『UNDERTALE』と『DELTARUNE Chapter2』のアニバーサリーといううれしいタイミングを記念して、作者トビー・フォックスさんのコラム“Toby Foxの秘密基地”の連載がスタートです。
これまで数多のゲームクリエイターによる連載が掲載されてきた週刊ファミ通のコラムですが、新たに月一回のペースで、トビーさんがコラムを書き下ろしてくれることになりました。しかもなんと、ハチノヨンさんの公式翻訳でお届けします。
では、さっそく記念すべき第1回をどうぞ!
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Switch『UNDERTALE』オンラインコード版(Amazon.co.jp)第1回 “トビーめきメモリアル”
僕は、日本語を勉強して本当によかったと思います。おかげで、海外版が出ていないおもしろそうなゲームを、いろいろプレイできるようになりました。
最近遊んだのは、プレイステーションの『ときめきメモリアル~forever with you~』。1990年代中ごろにリリースされた恋愛シミュレーションゲームで、このジャンルに革命を起こしたといわれるタイトルのひとつです。
プレイヤーは高校生活を送りながら、勉強やスポーツの能力値を上げつつ女の子たちとデートを重ねて、自分を好きになってもらうことを目指します。エンディングまでに女の子の気持ちが十分高まると、伝説の樹の下で告白されて、ふたりは永遠に幸せになるのです……。
……というわけで、デートを成功させるにはどうすればいいでしょうか。
登場する女の子たちはたいてい、少し話せば“○○タイプ”とすぐにわかります。なので、ここは自分のエゴも、イドもエスも押し殺して、何から何まで彼女の望む通りに行動すればOK。
たとえば、メガネをかけた貧血気味の女の子は図書館が好きだし、マッドサイエンティスト系の女の子なら……世界征服が好きです。とにかく、その女の子を観察して、よろこびそうなことをすればデートは成功します。
仮に、でっかいホットドッグの着ぐるみを着た女の子がいるとしましょう。彼女に電話すると、デートプランの選択肢が出ます。
> プラネタリウム
> ホットドッグショップ
さっそくふたりでホットドッグショップに来てみると、彼女がこんなことを言いました。
「はぁ……ホットドッグ見てると、すごく落ち着く。まるでホットドッグになったみたい。アツアツのホットドッグ水の温泉につかってるみたい」。
すると、これにどう返事をするかの選択肢が出ます。
> ひからびたホットドッグって、ネコのフンみたいだよね(NGの答え)
> ホットドッグ水が放つ光には、1000000000光年離れた星から届いたものもあるんだよ
(可もなく不可もない答え。マッドサイエンティスト系の女の子には効果的)
> ぼく、ホットドッグ好き(ベストな答え)
「ホットドッグが好き」と返したら、彼女は「ホ……ホントに?」とだけ言って、顔を赤らめました。あなたを好きになった証拠です。以上が、女の子の落としかたです。
こうしてめでたく“ときめき状態”に入った彼女は、それ以降、放課後になるとほぼ毎日のようにいっしょに帰ろうと誘ってきます。
こっちの都合なんておかまいなし。こっちは誘ってほしくなくても誘ってきます。そして、彼女はこう言うのです。「赤くなんて、なってないもん……顔にケチャップついてるだけだもん」。
ふたりはいろんな話をしながら、通学路を歩きます。「スーパーで売ってるホットドッグ用のパンとハンバーガー用のパンは、どうして袋に入っている数が違うのか」、とか。
そうこうしているうちに、近所の公園に着きました。「ステキな公園!」そう言ったまま、黙りこむ彼女。突然表情をくもらせて、こう続けます。「でもわたし、鳥が怖いの」。
そのわずか2日後のこと、学校中におかしなウワサが流れます。どうやらあなたがハンバーガーショップへ行ったことで、彼女は「裏切られた」と怒っている様子。彼女の名前の横には爆弾のアイコンが……。
このまま数日放置すれば怒りが爆発して、ほかの女の子たちはドロドロのマスタードまみれになってしまうでしょう(汚い!)。
誕生日プレゼントをあげて、機嫌を直してもらわないといけません。くれぐれも慎重に選びましょう……。
> ヨーグルトキノコ
> ヨーグルトきのこ
> ホットドッグネックレス
ここは、“ホットドッグネックレス”一択ですね。
すると彼女は、「ウソ… これ、ずっと欲しかったの。急にプレゼントなんて、ピっクルスるじゃない! うれしい!」とおおよろこび。ネックレスにガブリとかみついて、「うわ、このホットドッグ固い! レンジでチンしなきゃ」と言うのでした。
そんなこんなで、どうにか3学期も終わり。手紙を受け取って、いよいよ伝説の樹の下へ向かうと……。
……いました! ホットドッグの着ぐるみに身を包んだ、“熱犬嬢子”。
「あなたのおかげで、この世にはホットドッグ以外の食べものもあることを知りました。本当にありがとう……」彼女の言葉が胸を打ちます。
するとそこへ鳥たちがバサバサ飛んできて、彼女に群がりはじめました。
「やめて!」とさけぶ彼女。
容赦なく突っつく鳥たち。
ズタズタになるホットドッグの着ぐるみ。
悲鳴が上がり、BGMがやみ、カメラはゆっくりと下へ……。
するとそこには、地面に転がるクツだけが残り、彼女の姿はどこにもなく……。
……しばらく間があいた後、別の女の子が現れて、フツーにエンディングが続くのでした。
……なーんていうエピソード、コナミさん、次回作に入れてくれないかな!
〜第1回 “トビーめきメモリアル” おしまい〜
※本コラムは週刊ファミ通9月29日号に掲載された内容と同内容になります。
いかがでしたか? ※わたし(担当)は腹がよじれました。きっと初回からフルスロットルにエキセントリックなトビーさんのコラムに笑ってしまって、まさにいま口角が上がっておられるところだと思うのですが、大事な話がありますので、よろしければそのまま聞いてください……!
じつはこうしたトビーさんの書き下ろしコラムとは別に、ファミ通.comで募集するお題に対する読者の皆々様からのコメントにトビーさんご本人が回答していくという、まったく新しい企画コーナーも展開予定!(近日中に質問募集の記事をファミ通.comに掲載すべく準備中です)
というわけで、これからは月イチで、トビーさんの秘密基地にみんなで集まっちゃいましょうね。次回の掲載は10月末ごろを予定していますので、よろしくどうぞ〜!
※掲載時期は変更になる可能性がありますのでご了承ください。
トビーさんのコラムは週刊ファミ通誌面でも連載中。記念すべきトビーさんの連載第一回が掲載された週刊ファミ通2022年9月29日号 (No.1763/2022年9月15日発売)は、以下よりご購入いただけます。よろしくどうぞ!
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