたリッチな演出の数々です。場面の転換や章の断片で挟まれる細かい演出はどれも繊細かつ、丁寧に作り込まれています。

『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー

 例えばアナログ時計の針が進むシーン。ここは分針の細かい動きを表現しているだけでなく、自然と物語の時間軸をナチュラルに表現してプレイヤーに伝えているのではないか、と感じました。他にも部屋中を自由に飛び回る青いコマドリなど、一般的に知られているアドベンチャーゲームとは異なり、アニメや映画といった映像作品に近いものを感じます。

『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー

 また個人的に体験版で推したいのは、青子と有珠の掛け合いがあるシーン。ある事情で同じ館に3年ほど住んでいるこのふたりの関係性や距離感、独特の雰囲気を持つ会話はボイスがつくことで、よさと深みが増していました。ふたりの会話はどれも刺さるものが多く、私自身、移植版を買う大きな理由のひとつでもあります。

『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー
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魔女たちの夜

 もうひとつ絶対に押さえておきたいのが、体験版の後半で描かれる有珠の戦闘シーン。コメディチックな日常から一気に反転し、暗い暗い魔女たちの本来の姿と魔術のすさまじさが短い時間ながらも詰め込まれています。

 先ほどまでは一般人と変わらない(すこし変わっているかもしれませんが)、ごく普通の女の子に見えていた久遠寺有珠が繰り広げる魔術師による真夜中の戦闘は、ホラーチックながら妖しく、そして美しく描かれています。満月を背に有珠が口ずさむ歌……それとともに眼前で繰り広げられる圧倒的な戦闘は、第三者の視点では一方的で酷いものにも見えますが、なぜか引き込まれる不思議な魅力があります。

『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー
『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー
『魔法使いの夜』PS4/Switch体験版レビュー

 本作のタイトル通り、“魔法使いの夜”がどのようなものであるか。すべては体験できませんが、この戦闘シーンにはその一端が練り込まれていました。

 体験版は本編でのキーとなるような場面から、とある日常シーン、魔女としての生活をそれぞれ切り取って組み合わせた総集編のイメージです。どの部分も続きが気になるようにうまく切り取られている作りとなっていました。時間も前述しましたが約40〜60分程度で気軽に遊べます。もし気になっているようでしたらぜひ一度、プレイしてみてください。

商品情報

  • タイトル:魔法使いの夜
  • ジャンル:ビジュアルノベル
  • 対応ハード:PS4・Switch
  • 対応言語 : 日本語/英語/中国語簡体字/中国語繁体字
  • プレイ人数:1人
  • 発売日:2022年12月8日
  • 希望小売価格
    • パッケージ版
      (1)初回限定版:7700円[税込]、特典:こやまひろかず氏描き下ろし特装化粧箱/設定資料集“魔法使いの基礎音律”
      (2)通常版:6600円[税込]
    • DL版
      (1)デジタルデラックス版(PS4のみ):7150円[税込]、特典:設定資料集“魔法使いの基礎音律”デジタル版
      (2)デジタル版:6600円[税込]
  • 公式Twitter:@ mahoyo_game
  • CERO:C(15才以上対象)
  • 発売:TYPE-MOON
  • 販売:アニプレックス
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