スクウェア・エニックスより、2022年10月27日発売予定のプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、Steam用ソフト『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』。その製品版(PS5版)をひと足先に遊ぶことができたので、その内容と本作の魅力をリポートする。

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『スターオーシャン6』、ダブルヒーローシステムとは

 本作は、長い歴史を持つ人気RPG『スターオーシャン』シリーズの最新作で、開発は長きにわたって『スターオーシャン』を作り続けてきたトライエース。シリーズ25周年記念作品として、立体的な動きを実現するVA(ヴァンガード・アサルト)やシームレスバトル、高低差に富んだフィールドなど、新たな試みが盛りだくさん。BGMは『スターオーシャン』といえばこの方、桜庭統氏が引き続き担当している。

 物語の舞台は、宇宙暦583年。銀河連邦きっての名門“ケニー一族”が乗る戦闘専用艦の襲撃を受けたレイモンドがレティシアの住む未開惑星アスター星系第4惑星に不時着するところから始まる。本作では、『スターオーシャン2』(『スターオーシャン2 セカンドエヴォリューション』)で人気を博した“ダブルヒーローシステム”が復活。レイモンドとレティシアのどちらを主人公にするかが選択可能となっている。

『スターオーシャン6』製品版50時間超の先行レビュー。単調さとは無縁のバトルが楽しい! シリーズの集大成と呼べる進化を遂げた大ボリュームの力作
レイモンド(左)とレティシア(右)。

過去作を知らなくてもオーケー

 『スターオーシャン』シリーズでは、“宇宙暦”という共通の時間軸の中で起こった出来事が描かれ、作品で共通する専門用語もいくつか存在する。一方で、各作品ごとに異なった舞台、年代での出来事となっているので、それぞれを単体のRPGとして遊ぶことができる。

 自分は、『3』から『5』までは発売時にプレイし、『1』と『2』はHD版を遊んだクチ。正直、“未開惑星保護条約”、“フェイズガン”みたいな単語が出たときにも「あ~そんなのあったな」くらいの感覚になる程度だ。どの作品から入っても問題ない程度に繋がりがあるのも『スターオーシャン』シリーズの魅力だろう。

 バーニィやチンケなど、シリーズでおなじみの生き物も本作に登場するのだが、自分はこちらのほうが「おっ『SO』だな」と実感できた。このへんの感覚はかなり個人差が出る部分だろう。

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桜庭統氏による音楽は『SO』の伝統なので、耳から“『SO』み”を感じる人も多そう。

 シリーズ未経験者が本作を遊んだとしても、「何だこの単語!?」と置いていかれるような場面はないように思えた。むしろ、メニュー内の“辞書”での用語解説がとても手厚く、たまに息抜きとして覗いてみると、「ふむふむ……そういえば過去作でそういうのもあったな」となったりする。辞書は用語以外にもたくさんの情報が詰まっていて、読み物としても楽しめた。

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“レイモンドが無類のコーヒー好き”といった記述は、辞書を覗いた人間のみが知る情報だ。

2周遊びたくなる仕掛けが満載!

 以前お伝えした試遊版先行プレイリポートのときは主人公をレイモンドにしていたので、今回の製品版では主人公をレティシアにして遊ぶことに。ちなみに、レイモンドを主人公にしてゲームをスタートした場合は、撃墜されてアスターに不時着。そこでモンスターに襲われ、レティシアと出会い、いっしょに冒険することになる。この流れは試遊で経験済み。レイモンド編の冒頭のシーンは公式の動画でも公開されているので気になっている方はぜひ一度ご視聴を。

『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』レイモンド編 冒頭映像

 レティシアを主人公にした場合では、従者のアベラルドといっしょに旅をしているところで、降ってくるポッドを目撃。それを追うと、レイモンドがモンスターに襲われそうになっている場面に遭遇。そこからはレイモンド選択時と同じように物語が進んでいく。

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 冒頭以外でも、レイモンドとレティシアが別行動することになる場面はかなり多く感じた。その際は、選択した主人公のほう(自分の場合はレティシア)を操作することになり、もう片方の主人公がどういった行動をしていたのかはぼんやりとしかわからない。

 最初は、「ささいな違いしかないのかも?」と思ったが、レティシア視点の自分からすると「レイモンドのほうも気になる!」という場面も多々あったので、クリアー後はレイモンドを主人公にしてもう一度遊ぼうと決意した。

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好感度によるエンディングの変化

 このレビューを書いている時点で自分はまだエンディングまで到達できてはいないが、主人公と仲間との間には好感度(過去のシリーズ作では“感情値”とも表現)が設定されているようで、これがエンディングにも影響することはこれまでの情報でも明らかになっている。

 おそらく好感度に影響するのは『スターオーシャン』シリーズではおなじみのプライベートアクションという会話イベントではないかと思われる。これは、街に入ったときなどにパーティが解散され、選択した主人公のみを操作できるようになったとき仲間に話しかけると発生することがある。

 具体的な好感度の上昇は確認しにくいものの、会話中に選択肢が出ることもあるので、こだわり派のプレイヤーはその都度セーブをしたほうがよさそう。

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 ちなみに、本作はオートセーブ機能が実装されているほか、好きなタイミングでのセーブも可能。データを保存するスロットも、14個とたっぷり用意されているのでご安心を。また、現状の自分では持っている数は少なかったが、好感度に影響を与えるアイテムの存在も確認できているので、狙ったエンディングに到達するのはそれほど難しくないのかもしれない。

バトル、アクションは単調さとは無縁の爽快感

 本作は、DUMAという機械生命体の力によって、これまでにない縦横無尽のアクションが可能。代表的なのが、VA(ヴァンガード・アサルト)による突進。R1ボタン長押しでシールドを展開すると画面中央にカーソルが表示。ボタンを離すとVAが発動して、カーソルの方向に高速で突進する。

 ×ボタンでジャンプもできるのだが、上方向にVAを実行すれば、遥か上空まで跳ぶことが可能だ。バトルやアクションについては、語りだすと長くなりそうなので、ここからは細かくセクションにわけて紹介していこう。

探索しがいのある広大なフィールド

 VAによる突進は、バトルはもちろん、フィールドの探索でも役に立つ便利なアクション。単純にビューンと高速で飛んでいくのは気持ちよく、これだけでも従来のRPGにはなかった楽しさがある。それを後押ししてくれるのは高低差に富んだ広大なフィールド。本作は、エリア分けされている世界を探索するタイプのゲームだが、各エリアはかなり広くオープンワールドの作品にも匹敵する遊びごたえ。

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 物語の進行に合わせて行けるエリアは増えていくのだが、新たなエリアに到達してマップを開くとその広さに息をのむ。自分は、行ける場所は隅々まで探索してからでないと先へ進めないタイプのゲーマーなので、フィールドの探索が楽しいのはうれしいポイント。

 ちなみにDUMAにはスキャンの能力があり、これを利用すれば周辺にある宝箱などの見落としも防げる。DUMA強化によってスキャン範囲を広げられるのだが、自分はまっさきにこの能力を最大まで上げた。

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浮島のようなものも多く、突進を駆使しながら到達を目指すことになる。

バトルはシームレス

 フィールドで敵に発見される、もしくは攻撃を当てると、そのままシームレスにバトルがスタート。遠くに離れて逃げるか、すべての敵を倒すとバトルは終了となる。敵を倒すと経験値やお金、アイテムなどが手に入ることがあり、バトルを重ねることでキャラクターのレベルが上がり、パーティが強くなっていく。

 攻撃は前作のような“弱攻撃”や“強攻撃”はなく、すべてAPを消費する“バトルスキル”によって行う。具体的には□ボタン、△ボタン、○ボタンの連打、もしくは長押しに設定しておいたスキルを自由に組み合わせながら立ち回る。

 APは攻撃しないで少し待つとすぐに全快するし、バトルスキルの組み合わせもバトル中に変更可能。方向キーで操作キャラクターも即座に変更できるので、いろいろな角度から自分なりの戦いかたを追求するのが楽しい。

『スターオーシャン6』製品版50時間超の先行レビュー。単調さとは無縁のバトルが楽しい! シリーズの集大成と呼べる進化を遂げた大ボリュームの力作
仲間が増えてくると、バトルに参加させる4名を自分で選ぶことになる。

バトルの鍵を握るブラインドサイド

 “ブラインドサイド”は、敵がこちらのキャラクターを見失った状態のこと。ブラインドサイドに陥った敵には“?!”のアイコンが表示されてしばらく動かなくなり、この敵に与えるダメージが倍増する。

 敵をブラインドサイドに陥らせる方法は簡単。VAによる突進を実行しているあいだに左スティックを倒し、方向転換をするだけ。大事なのは相手の視界から出ることなので、こちらに注目している敵に対して仕掛けるのが成功のポイントとなっている。最初はこれに気づかず、こちらを狙っていない敵にも方向転換をしてブラインドサイドによく失敗していた。

『スターオーシャン6』製品版50時間超の先行レビュー。単調さとは無縁のバトルが楽しい! シリーズの集大成と呼べる進化を遂げた大ボリュームの力作
突進にはVAゲージを消費するし、APも必要なので乱発はできないようになっている。

 強い敵ほど苛烈な攻撃を仕掛けてくるので、ブラインドサイドの重要度は増す。特定の状況にならないとブラインドサイドが通用しなかったりもして、ブラインドサイド一辺倒ではないのも本作のバトルのおもしろいところ。

『スターオーシャン6』製品版50時間超の先行レビュー。単調さとは無縁のバトルが楽しい! シリーズの集大成と呼べる進化を遂げた大ボリュームの力作
目がなく視界がなかったり、冷静な敵に対してはブラインドサイドが効かず、ほかの手を考える必要がある。

困ったときのストップモード

 バトルはスピーディーだし、敵も一度にたくさん現れるしで、状況の把握が難しくなったときには“ストップモード”が役に立つ。タッチパッドを押すと、ゲーム内の時間が止まってじっくりと周囲を見渡すことができるのだ。ふたたびタッチパッドを押すまで時間は止まったままなので、ターゲットする敵の選定、消費アイテムの使用、操作キャラクターの変更についてなど、じっくりと考える時間が作れる。

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バトルに慣れるまで、ストップモードにはかなりお世話になった。

RPG的な遊びもたっぷり

 アクションゲームさながらのバトルが楽しめる本作だが、『スターオーシャン』らしい、RPGらしい楽しみもたっぷりと用意されている。ここからは、事前情報からかなり期待していたミニゲーム・ソーアやシリーズではおなじみのアイテムクリエイション、育成要素などについて紹介していこう。

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RPGでは定番の要素、街の人からの依頼・サブクエストもたくさんある。

スキル習得はツリー形式で強化も可能

 キャラクターはレベルアップすると各種ステータスが上昇するほか、スキルの習得に使うSPも獲得する。スキルの習得は下の画像のようにツリー形式になっていて、開放済みにパネルに隣接しているパネルを解放できるようになっている。そのため、まずはツリーにある各パネルの効果を確認して、どう育成するかの筋道を立ててからSPを使うのがよさそうだった。

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 自分は3つ選べたうちの中間となる難易度“GALAXY”でプレイ。バトルで戦闘不能になる経験があまりなかったので、スキルツリーではATK、INT、バトルスキルのパネルを優先して開くようにした。それが正解だったのかは分からないが、かなりスムーズにゲームを進められた。ひとつオススメするなら、レティシアの“ド根性姫様”(パーティの獲得経験値アップ)は早めに習得し、ずっとセットしておいたほうがよさそう。

 また、習得したスキルはSPを使ってレベルアップされられる。バトルでよく使うお気に入りのスキルや先ほど紹介した“ド根性姫様”は優先してレベルを上げておくといいかも。ちなみに、ツリー形式ではないがDUMAもスキルの習得やレベルアップが可能。その際は、フィールドのあちこちに落ちている紫色に光る石・晶紋石を入手することで増えるDPが必要となる。

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ランダム要素満点のアイテムクリエイション

 “アイテムクリエイション”は、『SO』シリーズ皆勤賞のウェルチというキャラクターから伝授される、さまざまなアイテムを生成するシステム。最初は回復アイテムを生成する“調合”を教わることができ、物語を進めて“細工”、“鍛冶”などを教わると装備品なども生成できるようになる。

 生成に必要なのは素材とお金(FOL)だけ。今回は、かなり駆け足でプレイしたのでじっくりと試すことはできなかったが、同じ素材でも完成されるアイテムやファクター(装備品に備わる追加要素)が違ったり、キャラクターごとに得意なジャンルが違ったりと、かなり奥は深そう。ゲームを進めるだけならショップで買える装備品だけでも必要十分ではあったが、発売後はじっくりといろいろな生成を試してみたい。

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唐突にうまい棒が完成したときは笑ってしまった。

ポーン(駒)をアクセサリーとして装備もできるソーア

 ソーアは、宇宙で大流行しているという触れ込みのミニゲームで、街の人々との対戦が楽しめる。遊べるようになるのはライタールという港町でデッキを購入してからで、比較的早い段階からプレイが可能だ。

 ルールは単純で、自分と対戦相手が交互に盤面にポーンを設置。これを1ターンとしてターンごとに盤面にあるポーンの攻撃力の合計分のダメージを相手に与え、さきに相手をゼロにしたほうの勝利だ。

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自軍のポーンで囲むと相手のポーンを排除できる。ちょっと囲碁っぽい。

 ポーンは、過去作の主要キャラクターがモチーフとなっているうえ、造形もしっかりとしているので、『SO』ファンへのサービス要素にもなっている。しかも、ポーンはアクセサリーとして装備もできて、獲得経験値アップや射撃武器の弾が貫通など、効果もバラエティ豊か。ポーンは、各対戦相手に初勝利したときや宝箱などから入手可能で、収集欲をかきたてられる。

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ソーアの英語表記はSOAらしい。ポーンのオールスター感は『スターオーシャン:アナムネシス』(『SOA』)を彷彿とさせる。

そこそこの寄り道をし、50時間程度のプレイで終盤へ

 このレビューを書いている時点でのプレイ時間は約50時間。物語は、最終局面ではないものの「ちょうど終盤に差し掛かったかな」といった感じだ。なお、今回のプレイスタイルはサブクエストにはほとんど手を出さず、ソーアはたっぷりめ、フィールドの探索はそこそこ。人によってはもっと時間がかかったり、あるいはもっと短時間でのクリアーも可能だろう。

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各街での定期的なプライベートアクションのチェックもそれなりにした。

 手堅い人気の『スターオーシャン』シリーズなのでクリアー後の遊びにも期待できるだろうし、自分は主人公をレイモンドにしてのプレイも控えていることを考えると、ボリュームは十分すぎると言える。アイテムクリエイションもしっかりとやっていきたいし、リリース後はSNSでの情報共有も楽しみにしながらみっちりと遊びこみたい。