3gooより2022年12月8日に発売される『ザ・ランブルフィッシュ2』(プレイステーション5、プレイステーション4、Nintendo Switch、Xbox Series X/S、Xbox One、Steam)。本作は、2005年にアーケードで稼動した名作対戦格闘ゲームの移植版だ。今回は、原作の開発者であるディンプスの伊東氏、田中氏立ち合いのもと試遊する機会をいただいたので、その様子をお届けする。

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『ザ・ランブルフィッシュ2』ディンプスの開発陣に移植版への思いを直撃! 「ユーザーさんにはいいものが届けられると思います」
『ザ・ランブルフィッシュ2』ディンプスの開発陣に移植版への思いを直撃! 「ユーザーさんにはいいものが届けられると思います」
『ザ・ランブルフィッシュ2』は今回が家庭用ゲーム機初移植となる。
『ザ・ランブルフィッシュ2』ディンプスの開発陣に移植版への思いを直撃! 「ユーザーさんにはいいものが届けられると思います」
シリーズ第1作『ザ・ランブルフィッシュ』を含むさまざまな特典を封入した『コレクターズエディション』がプレイステーション4(PS5無料アップグレード対応)、Nintendo Switchで発売される。

移植版への思いを直撃!

『ザ・ランブルフィッシュ2』ディンプスの開発陣に移植版への思いを直撃! 「ユーザーさんにはいいものが届けられると思います」

伊東正剛(いとうせいごう)

アーケード版プロデューサー(写真右)

田中義幸(たなかよしゆき)

アーケード版メインプログラマー(写真左)

――前回、田中さんにお話を伺ったところでは、『ザ・ランブルフィッシュ』シリーズは苦労の絶えない開発だったように感じました(笑)。今回、伊東さんにもお話を伺えるとのことですが、伊東さんは当時どのような立場で開発に関わっていたのでしょうか?

伊東正剛(以下、伊東)プロジェクトリーダーとして開発の管理をしていました。現場はメインプログラマーの田中やディレクターの大森に任せていたので、彼らと連携しながら開発を進めていました。

田中義幸(以下、田中)現場の我々からすると、伊東のチェックが入るときはドキドキしていました(笑)。

――移植が発表されてからの反響はいかがでしたか?

田中移植が決まったということで喜んでいただいている声のほか、まだお届けしている情報が少ないこともあり、いろいろ推測している方も見受けられますね。期待と不安が混ざっている印象です。

――アーケード版当時からのファン中心に反響が出ているんですね。

伊東はい。あとは、PS2版『ザ・ランブルフィッシュ』の移植を手伝っていただいていた会社さんですとか、かつて苦楽をともにした関係者の皆さんから「『ザ・ランブルフィッシュ2』出すんですね!」というご連絡をいただいたりもしました。

――『ザ・ランブルフィッシュ2』が初移植されるということで、ご自身としてはどんな思いがありますか?

伊東当時から『1』だけではなく『2』も移植して欲しいという声をたくさんいただいておりましたので、今回ついに実現することになりうれしく思います。それに今回をきっかけに田中だったり関係者たちと当時を振り返ると、わりといいゲームだったなと実感しています(笑)。

田中スムースモデルアニメーション(S.M.A=キャラクターを腕、胴体、脚など部位ごとのパーツを組み合わせて動かす多関節技術をベースにして開発された独自の描画方法)を格闘ゲームに実装したところで言うと、当時からよくやったなという反応が多かったですね。

 技術的には昔からあったものですけど、格闘ゲームに実装するためにツールをイチから開発するということで、前回お話させていただいたようにデザイナーさんが必死にドット絵を描いてくれたことによりこの動きができましたので、そこに驚きをいただきましたね。

――そのあたりの苦労は前回のインタビューでかなりお聞きしましたね(笑)。

田中ユーザーさんの印象に残っているところでは、“パーツクラッシュ”ですね。“傷ついてもなお闘い続ける格闘家たち”をテーマにしたもので、カッコよさを描こうという開発コンセプトで進んでいったんですけど、リリースしたときには“脱衣ゲー”という評価をいただきました(笑)。たしかにそうなんですけど……とはいえ、ユーザーの皆さんの心に残っていただけるんだったらそれがいちばんですからね。

伊東じつは、S.M.Aがなかったら僕は格闘ゲームを作るということにネガティブだったんですよ。前職でずっと格闘ゲームを作っていて、何か差別化を図れるものがないと難しいだろうと思っていたんです。でも、田中からS.M.Aの提案があって、パーツクラッシュがあると聞き、それがきっかけでプロジェクトに対して積極的になっていった。僕からするとそんなシステムでしたね。

田中ベースとなる格闘システムなどのツールはすぐにできたんですけど、デザイナーさんやプランナーさんから「このキャラにはこんなのを入れたい」とアイデアがドンドン出てきて、結局ベースのシステムとはぜんぜん別のプログラムをずっとやることになってたいへんだった記憶があります(笑)。

――それはたいへんですね(笑)。ところで、移植版は実際にプレイされましたか?

田中もちろんです。3gooさんが移植を担当しているので、実際に触らせていただきながら監修させていただいております。そういった中で、原作のデータをそのまま使うと画像のクオリティーが低くなってしまうので、一部の画像は現在の環境に合わせて修正した画像データを作らせていただきました。ここでもデザイナーさんのこだわりが出てきてしまいまして……(笑)。

――単に原作のデータを持ってくるだけではなく、新たに描き起こしたんですか?

田中最初に“アトミスウェイブ”で作った原作は、ネシカクロスライブ版を作る際にキャラの選択画面などは少しキレイにしてあるんですよ。それでも現行世代のゲーム機に移植するとなるとノイズなどが目立ってしまうので、クオリティーアップを図りました。

――昔のゲーム機といまのゲーム機では解像度も違いますもんね。

田中そうですね。いまに比べると解像度がかなり粗いですからね。それに解像度だけではなく、使用できるメモリの容量も異なりますし、画像自体もフルカラーではなく256色のものを使っているので、結構ノイズが出てしまうんです。ですから、そのまま出すわけにはいかないと、僕らのこだわりが出てしまって3gooさんにはお手間を(笑)。その代わり、ユーザーさんにはいいものが届けられると思います。

伊東何せ17年ほど待っていただいてますので(笑)。

『ザ・ランブルフィッシュ2』ディンプスの開発陣に移植版への思いを直撃! 「ユーザーさんにはいいものが届けられると思います」

プレイインプレッション

 筆者がアーケード版をプレイしていたのはかれこれ10年以上まえなので、かなり忘れている部分も多かったのですが、コンボやシステムを少しずつ思い出しながら試遊させていただきました。正直、当時との比較については自信がありませんでしたが、なんと試遊に際して、アトミスウェイブ版もご用意いただいたため、無事プレイ感覚を比較することができました。3gooさんの気遣いに感謝です(笑)。

 実際にアーケード版と移植版を並行してプレイしてみましたが、操作性に関しては違和感を覚えるポイントはほとんどありませんでした。また、グラフィック面でも15年以上前のゲームと感じるようなことはいっさいなく、自然とプレイすることができました。ただ、1点違いを挙げるとしたら、画面比率が原作は4:3ですが、移植版は16:9になっているという部分です。原作に比べるとやや視野が広がった感じがしましたが、対戦にはさほど影響はなさそうでした。

 こうやってプレイして見ると、本作はS.M.Aやパーツクラッシュなど、ほかの格闘ゲームにはない“個性”があるため、長い時を経たいまでも新鮮味を感じられました。そう考えると、『ザ・ランブルフィッシュ』は魅力的な作品なんだなと、改めて実感することに。

 また、長く格闘ゲームをプレイしている筆者としては、『ザ・ランブルフィッシュ』以降も多くの格闘ゲームをプレイしており、そこでたくさんのノウハウを蓄積してきました。今回『ザ・ランブルフィッシュ2』が家庭用に移植されるとあって、これまでに培ってきた経験を活かして、新たに実装されたトレーニングモードで研究を進めて、ネット対戦に挑むことで再度『ランブルフィッシュ2』を掘り下げてみたいと思いました。

 そういった意味でも、長く続く『ザ・ランブルフィッシュ』の対戦シーンに新たな風が吹き、さらなる盛り上がりを見せてくれることを期待しています。

『ザ・ランブルフィッシュ2』ディンプスの開発陣に移植版への思いを直撃! 「ユーザーさんにはいいものが届けられると思います」
『ザ・ランブルフィッシュ2』ディンプスの開発陣に移植版への思いを直撃! 「ユーザーさんにはいいものが届けられると思います」
16:9になったことで、原作よりも画面が少し横に広がったような感覚を受ける。ちなみに原作と同じ4:3画面でのプレイはできない模様。
『ザ・ランブルフィッシュ2』ディンプスの開発陣に移植版への思いを直撃! 「ユーザーさんにはいいものが届けられると思います」
『ザ・ランブルフィッシュ2』ディンプスの開発陣に移植版への思いを直撃! 「ユーザーさんにはいいものが届けられると思います」
こちらはトレーニングモード。いままではCPU相手にコンボを練習していたので、調べごとがかなり楽になりそうです。
『ザ・ランブルフィッシュ2』ディンプスの開発陣に移植版への思いを直撃! 「ユーザーさんにはいいものが届けられると思います」
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ギャラリーモードには、本作のために蔵出ししたという貴重な資料も多数収録。ファンにはうれしい充実ぶりでした。