コーナーの壁に激突しながらアクセルベタ踏みで勢い任せに大外からぶち抜く。そんなゲームばりの“壁激突走法”を敢行し、見事成功させたレーサーが出現した。

 NASCARカップ・シリーズでそんな無謀な作戦に出たのは、ロス・チャステイン選手。バージニア州マーティンズビル・スピードウェイで行われたレースの最終ラップ、第3コーナーあたりから壁にゴリゴリ当たりながら猛スピードで突っ込み、そのまま最終ストレートで一気にゴボウ抜き。なんと5位に飛び込んだのだ。

 これによってチャスティン選手は、アリゾナ州フェニックスで行われる最終戦でのタイトル争いに望みをつなぐ結果となった。

 そしてこの裏技走法、“故障でそうせざるを得なかった”とか“偶然ゲームっぽくなった”のではなく、実は本当にゲームからヒントを得たものだったという。

 チャスティン選手は試合後インタビューで、かつてゲームキューブでエレクトロニック・アーツのレースゲーム『NASCAR 2005: Chase for the Cup』を兄弟でプレイしていた際にこの手のテクを使っており、タイトル争い脱落の瀬戸際に起死回生の一手として本気で狙ったことを明かしている。