唐突だが、不意に昔発売されたゲームのプロモーションビデオ(PV)やオープニング(OP)とか、小さな頃に放送されたアニメのオープニング・エンディングが見たくなることはないだろうか?

 ……そうそう、あるは……え、ない? それはそれで申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが、誰しも少しずつ年齢を重ねると、昔を懐かしんで振り返りたくなることがあるもの(強制進行)。

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 そこで本稿では、筆者と同じく懐かしのゲームの動画が衝動的に見たくなった人へ向けたゆるい記事を展開。改めてPVやOPを見て、思い出したことなどをお届けしていく。

 記念すべき(?)初回で取り上げるのは、『ファイナルファンタジーVIII』(FF8)のPVだ。

※本稿は、ざっくばらんな物言いとどうでもいい話9割で構成されており、主観的でしかない内容を多分に含んでいる。閲覧の際は、海のように広い心をご用意のうえ、どうぞお楽しみを。

『FF8』PV紹介

 まずは『FF8』のPVを紹介。ちょうど10年ほど前に公開されたもので、映像では体験版の内容が確認できる。ちなみに体験版は、PS用ソフト『ブレイヴフェンサー 武蔵伝』に付属していた。

 PVではドールのSeeD実地試験パートにあたる部分が描かれているのだが、製品版をプレイしたことある人が視聴すると違いにニヤリとできる。登場キャラが私服だったり、リノアがこの時点でパーティにいたりするのだ。

 この進行度だったら、もう少し目立ってもいいハズのセルフィやサイファーがいないのもおもしろいポイント。X-ATM092から逃げるのが苦手だったなぁ、なんて記憶も呼び起こされる。

『FF8』で『ファイナルファンタジー』初体験を迎えた20世紀の最後。ディスク1に描かれたあの子が知りたくて……夏【ゲーム動画で懐かし語り】
『FF8』で『ファイナルファンタジー』初体験を迎えた20世紀の最後。ディスク1に描かれたあの子が知りたくて……夏【ゲーム動画で懐かし語り】

 20年以上も前の映像なので、やはりそれなりに時代は感じるものの、映像終盤での「coming this winter....」を見るといまでも少しワクワクしてしまう。

ファイナルファンタジーVIII(PS)PV

初めて『ファイナルファンタジー』を遊んだ夏

 最初に少しだけ自己紹介をさせてほしい。筆者は1990年代生まれで、関東の何もない地域で育った。唯一の救いは、近所にゲームショップ(個人的な聖地)と、広大な謎の草原(よくここでかめはめ波を撃つ練習をした)があったことだけ。

 思い出がつまったゲームショップは後に自転車屋へと姿を変貌させ、広大な草原は住宅地へとメタモルフォーゼした。ときの流れは残酷だ。

 閑話休題。90年代も終わりに差し掛かった1999年(平成11年)2月11日に『FF8』がスクウェアから発売された。時代が21世紀へと変わる前、なんだかあくせくする大人たちを横目に、年末は『ポケットモンスター 銀』を遊んでいたことだけ覚えている。

 そして20世紀最後の夏、筆者に思いがけない出会いがあったことも記憶している。初めて『ファイナルファンタジー』シリーズ作品を遊んだ。それが『FF8』だったこと、しかもプレイステーション版ではなく、Windows版だったことだ……。

『FF8』で『ファイナルファンタジー』初体験を迎えた20世紀の最後。ディスク1に描かれたあの子が知りたくて……夏【ゲーム動画で懐かし語り】

 その夏の日は、年に2回だけ遊びに行ける祖父母の家にいた。

 朝方。起床すると、寝る前にこっそり布団へ持ち込んだゲームボーイカラーが枕元で静かに『テリーのワンダーランド』(※)のBGMを流している。データと電池の心配をしつつ、急いでセーブ。昨夜、遊びながら寝落ちしてしまったことを理解しつつ、もしセーブできていなかったらと思うとゾッとした。

※GBC用ソフト『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』のこと。非常におもしろく、筆者の中で大ブームを巻き起こしていた。

 少し窓のほうを見たら、どこまでも広がる青空が印象的だった。クーラーが効いて夏の暑さから隔絶された家の中から、なんとなく空を眺めているとセミの鳴き声と風鈴の音が聞こえる。

 そんな音が聞こえてくれば、子どもながらに「夏だなぁ」なんて素直な感想も思い浮かんでくる。

『FF8』で『ファイナルファンタジー』初体験を迎えた20世紀の最後。ディスク1に描かれたあの子が知りたくて……夏【ゲーム動画で懐かし語り】

 居間へ向かうと祖母はリンゴをむきながら、今日はどこに行きたいと語りかけてくれるが、とくに行きたいところがあるわけでもない。かわいげのないゲーム小僧である。

 ただ、そんなときは決まって、居間を出て叔父の部屋へ行く。階段を上がり、無遠慮にドアを開けるとクーラーが効いた部屋で気持ちよさそうに眠る叔父がいる。眠った相手が目の前にいた場合どうするか、子どもにとっては簡単すぎる問題だった。

 大声を出され、部屋を散らかそうとする暴君にうんざりしたのか、仕方なく起床する叔父。こんな子ども相手に嫌な顔ひとつせず、小気味いい冗談を飛ばしてくれた。大人の余裕というやつだ。

 だからといって、叔父に甘えて永遠に騒ぎ続けてはいられない。体力の限界があるのだ。少しだけ思案した叔父は朝からうるさい子どもを静かにするため、どうやらゲームを遊ばせておくことにしたらしい。

 こちらとしても自宅では普段遊べないゲームが遊べることもあって、ワクワクした覚えがある。

 この日の叔父はなんだか得意げに「お前もそろそろ大人のゲームをやるべきだ」なんてことを言いながら、縦長のケースを出してきた。ゲームソフトのケースにしては、今まで見たことのない種類。忘れもしない、これがWindows版『FF8』だった。

『FF8』で『ファイナルファンタジー』初体験を迎えた20世紀の最後。ディスク1に描かれたあの子が知りたくて……夏【ゲーム動画で懐かし語り】

 Windows版はトールケースの三つ折りになっていて、開けるとディスクが6枚も入っていた。そこから綺麗な女性が描かれたディスクを取り出した叔父は、CDドライブにセットする。彼の自作PCが生き物のように熱と風を放ち始めた。

 意図せず遊ぶことになった初めての『ファイナルファンタジー』は、とてつもない表現力で遊び手を迎える。子どもに小難しいことは理解できずとも、スコールとして歩き回るガーデンはとてつもなく魅力的な遊び場だった。

『FF8』で『ファイナルファンタジー』初体験を迎えた20世紀の最後。ディスク1に描かれたあの子が知りたくて……夏【ゲーム動画で懐かし語り】
画像はPS版のもの。

 その日から、祖父母宅での朝は『FF8』に熱中した。とはいえ、遊ぶ時間は限られていて何度ガンブレードが折れた画面(ゲームオーバー画面)を見たかわからない。システムもうまく理解できず、いたずらに時間だけが過ぎていった。

 最初のディスクすらクリアーできず、気がつけば帰宅する日。それでも密かに目標としていたことは達成した。それはディスクに描かれたキャラクターの名前を全員覚えること。

 じつは遊ばせてもらった『FF8』には説明書が見当たらず、6枚もあるディスクに描かれたキャラクターが誰なのか見当もつかなかったのだ。子ども心に、遊んだゲームのキャラは覚えたいみたいなところもあった。

 最初にわかったのはもちろんスコール(インストールディスク)で、それからディスクを眺めているとサイファー(ディスク2)、セルフィ(ディスク3)、ゼル(ディスク4)、キスティス先生(ミュージックコレクション)までわかった。

 でも、ディスク1に描かれた綺麗な女性の名前だけがわからず、祖父母宅から帰るまでに名前がわかるまで進めてやるとムキになっていた。やっとのことで彼女がリノアだとわかったときは、妙に感動したものである。

『FF8』で『ファイナルファンタジー』初体験を迎えた20世紀の最後。ディスク1に描かれたあの子が知りたくて……夏【ゲーム動画で懐かし語り】
当時は全然ゲームが進行できず、本当に名前がわかるまで時間がかかった。


 あの夏、微妙な成功体験をもたらし、叔父いわく「大人のゲーム」である『ファイナルファンタジー』を、きっと忘れることはないだろうなと思った。

 それから数年後、叔父から『FF8』を譲り受けて再プレイしたり、PS版のディスクを見てWindows版と違うことに驚いたり、ほかの『FF』シリーズにも挑戦したりするのは、また別のお話。

『FF8』で『ファイナルファンタジー』初体験を迎えた20世紀の最後。ディスク1に描かれたあの子が知りたくて……夏【ゲーム動画で懐かし語り】
Windows版のディスク。写真は編集部にあった初回限定の天野喜孝氏イラストピクチャーディスク。これとは別に、野村哲也氏のイラストが使用されたものがあった。文中で筆者が説明しているのは、後者のことである。
『FF8』で『ファイナルファンタジー』初体験を迎えた20世紀の最後。ディスク1に描かれたあの子が知りたくて……夏【ゲーム動画で懐かし語り】
2022年現在、『FF8 リマスタード』が各プラットフォームで手軽に遊べる。

※画像は動画からキャプチャーしたものを含む。

次回は『キラ☆キラ Rock'n'Roll Show』をお届け

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