『リトルウィッチノベタ』ホロライブ・尾丸ポルカさん（ターニア役）インタビュー。ポルカ「“VTuberだから”とは言わせないガチの演技を見てください！」

　2022年9月29日発売予定のNintendo Switch、プレイステーション4、PC（Steam）用ソフト『Little Witch Nobeta -リトルウィッチノベタ-』。本作は魔女の女の子“ノベタ”を操作し、古城を探検していくアクションシューティングです。ノベタをはじめとしたキャラクターのかわいいビジュアルとは裏腹に、驚きの高難度を誇っています。

　本作のボスキャラクターには、VTuberグループ“ホロライブ”のタレント3名が声を演じています。今回はターニア役の尾丸ポルカさんにインタビューを実施。ターニアを演じての心境や裏話などを訊きました！

※本作のプレイレビューはこちら

『リトルウィッチノベタ』を知ったのはデビュー前!? ホロライブメンバーの配信で知り、そこから本作の声優へ

――『リトルウィッチノベタ』という作品を初めて知ったときの第一印象を教えてください。

ポルカ私自身はプレイしたことはなかったのですが、同じホロライブメンバーのノエル団長（白銀ノエル）たちがアーリーアクセス版を配信でプレイしているのを見て知りました。

　“ロリダクソ”と聞いていて、めっちゃキャラクターがかわいいけど、アクションゲームがあまり得意ではない私にプレイできるかなと……。

――ノエルさんがプレイしていたのが2020年7月でしたね。

ポルカそうですね。ちょうど私がデビューする前のギリギリの時期だと思うんですよね。

――デビュー前に知った作品の声優を担当するというのは感慨深いですね。ポルカさんが考える本作の注目ポイントはありますか？

ポルカ私たちホロライブメンバーが声優をさせていただいているキャラクターたちが、敵役でありつつ背景が重たい子が何人もいるのも魅力になります。

　皆さんが操作するノベタちゃんもすごくかわいいです。そして不思議なことに『リトルウィッチノベタ』公式さんがTwitterでめちゃくちゃえっちな画像を載せている点もポイント高かったですね（笑）。公式さんすごいフランクだなぁって。

――ノベタちゃんのセンシティブなイラストに惹かれたというのもあるのですね（笑）。

ポルカたぶん、みなさん公式Twitterを見たら「あれ？　これ公式なの？」って感じると思います。それぐらい緩くて、ちょっとびっくりしました。そんな小さい女の子ががんばって戦うのですから、嫌いな人いないじゃないですか！

　そのほかだと動きとかですね。アテレコ当日にノベタちゃんのモーションを見たのですが、とにかくひとつひとつがかわいいです。敵役もめっちゃかっこいいモーションが用意されていて、すべての“動き”がやっぱりポイントですね。

――“動き”が注目ポイントなのですね。動き以外でノベタちゃんのかわいいポイントはズバリありますか？

ポルカ私たちホロライブメンバーが演じるキャラクターたちはノベタちゃんの敵役なんですけど、ノベタちゃんはプロの声優・小原好美さんが演じられています。やっぱり声優さんは一味違うんですよ、もう！　私たちもがんばりましたが、やはり演技のベクトルが違うといいますか……。表現の幅でゲーム終盤のシチュエーションが綺麗にまとまっている、かつかわいいなぁって。

――たしかにスタミナとかがなくなったらこけちゃうのもかわいいですよね。ポルカさんが演じるターニアは、ふだんの明るいポルカさんとは正反対のイメージがあります。どのようなキャラクターなのでしょうか？　最初にボイスを聞いた時、これが本当にポルカさんなのかと驚きました。

ポルカですよね、ですよね！（笑）私とターニアちゃんは正反対なイメージはあるかと思います。ですが、私は演技をするのがすごく好きで、おとなしめのキャラクターの役が私自身とあっていたりするんですよ。なので、ターニアちゃんならやれるぞっていう謎の自信はありましたね。私は明るい分、暗い部分も深いので……（笑）。

――暗い部分はふだんあまり見ませんが……。

ポルカ私はまぶしい部分があればすごく暗い部分もあって、その暗い部分はぜんぜん引き出せるんです。ターニア役をいただけたのはすごくうれしく思っていて、こういうキャラクターってもともとが静かめで淡々と話す。たとえばホロライブでいうとおかゆさん（猫又おかゆ）とかに回るような役どころだと思うんですけど、ふだん明るい私でも演じることができると期待されていると思い、うれしかったですね。

　また、外伝マンガでターニアちゃんの物語が描かれているのですが、それを見てすごくボロ泣きして、より一層ターニアちゃんへの想いが深まりました。守らねば……でもノベタちゃんにやられちゃうのかぁって。そうなると、やられたくないって思うんですよ私。私からしたらターニアちゃんが正義なので、ゲーム的には悪役っていう立ち位置なんですけど、「負けたくない」、「自分を貫きたい」という気持ちでした。

――感情移入して、私が主人公なんだっていうくらいの想いで演じられたのですね。

ポルカそうですね。私は演じたキャラクターを、自分のことのように考えて感情移入しちゃうタイプなので。ゲーム全体で見たらノベタちゃんが主人公なんですけど、私なりの世界を見せたいなぁって……。ターニアちゃんの生きざまを伝えられたらと演じました！

　そのほかだとVTuberに依頼されるものって、尾丸ポルカのファンの方々からしたら、「すごいポルカっぽい！」っていうのがいいのか、それともゲームに合わせたほうがいいのかという点はすごく考えました。あとは私が監督主義なところがあるので、監督さんがオーケー出してくれれば、私もオーケーみたいな感じで身を任せましたね。

――最初から監督さんの言う通りに演じていたのでしょうか？

ポルカ最初、ターニアちゃんは私のなかでは幼いようなイメージがあって、声も少し幼めに演じていました。ですが、もうちょっと精神年齢的にも達観しているという部分もあったので、徐々に大人っぽくしようっていう話になりました。本番でちょっとずつ調整していった感じです。

――ターニア役を依頼されたときはどのような心境だったのでしょうか。

ポルカぶっちゃけて言うと、私に演じられるのかっていう不安がありました。VTuberがゲームやアニメを演じるみたいな形ってこれから浸透していくのかなって思っていて、これからのためにもがんばらないとなっていう。もちろんドキドキ、わくわく、早くやりたいっていう気持ちもありました。

――VTuberの一歩を築くみたいな気持ちではあったのですね。

ポルカそうですね！　これが広まってくれれば「VTuberもこんなに演技ができるんだ」っていうのが伝わるかなって。最近、プロ声優になったVTuberの朝ノ瑠璃さん（※）とかもいるので、可能性が広がっていくなって感じますね。

――ターニア役にポルカさんを選んだのは開発チームの方なのでしょうか？

ポルカ開発チームに指名されましたね。ほかのホロライブメンバーもそうだと思います。

　どの配信をご覧になって、私にターニアちゃんを振ってくださったんだろうっていうのはいまだに謎です（笑）。いつもは配信用にちゃんと人に見られているんだっていう意識を持って取り組んでいるんですけど、低気圧で弱っているときのテンションが低い配信をご覧になったのかな……。

――声優に挑戦されていかがだったでしょうか？

ポルカコロナ禍の前だと、だいたいゲームのボイス収録はひとりで行われていて、椅子ないし立ちで、ぶ厚い台本を読んだりするんですよ。金魚鉢みたいなスタジオがあって、窓があるんですけど……。それが今回はコロナということでリモートでの収録となりました。カメラもつなげて、ずっとディレクションしていただく感じでしたね。

　監督とチームの方々と両方とでオンライン画面がついている状態で演じて、「いまのところはもう少し感情を」とか……「そこの部分の語尾とかちょっと甘噛みだったよね」とか。そういうところを監督にリアルに指示してもらっていました。

――リモート収録というのは驚きですね。

ポルカそうなんですよ！　私がとくにびっくりしたのが、監督さんがその場にいなくても遠隔で指示出しをされて、ディレクションされているのがびっくりしましたね。リモートでも演技の粗を把握されていて、「えっえっ分かられている！」みたいな（笑）。

　まさか監督さんがビデオ通話で参加されるとは思っていなかったんですが、逆にカメラをオンにして、顔が正面で見られていて安心しました。口の形もがしっかり見えたので、教えていただくときも分かりやすかったですね。

――監督さんから真正面から見られるというのは緊張するのでは……？

ポルカ私は郷に入っては郷に従えのタイプなので「今日はこういう感じなんだ！」って思って勢いでいきました。「恥ずかしいのでやめていただけますか」とも言えないので……（笑）。

　逆に監督さんの顔が見られる状態で安心したところはあります。通常の収録って、監督さんスタッフさんは別室にいらっしゃって、お互い顔がよく見られないと思うので。

　オンラインでもオフラインでも完成度を上げていかないとこちらとしては納得がいかないので。プロフェッショナルみたいなこと言っちゃったヤダ！（笑）

ポルカ「収録当日、台本を忘れてきたときのマネちゃん（マネージャー）のびっくりした顔が忘れられません」

――そのほかに収録での裏話はありますか？

ポルカ私、前日にめちゃくちゃ台本に書き込んでいたんですけど、当日台本忘れたんですよ。

――……えっ？（笑）

ポルカこれ、声優さんだったら本当にあってはならないことなんですけど、当日台本を忘れました。自分でもびっくりしてしまって。なんとほかの資料もいただいていたのですが、そっちを持ってきてしまっていたんですよ。

　「申し訳ありません！」って予備の台本を読ませていただいたんですけど、「あっぶなー！」っていう感じでしたね。「あっヤバイ。私は今後の仕事がなくなってしまう」と思い、冷や汗がダラダラダラと……。

――予備の台本があってよかったです。台本には何を書き込んでいたのでしょうか？

ポルカゲームなので、独特な専門用語とかがあるんですよね。ふつうに読むときは読めたりしても、演技をしながらだとわからなくなったりするんですよ。なので基本的にはフリガナとかを書き込んでいました。

――ただそれを忘れてしまったと……。

ポルカでもなんとか大丈夫でした！　当日もう一度聞き直したりとかしたんですがほぼほぼ記憶通りでよかったですね。焦りながらここはこうでと書き直しながらなんとか……。ちなみにこれ本当に本当にやってはいけないことです！

　いまでもマネちゃんのびっくりした顔が忘れられない。「えっ!?　台本忘れずにと言った気がするんですけど確認してこなかったんですか!?」って（笑）。私は確認したつもりだったんです……。

――ポルカさんのほかに、白銀ノエルさんと白上フブキさんが演じているヴァネッサとモニカという敵役のキャラクターがいます。白上フブキさんのモニカはどのような印象を持っていますか？

ポルカじつは別日でひとりひとり録っているので、収録がどうなっていたかは私も知らないんですね。PVで初めて聞いたんですが、モニカちゃんは「フブちゃんじゃん！」って最初に思いました。

　それに加えてモニカちゃんの感情が乗っていて、これは「やっぱりいつものフブちゃんじゃない」と思いました。声色こそ近しいキャラクターで演じられていましたが、すごく飛び跳ねているような印象。ふだんのフブちゃんでは出てこないなぁって思っていて、もっと聴きたいっていうのはありましたね。

　そのほか、めちゃくちゃ用語を説明するTIPSみたいなものがあるんですよ。それがすごく長かったので、そこをほかのホロライブメンバーがどんな感じで読んだんだろうっていうのは気になります。めちゃめちゃ長かったです。

――ポルカさんの用語解説はどのような感じでしたか？

ポルカじつはですね、尾丸ポルカは静かめなキャラクターになると滑舌がとても甘くなります。「さしすせそとか」が苦手なんですけど、一瞬で監督に見破られました。

　ごまかしごまかしで生きてきた人生でして、「いまの部分ちょっと」という感じで、そのごまかしが一瞬で見抜かれて「ぐわっ！」ってなりましたね（笑）。

――すごいダメージを食らってそうですが……。

ポルカ淡々と読むとか何かの用語解説ってアナウンサーの皆さんだったら上手だと思うんですけど、それはさすがに苦手やぁ……って。いつも「わーい！」って元気な感じの抑揚でごまかしていましたが、これはさすがにごまかせない。

　最初はちょっと苦手だなって思ったんですが、読めば読むほど、だんだんターニアちゃんになってきたから大丈夫でした。私はどちらかというと、演技は結構憑依型っていうタイプなんですよね。最初は尾丸ポルカだったんですけどターニアちゃんになってきたな……よしあとは身に任せでどんどんやっちゃって行こーっていう。

――すごい天才肌ですね。

ポルカやはり天才ですね、私は！

　って言うと、あなどっているように思われちゃうんですけど、声を演じるのって初めてではないんですよ。尾丸ポルカのままじゃつまらないから、そのキャラクターを演じるためにその子を体に入れちゃうんですよ。だからその日はずっとターニアちゃんでした。何されてもターニアちゃん、台本忘れてもターニアちゃんです。

　いや台本忘れた時は……さすがに無理でしたね（笑）。タクシーとか移動の前までは「ターニアちゃん……ターニアちゃん……私はターニアちゃん」ってなっていたんですけど、「台本忘れた！　尾丸ポルカです！」ってなりましたね。

――ターニアちゃんが一瞬いなくなっちゃったんですね（笑）。

ポルカいなくなりそうになりましたね。「あっぶね！」って呼び止めましたが、ターニアちゃんは帰っちゃうところでしたよ。台本忘れたターニアちゃんは見たくないです。

――白銀ノエルさんが演じるヴァネッサはどうでしたか？

ポルカノエルさんのヴァネッサは意外でした、本当に。あんな声が出せるんだ！　っていう。

　私はノエル団長のあの高音が好きなんですけど、私の好みでいうと女性の低音ボイスっていうのが刺さるんですよ。それこそホロライブでいうとENのクロニーさん（オーロ・クロニー）の声とか好きなんですね。でもかわいい系の子だと高い声が多いじゃないですか。

　今回のノエル団長はふだんの声がすごく高い分、ヴァネッサの低音ボイスには「えっ、かっこいい。ひれ伏したくなる」という気持ちでした。正直めちゃくちゃツボで、もっと聴きたいなっていう。同じ作品をやったにもかかわらず、まだ私自身もほかのホロライブメンバーが演じているシーンを聴けてないところもあるので早く聞きたいなって。みんなの感想もすごく聞きたいです！

――プレイしたいという気持ちはあるとのことですが、配信とかでやられる予定は……？

ポルカやりたいですよそれはもう！　私が出ているんですもん……！　自分が出ている声の子がいると会いたくなっちゃいますよ。でも、そこまでたどり着ける自信がなさすぎて、耐久プレイとかになっちゃいそうですが、ターニアちゃんは最初のボスなので、そこまでならもしかしたらいけるかもしれないです（笑）。

　私のプレイするノベタちゃんがかわいそうなことにならないか、本当に心配で心配で。何回も謝りながらプレイしてそうです……。全体通してクリアーするのには5年くらいかかるんじゃないですかね。ターニアちゃんのところまでいけるのが、1ヵ月後じゃないかな……。

――長すぎませんか？（笑）

ポルカ『スーパーマリオブラザース』の一面をクリアーするのに数時間かかっているので、よろしくおねがいします！　いちばんマリオ殺したんじゃないかってぐらい、あのクリボーに何回やられたことか……。

――『スーパーマリオブラザース』でいちばん死んだVTuberみたいなギネス記録が取れそうですね（笑）。

ポルカヤダー！　たぶん今回も言われると思うんですけど、よくお母さんのプレイを見ているみたいって……（笑）。最近はゲームがうまいバーチャルおばあちゃんもいますし、もうだめかもしれない……。

「VTuberだから」をなくしたいポルカさんの本気。今後はショタボイスなどにも挑戦したい？

――耐久配信すごく楽しみです。今後も同じように声優をやってみたい気持ちはありますか？

ポルカもちろんあります。今回もどの子でも絶対やりたいみたいな感じでした。たぶんターニアちゃんを演じられる子ってすごく限られているというか……。でもヴァネッサさんもすごく難しそうでやりがいがありそうだと第一印象は思っていました。向かい風ちょっと強いかもしれないですけど、今後もVTuberとしていっぱい声優やってみたいですね。

　アイドルが声優をするというのは、みんなもしかしたら抵抗あるかもしれないのですが、リアルでアイドルから声優になった方もいらっしゃいますし。どういわれようが気にせず、監督さんが大丈夫ならやります。台本忘れてクビにされない限りはやります。台本を忘れたせいで、もしかしたら私もいまここに居なかったかもしれない。すごく温かい現場でした本当に（笑）。

――現場的にもやりやすかったのですね。

ポルカめちゃくちゃやりやすかったです。監督さんもやさしめに指導してくださったので、人の技量などを考慮しながら見てくださっているんだろうなぁってところがすごかったです。でも、それはこちらとしては悔しさもあるんですよ。

　きちんと演者として見られたいなという気持ちがあるので。VTuberだからではなく、いち演者としてしっかり評価していただけるような演技ができるようにがんばっていきたいです！

――とても期待しています。ちなみに、今後どういったキャラクターに挑戦してみたいですか？

ポルカヴァネッサさんみたいなお姉さんキャラですかね。ちょっと年上の感じの。元気なキャラクターってホロライブの子はみんな得意そうなので、その隙間をついてやりたいです（笑）。

　みんながやらないキャラクターをやりたいですって感じの、すごくマイナーよりなんですよね自分の考え。いわゆる逆張りってやつですね。「あ、みんなそっち選ぶんだじゃあポルカこっち！」みたいな。でも振られたものは全部やりたいです。もちろん男の子とかショタとかやりたいですね。

――ポルカさんのガチなショタは聞いてみたいですね。

ポルカ声優をしてみてとても楽しかったので、またいろいろやってみたいですね。

　私は新しい知識を入れるのが本当に好きなんです。監督さんの意見を聞いていても、「あっ、ここでしか得られないものがある！　私仕事としてきているのに、こんなに知識をいただいていいんだ！」ってうれしくなってしまうんです。

――最後に読者の方へ作品のアピールなどコメントをお願いします。

ポルカ私はゲームは得意ではないのですが、がんばってプレイしてみたくなるほど、めちゃくちゃかわいい女の子が出てきます。もしかして、みなさんもたくさん死んじゃうかもしれないですが（笑）、いっぱいリトライして、クリアーしてみてください。応援しています！　ノベタちゃんの声もめちゃくちゃかわいので、皆さんいろいろなところに行って、隅々まで楽しんでください！